2016年7月26日~29日
四国海岸線の周遊 3つの岬巡りドライブ
2011年5月31日~6月3日、『ぐるっと四国海岸線の旅』というツアーで、四国を周遊したことがある。あれから5年が経った。この時はバスツアーで行った。 今回は、孫と「夏休み旅行」する約束だったので、再び四国の海岸線をぐるっと周るドライブに出かけた。車は愛車のフィットハイブリッド。朝、スタンドでガソリンを満タンにして8時半に出発。近くの交野南インターから第二京阪高速道に乗り、門真JCTを経由し、吹田IC、宝塚IC、戸JCT、三木JCT、垂水JCTから明石大橋を渡り、淡路島を縦断し、鳴門大橋を通過して徳島に入った。そこから一般国道55号線で海岸線を南下し、室戸岬に着いた。天候は途中、夕立があったがその後晴れ。 1日目の旅館、室戸のホテル明星に午後5時頃に着いた。チェックインを済ませた後、室戸スカイラインに出かけ、室戸岬灯台と四国24番札所、最御崎寺(東寺)に立ち寄り、お参りした。初日は予定どおり。ホテルの近くに空海上人が修業したと言われる洞窟がある。 中岡慎太郎像も建っている。 2日目も海岸沿いに国道55号線を高知に向けて走る。山内一豊と妻、千代の「功名が辻」で有名な高知城に行った。このお城は珍しく最上階に回廊が設えていて、周囲をぐるっと歩いて見渡せる。こんなお城は初めて見た。素晴らしいパノラマの高知市街が眺望ができた。 桂浜の坂本竜馬像は孫の希望であったので、ゆっくり見学した。暑かったので、桂浜で『アイスクリン』を食べた。アイスクリームではなく、少々、シャーベット状のもの。昔懐かしいアイスクリンと書いていたが、昔食べたのはアイスキャンディだ。これは独特の冷菓だ。 土佐の高知と言えば、はりまや橋とカツオのたたきを思い浮かべるが、赤い「はりまや橋」は有名な割には車で走ると、すぐ行き過ごしてしまう。 高知市を後にして、国道56号線を走り土佐、須崎、四万十を通過し足摺岬に行った。ここで足摺国際ホテルに泊った。室戸のホテル明星も、足摺国際ホテルも魚料理は新鮮で、魚がこんなにうまいか?と思うほど新鮮で、生臭みがなくておいしかった。ただ残念なのは観光客が極端に少なく、『これでは旅館経営は大変だろうな!』と心配する。泊り客は、どう見ても10組ぐらいしかなく、夕食時に食堂(レストラン)のテーブルに準備された料理から見て、『泊り客が少ないなぁ!』と寂しいぐらいだった。 3日目は国道56号から321号を走り、西海岸を北上して、話題になっている伊方原子力発電所を見に行った。伊方原発は現在、稼働停止している。原発の近くには一般客は近づけないらしく、仕方なく原発の近くの山の上にある職員用駐車場に車を止め、少し山の中に入って、やっと原発の全貌が見えるところに辿り着き、写真を撮った。それが下の写真。 目の前にある原発は異様な凄さを感じる。随分以前、大学の友人の親父さんが、大分県にある九州電力刈谷火力発電所に勤務されていたので、火力発電所内を見学させてもらったことがある。石炭火力発電所だったので、煙突から煙と蒸気がもくもくと出ていた。また所内のボイラーの燃焼音や、蒸気タービンの回転するすごい騒音にびっくりした。小心者の小生には巨大なシステムで仕事をするのには向いていないと思った。怖くて心臓がバクバクする感じがする。 話が横道に逸れるが、現役時代にラスベガスで、ウィンターシーイーショウ(WCES)という大きな電化商品のショーがあり、その時、ラスベガスから約50km離れた場所で、車で1時間ほど砂漠の高速道路を走ると、コロラド川をせき止めた巨大なフーバーダムがある。1936年に完成した巨大なダム。ここを見るには、エレベータで2度乗り換え、ダムの下に約200mほど降りると、地下発電所に行ける。そこで巨大な水車と発電機が轟音を出して回っている姿を見た。ここの発電機は10台ほど並んでいた記憶がある。フーバーダムは、第一次世界大戦後の世界恐慌を克服するためにとられた「ニューディール政策」の一環として、帰還兵士たちを雇用し建設されたことで有名だ。ここで発電された電力が不夜城で有名なラスベガスの市街照明やロスに送られ、費やされているという話を聞いた。今は、ラスベガスの電力は近郊の火力発電所の電気が主流になっているらしい。 ![]() ![]() 左は当初のフーバーダム、 右は地下発電所に並んでいる水車と発電機群 ![]() フーバーダムは高さが221m、長さが379mもあり、貯水量は400億トンと言われる。 この量がいかに凄い量かは、日本にある全てのダムの貯水量合計が250億トンだそうで、琵琶湖の水量が280億トンと言われることから、アメリカという国のスケールの大きさがうかがえる。 ここでの発電量は207万KWで原発2基分程度。 ちなみにナイヤガラの滝の近くの発電所は合計で400万KWの発電量と聞いた。日本の有名な黒四ダムは総貯水量が2億トンで、発電量は33万5千KWになっている。高さは186m、堰堤の長さは492mあるがこれはアーチ状になっているので、フーバーダムとは構造が違う。フーバーダムは重力式ダムという構造で、堰堤の幅が非常に厚くなっている。 大学生の頃、宇治川上流にある天が瀬ダムの発電所を見学させてもらった。ここは揚水発電という上下にダムを設けて昼間は発電し、夜間の電気が余っている時に下のダムから上のダムに水をくみ上げて貯めるという言わば、大きな蓄電池のような働きをしている。 いずれの発電所も、巨大な電気エネルギーを生み出しているところなので、設置されている水車やタービンはすごく巨大なシステムだ。 話がとんでもないところに逸れたので元に戻そう。 伊方原発は再稼働させるかどうかで議論されてきたが、地元の町長がOKサインを出したようなので、近々再稼働に動き出すだろう。今は停止状態なので、蒸気の立ち上る光景もなく、見学するにはチャンスだった。 資料によると、伊方原発は1号機、2号機は共に56.6万KWで、3号機は89万KWだそうである。但し、1号機は設置後40年以上経ち、安全基準に対応するには多額の費用が掛かり経済性がないという理由で廃炉になるらしい。今回再稼働するのは3号機だ。 発電所から延びる超高圧送電線は、その巨大な電力を四国各地に送り出す。馬力に換算すると、約120万馬力という巨大なエネルギーである。鉄腕アトムは確か10万馬力だったので、鉄腕アトム11人分の力を出す。(笑い!)。 ここは、日本を縦断する中央構造断層線の延長線上にあるということで、再稼働の危険性が議論されてきたところ。愛媛県知事の中村時広氏は「絶対安全とは言えないが、」と前置きして「諸般の事情を熟慮して再稼働に同意する」という声明を出した。再稼働の方向に走り出している。周囲に大きな産業がないところで、寂れた場所であることは事実だ。漁村はあるが、原発で潤っているところのようだ。伊方町長の山下和彦氏も同じ思いだろう。 しかし、原発は絶対安全でないと稼働させてはならないことは自明である。天災による事故が発生すると、故郷を失ってしまう。その覚悟が住民にあるのだろうか? 佐田岬の最先端にある展望台まで、狭い道を走って行ってみた。灯台はここから、さらに1.8km先にあり、先端だけ見えているが歩いてゆかなければならない。行きは下り阪だから良いが、帰り道は登り坂になるので、この暑さの中で躊躇し、展望台から九州を眺めて帰った。 途中の山にはたくさんの風力発電の風車が建ち並び、直径が30mから50mもある巨大な風車が音を立てて回っていた。ここは年中、風が強く吹く時間が長く、風力発電には適しているそうだ。ならば、直下型断層地震や東南海大地震の被害を受けそうな原子力発電は廃炉にして、自然エネルギー村に方向を変え、日本の再生可能エネルギーの基地とすれば、観光客もたくさん来るだろう。そういう発想をすべきだと思うが、どうやら日本の政治家や電力会社は原発が大好きなようで、再稼働をしたくてたまらないようだ。 一時は、伊方原発は四国全体の電力量の4割を発電すると謳っていたが、現在は約2割になっている。これは再稼働した場合の数字。 福島原発は未だ終息していなくて、凍土壁で地下水を遮り、放射性汚染水の漏れを減らすという試みは失敗に終わった。汚染水タンクでもう置き場所はなくなるほどタンクが増え続けている。どうするつもりなのだろう? 伊方原子力発電所の全景 円筒(1号機)、ドーム状(2号機)の建屋が古い原子炉 新しい3号機は右隅の山陰になって見えない! (CANON EOS M、TAMRON ZOOM撮影) ![]() 海側からの伊方原発(伊方原発公式ホームページより) 左の奥のドーム屋根が第3号機、今回稼働 ![]() 原発で発電した150万KWの電気エネルギーを送る超高圧送電線 ![]() 原発近くの風力発電所群 この風車は、1基が2千KW程度なので、原発1基の電気を発電するためには、この風車が200基ほど必要になる。(常に風が吹いていると仮定した場合) ![]() 原発はウラン燃料を炉心に入れて、制御棒を抜くと、核反応が連続して起きる臨界状態になり、定格の核分裂の熱が発生する。その熱による水蒸気でタービンを回し、タービン軸に直結した発電機を回し発電開始する。 伊方原発は、1,2,3号機とも、加圧水型原子炉という方式で、炉心の熱で一次冷却水を循環させ、この高温(数百度)の湯で二次冷却水に熱を伝え、二次冷却水の水蒸気でタービンを回す方式。 福島原発は沸騰水型原子炉で、一次冷却水で直接タービンを回す。両社の方式には一長一短がある。 トラブルや事故がなければ、1年間は何もせず常時安定してフル稼働し発電ができる楽チンな発電システムだ。 火力発電所は、石炭や重油や天然ガスを調達して常に補充し続けなければならない。 燃料補充が不要な原発は、手離れという意味では理想的な発電システムである。しかし 『世の中、いいことがあれば必ず裏がある』ことを忘れてはならない。 さて、四国の旅は続き、伊方を後にして、松山自動車道を走り、道後温泉に向かった。 『花ゆずき』という老舗温泉ホテルに宿泊。ここは道後温泉本館に近いので、以前もここを利用したことがある。料金もリーゾナブルで、設備も良い。 しかし、道後温泉ですら、観光客がめっきり少なく、以前の半分ぐらい? に感じた。 老舗『花ゆずき』ですら、宿泊客は数えるほどしかない。これでは経営が大変だろう! さて、翌日最終日は、松山自動車道を途中まで走り、しまなみ海道を渡り、山陽自動車道を東進して無事に夕刻帰宅した。 |
今回の旅行で気づいたこと ①室戸岬灯台に行く途中、『ツクツクボウシ』セミが早々と鳴いていた。 ②高知では、稲刈りが始まり、さがりで稲穂を干していた。一部の田んぼでは2度目の田植えをしていた。 ここは2期作の土地柄だ。 ③室戸、足摺、道後の旅館、温泉は寂れている。温泉ブームは終わってしまったかのようだ。四国は外国人、特に中国人観光客は少ない、見なかった。日本人観光客が減ったのであれば、外国人観光客をいかに呼び集めるかを工夫しないと温泉街は持たないだろう。 ④安倍総理はアベノミクスは成功していると自信満々言っているが、・・・・。その証拠として、日本の僻地、例えば高知も例に挙げて、有効求人倍率は良くなったと言い放っている。これは明らかに間違いだ!公表している有効求人倍率とは何かである。積算根拠というやつをよく見ると分かる。 有効求人倍率=企業の求人数÷求職者数 だから、高知県のような土地柄では、若者が仕事を得るために県外に出る人が多いらしく分母の求職者数が減っている。 だから 有効求人倍率が改善したように見えているだけの話。決して、景気が良くなったということではない。事実や実態を注視しないと間違うぞ! 政府の発表する公的な指標、数字はその意味をしっかり見極めないと、数字が独り歩きして都合の良いように使われて騙される。 ⑤フィットハイブリッドの燃費は? (真夏でエアコンをガンガンかけっぱなしの値) 全走行距離は、4日間で1370kmだった。ガソリンは満タン法で56リッターだったので24.4km/リッターという数字だった。もっとも、四国の道は信号も少なく、渋滞もないので高燃費で走れる。帰りの山陽自動車道で渋滞が30分ほどあり、完全ストップしたが、その割には燃費に大きな悪い影響は出なかったようだ。 |