2009年11月17日
世の中、デフレ基調、どう脱出するか?

朝日新聞、11月17日夕刊に面白い記事(経済ナビゲーター)が掲載されているので紹介する。

Q::新聞やテレビでよく話題になる半導体って、どんなものなの?
パソコンや携帯電話など電子機器に組み込まれた、IC(集積回路)やトランジスタといった電子部品を半導体と呼ぶ。デジタルカメラなどの記録媒体に使われているフラッシュメモリや、システムLSI(大規模集積回路)なども、代表的な半導体の一種だ。 主にシリコンやゲルマニュウムが材料で、銅や鉄など電気を通す「導体」と、ガラスやゴムなど電気を通さない「絶縁体」の間の性質を持っていることから、「半導体」というんだ。

Q:どんな製品に使われているの?
パソコンや携帯電話といった情報機器はもちろん、薄型テレビや冷蔵庫などの家電製品、自動車といった機械装置など、身の回りの様々な製品に組み込まれている。近年では医療や宇宙、防衛、食品など幅広い産業で活用されている。自動車でもガソリンエンジンと電気モータを併用するハイブリッド車は、従来の2倍の半導体を使うと言われている。

Q:市場規模はどれくらいなの?
世界の半導体規模は、07年時点で約2560億ドル(約28兆円)。70年以降、好不況の波を繰り返しながら、年平均14%程度で成長してきた。これだけ長い間、2桁成長してきた産業はあまり例がない。

Q:日本ではどうなの?
日本での半導体生産額は約5兆円で、国内総生産(GDP)の約1%に過ぎない。しかし、電子産業や自動車など、半導体を使う全産業の市場は約220兆円ともいわれ、GDPの約40%に達するほど、日本の産業を支えている。
  (以上)

ここで紹介されているとおり、 『半導体は産業の米』といわれる。 われわれが気づかないようなあらゆる産業分野、システム、製品に使われ、高性能、高機能、高信頼性、高品質を実現してきた。その典型が携帯電話で、電話機能、電卓機能、時計、メール機能、カメラ、テレビ、ナビ、お財布など、身の回りで必要な便利機能を小さな、小さなケースに包含している。 これはすべて半導体技術の長足の進化のおかげである。携帯電話に使われているシステムLSIには数千万個のトランジスタが集積されている。シリコンの1cm角ほどの小さなチップ(板)の上に膨大なトランジスタを集積し、複雑なデジタル回路を構成して、いろんな機能を実現している。 これは半導体の進化のおかげである。

どうしてこういうことができるのか?
半導体は1965年、ゴードン・ムーア博士(インテル社)が仮説を唱えた『ムーアの法則』に則って発展してきた。 18ヶ月で2倍の集積度になるという法則で、こういう進化はわれわれがいままで経験したことが無い、超スピードで進化する。 進化するだけでなく、同じ材料(シリコンの板)の上にたくさんトランジスタが乗せられるので、高性能、高機能を実現しながらコストは同じとなる。逆に同じ機能ならコストが半分になる。(大雑把に言えば)いいものが安くなるという、今までわれわれが経験しなかった物の価値観の変化が起こっている。


これが、今、起こっている『価格破壊』につながっている。

『いいものが安く!』 これはまさにデフレ基調であり、半導体のムーアの法則が壁に当たるまで、このデフレ基調は続くと考えられるし、考えなければならないだろう。