2010年10月10日
『新しい資本主義』
希望の国、日本の可能性・最近珍しい、考えさせられる図書の紹介
原 丈人(はら じょうじ)著
PHP新書 735円
本当に、日本の将来は駄目になるのだろうか? 著者は、アメリカでベンチャービジネスの支援をして、成功を収め、企業経営について大変憧憬が深い。 本書は、資本主義の本山、アメリカ合衆国において、既に経済がゆきづまりを呈しているとしている。 それは、株主を向いた経営(株価を上げ、配当を最大化する事が成果だとする経営)また、短期利益追求型経営、金融工学を駆使した架空資本主義が横行し、それが至上主義となって、本来の企業のあるべき姿を消失してしまったと言っている。 日本は今まで、政治も経済もアメリカ追随型でやってきた。 自由競争で勝つことが全てであり、あらゆる活動は自由に競争しあって進歩すると言う建前で、それがますます力を増して、企業競争を活発化させてきた。経営者は年度の決算を気にし、経営の視点は短期利益に向いてきた。最近は四半期ごとの経営状況を発表し評価されるので、ますます短期指向になっている。 競争するということは、生き物の本来の生存競争に通じる生き残りをかける闘いで、これに勝たなければ生存し、子孫を残せないと言う宿命? によるものである。これは原点としては結構なことであり、企業活動の活力が現れてくるのであるが、余りに露骨になり、それが全てだとなると、社会にいろいろな不都合が現れてくる。 著者は、日本が他の国と同様なことをしていては、現状の打破も出来ないし、日本の将来も描けないとしている。現在の世界の経済や、他の国の歪んだ点を反面教師として、日本は新しい取組みをしなければならないとしている。そうすれば、日本の未来は決して暗いものではないと。日本には、それを可能にする高い技術や有能な人材が沢山いるので、全く問題はないと言っている。 新しい資本主義とは何か? 利益を追求し、その利益をごくわずかの株主が吸収して、一部の人が大きな利益を享受するという現状の経営ではなく、利益を社会に還元し、社会と共に共生できるような企業活動を展開しないといけない。単にモノを作ったり、モノを改良・改善するモノづくり産業から脱して、次世代のモノづくりを指向してゆかなければ、中国や他の発展途上国とまともに競争しても勝ち目はない。 日本の優れた独自性を活かしながら、新しい産業の姿を構築することが今、求められると言っている。 それが具体的にどういうものかは、是非、本書を一読して欲しい。 日本の政治家や企業経営者、学校の教育者にも是非読んでいただきたい本だ。日本の再生・復活のために!! |
2010年5月10日 高速道路無料化と子供手当て |
政権が代わり、今までの自民党時代から次第に変化が出てきた。民主党は選挙で公約?したマニフェストの実現に苦悩しているようだ。世の中に有り余るお金などどこを探してもない。なけなしのお金をどこに、どう使うかが問われる。それが政権党の腕といえる。どこかに使うと、どこかを我慢しなければならない。評論家は無責任にいろんな意見を言うが、責任はないので何とでも言える。 政治家までいろんなことを無責任で言うようになったらお仕舞だ。 小生は二つのことに注目している。一つは高速道路の無料化。もう一つは子供手当て。この二つは大きな財源が必要。ヨーロッパを旅行すると、高速道路と一般道は何の隔たりもなくつながっているのが当たり前になっている。無料だ。日本もそうあって欲しいが、道路事情が大きく異なる。ヨーロッパやアメリカは大陸国で、平原が広がっている。そこに高速道路をつけるのは、至って容易。ブルドーザで土地を平坦化し、アスファルトを引けば完成だ。道路の建設コストは格段に廉い。日本は山国、そこに地震国と来ている。山国のため、海岸沿いの狭い平野部に民家が密集している。ここに高速道路を造るとなると、高架式にならざるを得ない。しかも地震に耐える規格の道路はとんでもない頑丈な橋脚や橋桁になる。第二京阪高速道路がそのいい例で、門真ICから、京都まで2兆円もかかった。ヨーロッパの高速道路は、道路の両端をコンクリートでしっかり補強しているが、地面に直接道路ができているところが殆どである。 土地代も廉く、建設費も安いので、高速道路の無料化は納得できる。日本は膨大なコストをかけて造らなければならないので、償却費が大きい。高速道路の無料化はありがたいが、一気に無料にしなくてもよい。今、100%とすると、段階的に80%、70%、・・・と下げてゆけばいい。そして無料化ができればやればいい。無駄な高速道路を造らない為にも、高速道路の無料化を段階的に目指し、道路収入で次々と道路を造ることが当たり前と言う従来の考え方を改めるべきだ。 では限られた財源で、どこに高速道を造るか? これは二つの視点で判断すればいいだろう。 一つは、旧、日本道路公団(JATIC)がラジオで道路渋滞情報を毎時、NHKラジオなどで放送している。これが道路の込み具合の実態そのもの。このデータを月単位、日単位、時間単位で眺めれば、どこにどういう道路を建設すると渋滞が解消できるか分かる。渋滞がなくなれば、ガソリン消費量も下がり、交通運輸のコストが下がる。実に簡単だ。しかし、現状は多分、国土交通省の出先のどこかの天下り財団あたりが、調査費、企画費と言う名目?で何億円もかけてやっている。 もちろん、高速道路の必要性は渋滞解消だけではない。戦略的に必要な箇所もある。そういうところはそんなに多くないはず。全体の道路建設費を100%とすると、渋滞解消に80%を、戦略道路に20%ぐらいを充当すればいいのではないか。この20%をどこに配分するかは喧々諤々やればいい。宮崎県に必要なら造ればいい。そういうTTLの配分枠はめをして道路建設に取り組めばいい。 もう一つの子育て支援金、4月から半額支給が始まったようで、真に結構だ。マニフェストの掲げた全額支給するかどうかだが、小生は残りは保育園、幼稚園の増設、新設に回すことを進言する。さらに小学、中学、高校の耐震化工事を真っ先にして欲しい。少子化で大問題になっている最中に、尊い貴重な子供を守るために、最優先して大至急工事をして欲しい。地震がおきて犠牲者が出てからやっても意味がない。今が大切だ。 社会全体で子供たちを見守り、育てると言う考え方には大賛成だ。文部科学省だ、厚生労働省だと互いの権益の垣根を取り払い、教育省的な考えで一本化して、これも大至急取り組んで欲しい。民主党に期待したのは、そういう目線にたった政策を期待したはずだ。 実際、従来の慣習を破るのは、私生活でも、企業にとっても、政治にとっても、しがらみや慣習があり、変えるのは大変なエネルギーが要るが、だからこそ従来の政権ではできなかったので、新政権で早く遣り上げて欲しい。 |
2010年5月7日 叩かなくなったテレビ? |
今、テレビと言えば、液晶テレビやプラズマテレビと言うことになっている。一昔前は、ブラウン管を使ったテレビが当たり前であった。それが数年間であっという間に平面テレビに代わった。画面が大きくなり、9:16の横長で見やすくなった。 大変な進歩である。『人間は忘れる動物である』と誰か言ったが、ちょっと思い出して見たい。 白黒テレビが出て、カラーテレビが出来て、神武景気、岩戸景気と言われた高度成長期を迎え、日本は大変豊かになった。 その頃のテレビは、選局する際大きなツマミを手で回して選局する方式であった。 カチャ、カチャというスイッチの切替音ガ懐かしい感じがする。 この頃、テレビは使っている内に、画面がチラチラしてチャンネルツマミをちょっと叩くと再び綺麗に映った。新品のうちは大丈夫だが、使ってカチャカチャ、チャンネルツマミを回しているうちに、そういう現象になった。誰もそういうものだと思っていた。 そして、数年使うと映りが悪くなり、電気屋さんを呼び修理してもらった。裏ぶたをあけて、中に並んでいる真空管を取替えるとまた綺麗な放送が楽しめるようになった。ある年代以上の人は、こういうことをよく覚えているはずだ。 最近のテレビは、チャンネルツマミなどなく、殆ど選局動作はリモコン・ボタンで行う。真空管式テレビ時代にもリモコンがあった。これはなんとテレビの中にモータを組み込み、ボタンを押すと、モーターが回り、歯車でチャンネルツマミを回すと言う離れ技を行った。しかもリモコンに使う信号は超音波を使ったりしたので、誤作動がよく起こった。 今から思えば信じられないほど稚拙なことをやっていたのである。でもその当時は最新の技術を駆使したテレビと言えた。 そして今、テレビは殆ど故障がなくなり、見たいときにリモコンの電源スイッチボタンを押すと、すぐに大変綺麗な地上デジタル放送やBS放送が受信できる。 なぜ、こんなに故障がなくなったのか? 故障しないと言うことは商品の寿命が大きく伸びることになる。ユーザとってはありがたい話であるが、メーカは一度販売すると、次の商品を買ってもらえない。 しかもドンドン廉くなる。 これが現在の状況である。 故障が少なくなった要因は、テレビの中身が全く代わってしまったことによる。真空管がトランジスタになり、寿命が半永久的なものになった。でも個々とトランジスタで組み立てたテレビは、半田付け不良や部品の数が多くて、故障する確率が未だ高かった。真空管テレビは数年間使うと、必ず真空管は劣化するので、映りは次第に悪くなり、交換しなければならない状況に なった。ブラウン管も真空管の一種であるので、使っている内にボケて映りが悪くなった。 テレビが真空管、トランジスタからICになり、LSIの時代になった現在では、LSIは半永久的で寿命がないくらい長持ちし、ブラウン管から液晶やプラズマに表示素子が変わることでさらに寿命が長くなった。故障する確率も大幅に改善された。 チャンネルツマミを回したテレビは、ツマミのシャフトにスイッチがあり、このスイッチでコイルやコンデンサーを切替て、選局する方式であった。スイッチは切片と接点で構成されるので、使っている内にこすれて、表面が磨り減り、また酸化して電気の導通が悪くなり、信号がうまく伝わらなくなる。その結果、ツマミをカチャ、カチャと回したり、途中でちょっと止めてみたり、ちょっと叩いてみると導通が回復して正常に映ることになる。 今のテレビはリモコンボタンを押すと、中に入っているマイコンに指令をだし、マイコンから選局用の信号が赤外線で出る。その赤外線をテレビで受信して、選局の信号に戻してテレビの中のマイコンがソフトウェアに基づいて選局の動作を指令する。 実際の選局の切替は半導体内部で行うので、何回切り替えても機械的に磨り減り、接触不良を起こすことは全くない。 リモコン使い放題となったのはこういう半導体技術、デジタル技術、ソフトウェア技術の賜物である。その結果、テレビは叩かなくなり、寿命は??となった。壊れるところがなくなった。 それでは永久的に使用できるか?となると、ものには必ず寿命がある。その寿命が技術進歩で格段に長くなることはあるが永久的かとなるとそうではない。 ブラウン管に代わった液晶テレビは板の後部から蛍光管で煌々と照らしている。現在は蛍光灯がLEDに代わりつつあり、省電力と更なる超寿命を保証している。蛍光灯は家庭用のモノと少しことなり、直径数mmの極細の管を使っている。細い方が電力効率がいい。またテレビの概観を薄くできるメリットもあるから。蛍光灯は数万時間で寿命になる。普通の家庭用蛍光灯は数千時間が寿命である。寿命と言っても急に切れると言うことではなく、次第に暗くなると言う意味である。LEDは蛍光灯よりさらに超寿命で4万〜10万時間程度持つとされる。 プラズマテレビも放電で蛍光物質を光らせる方式なので、基本的には数万時間〜10万時間程度の寿命といえる。 街の電気屋さんが、アルミ箱を自転車の後部座席に積んで、修理に走り回っていた頃を懐かしく思う。このアルミ箱には沢山真空管と半田ごてとテスターが入っていた。テレビの故障の状態を見ると、どの真空管が痛んでいるか大体察しがつくので、新品と差し替えると、テレビの故障の7、8割が直った。残りの原因は他のコンデンサーなどの部品不良であった。 カラーテレビには真空管を27、8本使っていた。また機種が変わると他の真空管が使われたりしたので、一式をアルミ箱につめて故障したお客さんの家を訪問した。 ちょうど、小生が松下電器(Panasonic)に入社した昭和43年当時はまさにカラーテレビが爆発的に売れ出す時期であった、新入社員の5月から7月ごろに、大阪市内のあるショップ店でテレビの修理をさせてもらったのを懐かしく思い出す。 今の新入社員は故障しなくなった電気製品をどういう思いで見ているのだろうか? 故障しても修理ができないようになった電気製品が多くなったことも事実である。それがデジタル時代である。 |
4月11日(日) 民主党の参院選挙は勝てるか? 「選挙は勝つ」、「企業は利益追求」が目的か? |
小沢幹事長は、すごい人だと思います。しかし最近、参院選挙について、あまりにも過半数を取ることが目的化しているような発言が目立ちます。「選挙は勝つ」ことが第一で、参議院においても過半数を取り、安定政権を確立して民主党の理想を実現したいと考えるのは当たり前のこと。。しかし、選挙で勝つことは、民主党の活動の成果を国民がどれだけ理解し、協賛し、賛同したかによるもので、言えば結果論です。勝つ努力は最大限しなければなりませんが、あまりにも勝つことが前面に出ると、何か勘違いをしているのではないかと不安に感じる。 一方、民主党の政治がマニフェストからずれだしていることも事実です。経済が大きなダメージを受けている状況で、やりたくてもできないことは多々あることも事実です。それなら何故できないのかをはっきり説明して、「今は我慢して下さい、しかしいつまでにこうします」という説明や方針を打ち出すべきです。政権党の運営の難しさも分かります。もっと実態を説明することが大切。 『選挙で勝つ』ということは、会社で言えば『利益を出す』ということと同じです。利益が得られない会社は潰れ、社会に大きな痛手を与えます。利益は会社を存続し発展させるためのエネルギーであり原資です。しかし、会社は利益の追求のために存在するでしょうか? 会社は社会の繁栄をもたらし、世界の人々の生活の向上を目指す高い方針を掲げなければなりません。そしてそれを実現するために、日々努力し、その結果、活動が消費者や国民や世界の人々に認められて、ますます発展し、結果として利益が生まれるのです。 露骨に、利益追求が全てだと言う会社は、おかしくなり、品質の悪いものや、不法行為など反社会的な動きが生まれます。 小沢さんはそういう次元の低いことを考え、参院選挙で勝つことが全てだとは、言われていないことと信じています。しかし、マスコミを通じて聞こえるメッセージは誤解を生むような表現に聞こえます。民主党はすばらしい政党として、国民目線で、日本の閉塞状況を正しく是正し、立て直す立派な政党として活動し、その結果、衆議院においても、参議院においても安定多数を擁する政党として立派な役割を果たして頂きたい。 先の衆議院選挙のマニフェストで実現したこと、実現できないこと、近い将来、条件が揃えば取り組むことなどをしっかり仕分けして、何故そうなのかを説明すればいいと思います。政権党そして、それも生まれたばかりの政権党ですから、国民はそういう理解をもって眺めていますが、共感を得ることが大切です。民主もやっぱり自民と同じだったのかという風に思わせることが一番ダメージは大きいと思います。 大阪知事の橋下知事はのびのびと自分の主張を前面に出して進めています。すばらしいことだと多くの府民は協賛しています。国政においても是非そういう姿を見せていただきたい。 選挙で勝つことは結果であって目的ではない! |