2016年8月2日(火)
「アベノミクスをふかす」とは
朝日新聞朝刊 波聞風問を読んで
朝日新聞の8月2日の朝刊を読んでいると、「アベノミクスをふかすとは」という記事に出くわした。原真人氏の波聞風問のコラムである。その内容は、以前から気にかかっているアベノミクスの危うさに通じる内容なので、以下に全文紹介させて頂く。 今日、決定する政府の財政対策をめぐっては規模が大きいか小さいか、効果的かといった点に関心が向いている。だがもっと大事な論点がある。 日本がいよいよ「財政ファイナンス」という禁断の領域に足を踏み入れつつある、ことの重要さである。 財政ファイナンスとは、財政赤字を国債ではなく、通貨発行でまかなうこと。中央銀行(日銀)がお札を刷って国民にばらまくことを「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)」と呼ぶが、そんな都合のいい政策には必ず落とし穴やしっぺ返しがあるものだ。 いずれ超インフレとなり、国民が困窮することになりかねない。だから世界中の政府や中央銀行は財政ファイナンスを禁じている。 ただ絵に描いたようなヘリマネでなく、なし崩し的にそうなったらどうか。人々は危うさに気付かず一時的な心地よさに酔い、結局そこに安住してしまうのではないか。 先進国最悪の財政の日本がそれほど景気が悪いわけでもないのに、気前よく事業費28兆円の景気対策に乗り出す。 すぐに日本銀行総裁が「相乗効果だ」と言って追加緩和で呼応する。目の前で起きているのは、それに近い姿だ。 思い出してもらいたいことがある。第2次安倍政権が誕生した2012年の総選挙。安倍晋三氏が遊説で唱えたのは国土強靭化のためのインフラ整備だった。その財源として「輪転機をぐるぐる回して、無制限にお札を刷る」「建設国債は日銀に全部買ってもらう」とまで言った。のちに「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」と言い換えたが、そのあからさまな財政ファイナンス構想こそ、アベノミクスの原点だ。 政権発足から2週間ほどでまとめた経済対策もその発想によるものだった。1年分に匹敵する公共投資を盛り、国債増発で財政を調達。日銀に金融緩和を求め、国債を買い支えてもらった。 この政策セットがその後、しばらく棚上げされたのは、異次元緩和の効果が期待されたからだ。ただ最近は限界論や弊害論が出ており、再び財政ファイナンスの出番がめぐってきたのである。 今回の経済対策で、首相や自民党幹部らを回って15兆から20兆円規模の補正予算を求めたのは藤井聡内閣官房参与(京大教授)とされる。藤井氏と言えば、4年前に国土強靭化を唱えた生みの親だ。 安倍首相が参院選で宣言した「アベノミクスをふかす」とは、当時の「原点」に立ち戻るという意味ではないか。政府は財政をふかし、日銀がその財源を支える。 1990年代、政府は公共事業を軸とする経済対策を繰り返した。一時的に景気を浮揚させたが、残されたのは膨大な政府の借金と、「失われた20年」と呼ばれるさえない経済だった。 いま、ヘリマネを使って財政拡大に乗り出せば、次の調整はおそらく90年代の失敗どころでは済まなくなる。 このコラムを読んで、恐ろしい気がする。日本は国民一人当たり1000万円を超える借金をしている。これは世界中のどの国よりも大きな額だ。ただ日本は経済規模が大きく、国民個人の貯蓄額が大きいので、何とか国の財政破たんというレッテル貼りから逃れているが、このままでさらに大きな借金を背負うとなると、破たんが近い。 国の財政が破たんすれば、我々の国民の生活はどうなるのかについて、詳しく書いた本がなかなか見当たらない。財政破たんすれば大変なことになるという話はよく聞くが、一体どうなるのかが問題だ。 アベノミクスは基本的に経済規模をさらに拡大することで、財政再建を測ろうという立場を取っている。それならば、企業の生産力を増やし、付加価値を生む巣事を増やさなければならない。しかし、現状の日本は少子高齢化が進み、働く人は減り、将来も人口減少が進み、経済規模を拡大できる環境ではない。環境とやっている政策がマッチしていない。その結果、1990年代からの投資の付けが出て、借金が急激に拡大し、現状の額、一人1000万円の借金になった。 今回のアベノミクスのロケットエンジンを更にふかすことによる財政投資の付けが回ってくる頃には、日本が財政破たんしているかもしれない。 その結果、初めてアベノミクスは失敗だったのだと気づいても後の祭りとなる。 大切なことは、日本の現状の姿、世界の環境の変化、グローバル社会の中の日本の立場、立ち位置をしっかり見極めると、今大切なことは何かが分かるはず。 それは、十分成熟しきった日本の社会、経済を規模拡大するのでなく、規模の縮小を図りながら、軟着陸することだ。言い換えると歳入の拡大を図るのではなく、歳出削減を図ること。しかし、高齢化や少子化対策に多額の費用が掛かるので、福祉面の歳出は制限が難しい。だからそれ以外の歳出項目を余談を持たずに見直すことだ。そして大幅な削減に取り組むことしかない。 これは言いかえると、国民に痛みを共有してもらうことになる。そういう話は選挙ではマイナスに働くからどの政党の言い出さない。しかし、どこかの政党や政治家が言い出して、評判の悪いことでも言い続けて理解してもらうしかないのである。 安倍さんの立ち位置はその逆で、評判の良い、一見将来展望があるような心地よいものになっているが、どう考えてもこれがうまく機能する環境になっていない。 幾多の経済学者や評論家がいるが、成長を否定するような暗いことを提言するにはなかなか勇気がいるから、誰もしないのだ。分かっていても言い出さない、言い出せない。 自分がかわいいのだろう。 しかし、着実に日本はこのままでは国家財政破たんに近づき秒読み段階に入る公算が大きい。 |
2016年7月21日
ソフトバンクが3.2兆円でARMを買収
(関連記事のURL)
https://note.mu/shibataism/n/n613483c10499
2016年7月18日、ソフトバンク(孫社長)が半導体設計会社のARMを約3兆円で買収すると発表。世界中に激震が走っています。 随分、以前、ソニーが48億ドル(4800億円)でコロンビアを買収し、その後、松下電器が、その後を追うかのようにユニバーサル映画を6800億円で買収した出来事がありました。 これはビデオがらみで、今後の映像産業を傘下に入れたいという思惑だったと思います。しかし、この松下電器の買収劇は見事に失敗に終わり、結果は大損して、手放しました。海外のメディア産業を買収する難しさを感じました。 その後、日本企業が大規模小規模を問わず海外企業買収が続いてきました。 しかし、今回のソフトバンクのARM社の買収は、今までの規模とは格段に違う超大物狙いです。 ARMは、どういう会社なのでしょう。 一言でいえば、スマホや、最近流行ってきたIoT用のCPU(簡単に言えばマイコン)の知財権を売る会社です。 CPUと言えば、アメリカのintelが誰でも知っている超有名な会社で、パソコンやサーバに使われているCPUの大きなシェアを持っている会社です。もう1社、AMDという会社も有名ですが、intelはダントツにトップを走っています。 パソコンを買うと、intel core insideというシールを貼っています。これはこのパソコンにはintelのCPUを使っていますよ!だから高性能ですよ!という宣伝も兼ねてシールを貼っているのです。 intelやAMDのCPUメーカは、CPUの開発、設計から製造、販売まで行っている垂直統合型の企業です。もちろん、CPU内部の知財権も有します。 intelは、CPUの高性能化を微細加工を進めながら実現してきました。いわゆる『ムーアの法則』と言われる18か月で倍々に集積度が高くなるという経験則でいままで、ムーアの法則に従って、パソコンは性能を上げながら、価格は抑えてきました。だから世界中にあっという間にパソコンが広がりました。 このintelのビジネスのやり方と距離を置いて取り組んできたのが、ARM社です。ARMのビジネスは、CPUの開発、設計、知財は行いますが、CPUの製造は、半導体製造メーカに委ねるやり方です。1個のCPUあたりいくらの知財権料を払えということで、ビジネスを行っています。 このARM社のCPUは、intelのCPUと狙いが違うのです。 intelは、世代が変わるたびに、大きく性能を向上してきました。性能面ではARMのCPUはintelのCPUに比べると大きく劣ることになりますが、ARMのCPUは用途がスマホや、IoTという分野の商品用というものです。 スマホは、充電電池で動作させる携帯商品であり、ネットにつないで長時間使いますので、電池が長く持つものでなければ、使い物になりません。 以前のスマホは毎日、充電しなけれなりませんでした。スマホも新製品は旧型に比べると、動作速度は非常に早くなり、さらに電池の持ち時間も長くなってきました。そういう用途に限ったCPUを開発し、設計し、その知財を半導体メーカに渡してCPUチップを製造し、それをスマホの組み立てメーカが商品にするというビジネスの流れです。 この分野でARM社は圧倒的なシェアを持っていて、ARMの知財がなければスマホが造れないというほどです。 しかし、CPUの知財を売るだけですから、一個当たりの知財料はそう高く出来ません。今回、ソフトバンクが買収に支払う金額が3兆2000億円という途方もない額ですが、ARMの年間売上(知財収入)は、その1/20以下ということです。20年かかってやっと、元手が取れるというふうに考えると、この買い物はとてつもない高い買い物になってしまいます。 孫社長がそういう馬鹿な行動をとるはずはありません。 それは、今後のビジネスの展開を読んでの話です。世界中のスマホに使われていて、そのスマホは未だ今後、大きく伸びる余地があります。 さらに最近、盛んに言われるようになってきたIoT(機器が互いにつながる)商品の展開や、自動車に搭載するCPUの一層の拡大や、家電商品のCPUの拡大を見越すと、ARMのCPUは今後さらに急激に拡大すると見込んでいます。 だから、現状では、年収の20倍もの金を投資して買収に踏み切ったのです。 しかし、松下電器がユニバーサル映画を6800億円で買収した際、自己資金を大きく減らして、その後の経営を危うくしました。この時は自己資金が1兆6000億円ほどあったはずです。それでも、うまく成果が出ませんでした。 ソフトバンクは、手持ちの関係会社の株を一部売却して資金作りをするようですが、それでも1兆円足りないので、それはミズホ銀行から借り入れるそうです。 そうなりますと、今後の有利子負債額はトータルで3兆円に登るようですから、思惑どおりに事が運ばなければ、ソフトバンクは潰れるでしょう。 逆に、先ほどのように、ARMのCPUが今後大きく発展すると予想されるビジネス分野の主流に乗れば、大きな収益を得ることになります。 こういう大きな賭けができる孫社長は尋常ではない経営者だと思います。 ビジネスの成功を祈ります。 |
2016年7月20日(水)
ポケモンGoがゲームを変える
子供たちに大人気を博していたポケモン、主人公は『Pikachu(ピカチュウ)』が従来のゲームから脱出し、PC画面から現実の世界に広がりました。 これは、スマホの位置情報(GPS)と組み合わせ、ピカチュウが自分の身の周りや地域に出没し、スマホを操作すれば、捉えられるというもの。 実生活の空間にピカチュウが現れ、それを捉えるゲームに変身しました。 これにより、地球上すべてが舞台に変わります。 ******************************************************************** 説明によると、本作品(ソフト)はスマホの位置情報を利用して、現実世界でポケモン探しの旅が楽しめるのが特徴。起動中にポケモンが自分の近くに現れると、スマホが振動してお知らせ。スマホを周囲に向けてポケモンを見つけたら、画面上のポケモンボールをスワイプして投げることでポケモンを捕まえらえる。 名所旧跡や有名スポットがショップやジムなど、フィールドには、モンスターボールや、さまざまなアイテムが入手できる“ポケストップ”や、バトルの拠点となる“ジム”がさまざまな場所に現れる。 これらを求めて、実際に外を歩いて、ふだんは気にしなかった身近な場所や旅行先などを探索するもの本作品の楽しみ。 画面を見ずにプレイできる専用デバイス“Pokémon GO Plus” 7月末発売 スマートフォンと連携し、近くにポケモンなどがいるときにランプと振動で知らせてくれる“Pokémon GO Plus”が7月下旬に3500円[税別]で発売予定。 ポケモンと遭遇したときもボタンを押して捕獲に挑戦できたりと、画面を見続けることなくプレイできるので外出時にはとっても重宝。 すでに一部海外などでサービスが始まり、いよいよ日本でも? という状況だが、正式サービス開始のアナウンスはもう少し先になりそう。 下記に先行プレイリポートや、開発者によるインタビューをまとめてあるので、こちらをチェックしながら配信を待とう。 ポケモンGoのオフィシャルサイト http://www.pokemon.co.jp/ex/PokemonGO/# ******************************************************************* となっている。 これは、任天堂とGoogleが手を組んで、従来のパソコン画面上でのゲームプレイから、日頃行動している現実の場所にポケモン(ピカチュウ)が出没するので、とてもリアルな感じがすることと、今まで机上のゲームだったものが、初めて屋外に出てプレイすることで、ゲームプレイの幅や時間が変わること。 ただし、あまりゲームに夢中になって交通事故などが起きないように注意しなければならないだろう。 だから、ピカチュウが近くに現れると、スマホが振動して知らせてくれる。 また、リストバンドで知らせてくれるポケモンGoプラスという商品も販売されるらしい。 いずれにしても、ポケモンや、ピカチュウで育った子供達は今、中高校生になっている。その子供たちはスマホを持っているので、この企画は世界のゲーマーを虜にすることは間違いない。 |
2016年7月15日(金)
今年も、お盆が近づいてきました。
新棚(あらたな) ナスとキュウリを供えます
関西地方は、8月13日にがお盆を迎えますが、関東は7月13日と、ひと月早くお盆になります。何故ひと月の差があるのか、一度調べてみたいと思いますが、それはさておき、お盆はご先祖様や、身近に亡くなったご家族の御霊をこの世にお迎えする行事です。仏教の独特の行事です。 お盆は御霊をお迎えする「迎え火」に始まり、お見送りする「送り火」に終わります。ご家庭の中では提灯を迎え火・送り火としてしつらえ、ご先祖様とのつながりを心してお飾りすることになります。 浄土宗では、初盆には、故人が仏になって初めて里帰りするので、特別に初盆に仏壇の前に新棚(あらたな)を飾ります。 また、屋外には、竹4本で、1mぐらいの高さの棚を造り、そこに竹のはしごを造って、棚にナスやキュウリを供える餓鬼棚も作る地方があります。 一般的に8月7日からお盆が過ぎるまで、お奉りしますが、宗派・地域により 多少異なるようです。 新棚(あらたな)飾りは、お仏壇の前に机を置き、机の上に真菰(まこも)で編んだ御座(ござ)を敷きます。 ・ナスとキュウリにオガラをさして牛馬に見立て供えます。 ・キュウリの馬は、ご先祖さまの霊が一刻も早くお戻りになるように、 ・ナスの牛は、ゆっくり帰って戴くための乗り物だそうです。 ・その他、お供え物は、季節の野菜・果物・餅菓子など 我が家は、浄土真宗西本願寺、正しくは龍谷山本願寺だそうで、浄土真宗本願寺派です。東本願寺もありますが、正しくは浄土真宗本廟(ほんびょう)と呼び、浄土真宗大谷派ということです。 浄土真宗では、新盆にこういう飾りはしないようです。 せいぜい、提灯(ちょうちん)を吊り、明かりを灯すというぐらいです。 いままで、西本願寺が本山だと聞かされてきましたが、お東さん、とか西さんという呼び方があるように、東本願寺、西本願寺は通称の呼び方だそうです。 浄土真宗の信徒は、いわゆる門徒と呼ばれます。 浄土真宗は、親鸞聖人が開祖で、浄土宗を起こした法然上人から後に、浄土宗をさらに広めるために、葬祭を簡素化して、一般の人々でも『ただ「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えるだけで、誰でもが極楽浄土に行ける』と説いたのです。 さらに、親鸞聖人は『悪人正機説』を説き『善人なおもて往生を説く、いわんや悪人をや』と言ったことは有名ですね。 その結果、当時の農民を中心に広く信者が広がりました。親鸞上人がなくなってから、蓮如上人が浄土真宗の教義を説いた書簡80通をまとめたものがあります。 お通夜や、法事などの際に、お坊さんが参列者に対して、その一説を読みあげますが、本願寺派は『御文章(ごぶんしょう)』といい、大谷派は『御文(おふみ)』というそうです。 我が家の田舎は、西本願寺ですから、小さい頃から、この『御文章』なる説教めいた話を聞きました。 もう一つ、東西本願寺の違いは、『南無阿弥陀仏』の呼び方ですが、西本願寺は『なもあみだぶつ』といい、東本願寺は『なむあみだぶつ』というそうです。 お経の上げ方の抑揚も、違いますね。 焼香も西は1回、東は2回という違いもあるようです。 |
2016年7月13日(水)
アベノミクスは成功したのか?
第24回参議員選挙が7月10日実施された。当初の予想どおり与党が圧倒的な勝利を収めた。また、改憲派の党が2/3を超えたという結果になり、今後、日本がどういう国に変わってゆくのか注目したい。 さて、投票した人は、各党の狙いや政策の中身、ビジョンを十分理解して投票したのだろうか? 後で、『あの時、そんなつもりでなかった』と後悔しても、時すでに遅しである。今回の圧倒的な自民党の勝利が、変な方向に日本国を引導しないことを期待している。 さて、『アベノミクス』がスタートして既に3年あまりが過ぎた。その結果、今回の選挙演説で安倍総理は、『アベノミクス』の成果を強調した。 その中身は、いろんな経済指標が好転し、安倍政権の前後でこれだけ良くなっているとし、皆さん、こういう経済指標の事実が証明しているのですよ!といとも誇らしげに選挙カーから演説した。聞いている人々はそうか!と思ったに違いない。一方で何かおかしいな?ということに気付いた人もいたと思う。 アベノミクスが成功したか、失敗だったのかは別として、生活実感として、良くなったという感触はない。 一部の人や企業には良くなったのだろうが、まだまだそういう実感がない。 だから、選挙中、安倍総理は全国の津々浦々まで『アベノミクス』の効果を波及するため、引き続いて『新アベノミクス』に取り組むことと、その効果を全国津々浦々まで波及させるため、さらにロケットのエンジンを最大限ふかして、『アベノミクス』を加速すると言った。 しかし、これには注目する必要がある。 ロケットを打ち上げるには、大量のエネルギーを一気に消費しなければならない。要は巨額の『金』が要る。 そこで、その新アベノミクスなるものの正体は、リニア新幹線を最大8年前倒しという巨額投資が発表されている。当初はJR東海の企業の実力の範囲で取り組むとなっていた。だから当面は、東京と名古屋しか工事が出来ないという縛りをかけていた。しかし、在阪企業中心に、大阪まで伸ばして、初めて大きな成果が出るのだという強い要望が出て、急に国費を投入して、大阪までやろうという動きが出てきた。 東京から大阪まで、現在の新幹線『のぞみ』で2時間半のところを、1時間半に1時間短縮するため、何兆円もの巨額投資をし、完成した暁にどれだけの人が乗車するのか、どれだけの経済効果があるのかよく分からない。 『時は金なり』という諺があるが、ある時間のレベルを超えると、それ以上早く行くのに、費用対効果が合わなくなってくる。 事業を拡大したい方は、常に大きい効果を期待し、計算して実行するが、その効果はあるところで飽和し、サチってくることを知らなければならない。 その結果、全国の公共インフラでたくさんの赤字経営を余儀なくされて、放棄に至るところが沢山ある。 さらに、ロケットに乗るその他の公共投資も目白押しに並ぶだろう。しかし、この『金は天から降ってくる』わけではない。すべて借金で賄うことになる。 日本の財政は、GNPの2倍の額に達する1000兆円を超した。 単純に日本の人口が1億人だとしても、一人当たり1000万円の借金を抱えていることになる。天文学的な数字であり、誰も自分がそんな借金を抱えているという気持ちは持っていない。自分が借金をしているとは思ってもいない。 しかし、国家財政が破たんすれば、いろいろな面で国民にしわ寄せが来る。 その時、何が起きるのかをシュミレーションして、その結果をテレビや新聞は国民に知らせることが大切だと思う。『財政破たん』という言葉を知っている人は多いが、『財政破たん』した時に、私たちの生活がどうなるのか、物価がどうなるのか、所得はどうなるのか、預貯金はどうなるのかなど、今までの生活がどう変わるのかを知らせて、教えることが大切だと思う。 テレビ番組を見ていると、くだらない!低俗な番組が最近多くなってきたように思う。出演者がワイワイ・ガヤガヤと面白おかしくわめいているという感じで、見ている方は冷めている。このような番組を一掃して、もっと将来のため学ぶような番組を提供してほしい。 そして、『国家財政破たん』状態にならないために、『今、こういう取り組みをするので、痛みを国民にお願いする』という勇気ある行動を為政者に求めたい。 安倍さんの話を聞いていると、格好良くて、前向きで、何かやってくれそうな気分にさせてくれるが、実態は言葉通りになかなか動いていない。 日本人は行き着くところまで行って、初めて本音を言う国民性だ。 だから、今回の選挙でも、それが現れたのが沖縄と福島の結果である。ともに 与党が落選した。大臣も落選した。この結果を見れば、その地の選挙人の本音が投票行動に現れた結果だと思う。 さて、外国人が安倍政権や、『アベノミクス』の成果をどう見ているのか?という記事を見つけた。世界の有名な投資家 Jim Rogers 氏の対談である。 -------------------------------------------------------------------- 安倍政権が2012年末に発足した当初、政策に期待して日本株を買ったが、3年半経った今、アベノミクスに正直、がっかりしている。 安倍首相は、『経済を再興させ、海外と競える環境を作り出す』と公言していたのに、結局、何もやらなかったと思います。 やったことは増税、そして税金で道路や橋を造り続け、お札をじゃぶじゃぶ刷り続けたことくらいでした。 私は11年の東日本大震災直後に日本株をいくつか買い、12年末の安倍首相の就任時に、彼の手腕に期待して買い増しました。 しかし、構造改革は進まなかった。 安倍さんはかつての日本の指導者たちと同じ間違いを犯しています。この先、良いことは何一つ起きないとあきらめ、昨年夏に日本株を全部売り払いました アベノミクスは常軌を逸したようにお金を刷り続け、円の価値はわずか数年で一時3割も落ちました。短期的に輸出企業は助かるでしょうが、輸入コストが上がって物価の上昇を招き、国民生活は厳しくなります。物価が上がれば、いずれ輸出面でも国内産業は価格競争力を失っていく。自国通貨の価値を下げたり、インフレを起こそうとする手法で成功した国は過去にどこもありません。 だから市場や企業は、成長戦略という『第3の矢』に期待したのです。『3本の矢』はいつ放たれるのですか。 この間も日本が抱える問題は大きくなっています。人口が減って高齢化が進む一方で、国の借金は将来の世代で返せないほど積み上がっています。安倍首相は日本を破綻に追い込んでいると思います。 ただ、足元では円高が進んでいます。円が買われているのは、世界が日本経済の可能性を評価しているためという見方もありますが、円が今、買われたのは日本が評価されたのでなく、今年か来年に、世界の経済危機が訪れる可能性を皆さんが感じ取っているからでしょう。ユーロや新興国通貨に比べて、円と米ドルが相対的に安全だと考えているのです。私はドルを買いました。 日本経済を混乱させることなく日本が持続的な成長を取り戻すためには、深刻な人口減少と高齢化といった問題に対処しなければなりません。 子どもを増やす政策を立てるか、新しい血、アイデア、エネルギー、野心を持つ移民を受け入れるかです。ドアを閉じれば衰退を招きます。 同時に、増税ではなく減税が必要です。 政治家は長期的視野に立たず、目先の選挙で物事を判断しがちですが、日本は賢明な判断をしなければなりません。 日本は、国内総生産(GDP)の約2倍(1000兆円)の借金を積み上げています。さらに減税すれば財政赤字がふくらみ、もっと借金が増えるのではないかという疑問もありますが、増税で財政再建ができても経済再建はできますか? 増税より無駄な支出を劇的に切り詰めることが先です。日本は高速道路が張り巡らされ、すでに世界最高のインフラを持っています。高速道路や橋をこれ以上造ってどうするのですか。 私は日本人ではありませんし、日本がどこにお金を使おうが勝手です。ただ、私ならもっとお金を有効に使う。こうした無駄遣いをなくし、同時に減税する。 減税で国民のポケットにお金が増えれば、首相ではなく国民がもっと上手にお金を使えるでしょう。 日本銀行が導入したマイナス金利政策については、人々は貯蓄をしてお金を増やし、未来に投資してきました。 それが日本を強くしてきた源泉だったのです。今は貯蓄をすればお金を失ってしまう。ひどい間違いです。経済や社会、国家を支えてきた人々を破滅させます。 マイナス金利政策で経済を良くすることはできないと断言できます。それは日本だけでなく、他国でも同じことです。国の借金が増え続け自国通貨も下落し物価が上がる。おまけにマイナス金利で財布の中身まで寂しくなって、日本はどうやって生き残るつもりですか。 世界の中央銀行が今ほど力と名声を持ったのは、ここ数十年のことです。 40年前は中央銀行が目立つこともなかったので、中銀総裁の名前なんて知らない人も多かった。大きな間違いを繰り返す中央銀行なら、ない方がましです。 日本には投資先として良い兆候が見つかるまでは手を出さないつもりです。 良い兆候とは、例えば安倍首相が辞任するとか、彼自身が変わるかです。 危機は変化する好機でもあります。本当の危機に直面して、日本が良い方向に変化していくことができるかを私は見ています。 日本が移民の受け入れに門戸を開き、子どもを増やす政策に舵を切り、減税とともに財政支出を劇的に切り詰める政策を打つようなことになれば、誰よりも一番に私が日本に巨額投資を決めるでしょう。 日本は数年前まで、毎年のように首相が交代すると外国メディアから揶揄されてきました。政権が安定していることは良い面もありますが、政権が安定していても政治家は何をしていますか。日本に必要なのは変化です。 1978年に中国の鄧小平氏は改革開放に踏み切り、中国に劇的な変化をもたらし、経済面で大成功を収めました。一方で、日本では20年以上も改革が進まず、日本経済は後退しています。日本は素晴らしく組織化され、戦後は驚くべき復興と発展を遂げてきましたが、いまは貿易黒字が減り、国の膨大な借金と高齢化もあって、かつての勢いと競争力はもうありません。 新興国はどんどん力をつけています。それに比べ日本には新しい発想や人、競争が不十分です。昔と同じやり方を続けていたら通用しなくなります。 日本について、前向きにとらえている材料は数少ないですが、評価していることもいくつかあります。日本が参加しているTPP(環太平洋経済連携協定)が日本を開国させ、経済の手助けになることを期待しています。 外国人観光客が急増していることも良いことです。東京五輪は盛り上がり、観光産業は助かるでしょうが、巨額な準備費用もかかります。日本経済全体ではプラスにならないのではないかと思います。 日本を再活性化するためには、歴史的にみても閉鎖された時間が長かった島国ですので、政治だけでなく、国民にも革新的な発想を受け入れる土壌や危機感があまりない。 だから長い間、農家や土木業者にお金がばらまかれる政策が続いてきた。難しいことでしょうが、日本人全体が過去の延長線上で思考せず、もっと過去に抗(あらが)うことが必要だと思います。 私は日本も、日本人も大好きです。東京の寿司も最高です。それでも私が10歳の日本人なら、両親を説得して日本を逃げ出すでしょう。なぜなら、新しいリーダーが出てこない限り40歳になった時の日本経済は悪夢だと思うからです。 スペインやポルトガルも500年前は非常に裕福な国でしたが、借金で経済が行き詰まったのは記憶に新しいところです。 日本人は有能であり、日本も素晴らしい国です。もっともっと外の世界にさらされること、それが必要です。 黒田氏が日本銀行総裁に就任し、大胆な金融緩和を行ったことで株価は一時的に上昇しました。しかし、その時から、世界中の投資家は「果たして『成長戦略』という第3の矢は本当に存在するのか」との疑問を持っていました。その疑問が的中してしまい、多くの外国人投資家は失望しているというのが現状でしょう。いま、第3の矢は行方不明です。 安倍政権や黒田日銀は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が日本株を買い増したり、日銀が上場投資信託(ETF)を買い入れたりし、株価を支えようとしています。これは官製相場であり、日銀が将来、金融緩和をやめようと動こうとする場合にも大きな足かせとなるリスクがあります。 1990年代から、日本を取材してきましたが、歴代首相で私が最も多く取材をした小泉純一郎首相は「やることは決まっている。やるに尽きる」と言っていました。構造改革の必要性は80年代の土光臨調(第2次臨時行政調査会)から、 繰り返し指摘されてきました。何をするべきかは分かっているのに、様々な分野の「族」の抵抗でなかなか進められない。 例えば保育園改革一つとっても、既得権益を守りたい「保育族」の抵抗は強く、厚労族、文教族の壁にも阻まれています。いま世界はそれに幻滅しているのではないでしょうか。 一方、余り目立ちませんが、安倍政権で企業統治の改革は進んでいます。 TPP(環太平洋経済連携協定)を推進したことも、評価できると思います。 もっとも、全て米国のようになれば良いとは思いません。米国では「市場原理主義」の行き過ぎで貧富の差が広がり、トランプ候補のような差別主義的で扇動的な政治家が躍進する土壌ができました。米国を反面教師として、日本にふさわしい構造改革を進めていく必要があります。 やはり安倍政権にとって、経済は憲法改正や安全保障、戦後レジームからの脱却といったことを実現させるための道具でしかないのでしょう。 しかし、日本経済の真の立て直しは、正面から取り組まなければとてもできない極めて大きな課題です。 |
2016年7月12日(火)
新しいビジネスモデルを発見!
最近、テレビで、『プリントパックしよう』というコマーシャルを聞くことが多いですが、私も参加して『プリントパック』してみました。 アマチュア無線をやっていますので、交信が成立した『証(あかし)』として、QSLカードというカード(はがき)を互いに交換します。 交信証(QSLカード)と呼びます。 このカードは、各自でいろいろ工夫し、金をかけた立派なものから、易くて薄いハガキ用紙に、パソコンのプリンターで、必要事項だけ印刷したものまで、いろいろですが、年間数千枚発行するとなると、単価が馬鹿になりません。 それと出来るだけ見栄えのあるものにしたい!という思いがあります。 今までは、QSLカード専門印刷業者に頼むしかなかったのですが、ここに写真などを送ると、先方でレイアウトしてくれて、「これでいかがでしょうか?」という提示があり、それでよければOKすると、印刷に取り掛かるという手筈を踏みました。 印刷は大変綺麗ですので、元の写真さえ、きれいなものを送れば、まず問題はないカードが出来ました。その代り、結構な値段で、1000枚作っても、9000円ほどかかりました。一枚9円余りです。 アクティブに沢山交信する局長さんは、このようなまともなQSLカードを作ると、その費用が結構、かかることになります。 『何か安くていい方法がないか』と探していました。 紙類の販売をしている専門店があります。その店に、インターネットで注文して、無地のはがきを買い、それに写真などをレイアウトして、パソコンプリンターで印刷して、カードを作っていました。 しかし、このプリントができる写真印刷用(鏡面加工した)ハガキは結構高く、さらにプリンターのインクが数百枚印刷するとなくなります。このインク代もばかになりませんでした。 そういう不便さの解消策として、現れたのが、『プリントパック』です。 自分で、ハガキサイズに思い通りのデザインをし、そのデータをプリントパック社にインターネットで送信します。同時にインターネットバンキングから、送金をします。 ハガキだけでなく、いろんな用紙サイズや、種類や、表面加工の状態や、印刷後の後処理(たとえば、縁を丸くするなど)を指定します。 そうすると、何枚の場合はいくらという価格表が提示されますので、その金額をネットで送金決済処理すればいいようになっています。 データを送付後、約1週間から10日で印刷アップし宅急便で送られてきます。送料は無料です。 各種用途のハガキの印刷、封書の印刷、チラシ広告の印刷、カタログ、雑誌の印刷など、印刷に関するものは、大変安くできるのが特徴です。 これは、インターネットを活用するので、全国にサービスが提供できるため、大量の注文が期待でき、印刷機や裁断機や、その他各装置がフル稼働できることが期待できます。その分安く提供できます。 インターネットたIT活用により、受発注管理、作業進捗管理、入金管理、出荷管理などコンピュータにより管理するので、ミスがなく、稼働率を上げ、人手の作業をできるだけ減らして、お客さんのニーズに応えるというワケです。 こういう考え方のビジネスは、今までなかった新しいビジネスモデルです。 さて、小生は初めて、『プリントパック』に、QSLカードを1000枚ためしに発注してみました。大変しっかりした良い紙質で、印刷もきれいで、1000枚作って、2000円前後ですので、大変安くできました。大満足です。 テレビで盛んに宣伝しているだけあって、素晴らしい商売だと思います。 |