2021年11月8日(月)
マスクをすると、メガネがくもる経験がありませんか?

 衆議院議員総選挙が終わり、日本人は、保守安定政権を選択したようですが、長く続いてきた前安倍・菅政権の数々の疑惑は、晴らさないで、何か臭いものにフタをして、事なかれのままで新しい政権に移行したような気がする。日本人の寛容な心根の表れかもしれない。この寛容さが、これからグローバル世界で生きてゆくのにどう通用するのだろうかと思う。現政権が良いかどうかはこれからの評価になるが、前政権の不可思議な出来事を『しっかり』棚卸しをして頂きたい。特に、赤木さんという善良な官僚がお亡くなりになっている。
それには深いわけがあるはずだが、納得行く説明がなされないままになっている。

 岸田さんは、総裁選の際には、前政権の不審な点を調査すると言い切っていたが、総裁になり、総理になった途端に発言を引っ込めてしまった。誰かに忖度したのか、気を使ったのだろう。岸田さんの取り組みに期待していたが、これでは今後の政界の浄化が期待できない。いつまで続くのか、政治家とカネの問題が、・・・・。

 自分事で恐縮だが、昨日、78歳の誕生日を迎えた。運転免許の書き換えで、認知機能検査を無事に済ませていたので、11月1日に新しい免許証をもらいに交野警察に出向いた。
 高齢者が車の運転による事故を起こすニュースを毎日のように新聞やテレビで見るので、十分注意して運転を心がけたい。今乗っている車は、最新の運転支援システムが搭載された新型フィット。ハード面では現状で一番安全支援機能が強化された車になっている。
後は、ソフト面の問題で、自分の運転時に注意し、安全第一を心がけることだと思う。

 さて、11月に入ったというのに、温かい日が続いている。小春日和というのだろうが、・・。日中は20度を超して、快適な気温になっている。これも地球温暖化の性だろうか?

 ところで、マスクして歩くと、眼鏡(メガネ)が曇って煩わしい。冬の散歩で一番うっとうしく感じる。そういう経験がありませんか?

 以前に、曇り止め対策の記事を書いたが、[ マスクにすき間防止テープを張る]というものだった。これは煩わしい割に効果が今一であった。そこで『曇り止め液』や『曇り止め紙』などいろいろ買っては試したが、どれも効果が今一満足できなかった。

 最近買った不織布のマスクが、意外と曇らないのでどうなっているのかよく見れば、鼻に当たる部分に入っている金属が薄い板状になっている。これは鼻の形にぴったりフィットするので、上部に息が漏れ難く眼鏡が曇らない。そこで、今まで使っていたマスクを調べると、この部分に細い鉄線(針金)が入っている。針金ならすぐに形が崩れて、すき間ができる。だから息が漏れて、眼鏡が曇った。

 マスクを買う際は、この金属部が丸い針金でなく、平たいアルミ板になっているものを求めるようにすれば、冬の寒い時期の『メガネの曇り』が軽減できることが分かった。

 

 

 

 カッターナイフで、3mmほど切り込みをして、そこからアルミ線を挿入する。
 アルミ線材は、ダイソーなど100円ショップ(100均)で売っている。
 出来れば、アルミ線の両端はペンチで折り曲げて置けば安全です。
 

 手持ちのマスクがたくさんあり、針金のものが多いので、何とか使えないかと実験してみた。いろいろ試みたが、アルミ線で、直径が1mm程度のものをマスクの幅より少し短く切断して、マスクの上部にカッターナイフで切り込みを入れ、そこからアルミ線を挿入し、鼻の形に指で押さえて形を合わせれば、しっかり鼻とマスクが密着して、息が漏れないモノができた。このマスクを使用してから、眼鏡が曇ることがあまりなくなった。
もちろん完全ではないが、メガネの曇りがあまり気にならない程度になっている。

 少し太めの2mm径のエナメル線(銅線)やアルミ線を使ってみたが、固いのと、少々重い感じがするので、100円ショップで売っている1mm径アルミ線がベストだと思う。

 ぜひ、眼鏡をかけている人で、この冬の寒い中を歩く人はぜひトライしてみてください。
もちろん、手持ちのマスクが鼻によくヒットして、眼鏡が曇ったことがないという人には無用です。



2021年10月29日(金)
『あたりまえ』を破れるか?

 コロナ感染もワクチンの素晴らしい効果で収まり、平穏な日常が取り戻されつつある昨今です。緊急事態宣言が発令されていた頃は、何か不思議な緊迫感に包まれていました。やはり、人間は、当たり前の生活ができることに安堵するようです。
 私たちは、この平穏無事の暮らしが安心につながり、それが一番いいと思っています。
果たして、そうなのでしょうか?

 『平穏無事』とは、穏やかで何事もない状態です。言い換えると、変化がないと言えます。『平穏無事』に暮らせることは理想ですが、その状況が続けば、いつか逆境を生む種を蒔いているとも言えます。一見、変化がないようですが、周囲や世界は常に移ろいでいます。

いろんな面から考えれば、『あぁ!そうだなぁ!』と気づかされます。
2,3例を上げて考えてみますと、

(第一例)
 ホンダがジェット機を開発し、アメリカで生産し、既に世界中で販売しています。このホンダジェットは、7人乗りの小型機で、約5億円です。なぜ、これを例に挙げたかと言いますと、今までの小型機の常識を破ったことです。
 普通のジェット旅客機は、主翼の下に、ジェットエンジンをぶら下げています。

 

以前、ボーイング727という飛行機は、機体の最後尾にエンジンを着けていました。現在のジェット旅客機は、殆ど主翼の下にエンジンが取り付けられています。それが、ジェット機の常識となっています。エンジンの数は、2つか4つありましたが、今は殆どが2つ(双発)機になりました。ガルフストリームやセスナなどの小型機では、機体後方に2基のエンジンを取り付けるのが常識になっています。

 
 ガルフストリーム 

 なぜ、ジェット旅客機のように主翼の下にエンジンを取り付けないのかというと、小型機は背が低いので、翼の下にエンジンをつけると、地面との距離が取れないからです。
大型ジェット旅客機でさえ、エンジンと地面との距離は余りありません。
 そういう理由で、小型飛行機のエンジンは機体後部に着けていたのです。これが常識化していました。

 

 
 HONDA JET

 ホンダジェットの開発責任者の藤野氏は、「セスナと同じことをするならホンダがやる意味がない」と考え、その「解」を求め続けていました。
 ある時、主翼の上にエンジンを着ければ、新しい飛行機が作れることを思いつきました。
しかし、それは、航空工学からすればタブーなこととなっていました。誰もそういう発想すらできなかったのです。藤野さんは、空力理論を元に、主翼の上のどこに、どのようにエンジンを着ければ理論的に成り立つかを試行錯誤した結果、一つの点(場所)にその解があることを発見しました。それを実証実験して確認しました。
 
 スペック | HondaJet | Honda
 
 主翼の上にエンジンを着けることで、従来の小型機が抱えるいろんな課題が解決されることになりました。
 一つは、機体構造を大きく変えることで室内空間が広くなり、ゆったりしたキャビンが得られるようになりました。
 さらに室内の騒音が静かになりました。
 加えて、後方エンジン機に比べ、安定性や、飛行速度が上がりました。

機体は従来のアルミ合金製から、カーボンファイバーを成形処理し軽くて剛性の高いものを採用し、表面がイルカのような滑らかな形状にすることで、さらに飛行速度や燃費が大きく改善し、巡行高度は、13,000mで飛行できるようになりました。小型機では考えられなかった高度です。

 このように、従来の小型機の『エンジンは後方に付ける』という常識を破ったことで、ホンダジェットは、小型機のマーケットで、あっという間にシェアがNO.1になりました。
 
 最近、さらに一回り大きな機体、ホンダジェット2600を設計し、11人乗りに拡大した新型機を開発中というニュースを見ました。小型機の常識を破ったことで、大きな事業につながっている事例です。
 
 HONDA 2600

 
 HONDA2600 キャビン

 セスナ社やガルフストリーム社は、歯ぎしりを噛んでいると思います。

(第2例)
 10月31日は、衆議院議員の選挙(総選挙)の投票日です。
コロナ禍での選挙で、投票率はどうなるのかな?と思っていましたが、この分だと安心して投票に行ける状況になりました。
 
 今回の選挙で問われている争点は新聞やテレビやネットで騒がれていますが、これからの日本の在り方を決める重要な選挙です。今回は18歳以上の国民に投票権がありますので、高校生も18歳になれば一人の成人として投票ができます。しかし、彼らがどの程度、それを自覚し、投票に行き、一票を投じるか?というと疑問があります。

 自分自身を振り返ると、20歳の時は学生で下宿生活していましたので、住民票も田舎のままでしたので、投票権も行使できず仕舞いでした。選挙に行き始めたのは、結婚してからだったと思います。
 
 今の若者は、スマホやインターネットからいろんな情報を入手できますが、政治に参加するという意識は低いようです。自分が大学生の頃は安保闘争で、キャンバスは看板が林立し、大学は全学連に乗っ取られたような雰囲気で、学内の至る所でマイク片手に叫んでいる学生がたくさんいました。教室の入口は机でバリケードを築き、中に入れなかったことを覚えています。毎週、京都市内でデモが行われ、たくさんのけが人も出ました。当時の若者は、熱気に溢れていたように思います。そういう光景を思い出すにつけ、現代の若者は真面目で、おとなしく、スマートに育っていると思います。あの頃の若者の溢れるエネルギーを今、肌で感じることが少なくなっています。

 過去30年間、日本経済は鳴かず跳ばずで足踏みし続けて来ました。給料は一向に上がらず、貧富の差が大きく拡大しました。その理由はいろいろあるでしょうが、昭和40年代には、日本の各地に工場が建ち、沢山の若者が働き、それなりの給料を稼いでいました。一億総中流社会になり、給料は上昇して将来に希望を抱いていました。それが、今、工場の海外移転で労働の質や内容が変わり、収入の二極分化が顕著になりました。労働の付加価値が低迷する中で、労働分配率も低くなり、国内消費が伸び悩み、その結果、先進国中で、経済成長率は最下位に位置しています。お隣の韓国にまで追い抜かれ、大きく差がついています。(一人当たりのGDPや生産性で見ると)

 『アベノミクス、3本の矢』を売り込んだ安倍政権が7年間続いて、圧倒して大多数の国会の議席数を確保したことにより、いろんな不祥事?が見られました。
 政治家は清廉潔白を旨としなければならないはずですが、安倍政権当時のいろんな目に余る出来事は看過できません。4氏が立った自民党総裁選挙で、岸田さんが打ち出した政権構想では、頼もしい内容も見られ期待したのですが、総理に選出された途端に手のひらを返したように口ごもり始めました。それは、安倍、麻生、甘利さんのバックの力に岸田さんが屈したかのような印象を受けました。これでは岸田政権では何も変われない、何も変わらないという印象を強く持ちます。

 このままで日本の政治はいいのか? 
 これを正すのは、選挙で示す以外に手はありません。自の疑問を晴らし、自の思いをぶつけるために、ぜひ選挙に行き意思表示をしてほしいです。特に18歳から20歳までの人は、従来になかった選挙権を得たわけですから、国民の一人として権利を活かしてほしいと思います。

 岸田政権が新しい構想をしっかり持ち、今後の新しい取り組みを訴えて頂ければ安心して政治を託することができます。しかし、その前に、安倍・菅政権がやってきた不祥事などを闇に葬り去ることなく、しっかり解明することが何より大切だと思います。そうでないと、新政権構想を提示されても、信頼することはできません。
 
 建物の壁を塗るのと同じことです。まず下地壁(荒壁)がしっかりと塗られていることが大切です。その上に上塗り壁を塗れば、非常にきれいな壁ができます。下地が良くない上に、いくらきれいに塗ろうとしても、出来上がりの壁は亀裂やヒビが入ってしまいます。

 過去の不祥事について、しっかり棚卸しをすることが求められます。
森友・加計学園問題、赤木ファイルの公開、公文書改ざん、桜を見る会、河合杏里1億5千万円、その他さまざまな世間で騒がれている未解明な出来事につき、明解に説明し、その説明が国民の誰もが納得行くものであれば全く潔いものだと思います。それを隠して説明しないところに国民は疑惑を抱くのです。こういう公明・正大な行動や態度が取れない政党や総理では信用ができません。
 政治家は、間違いがあれば素直に認め、間違えば責任を取る高い『正義』と『倫理』が求められます。そうでなければ、政治の透明性がなくなり政治への信用が失墜します。

 国民は、政治に対し、しっかり意思表明すべきです。これが民主主義の責任と義務です。
 
 さて、31日の投開票でどういう国民の審判が下されるか楽しみです。
 



2021年10月19日(火)
まっとうな政治家が、また一人去ってゆく!

 本日、第49回衆議院議員選挙(総選挙)の公示日を迎えた。 この選挙は、安倍・菅政権から引き継いだ岸田内閣の信任の可否が示される選挙になる。
 
 コロナ禍で、世界が痛んだ状況から次第に落ち着きを見せているが、油断はできない。しかし、正直言って、コロナワクチンの効き目は絶大なものがあると驚いている。インフルエンザワクチンの有効率は40%程度らしいが、コロナワクチンは90%以上に達するそうだ。

 日本国内の感染者が急速に減少してきた状況下で総選挙になるので、政府与党は「感染を抑えることに成功した!」と大いに胸を張りたいところだが、安易にそう言えない背景がある。今後、冬場にかけて再流行の可能性もあるだけに、成果を高らかに誇示できないでいる。
 
 さて、10月19日付、朝日新聞(朝刊)に、今回の総選挙では後輩に議席を譲って立候補しない伊吹文明氏のコラムが掲載されている。
 『国会軽視は国民を軽視することと同じだ』というタイトル。伊吹氏は自民党だが、考え方にはすごく共感し、理解できる。 こういうまっとうな考え方や見識を持った国会議員が前面に出て、トップに立って国をリードしてほしかった。

 質問】保守政治家として、『保守』をどう考えますか? 
 保守というのは、基本的には非常に謙虚な政治思想だと思う。人は間違うものだから、人が一人で決めたり、政党が排他的に決めたり、独裁者が一人で決めたりすることは極めて危険だ。他の意見に対して寛容であって、いろいろな意見を認めるというのは、保守の必要条件だ。

 保守とは古いものを守るとか、日本の国家を賛美するとか、日本の歴史は間違っていないとかいうだけの思想ではない。日本の民族が長年にわたって醸成し、新しいものを加えて古いものを少しずつ切り捨てて、残った矜持みたいなものの伝達装置の最小単位が家族で、次に地域社会、そして国家だ。こういった伝達装置を大切に、個人も間違うが、多数で決める民主制も、市場経済も間違う時に、伝統規範で誤りを是正しようとする十分条件こそが保守の肝だと思う。

 国会は主権を預かっている唯一の国家機関。国会が指名するから内閣ができる。だから内閣は国会に対していろいろな説明をして、承認を得なければならない。それが間接民主主義と議院内閣制だ。

 中選挙区時代は「派閥合衆国」で官邸より党の方が強かった。:党高政低
今は、官邸主導が行き過ぎている。政高党低
 今は、官邸主導が強すぎる方に振れている。

 どんな制度にも長所・短所がある。短所をできるだけ抑えて、長所を伸ばしてゆくのはその人の矜持とか自己抑制みたいなものだ。

 与野党を問わず、こういう見識をもち、真摯に政治に当たれば、素晴らしい政治が実現できる。最近の自民党リーダがこういう見識を持ち合わせていれば、森・加計学園問題や、桜を見る会の会計のごまかしや、河合アンリの選挙資金問題、公文書改ざん、金銭授受などの未解明な不祥事を起こさなかったはずだ。政治の私物化や、権力を傘にしたいろんな忌まわしい出来事は、おごりの中から生まれた不祥事だと思う。清廉潔白で、矜持を持って事に当たれば、こういう不祥事は起こらない。政治家の正義とは何かをしっかり持つなら、手を染めた不祥事に対してきっぱりと責任を取ることで、一件を落着させるべきだ。
 安倍・菅政権では、そういう面で国民の信用を無くしてしまった。
 自分に都合が悪いことは、知らぬ存ぜぬ、一点の曇りもない、等質問に否定してきたが、聞く方が納得しない、納得できない答えは答えになっていないことを知るべきだ。

 そういう意味で、伊吹文明氏のコラムは、一段高い視点で諫めているような気がする。

 さて、選挙の結果は31日、投開票で出る。
日本国民はどういう判断を下すか? 新しい日本のスタートが切れるか?
先進主要国会議G7中、経済GDP伸び率が最低、失われた30年を取り戻す選挙だ。
全員が投票に行き、まず自分の意思表示をすることから始めよう!!。



2021年10月14日(木)
真に安全な夢のエネルギー革命が始まるかも?
ちょっと、硬い話になりますが、面白いですよ!

 ■化石燃料の大量消費で地球温暖化が待ったなしの状況にある。
 世界各地で地球温暖化による豪雨や、熱波や、寒波や、巨大台風や、干ばつによる砂漠化等、異常気象により大災害が連続発生しています。

 今年のノーベル物理学賞を受賞した真鍋叔郎さんは、20年以上前に、『炭酸ガス(CO2)排出量が地球温暖化の原因になる』という学説を、スーパーコンピュータでシュミレーションして解析されました。
 
 最近起きている世界の異常気象を見るにつけ、17世紀末から18世紀に産業革命の原動力になったイギリスで発明された蒸気機関の燃料として使われた石炭が、それまで日常生活の燃料として燃やしてきた石炭の量に比べると、とてつもない消費量になり、機械化による工場が急速に発展するに連れ、石炭や石油や天然ガスの化石燃料が大量に使用されてきました。

 この化石燃料は地球が生まれて以来、生存していた動植物の死がいが何千万年もかかって変性してできたものです。この天然資源を人類は、直近の数百年であっという間に使い尽くそうとしています。その結果、地中に埋もれていた炭素(正しくは、炭化水素)分子が燃やされることで、空気中に炭酸ガスとして漂い、その濃度が高まるに連れ、地球をベールのように覆い、本来なら地表から宇宙空間に放出される熱が地表に籠ることで、地球全体が暖かくなってきたのです。これが地球温暖化の経緯です。

■電力供給の種類と特徴
 石油は自動車の内燃機関(エンジン)の燃料として、世界中で大量に消費され、また、火力発電所では石炭や石油や天然ガスが膨大な量を燃やし発電していますが、大量の炭酸ガス(二酸化炭素)が発生します。

 電気エネルギーは、水力や、化石燃料に頼る火力が一番大きかったのですが、近年(約50年前)、原子力発電が盛んになり、ベースロード電源として使われてきました。
 原発は一度稼働させると、異常が起きない限り発電し続けられるという利点があります。だから、電力供給上のベースロードとして位置づけされるのです。
原発は安全点検のため、年に一度定期検査が行われ、その際は発電を停止します。

 その他、最近は再生可能エネルギーと呼ばれる風力発電や、水力発電や、太陽光発電や地熱発電が増えてきました。この再生可能エネルギーは発電量が次々刻々変化する弱点があります。

■電力需要について
 電力の需要は工業の発展に伴いうなぎ登りに増え続け留まることを知りませんが、最近、『省エネ』という取り組みもされてきました。中でも、照明器具で消費する電力は、LEDの発明により大幅に削減が進みました。
 電力需要で消費量が一番大きなものはモータです。このモータも省エネタイプの高効率モータが開発され、これに置換えることで、全体の電力使用量が相当抑制できています。
 しかし、ITや情報通信の世界が急速に伸びることで、従来になかったデジタル、IT分野での電力需要が増える傾向にあります。

■世界の気候変動に対する取り組み
 地球はこれ以上、温暖化が進むと取り返しがつかない状況になりますので、COP26など世界の取り組みが行われています。
 『炭酸ガス排出量を2050年までに半減する』という大目標を掲げていますが、これを実現することは至難の業と言わなければなりません。しかし、実現できなければ、地球は砂漠化が進み、灼熱状態になると言われます。あらゆる生物は生存できない死の天体に変わる運命に突入するということです。
 人類は今まで知恵を出して、いろんな苦難を乗り越えてきました。この地球温暖化に対しても、世界共通課題として結束して取り組めば、今後も地球環境が維持されると思います。

■原発は安全でクリーンなエネルギーか?
 『炭酸ガス排出ゼロ』と言えば、すぐに原子力発電という言葉が政治家から発せられます。特に電力業界と深い関係のある与党は、積極的な原発推進派です。
 しかし、原子力発電は絶対安全でなければなりません
 東日本大震災の津波で、原子炉の冷却に失敗し、ウランが超高温になり燃料棒が溶ける炉心溶融(メルトダウン)という最悪の事故を起こしました。しかし、幸いなことに、格納容器内で留まるという間一髪のところで、最悪のシナリオに至りませんでした。
 その事態を振り返ると、3つの幸いが、最悪の事態から避けることができました。

 ①鋼鉄製炉心が大爆発を逃れたこと、
 ②高温になったウラン燃料が30cmの分厚い鋼鉄製の炉心の底を溶かし、底から流れ   落ちて、厚さ3mもあるコンクリート製格納容器を溶かし、残り数十cmぐらいのところで
  留まったこと。
 ③多数の燃料棒が保管されていた燃料貯蔵水槽の水が維持され、燃料棒が水に浸かっ   た状態が維持されたこと、


 この2つが、膨大な放射性物質の拡散を食い止めました。
 不幸中の幸いにより、最悪は脱しましたが、今なお、避難先から帰還できない近隣住民がたくさんおられます。最悪の状態になれば、関東から東北全体に人が住めない事態に陥るはずでした。まさに日本沈没の一歩手前で、踏み止まったという状況でした。

■原発が危険なわけは!
 原子力は、ウラン原子が原子核分裂すると、新しく生まれる原子の質量が元のウランの質量より僅かに減ること(質量欠損という)により、膨大なエネルギーが生じるというアインシュタインの相対性理論に基づいたものです。
 生ずるエネルギーは、質量欠損(m)と、光速(c)の2乗になる。 e=mc2
 光速(c)は、30万km/秒(地球の赤道の周りを7回半、回る速さ)
その2乗ですから、とてつもない大きさです。
 その巨大な熱が原子炉(炉心)の中で発生し、その発熱を水蒸気として取り出し、蒸気タービンを回し、発電機を回すという仕掛けです。
水蒸気でタービンを回し発電機を回すことは、火力発電と同様なしくみです。

 確かに、原子核分裂は、炭酸ガスを出しません。だから原発はクリーンなエネルギーだと、電力業界や政府や自民党は言います。
 
 しかし、世界地図を広げてみれば、一目瞭然ですが、日本は世界中でも屈指の火山国であり、地震大国であります。富士山の大噴火も確率的には近々起きると言われています。東南海巨大地震も、この数年から数十年の内に高い確率で発生すると言われています。

 原発は何が起きても絶対安全でなければ、やっちゃいけないのです。
 
 いくら世界一厳しい安全基準に基づき厳しい検査をし、合格した原発でも、絶対安全とは言えません。これが誰も否定できない答えです。
 『厳しい安全基準に合格した原発から順次、運転を再開する』という政府、自民党の方針ですが、福島原発の悲惨さを再度思い出し、あの程度の被害で済んだのは、本当に不幸中の幸いであったことを肝に銘じれば、再稼働は考えられないはずです。

 原発なしで、電力需要を賄うことを前提に、どうすれば乗り切れるかを議論すべきです。
停止している原発がたくさん存在しているので、もったいないから、巨額の費用をかけても基準をクリアし、再稼働させたいという電力業界の思いを政治に反映してはなりません。

なぜかというと、原発は
 絶対安全でなければ稼働させてはならない。
 ②いくら厳しい安全基準で検査し合格した原発でも、絶対安全とは言えない

  
 その理由は、世界一厳しい基準を造っても、基準を上回る天災が起きれば、もろくも破壊される。自然の力は人間の力では防げない、計り知れないのです。

 ジェット旅客機は、2重、3重に安全保証するシステムが施されているが、それでも年間、数件の墜落事故が発生し続けている。飛行機が墜落し死亡する確率は自動車事故より少ないと言われる。だから、自分は大丈夫だろうという気持ちで飛行機に乗る。乗る、乗らないは個人の自由だ。不幸にも事故機に乗り合わせたとして、それだけの事故で終わる。

 しかし、原発はそうはゆかない。
一度、事故が起きると、広大な土地に人が住めなくなる。それも何十年、何百年という、とてつもない長期間に及ぶ。福島の事故ですら、既に10年経過したが、まだ安心して住める状態ではない。

 これは、核分裂反応は自己増殖的な反応であるからです。反応が臨界状態に達すれば、反応を一定に持続させるよう制御することで平衡状態を維持できている。もし、この制御が何かの要因で機能しなければ、核分裂が暴走して、巨大な熱が瞬時に発生し、システム全体を破壊してしまう。 福島原発では、炉心の冷却用電源が津波で機能不全になり、電源を喪失したことで、炉心を冷却できなくなり、高温になった燃料棒がドロドロに溶けて、30cmの分厚い鋼鉄の炉心を溶かし、底に、滴り落ち、2m以上の遮蔽コンクリートを溶かし、残り厚み数十cmという僅かなところで止まったという、きわどい幸運が大危機を救った。
 これは不幸中の幸いで、現場の技術者は、何も手出しができず、ただただ事故の推移を見守るだけの状況であった。これは、運を天に任す心境で、その場にいた関係者は死を覚悟したという。そういう緊急現場にいた人が、どうしてこの原発の危なさをもっと伝えないのだろうか? 喉元過ぎれば熱さを忘れるでしょうか?

 沢山の原発関連本を読んで、以上のような見識を持っている。

■日本は再生可能エネルギーの発掘、開発に全力を投入すべきだ!
 子供の頃から、『日本は天然資源に恵まれていない国だ』と悲観的な教育を受けてきた。しかし、再生可能エネルギーである太陽光、風力、水力、波力、地熱等を活用した小規模から中規模の発電所を多数建設すれば、結構、再エネ資源大国だという専門家がたくさんいる。従来は大規模集中型発電所建設に全力を挙げてきた。しかも、電気事業法は全国10電力会社に地域分割で独占事業を認めてきた。これからは、地産地消で、地域分散型中小規模発電所を数多く造り、電力を賄う方向に転換すべきだ。
そこで大切なことは、
 電力需要地のバラツキを平準化する送電線網の再整備、新規建設が必要になる。
 これは国家事業としてやればいい。
 これにより、再エネの不安定な発電に対し全国的につないで平準化することができる。
 電力会社は持てる停止中の原発を早く再稼働させることに汲々としている。

■未来のクリーンエネルギーが視野に入ってきた!
 原子力発電はウラン核分裂反応の熱を利用するが、これは制御しなければ暴走する。要はもともと危険な要因を含んでいる。核分裂は、巨大な原子であるウランを使う。
ウランは核分裂が起きやすい原子。
 
 それに対し、核融合、一番小さな水素原子を使う。
原理は逆で、水素原子を核融合させることで生じる質量欠損による発熱を利用するもの。
この核融合は核融合させるため外部からエネルギーを投入しなければ反応が生じない。
もし、異常が起きれば、外部から加えるエネルギーを留めれば、反応は直ちに停止する。原理的に絶対安全なシステムである

 今まで、日米欧など国際的な枠組みで、熱核融合実験炉「ITER(イーター)の国際的な実験を進めている。
 
 この核融合反応は、
 ①原子核と原子核は一定の近距離まで近づくと、核力によって引き合い融合する
 ②同じ電荷の原子核がこの距離に近づくと、反発するクーロン斥力が働く

   原子核内の陽子はプラスの電位を持ち、プラス同士ではクーロン力が働き反発する。
  その反発力は、 陽子の電荷をQ1,Q2  陽子間の距離をrとすれば、
       F=k×Q1・Q2/r2  
        但し、 k=1/4πε
  クーロン力は、陽子間の距離rが小さくなれば(接近すれば)非常に大きくなる。

 このクーロン力(反発力)に打ち勝つため、熱核融合炉は1億度という高温が必要になる。
 ITERは1億度という高温プラズマ状態を磁気で閉じ込めるため巨大設備が必要になり、未だ、実用化の目処はついていない。

 核融合反応による発熱エネルギー密度は、理論的にはガソリンの燃焼(化学反応)の1000倍以上で、実用化できれば人類は桁違いの安全なエネルギーを手にできる。

 最近、日本のベンチャ企業のクリーンプラネットが取り組む量子水素エネルギーでは、1000度以下の低温度で核融合を誘発させることに成功した。
これは工場などに設置できる分散型エネルギー源になり得る。
 
 この「量子水素エネルギー」では、微小な金属粒子に水素を吸蔵させ一定の条件下で
刺激を加えることで、核融合を誘発させる。こうした現象は、「凝縮系核反応」や「金属水素間新規熱反応」や「低エネルギー核反応」などと呼ばれ最近各国で研究が活発化している。

 凝縮系核反応は、かつて「常温核融合(Cold Fusion)」と呼ばれた。
1989年に米ユタ大学の研究者がこの現象を発表し、世界的に脚光を浴びた。この報告を受け、各国が一斉に追試を行ったが、日本も含め主要研究機関が否定的な見解を発表した。
 このユタ大の報告は、パラジウム電極を重水に浸して電気を流したところ、化学反応では
説明できない過剰熱が観測
されたという。だが、多くの研究者による追試では、現象自体の再現性に乏しく、「似非(えせ)科学」とさえ見られるようになった。

 しかし、一部の研究者が地道に研究を続け、電極方式のほか、パラジウム・ナノ粒子への重水素吸蔵に伴う発熱、重水素ガスのパラジウム薄膜透過に伴う核変換などの現象が報告され、徐々にこれらの現象の再現性が高まってきた

 2010年頃から、米国やイタリア、イスラエルなどに、エネルギー利用を目的としたベンチャー企業が次々と生まれ、米国ではグーグルなどIT大手企業も参入している。

 クリーンプラネットの研究成果で注目すべきは、相対的にコストの安いニッケルと銅、軽水素を主体とした反応系での発熱で100%の再現性を確保している点だ。
 具体的には、14nm(ナノメートル)のニッケルと、2nmの銅を多段に積層したチップ(発熱素子)を真空状態に置き、軽水素を封入して加熱すると、投入エネルギーを超える熱が長期間にわたって放出される。この発熱量は化学反応では説明できない。

 チップ金属の結晶構造には、所々に格子欠陥があり、複数の水素原子が欠損部にはまり込むことで接近し、凝縮により原子核の融合に至り、その際、質量欠損分が熱として放出されると見られる。

■再エネ水素に「レバレッジ」効果
 実験室の装置では、チップに一度水素を封入して加熱すると120日程度、投入したエネルギーを超える熱を出し続ける。その際のCOP(成績係数:投入・消費エネルギーの何倍の熱エネルギーを得られるかを示す)は12を超える。 ヒートポンプ給湯機のCOPは3前後なので、桁違いの熱を発生させることができる。

 凝縮系核反応による核融合では、熱核融合炉では放出される中性子線やベータ線といった放射線が出ないことも大きな特徴だ。
 クリーンプラネットの核融合装置でも放射線はまったく観測されていない。
 
 発熱素子は複数枚、重ねることで1000度近い高温を生み出すことも可能という。
将来的には、製造工程で電化の難しい様々な高温プロセスへの適用も期待できる。
1200度を超えるとニッケルが融け、素子の層構造が崩れるため、そこで反応は止まる。
見方を変えると、かりに熱交換の不具合などで素子の温度が急上昇しても1200度に達した時点で停止するため熱暴走は起きない

 また、民生用の暖房用途などには、断熱構造の工夫で、追加的に熱を加えずに熱自立できるタイプが向いている。例えば、チップをシート状にし、コンデンサのように巻き紙構造にすることで発熱温度が容易に上がり、熱自立させて長期間、一定の発熱を維持できる可能性がある。

 発電システムへの展開では、蒸気タービン発電機との組み合わせをイメージしている。
熱電素子によるコンパクトな構造も可能だが、発電効率を重視すれば、熱を蒸気に転換して発電機を回すランキンサイクルが有利とみている。

 燃料である水素を再生可能エネルギーで製造すれば、CO2を排出しないカーボンフリーのシステムになる。現在、再エネ由来の水素を電気に変える場合は燃料電池システムを使うが、その場合、発電効率は50%前後と、ロスが大きい。「量子水素エネルギー」であれば、ランキンサイクルによるロスを含めても発熱量が大きい分だけ同じ量の水素から生み出せる電気は、燃料電池の数倍以上に達する可能性があり、その分だけ、再エネにレバレッジ(てこ)効果が働き、結果的に再エネの開発容量を減らせる。

  (参考文献)日経BP
 この核融合が成功すれば、画期的なエネルギーチェンが実現する。夢の話だ。
原子力発電は、核分裂反応を原子炉内で起こさせて、適正に制御しながら動かす。もし制御に失敗すれば、核分裂が暴走し、巨大なエネルギーが一気に発生し、炉心溶融、炉心爆発が起き、広大な広い地域に放射線被害が起きる。福島原発の比ではない被害が起きる可能性がある。
 分かりやすい例で説明するなら、飛行機はエンジンストップすれば必ず墜落する。自動車はエンジンストップすれば止まる。この違いが、核分裂反応を使う原発か、核融合反応を使う発電かの違いと言える。