2025年10月3日(金)
いよいよ、『ホロドモール』が始まるか?

 『ホロドモール』 聞き慣れない言葉だ! これはウクライナ語で、『飢饉による絶滅』という意味らしい。
ホロド』とは、飢え・飢饉、 『モール』は殺害、絶滅、抹殺、疫病などの意味。ウクライナから見たロシアの状況を皮肉ている言葉。

 9月に入り、ウクライナの反撃が始まり、ロシア占領地や、最近、ロシア国内の石油精製所、発電所、変電所、貨車、軍指令所など戦力を維持するためのインフラに、ドローンやミサイル攻撃が頻繫に行われている。そして1か月が経ち、その成果が見え出してきた。
 
 ロシアメディア RBKによると、この攻撃でロシアの石油精製能力の38%が停止中で、ガソリン生産量は100万トン減少し、不足分は20%以上に達している。破損した設備の修復には数か月から数年かかると言われている。
 
 燃料不足により、自動車の利用が制限され、また物流に支障を来たしている。ロシア各地でガソリンスタンドには長い車列が生じている。しかも一度に給油できるガソリンは20Lまでの制限があり、これでは直ぐに無くなる。このガソリン不足が続くと、価格が上昇し、さらに入手困難になり、闇(やみ)での売買が横行し、パニックが生じかねない。

 石油精製所の破壊はガソリンだけでなく、ジーゼルエンジンの燃料である軽油や重油も枯渇する。戦車や装甲車両や、鉄道機関車はジーゼルエンジンを搭載しているので、燃料が不足になれば、軍部隊の行動や貨物、旅客輸送に大きな支障を来たす。
 
 最近、ウクライナはロシアの火力発電所変電所を集中的に攻撃するようになった。これにより電力供給が途絶えれば、照明が消え真っ暗な状態で不安の夜を過ごすことになる。さらに家電器具が使えなくなり、高層住宅ではエレベータが止まる。道路の信号機が働かず交通安全に支障を来たす。

 ロシア軍の指令所、指揮所では、照明や通信機器がストップし、防空レーダーやミサイル発射システムや通信ネットワークが動作不能になり防衛網に穴が空く。ウクライナにとっては、ドローンやミサイルや戦闘機での攻撃がやりやすくなる。そういう戦場の変化が生じている。

 これは、ウクライナのドローン技術や、ミサイル開発が順調に進み、その活用法や運用技術が最近大きく進歩したことによる。また、この戦場の変化を見て、欧州や米国からミサイル等の支援が強化されてきた。

 トランプ大統領は、今まで親ロシア的立場で、ウクライナにとって頭が痛い存在であったが、最近、プーチン大統領が停戦合意の意思がないことにやっと気づき、ウクライナ支援に立場を変えた。これにより、長距離巡行ミサイルの供与が言及されている。果たして、実行されるかどうか注視したい。これが実行されれば、ウクライナ戦争はさらにウクライナに有利になり、クリミアを含むロシアに侵攻されている4州の領土奪還も可能になる。そういう微妙な戦争の転換点に差し掛かってきた

 そして、今、まさに冬を迎える季節の変わり目にある。ロシアの冬は想像を絶する寒さのため、あらゆる活動が停滞する。暖房設備や、まともな防寒具がなければ凍死に至る。

 冬将軍』とは、戦争で一番強い立場のことで、冬場に舞い降りる将軍を意味している。
今、ロシアはこの『冬将軍』に対する対応(備え)ができるかどうかである。広大なロシア国民が冬を乗り切る暖房用石油の備蓄や、集中暖房設備の稼働ができるか、電力が正常に供給できるか? 不審な点がある。モスクワサンクトペテルブルクなどの大都会は、集中暖房システムが整備され、火力発電所のお湯を各戸に配給して暖房している。しかし、火力発電所の破壊が進めば電力はもとより、給湯システムが機能しなくなる。ローカル、辺鄙な田舎では各戸別に暖房する。石炭は潤沢にあるから、石炭ストーブが使えるだろう。しかし、電力系統の破壊が進めば、照明、暖房、家事に大きな支障が生じる。

 いよいよ、秋の泥濘期が始まり、道や土地がぬかるみ、重い戦車や装甲車両は移動が困難になる。塹壕には水が溜まり足もとは軟弱で塹壕内の移動が難しくなる。加えて気温はドンドン下がる。
 泥濘期が過ぎると冬が来て、ロシアやウクライナは凍てつく厳しい厳寒期に入る。外気温はマイナス10℃以下になり、マイナス20℃以下にもなる。
 そういう冬の厳寒を味方につけてロシアは、過去の戦争で勝利を勝ち取ってきた

 ・大北方戦争(1700~1721年);スウェーデンとロシア(北方同盟)との戦争
 ・露仏戦役(1812年);フランスとの戦争
 ・ナポレオン戦争(1803~1815年);ナポレオンのロシア侵攻
 ・第二次世界大戦、ナチスドイツ、ヒットラーのロシア侵攻

 過去の主な戦争で、ロシアは冬将軍と焦土作戦により勝利した焦土作戦とは攻め込まれた地域にモノをなくして逃走する戦術で、攻め込んだ方は兵糧が尽きて、寒さで動けなくなり凍死で戦力が衰える
ロシアは冬将軍を実方にした作戦により過去の戦争に勝ってきた歴史がある。

 さて、今回のウクライナ侵攻はロシアが過去の戦争とは逆の立場で戦っている過去は攻め込まれ防衛する立場だったが、今回は攻め込んだ攻撃側の立場だ。一般に攻撃側が優勢に闘うには、防衛側の3倍の兵力が必要と言われる。
 開戦初期は、ロシア軍は兵士の数や戦車等の台数では、ウクライナを圧倒していた。それが開戦以来、3年経ち、戦力を失いつつあるように見える。

 プーチン大統領は、開戦時「ウクライナ侵攻は戦争ではなく、特別軍事作戦で3日間で決着する」と言っていた。それが意に反して、丸3年半(10/3現在)もかかって、今なお目標達成できない
 これは、ウクライナが兵力で劣りながら欧米の兵器を駆使し、自前のドローンやミサイルを活用しながら、強く高い戦闘意識を持ち闘っているからだ。プーチン大統領の大きな思惑違いであった。

 ロシアは、戦闘機や戦車や装甲車や重火器や砲弾、ミサイルなど枯渇し始めているように見える。また、戦場の兵站が十分行き届いていない状況になってきた。兵士は自前で必要な身の回りの物を揃えたりしているらしい。冬の防寒具や暖をとる設備環境や、十分な食料、飲料水、医療品等の用意がない状態で、兵士の士気や戦闘意欲は上がらない。
 そうなればこの冬は、『冬将軍』が自軍に味方してくれるかどうか、危うい状況にある。

 ウクライナ特別軍事作戦は、そういう戦況を客観的、総合的に見れば、ロシアが苦戦し始めたように見える。しかし、ロシアが負けたとしても、プーチン大統領は戦争終結宣言は出せないだろう
 何故なら、その時、プーチン政権は崩壊している。

この戦争は、来年2月24日に丸4年になる。どうやら、この戦争の終結がこの頃までに起きる?のではないかと思われる。一日も早く平和が訪れるよう祈るばかりだ。
 





2025年9月16日
ノヴォ・ウフィル製油所の爆撃

 今朝のYouTubeによると、ウクライナロシア バシコルトスタン共和国にあるノヴォ・ウフィル製油所をドローンで爆撃した。この製油所は700万トン/年 製油能力を有し、ウクライナから1500km離れた場所にある。この爆撃により、ロシアは年間製油能力の50%を喪失したと言われる。
 ガソリン、軽油が半分になれば、戦場の武器の移動や兵站が稼働できなくなり、国民の自動車の移動が大きく制限され、大きく生活環境が阻害される。さらに10%ほど削減する計画があり60%削減を狙っている。ロシアは石油精製所の防衛システムが、ドローン攻撃に対しうまく機能していないようだ。
 
 さらに新しい情報では、サンクトぺテルブルグ製油所化学工場鉄道などが次々と破壊されている。いよいよ、大きな戦況の転換点に差し掛かって来た。

 がんばれ!ウクライナ!





2025年9月5日(金)
ウクライナは、『時』を待つべし

 ウクライナ戦争は、概ね一進一退の状況にある。季節は秋に入り、ウクライナの外気温は日本に比べて約10℃低い。3か月後.には厳しい冬が到来する。それまで現状維持して頑張ってほしい。

 戦争は『3対1理論』がある。これは、攻撃側が戦果を挙げるためには守備勢力に対して3倍の戦力が必要ということ。攻めているロシアは、守りのウクライナに対し3倍の兵力がないと、うまく戦略が進まず、勝てないということ。
 ウクライナには10万人の兵士がいる。そして戦線は1000kmという範囲に広がっている。10万人の兵士の内、戦線に張り付ける兵士の数は数万人だろう。例えば3万人とすると、戦線30mに一人の兵士が張り付いて守っていることになる。攻めるロシア側は少なくともウクライナ軍より多数の兵士を擁している。正しく何人かは分からない。「3対1の理論」に従えば、30万人の兵士が必要になる。

 この4年間の戦争で、ロシアは約100万人の兵士を失ったと言われている。若くて活発に動ける兵士は、すでに戦死又は負傷者になってる。ロシアはこの戦争を『特別軍事作戦』と言い、『戦争』とは言っていない。その表現の差は、戦争ではないから、兵士の調達は、徴兵制度に頼れないことになる。徴兵制度による場合は、議会や手続きが複雑になり、国民の同意が必要だ。今回のウクライナ戦争はプーチン政府の独断で行なっている。だから一般国民や、高齢者や、犯罪人や、北朝鮮や、外国の志願兵までかき集めている。ロシア、ウクライナ共に、開戦直前に多数の若者が兵役を逃れ海外に出国した。そういう状況下で、ウクライナもロシアも兵士の調達に苦労している。

 ウクライナとロシアと違うところは、ウクライナ兵には国を守るという大義があり、国家の存続のためという強い決意がある。
 これに対して、ロシア兵はこの戦争は何のための戦争か?という疑問を持ちながら戦っている。プーチンはウクライナのネオナチ化を防ぎ、ウクライナに親ロシア国家をつくろうという大義で始めた戦争だ。しかし、その目的は戦場で戦う兵士に十分伝わっていないようだ。

 ロシアの兵士は志願兵として集められ、国のために戦うより、兵士になれば数百万円も貰えることで、いわばカネ目当てに集まった兵士で成り立っている。また、犯罪者は一定期間、兵役を勤めれば無罪になり解放されることになっている。多数の犯罪者が自由の身を目指して兵役に参加している。

 このように、両軍には、全く異なるモチベーションを持った兵士が闘っている。
 開戦当初は、「数日でウクライナはギブアップする」というロシアの見方であった。ウクライナは東南部戦線で非常に厳しい戦況に陥った。特にドンバス地方の戦いは悲惨なものだった。それを持ちこたえて最近は一進一退、互角に戦えるようになってきた。

その主な要因は
 1⃣ウクライナ人の意思の強さ;(国家、国土、国民を守るという強い意志)
 2⃣ドローンの活用に成功した(安い武器、費用対効果、精密な攻撃力、製造の容易さなど)
 3⃣西側諸国(欧州、米国、日本など)の支援(武器、戦術指南、その他サポート)
による。

 米国・欧州が必要十分な武器をウクライナに供与すれば、この戦争は早く終息できたはず。今まで梃子づったのは武器不足で対抗できなかったからだ。欧米の支援は「生かさず殺さず」というスタンスが見えた。
 特に、米国のバイデン政権や、現在のトランプ政権も武器支援はしているが、ウクライナが望む必要十分な量の武器を制限しつつ送っている。そのため、ロシア軍を圧倒する戦力がなく、ズルズルと現在に至り、4年間が過ぎた。その背景には「ロシアが核兵器を使用するかも?」という懸念が論じられていたためだ。
 
 しかし、武器不足の中でウクライナはこの4年間、見事に持ちこたえてきた。それは、ドローンが当初の期待を遥かに越える強力な武器として活用できたことに尽きる。ここにきて、戦線が安定しウクライナが勝てるかも? という状況が見えてきた

 最近の戦況を見ると、ウクライナは『戦略・戦術』を見直し、ドローンを活用して戦場を守り、一部ロシア国内に侵攻している。ドローンには、クワッドタイプと、飛行機型ドローンがある。これらをうまく組み合わせて使っている。このドローンで、戦車や装甲車、ロケットランチャー、レーダーアンテナ、レーダーシステム、砲台などを大量に破壊するのに成功した。また、兵士(歩兵)に対しても被害を与えてきた。ロシアは、ドローン攻撃で戦車や兵員装甲車などを使い果たし、最近、バイクやバギーカーなどで戦場を移動している。
 もちろん、ドローンだけではなく、ジャベリンやハイマースなどの精密攻撃ミサイルの戦果が大きい。

 ウクライナは、ロシア国内のインフラ、特に石油製油所、火力発電所、変電所、ガスインフラ、飛行場、レーダー設備、軍艦など、戦争を支えるインフラに集中的なドローン攻撃を盛んに行っている。
その結果、軽油、ガソリン、ジェット燃料などは、供給量が24%も減ったと言われている。今後も引き続き石油精製施設の破壊を狙っている。その結果、大きく2つの効果が期待できる
 1⃣直接的には、戦場での戦車、装甲車等の燃料が不足する
 2⃣間接的には、この冬の暖房が出来なくなる可能性が大きい。
特に、ロシアは厳寒の地であり、暖房がなければ生きられない土地柄だ。
ロシア都市部は火力発電や集中暖房ボイラーで湯を沸かし各戸に給配し暖房を得るシステムになっている。このインフラが機能しなくなる。これは一般国民の生死にかかわる。
 今後、寒くなるに従い、戦闘での決着する前に、ロシアという土地の特異性で、国民から大きな不満や動きが起きる可能性がある。

 戦力では、ロシアはウクライナに比べて圧倒していた。今も、ロシアには余力があるはず。
ウクライナは戦力で真っ向から勝負するのではなく、『自然の力』を味方に付けることで、ロシアに勝つことができる可能性がある。
 歴史を紐解くと、1812年5月ナポレオンが70万人の大軍を率いてロシア帝国に侵攻した。有名なロシア大遠征である。9月14に首都モスクワ市街まで入城した。しかし、市内はもぬけの殻になっていた。  そして、9月14日~18日までモスクワ大火により、木造建屋は焼け野原になった。ロシア軍は闘わずに退却していた。モスクワには大軍を養う秤量(食料)が残されていなかった。10月19日にナポレオンはモスクワから退却を始めた。11月に入り、飢え、傷病、凍傷、行軍の疲労で兵士が死に始めた。退却時、ベレジナ渡河に失敗し軍は3万人に激減した。12月14日、ロシア領土からフランス軍は駆逐された。
この戦争は、ロシアが冬将軍秤量攻めをうまく組合せてナポレオン軍に勝利した祖国戦争である。

 最強の軍隊、ナポレオン軍ですら冬将軍による凍死兵糧攻めによる食糧不足は戦う前に生死を分けることになる。ロシア軍はナポレオン軍を追い返した。。

 2022年2月24日ロシアがウクライナに侵攻開始以来、ロシアはウクライナ国土の約20%を占領しているが、ロシア兵の損失が100万人という数に上っている。さらに戦車や大砲やミサイルやレーダーサイトや戦闘機やヘリコプターや軍艦等の損失が大きく、兵器の枯渇により戦力の低下を来している。
 
 (参考)NHKテレビより9月4日現在のロシア侵攻地地図マップ

 最近、この戦争によるロシアの変化が見れるようになってきた。
 ・一つ目は、前線の戦況の変化(ロシア軍の経線能力が低下しつつある)
 ・二つ目は、経済の変化(ロシアの経済のデフォルが起きるかも)、
 ・三つ目は、政治体制の変化(政権内外から政権批判が生じてきた)
 
 この変化は、ウクライナ側から見ると、
 ・ウクライナ軍のドローン活用した戦果が大きくなり出した。
 ・ウクライナ軍の近代化戦闘力の成果が大きくなってきた。
  これは、レーダー、ドローン、衛星、IT、ネットワーク等の連携・活用により、敵を見る目を持ち、瞬時対応ができるようになったことによる。
 ・欧米からの軍事支援が続いていること
 ・ウクライナ兵の戦闘意思が高揚できていること

 ロシア国内は特別軍事作戦に対する不信感が高まり、それがどういう形で爆発するか分からない。
 ウクライナはロシアの公共インフラを破壊し続けることでロシア国民に厭戦感を植え付けようとしている。
 ドローンを活用しインフラ攻撃(特に石油精製所、石油基地、タンカー、鉄道路線等)を強行している。ドローンに搭載できる爆薬は少量なので一機の破壊力は弱い。だからたくさんのドローンを群れをなして飛ばし、数で攻撃力を確保する戦術を取っている。

 
 (参考)上図は、ウクライナがロシア国内13か所の石油精製所にドローン攻撃を行った実績。その結果、原油生産国のロシアは30%~40%のガソリン、軽油供給量を喪失した。

 ガソリンは国民の移動手段である車の利用を制限する軽油は戦車や装甲車の運用に支障を来たし、戦争を継続するための兵站(ロシステック)の維持が困難になる。さらに冬の暖房が困難になる
 この冬は集中暖房システムが稼働停止する。そうなれば石炭ストーブを引っ張り出して使わざるを得ない。暖房は石炭ストーブで代用できても、戦車や装甲車は石炭では走れない。重油や軽油を兵站に優先的に回すだろうが、それも不足するだろう。この状況は深刻な問題になる。ロシア国民の生活は数十年前の生活にた戻ることになる。ロシア軍はいつの時代まで戻るのだろう? 
 
 最近、ウクライナは大型ミサイル『フラミンゴ』や『ネプチューン』など長距離ミサイルを開発し、一部を実戦投入し始めた。
 特に、フラミンゴ3000kmの長距離攻撃が可能で、弾薬量も1トン積載し、着弾精度は数m程度と言われている。この大型ミサイルでロシアのインフラを攻撃継続すれば、ロシアの電力、ガス、石油の3大エネルギー供給がさらに滞る。加えて、冬将軍が到来すれば新しい戦況が開ける。 
 この冬に、戦況がどう変わるか注目すべき時が来た 
 もうしばらくの辛抱だ!

 がんばれ! ウクライナ!





2025年8月31日(日)
プーチンの戦争を終わらせる条件の整理

  ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、今日は1323日目になる。戦況は一進一退の状況を繰り返し、
ロシアは多数の兵士の損失や、武器の損失を出しながら攻勢を強めようとしている。

 一方で、ウクライナは、防戦一方だったが最近、ドローン(FPVドローン)を活用し、ロシアのインフラを攻撃し破壊している。特に石油精製施設、変電所、鉄道、空港、兵器庫(武器弾薬庫)、指令所などに集中攻撃を行い、その頻度を増して大きな成果を出している。
 特に注目すべきは、石油精製施設の攻撃により製油精製能力が21%も減ったと言われている。この攻撃は、さらに継続しガソリンや軽油不足によるダメージをロシアに与える作戦だ。
そうなれば、戦場で戦車や装甲車両が動けなくなり、機動力が著しく低下し、交戦能力が著しく低下する。

 また、ガソリン不足は自動車の利用ができなくなり、ロシア国民の日常生活に不便を来す。当然、ガソリン価格は大幅に上昇している。これから秋、冬を迎える頃には暖房が必要になるが、ガスや灯油などの不足は大問題になると思われる。
 
 石油精製施設の蒸留塔などは、西側諸国の特殊部品が使われているので、経済制裁を受けているロシアには部品が届かない。施設の修理ができない状況になっている。

 プーチンが始めたこのウクライナへの侵攻は、ロシアにとって『意義』あるものだろうか? 大いに疑問があるところだ。プーチンにはプーチンの『意図』があり、この戦争を始めた。
 プーチンがどういう『意図』で始めたのかについて考えると、この戦争を終えるための条件が見えてくる。
 
 1⃣戦略的意図:ウクライナ東部4州(ドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャ)の領有権の主張
   これはプーチンの核心的目標である。
 2⃣地政学的目標:黒海沿岸の戦略的支配強化、クリミア半島への陸路確保
 3⃣政治的意図:ウクライナのNATO加盟の阻止、NATOの東方拡大の阻止
これらの内容はウクライナに降伏を強いる内容になっている。ウクライナ、西側諸国には受け入れられない

 プーチンの停戦条件は、最大限の成果を求める戦略的アプローチになっている。
一方で、ロシアは有利な条件を引き出そうとして、時間稼ぎ、停戦交渉を行っている。
現状では、ロシア国内情勢に陰りが見えてきている。それは経済の疲弊、戦死者の増加による不満
この状況を乗り切るには、『勝利』しかない:これがプーチンの唯一の手段だ。

 だから、この戦争はウクライナが無条件降伏するか、ロシアが勝つしか終わらない
最近、ロシアの戦力(兵士、武器など)の渇望が見えてきた。装甲車両が無くなり、オートバイやラクダを使い移動や運搬に役立てている。ロシアの戦力のピークアウトが迫り、継戦能力が明らかに下がってきた。ロシアの勝てる見込みが減ってきたのではないか?
 国内的に、プーチン政権崩壊が起きれば、戦争は終結する。それは、暴動や内戦がロシア国内で勃発した時になる。そういう動きも、ロシア国内に芽生えつつあるようなニュースに接する。

 一方、ウクライナはミサイル(フラミンゴ)の開発成功、量産化が進んでいる。これは自前のミサイルで、使用制約なくロシア国内を自由に攻撃できる。これは、長距離大容量弾薬搭載可能な強力なミサイルだ。このミサイルの導入により、戦況が大きく変ることが予想される。いつ、どのようにフラミンゴが使かわれるか注目される。

 今後、戦況が変わると予想されるのは、厳寒期に暖房用ガス、石油、電気の供給が滞ると、ロシア国民の不満は増大し、大きな反政府運動が起きる予感がする。 それが引き金になり、この戦争が終結に向かうかも知れない。 それほど、ガソリン、石油、軽油、ガスの供給が不安定になってきた。

 いずれにしろ、世界NO.2又はNO3の戦力を有すると言われてきたロシアが、ウクライナに侵攻して丸3年が経過し、戦況の行く先が見えづらくなっている。ロシア国内のプーチン体制に揺らぎが生じ始めたようなニュースも聞こえる。ロシア連邦保安庁(FSB)とロシア軍の関係も今後どうなるか注目したい。
 
 ウクライナ戦争自体は戦況が膠着しているが、ロシアの内部体制に動きが始まるかもしれない。




2025年8且26日(火)
戦火の中、ウクライナは独立34周年を迎えた!

 <参照;MSN より>

ロシアの侵攻で戦争が4年目に入ったウクライナは、24日(現地時間)に独立34周年を迎えた。世界各国の首脳や国際社会からは、ウクライナの主権と自由を支持する連帯のメッセージが相次いだ。

 ゼレンスキー大統領「ウクライナは犠牲者ではなく戦士
 ゼレンスキー大統領はこの日公開した映像演説で、「ウクライナは二度とロシア人が妥協と呼ぶ屈辱を耐えることはない。我々には正義ある平和が必要であり、未来は自分たちで決める」と強調した。

 また「ウクライナはまだ完全勝利を収めてはいないが、明らかに敗北もしていない。独立を守り抜いてきた」、「ウクライナは犠牲者ではなく戦士だ」とも述べた。

 さらに「今後は誰も侵攻できないほど強力な安全保障を得ることで、信頼できる持続的な平和を実現する」とし、「強いウクライナ、平等なウクライナ、欧州のウクライナ、独立したウクライナ――これを子孫に受け継ぐことが目標だ」と語った。
  

 各国からの祝電と訪問
 この日キーウを訪れたカナダのマーク・カーニー首相は、X(旧ツイッター)に「カナダの支援は揺るぎない。我々は皆さんの主権を守る戦いに共に歩む」と投稿した。

 ゼレンスキー大統領は、ローマ教皇、チャールズ3世英王、ドナルド・トランプ米大統領、さらには習近平中国国家主席から祝電が届いたと明らかにした。

 教皇は「ウクライナ国民のために祈る。善意ある人々の心を動かし、武器を沈黙させ、対話が平和への道を開くよう願う」と記した。

 トランプ大統領は「ウクライナ国民は不屈の精神を持ち、その勇気は世界を鼓舞している。今こそ無意味な殺戮を終わらせる時だ。米国は主権と尊厳を守る持続的な平和へとつながる交渉による解決を支持する」と強調した。

 チャールズ3世国王は「ウクライナ国民の不屈の勇気と精神に最大の敬意を表する。公正で持続可能な平和の実現に向けて緊密に協力したい」と記した。英国では首相官邸と政府庁舎にウクライナ国旗が掲げられた。

 フォン・デア・ライエン欧州委員長
は「自由で民主的かつ独立したウクライナのために我々は全力を尽くす。自由なウクライナこそ自由なヨーロッパだ」と述べた。

 ドイツのメルツ首相は「今日も、そしてこれからも我々はウクライナの側に立つ」とドイツ語・英語・ウクライナ語で投稿した。

 習近平国家主席は「中国とウクライナは伝統的な友好関係を保ってきた。二国間関係を安定的かつ長期的に発展させ、両国民に利益をもたらしたい」と述べ、戦争には直接言及しなかった。

 国際社会のメッセージが意味するもの
 独立34周年に寄せられた各国首脳のメッセージは単なる儀礼的祝辞ではなく、ウクライナの独立を守るための国際的な連帯、そして戦争をいかに終結させるかという各国の思惑が交錯するものとなっている。

 ウクライナは1991年8月24日、議会で旧ソ連からの独立宣言法を可決した日を独立記念日として、毎年、8月24日(現地時間)祝っている。
 
  戦争は当事国(侵略国・被侵略国)両者にとって互いに言い分がある。しかし、今回のロシアのウクライナ侵攻は、互いに小競り合いをするうちに闘いが高じて戦争になったということではない。
 ロシア
が一方的に仕掛けた戦争である。しかし、身勝手であってもロシアにとってはロシアの大義がある。それはロシアのアイデンティティ・風土となっている「領土拡大」という錦の御旗なのだろう。

 21世紀の文明の時代に、未だに領土拡大というテーマに固執し、本格的な侵略戦争を行う国家があることに驚嘆する。国境で互いに小競り合いをしている国は今も、いくつかの場所で起きている。これは茶飯事のことであり大戦争になる前に納まっている。一種のガス抜き効果になるのだろう。
 人類は闘い、奪い合う運命を背負っているのだろう。これは生き物全てに言える公理かも知れない。

 今回のロシアによるウクライナ侵攻は、ウクライナを潰してロシアの自治区(又は共和国)のような形にしたかったのだ。これはウクライナにとっては、主権が無くなることを意味する。ウクライナ民族の自治権が無くなれば、ウクライナ国家が滅んだと同じ事だ。

 ウクライナは1991年8月24日にロシアから独立を果たした。しかし、ロシアはウクライナを兄弟国として接したかったが、ウクライナは欧州諸国のように民族の自由民主権を確立した独立国を目指した。
そして、ウクライナは、NATO(北大西洋条約機構)の国に参加したいと願っていた。

 NATOはロシアを前提に相互安全保障を行なうグループとして行動してきた。ロシアとすれば、ウクライナを身内として扱いたかったが、逆に反ロシアの方向に動き出した。今回のプーチンの侵攻はそういうウクライナに対する見せしめとして行なった。ロシアからすれば、ウクライナがロシアから完全独立したいという動きに我慢できなかったのだろう。

旧)ソヴィエト連邦は、ロシア、リトアニア、ラトビア、エストニア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフ共和国、キルギスタン共和国、クリミア共和国、カレリア共和国(フィンランドから割譲)、カリニングラード、アルメニア、グルジア、モルドバで構成されている。

NATOに対して、ソヴィエトを中心としたワルシャワ条約機構には、ソヴィエト、ブルガリア、ルーマニア、(東)ドイツ、ハンガリー、ポーランド、チェコスロバキア、アルメニア、モンゴル、北朝鮮がある。

 ソヴィエトを中心に東ヨーロッパの地は、古くから幾多の民族が散在し、歴史的に対立を繰り返してきた。

 幸い、我われ日本国は周囲を海で囲われた国であり、古来より他国の侵略から逃れてきた。鎌倉時代の2度の蒙古襲来以外に攻め込まれたという事実はないので、ヨーロッパ諸国のように陸続きの土地に複雑な国家間の勢力争いや、領地争いで国家が滅亡したり、枠組みが代わったりという経験がない。
 そういう争いがなかったので、『和をもって尊し』と聖徳太子が言われたのだろう。この言葉は海外では通じないと思う。

最近、ウクライナはロシアの石油精製工場を集中的にドローンで爆撃し破壊に成功している。また、貨物列車の爆撃も伝えられている。これらはガソリンや軽油やジェット戦闘機の燃料を削減して継戦能力を低下させることを狙ったもので、報道によると、ガソリン等の精油能力が17%も削減している。燃料が枯渇すれば、旧日本軍が苦しんだような状況になる。

 この戦争がいつまで続くかという疑問に対し、いろいろな見解が報道されている。
まず、ロシア経済の破綻が近づいているとか、兵器・武器調達が困難になっているとか、戦場の兵士の戦闘意志が折れてきているなど、ロシア軍の負の部分が見えるようになってきた。どうやらこの秋の泥濘期から冬の厳寒期を迎える頃には、ロシアの継戦能力がピークアウトするかもしれないと言われだした。
 
 ニュースを見ても、最近、ロシアの攻撃を撃退したとか、ロシアの占領地を奪還したとか、ロシア領土のインフラ攻撃に成功したとか、ウクライナが活発に戦闘を進めて反転攻勢をしかけているようなニュースも見るようになった。この秋から年末、年始にかけて、この戦争の様変わりが見えるかもしれない。

ウクライナは、中途半端な停戦合意をするのではなく、細部まで詰めた停戦合意を行なってほしい。

 それは、1994年、ブダペスト覚書で、『ウクライナは原発を放棄する代わりに、米英露3国でウクライナの安全を保障する』と取り決めたが、その当事者のロシアが約束を反故にして侵攻を開始した
 ロシアは今まで、何回となく約束を破ってきたので、今回の安全保証についても守るか疑問である。

 ロシアにすれば、自称、ウクライナは兄弟国であり、『可愛さ余って憎さ百倍』ではないが、「ウクライナを属国化したい」という強い信念を持っている。このプーチンの本音をどう解消できるかが問題だ。
 加えて、ロシアはウクライナ領土を奪取して自国に併合したいと考えている。
 
このプーチンの本音(信念)をどうして打ち砕き、どうしてウクライナ戦争を終わらせるかが課題である。
ロシア側に終戦(または停戦)を認める余地はあるのだろうか?  『答えはない!』
唯一、『』があるとすれば、それはロシアの国家や、経済や、体制の破綻が生じた時だろう




2025年8月19日(火)25日(月)
ロシアのウクライナ侵攻の真相(深層)は?

ロシアの「アイデンティティ」 とは?

 ウクライナ戦況は膠着状態に入っている。どう終結するのか? 終結しないのか? が気にかかる。

 ロシアは領土拡大の歴史を繰り返してきた。現在、『ロシア連邦』と言われる地域は一つに見えるが、自然に生まれた国ではない。現在のロシアの先祖ウラジミール・スーズダリ公国という小国だった。
 
 13世紀にモンゴル(蒙古)帝国に侵略され、その支配下に入った。モンゴルの支配は緩く、その後も互いに戦争を繰り返した。モンゴル帝国の衰退を機に、14世紀に周辺の公国を征服したモスクワ公国が台頭し、15世紀頃にシベリア地方へ遠征した。同時に西方にも進出し、バルト諸民族とベラルーシ(白ロシア)、ウクライナ(小ロシア)も征服した。その後、極東にも手を伸ばし、太平洋沿岸まで達した。南方へはコーカサス地方や中央アジアも征服した。さらに、ポーランドやフィンランド、モルドバ、北満州や樺太を征服した。

 ウラジミール・スーズダリ公国が台頭した12世紀からロシア帝国は領土を最大に広げた19世紀までの約700年間、ずっと領土拡大を続けてきたこの領土拡大は毎回成功した。このためロシアは領土拡大はうまくゆくものと思い込んでいる
 
 
700年にもわたる領土拡大の成功体験ロシア人のアイデンティティとなったロシア人は領土拡大を『ロシアの世界観』として誇るべきものとしてきた。この歴史はロシア人の世代から世代に受け継がれ、ロシア文化として、比類のない「領土への執着」が染みついている
 だから、ロシア人は一度、獲得した領土を失うことは受け入れられない屈辱になる

 ロシア人は領土拡大には全力を尽くすが、獲得した土地の開拓には余り関心を注がない。(土地の活用やインフラ整備など余り眼中にはない。)
 この点について、古代ローマ帝国は、侵略地にはローマと同様なインフラ(競技場、水道橋、道路など)建設を行っている。
 
 ロシア革命後のレーニン(共産主義)の政策を見ると、このことがよく分かる。共産主義は元来、民族平等、民族自決を謳っており、帝国主義の領土拡大を悪としている。
 
 ロシア革命によりロシア帝国の崩壊後独立した諸国レーニンが率いるボリシェヴィキ政権によりすぐ征服されたもし、共産主義体制を広めるのが目的なら、ロシア帝国から独立した国を再度征服する必要はないはずだ。現地の共産主義者を支援して、共産主義政権を樹立させればいい。
 しかし、ボリシェヴィキはウクライナや他のロシア帝国の植民地を武力で制圧し、共産主義政権を樹立した後も独立を認めなかった。「ソヴィエト連邦」という形で再度、全ての植民地を同じ国として統合した
だから、ロシア帝国とソヴィエト連邦の領土は、ボリシェヴィキ(赤軍)に勝った一部の国を除き、ほぼ同じ。つまり、ボリシェヴィキは帝国主義を否定する共産主義を掲げてロシア帝国を倒した後、直ぐ帝国主義をやり始めた。


 それは何故なのか?
 
共産主義者は経済、政治体制、社会体制について帝政ロシアと考え方が真逆だったが、ロシア人は結局ロシア人だと言うことどのイデオロギーに染まっても、広大な領土への執着は変わらないそれほどロシア人は領土への執着が染みついている

 ボリシェヴィキの主要人物は、ユダヤ人やジョージア人が多かったのでは?
 レーニンはユダヤ系であり、トロツキーなど幹部もユダヤ人が多かった。スターリンはジョージア人だった。だが個人の民族は問題ではない。これらボリシェヴィキ幹部の殆どはロシア帝国に生まれ育ち、その風土、常識、文化、世界観を受け継いでいる。
 
 1991年にソヴィエト連邦が崩壊した時、『ロシア人は自分たちの古来の領土を失った』と思った。ロシア人にとって、一度征服した領土を失うことは許されないソ連邦崩壊により失われた領土は、ロシア人にとって大きなトラウマになった。それを必ず取り戻さなければならないと。

 ロシア人が「ロシア」という言葉(単語)を使う時、それは今のロシア連邦の意味ではない。ロシアが最大の領土を持っていた国土を示す言葉になる。旧ソ連圏が全部入っている。今の「ロシア連邦」は本来のロシアの一部分に過ぎない。彼らは自分たちがそこに押し込まれていると感じる。それはロシア人にとって苦痛である。だから彼らは本来のロシアの領土を取り戻さなければならないと考えている。

 ロシア人は現在の領土で満足して拡張主義を止めることが我慢出来ない。それは祖先から受け継いだ世界観、何百年にわたり培ってきた文化、自分たちのアイデンティティを完全に否定することを意味する。ロシア人の圧倒的多数の世界観を根本的にひっくり返すような異変が起きない限り、彼らは拡張主義を止めないだろう。これが今、起きているロシアのウクライナ侵攻の真相になっている。我われの文化や風土では理解し難い根深いモノがある。
だから、日本の北方領土の返還などは全く解決できる目途はない。

 19世紀から20世紀に民族自決が進み、世界の民族は自らの国を興してきた。ウクライナにはウクライナ人が住み、ウクライナ国を設立した。これはロシアから見れば自国の領土で、ウクライナは身内となる。
そのウクライナがロシアの言うことを聞かず、ヨーロッパの国に近づこうという動きはロシアからすれば見過ごせない行動になる。だから再び身内や兄弟として取り戻したいという身勝手な願望で侵攻した。それをプーチンは『ウクライナに住むロシア人が痛みつけられているのを救済する(又は開放する)』という理屈をつけて進軍を正当化しようとした。

 一方、ウクライナにすれば、『ウクライナはウクライナ人の国であり、ウクライナ人のロシアではない』という大義(アイデンティティ)が高まっている。以前は武力で抑圧されてきたが、21世紀に入り民族自決の流れが強まり、ウクライナもその潮流に乗って行動している。
 
 ロシア南部にジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンなど南コーカサス地方がある。この地方は古来から多民族が住みついている。ここに住むコザック民族は、以前から勇敢な兵士を輩出してきた。歴史的に国境で揉め事が絶えない地方である。この方面にも民族自決の動きが高まっている。
 今後、ロシアの領土拡大の動きが続けば、旧ロシア領内でさらなる戦争が起きる可能性が高くなる。

(追記)
 
8月19日、米国ホワイトハウスで、ゼレンスキー大統領とトランプ大統領の首脳会談が行われた。その後、ヨーロッパ主要国首脳が同席して協議を行った。その結果、ヨーロッパ首脳のウクライナ支援の団結が一層強くなった。
 
<会談後のトランプ大統領の発表>
 プーチン氏はウクライナの安全保証を受け入れた。ヨーロッパの国々が主に負担してゆくことになる。アメリカはそれを支援し安全の確保に尽力する

 ・・・トランプ流の話で、中身が分からない曖昧で抽象的な話

 また、いつものように内容が変わるかも?

 
・・・安全保証にかかる費用について語っているように見える。
 肝心の安全保証をどういう形で実行するのかが見えない。

 
 ウクライナが求める「領土の保証」については、領土を含む敏感な問題首脳3者会談(ウクライナ、ロシア、アメリカ)で議論する。ゼレンスキーとプーチン氏が何らかの解決策を見つけることになる。
次のステップは3者会談で・・・。
 
・・・最も重要な領土問題について、明確な詰めを行わず、要点は逃げた態度になっている。
 
・・・何らかの解決策とは何か? そんな解決策があるのか? 

 今後、2週間以内にロシアとウクライナの大統領会議を行うことで合意した。
 
・・・ウクライナとロシアが互いの条件を飲んだ上のことであり、合意できない状態では難しい


<今後の見通しは?>
 停戦や領土問題について、アメリカとヨーロッパ各国の首脳と、ウクライナの意向は確認できた.
 
・・・ウクライナの領土割譲はあり得ない
 
・・・安全保証の内容は、恒久的な平和につながるものでなければ同意できない
 問題は、この戦争を始めたロシアがどう対応するかに尽きる

 ・・・ロシアは、停戦し軍を引き返すという考えは全くなく、従来どおりで変わっていない。
 ・・・ロシアには、領土拡大はあっても、占領地を縮小する考えは全くない。
 
 
<停戦の3つの条件>
 1⃣ 安全保証
 2⃣ 領土問題
 3⃣ 捕虜交換子供の返還
 
 3⃣は一部、進んでいる。
 特に 1⃣ 2⃣を解決することは、不可能と思われる。
 ロシアが無条件でウクライナからロシア軍を引き上げれば、この戦争は停戦し終息する。
 しかし、それは、プーチンがこの戦争を始めた背景と、真逆の条件である。しかも、ロシアのアイデンティティに反する事であり、ロシア人としても認めづらい。


 
トランプ大統領の仲裁は甘い! 停戦願望であり、ノーベル平和賞が欲しいだけ?

この戦争が終息するには
 ロシア・ウクライナのどちらかが、「継戦能力」を失うこと

 ■ロシアが

  1⃣国内経済の破綻・崩壊する
  2⃣ 国内に内乱・内戦が勃発(プーチン体制が崩壊)する
  3⃣ ロシア軍の崩壊(兵士・武器が枯渇、増兵に失敗、軍の疲弊など)
する
 ■ウクライナが、、

  4⃣ 兵力(戦闘機・武器・弾薬、兵士等)が枯渇する
  5⃣ 兵士の戦闘意思が無くなる
  6⃣ 停戦要求を受け入れる


 いずれかが起きれば、この戦争は終結する。
 言い換えるなら、この戦争は、プーチン政権では終わらない、終わらせられない
 だから、この戦争は終わらず長期戦となる。 しかし、
いずれ戦争は必ず終息する

 トランプ仲裁によりこの戦争の終結が実現できれば結構だが、ロシアは欧米とは異なるアイデンティティを持つ国であり、欧米の常識は通じない相手である。
 加えて、トランプ大統領は歴代アメリカ大統領と異なる別世界の思考をする。これもまた、従来の米の常識とかけ離れている。トランプ大統領は「ノーベル平和賞」受賞を願望している。そのためにウクライナ戦争の解決を急いでいるようだが、ロシアはトランプのノーベル賞受賞など全く気にしない。ロシアは領土拡張さえできればいいのだ。

 
 現状は、どうなっているのか?
 ロシア経済が悪化し、破綻に近づいている。武器(戦車、大砲、航空機、銃など)の大量破壊による枯渇、兵士の大量死、傷害による枯渇、兵士の戦闘意識の喪失等を考えると、中途半端な停戦合意をするのではなく、西側は徹底した経済制裁を続けウクライナに軍需支援をし、ウクライナの徹底抗戦を支援しロシアがギブアップ(敗戦)するまで戦う以外に停戦、終戦
、恒久的平和が来ない気がする。

 
今回のトランプ大統領の仲裁は失敗に終わる
 
プーチンがウクライナの領土を獲得し、ウクライナをロシアに併合し、完全なロシア化を望んで始めた戦争なので、途中で投げ出せば、政権崩壊、自分自身の生存が危くなるだから途中で辞めることができない。

 
8月22日のネット情報では、
 ロシアのプーチン大統領はウクライナとの和平を巡り、ウクライナがロシアと国境を接する東部「ドンバス地方」全域の割譲のほか、北大西洋条約機構(NATO)加盟の断念、停戦後のウクライナの中立化
西側諸国の軍隊の国外退去を要求している。プーチンの要求はフルスペックである。複数の関係筋がロイターに対し明らかにした。という報道がされている。
ウクライナにとって全く認められない要求であり、ロシアは全く停戦に向かうことを考えていない



<なぜ、ロシアだけが広大な領土を拡大出来たのか?>
 14世紀頃から欧州諸国はキリスト教布教重商主義を掲げて、アジアやアフリカ方面に進出した。ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス、フランスと覇権国が入れ替わり、植民地獲得競争を展開した。
 19世紀に入り、インドやアジア各国、アフリカ各国が民族自決を掲げ独立し、覇権国は植民地(領土)を手放し、独立を認め現在に至っている。
 
 その中で、ロシアだけが帝国主義の領土拡大政策を今なお維持している。それは、ロシアが700年にわたる歴史を通して、
領土拡大に成功し続けてきたからだ。欧州列強は19、20世紀に植民地を手放した。
 
<なぜ、ロシアだけが欧州列強と違う歴史を歩めてきたのか?
その背景は?

 1⃣侵略は陸続きの部族(隣国)に対して侵略した。(侵略地は海を隔てた遠い国相手ではなかった)
 2⃣侵略した土地は寒冷地貧しい土地だった。
 3⃣侵略した領主の力(権力や武力)が低かった。(抵抗力が弱かった
 4⃣侵略した土地に同化政策を取った。侵略地の住民をロシア人化した。

 その結果、長期にわたり、ロシアだけが東方や南方へ領土拡大を成功し、広大なロシアが生まれた。
だから、ロシアは他国にない独自のアイデンティティ(文化、風土、思考)を有している


<もうしばらく様子を見届けよう>
 ・今年暮れ頃には、この戦争の『終息の動き』が見えてくる気がする。
(推測)
 ・その時、ロシアの体制が代わることになる?
 
<欧州各国の目覚め>
 今回のトランプ大統領の動きに対し、欧州各国は互いの安全保証の取り組み強化を図ることになった。
従来は、NATO(北大西洋条約機構)加盟国になることで、他国(ロシアを想定している)からの侵略を受けた場合は、NATOグループで対応するという集団防衛体制だった。

 ウクライナは、ロシアの反対やNATO加盟基準を満たさなかったので、今まで加盟ができなかった。それでロシアにより侵攻を受けることになった。ロシアはウクライナのNATO加盟を阻止してきた。反対した理由はウクライナがNATOに加盟すれば、今回のような侵攻が出来ないためだ。ということは、ロシアは以前からウクライナに侵攻する計画があったということだ。

 NATOは体制強化を図ることに合わせて、各国は自国の防衛力強化のため軍需費の増大を決定し、ウクライナに対する軍事支援を発表した。今後、ウクライナに対し、
 ・英国、仏国;合同で2万人~3万人、地上部隊を派遣
 ・ドイツ;5千人~8千人、技術支援部隊を派遣
 ・北欧諸国;2千人~3千人、特殊部隊の派遣
 ・アメリカ;制空権確保のための航空兵力の派遣
上記のような具体的な軍事支援内容がまとまりつつある。これはウクライナにとり非常に有利な提案だ。
一方、ロシアは、これらは認められないと発表している。

 さらに 、NATOルッテ事務総長は、30か国安全保障の枠組みを発表した。
 30ヶ国安全保証の枠組みは、NATO加盟国に加え日本、オーストラリア、韓国も加盟している。
ウクライナの役割は軍事生産拠点として、砲弾200万発/年生産 強化(300万発まで引き上げる。)
さらに、「フラミンゴ」ミサイルの増産を目指す。

 これらの安全保障体制により、「ロシア プーチンが引き起こした21世紀の帝国主義戦争終止符を打ち、新しく法と民主主義に基づく平和な時代へ向かう」 ことを目指している。

 国際連合は、世界平和を目指し構築された組織であるが、安全保証を担う常任理事国5ヵ国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国)の内、ロシアは平和や安全を担う立場でありながらウクライナに侵攻した。これにより国連の安全保証の機能は機能不全に陥った
緊急に新しい世界の安全を保証する体制を構築することが求められる。
それは、現在の『常任理事国の1か国が反対すれば決議できない』拒否権が発動できるこの条項を外して、常任理事国が他国に侵攻した場合は他の常任理事国の多数決により紛争を終わらせるため国連軍を派遣することができるという掟に改める必要がある。






2025年8月19日(火)
2025年 世界で最もパワーフルな女性は?

 お盆が過ぎ、8月も後半に入ったが、猛暑が収まる気配はない。今後1週間の天気予報では連日晴れて猛暑日が続くようだ。

 さて、ウクライナ戦争は、一進一退の膠着状態に入り、戦況がどうなるか見通せなくなってきた。そういう中で、先般、プーチンがアラスカを訪問した。国際司法裁判所から戦犯指定を受ける身にありながら、トランプ大統領はどういう了見で赤いじゅうたんを敷き、プーチンを歓迎したのか?理解に苦しむ。
 
 日本時間の今日、早朝にゼレンスキー大統領がワシントンで、トランプ大統領と2者会談をしている。会談内容は現時点ではよく分からないが、その後、ヨーロッパ主要国(イギリス、フランス、ドイツ)の大統領や首相が揃って会議に参加し、停戦(終戦?)後のウクライナの安全保障について協議すると聞いている。

 その場に、欧州委員会のウルズラ・ゲルトルート・フォン・デアライエンス委員長も出席する。ウクライナ侵攻以来、たびたびテレビや新聞に登場するフォン デアライエンスさんとはどういう人物かを調べてみた
フォーブス誌の2022年~2024年「世界で最もパワーフルな女性」として、3年連続で取り上げられた人
    
 フォン デアライエンス委員長(66歳)               若き日のアライエンスさん

 ベルギーの首都 ブラッセル近郊のイクセルという町の生まれで、ドイツで育った。ドイツの大学進学資格を取り、ゲッチンゲ大学の経済学部に入学したが、中退しその後、ハノーハ医科大学を卒業して医師、医学博士をとり、医療に従事した。
 その後、1986年に結婚し1992年まで第3子を出産した。その後、アメリカにわたり1999年に末子を出産し、7人の子供(男子2人、女子5人)を産んだ。13年間に7人の子供を産み育てた。これだけでも普通の女性ではないことが分かる。仕事をしながら子育てする何てとても考えられないが、やり上げた。
 
  フォン デアライエンスさんの家族(馬2頭とヤギ2頭が加わる大所帯)

 母国語のドイツ語はもちろん英語、フランス語も堪能だ。
 主な職暦は、医師、地方政界、ドイツ政府の家族・高齢者・女性・青少年大臣、その後、労働大臣、国防大臣になり、メルケル首相後の後任と期待されたが、失敗し、その後欧州(EC)委員となり、現在は欧州委員会委員長として27か国が参加する欧州委員会を束ねる委員長として大活躍している。


世界には、他にもパワーフルな女性がいる。
   
 元、ドイツ首相 メルケルさん            イギリス元首相 サッチャーさん

 フォーブス誌「世界で最もパワーフルな女性」
 第 3位 イタリア メローニ首相(47歳)
 第66位 日本    小池百合子(72歳)   日本で最高位
 第73位 日本   小野真紀子(64歳)

フォンデアライエンスさんは、現役の欧州委員長として、各国を飛び回っているという忙しさだ。
7人の子供は成人している。
とても過酷な忙しさの中で、家庭や子育てや仕事を果たしている姿に驚嘆するばかりだ。
世界には、すごくパワーフルな女性たちがいる。
日本の女性も最近、活躍が目立ってきたが、まだ世界レベルで見るとまだまだという感じがする。女性が活躍するには、日本社会に根付いた『男尊女卑』の風土が完全に取り除かれなければ実現しそうにない。
それには、世界を見て学び、取り入れることが大切だ。
 





2025年8月13日(水)

ロシア・ウクライナ戦争の行方
グレンコ・アンドリー著
世界の運命の分岐点が近づいている!


扶桑社親書530
定価1210円(本体1100円+税)

 一言で、ああ、そういうことだったのか! が分かる本です

 日本はお盆に入った。8月13日に先祖を迎え、16日に送るという仏教の行事になっている。日ごろ、忙しくて墓参りにご無沙汰をしている人も、先祖の仏壇や墓にお参りする日になっている。
 平和な日本に住んでいるおかげさまで、先祖を敬うという仕来りは次第に薄れてきたが、この時期は寺の坊さんが忙しく檀家(家々)を廻り、お経を唱えて、お布施を頂きお寺の収入にしていた。その光景もあまり見なくなり、お寺の維持が大変厳しい状態だと聞いている。
 
 我が家も以前は和歌山の実家の墓参りに家族で出かけたが、自分自身が後期高齢者になり法事以外の墓参りはご無沙汰をしている。その代わりになるかどうか分からないが、最近、『般若心経』を覚えて、お寺や神社にお参りした際に唱えている。おかげさまで元気に日々を過ごしている。

 8月15日にアラスカで、トランプ大統領と、プーチン大統領がウクライナ戦争の終結につき会談するというニュースで賑わっている。
 トランプ大統領は常識破りの言動を仕掛ける人だが、言うことは突拍子もないことが多い。従来のアメリカの大統領の雰囲気や良識ある行動とはかけ離れており、揺さぶりをかけては世界を揺り動かす要因となっている。

 さて、一方的に、隣国ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領だが、侵攻時に2.3日でウクライナを完全制圧すると言っていたが、この戦争は何と3年にも及び、未だに続いている。戦況は一進一退の膠着した状勢になり双方に多数の犠牲者を出している。
 最近は、仕掛けたロシア軍に多大の損害を出しているが、量に勝る兵力がウクライナ軍を苦しめている。
一方、ウクライナ軍はドローンを活用して、戦車や装甲車両や、兵士を徹底して攻撃し大きな戦果を出し始めてきた。小さなドローンがこういう大きな戦果を出せるとは、開戦当時は思いも寄らなかった。デジタル無線やGPS信号や衛星電話などの先端技術を活用することで、標的を間違いなく破壊することができるようになった。しかも、ドローンは安く、大量に製造できるため、使い捨てしても大きな額にならない。
従来の大砲や戦車砲や迫撃砲に変わり、ディスプレイで見ながら、相手を確実に捕捉して攻撃できる。

 21世紀に入っても、世界各地で内戦や互いの小競り合いが続いていたが、こういう本格的な戦争は起きないと思っていた。ロシアは建前上、「特別軍事作戦」と呼んでいるようだが、これは国内向けのプロパガンダに等しい。実質は戦争だが、戦争であれば、兵士は徴兵制度で集められる。そうなれば、戦争の可否の国民の声が厳しくなり、反対運動が起きる。プーチンはウクライナに住む虐げられているロシア人を救うための軍事作戦だとごまかしている。だから、開戦当初は、徴兵ではなく志願兵で簡単に済まそうと考えていた。
しかし、攻め込まれたウクライナにとっては、自国の領土を守るのは国家の尊厳であるので闘うことになる。そこで血で血を洗い合う激しい闘いになり、今なお続いて続いている。
一説には、ロシア軍の兵士が100万人損害を受けているそうだ。死者は30万人にも上る。ウクライナ人がどれだけ死傷者を出しているかは、発表がないので分からない。いずれにしても、これは第二次世界大戦以降で最大の死傷者数になっている。

 戦争が始まるまで、ウクライナの住民は隣国、ロシアと仲良く暮らしてきた。特に国境周辺は会話もロシア語を使い、日常互いに助け合って生活してきた。これは、ヨーロッパのような大陸の国境付近ではどこも同様な状態である。
 その互いに平和に暮らしてきた双方の国民が、ある時に敵味方の分かれて戦うという嵌めになった。これは政治の問題であり、住民同士が争い合うことで生じた問題では無い。深い付き合いをしている人たちは国境を越えて姻戚関係にある人も多くいるほどだ。

 なぜ軍を侵攻させなければならなかったのか? 
大きな疑問を持っていた。元々ロシアやロシア人はあまり好きではなかった。その理由は、第二次世界大戦終了のポツダム宣言を受け入れ日本は無条件降伏したが、その後で、ロシアは満州や北方領土に侵攻してきて日本の領土を略奪した。そして今なお、北方領土4島は占領したままになっている。一度、獲得した領土は返さない。その印象が強く残っていたからだ。
 しかし、一般人のロシア人は特に変わった人たちではないと思う。ロシア政府、またはロシア国家となると、俄然様子が変わってくる。歴史的に領土の略奪で、国土を拡大してきた国柄である。

 プーチンは2014年3月にクリミア半島を略奪し併合した。そして3年前に、ウクライナ国境近くの州(ドンバスなど)に住むロシア人がウクライナに虐げられているので救済するという大義を掲げて武力侵攻した。無茶苦茶な話である。もし、それが事実なら堂々と国際社会に訴えて解決すればいい話である。

 世界各国やその周辺には古来からいろんな経緯があり、離合集散を繰り返してきた。特にクリミアは歴史的にも国家が代わる状態を繰り返してきた。黒海に面した比較的温暖の土地で観光地でもあり、北国のロシアにしては手が出るほど欲しい土地だった。だから手を出して奪い取った。

 武力侵攻を続けるロシアにはシナリオがある。それを知りたくて、いろんな本を読んだが、本書は実に分かりやすくロシアの身勝手な大義について書いている。
 ロシアという国家や政府、政治家は武力を行使してでも領土拡大を図る歴史を分かりやすく描いている。
 
 是非、一読して頂きたい一冊なので、ご紹介する。
 このロシア侵攻に対し、ウクライナが何としてでも勝利しなければ、今後の世界秩序が危うくなる。そして、ウクライナが勝てば、「自由民主主義は保たれ」、「基本的人権が尊重され」、「法の支配が保たれる」正常な状態が維持されることが期待できる。

 今の国際連合の役割は見直しがいる。ロシアは常任理事国でありながら自ら戦争を起こした。これでは国連が機能しないので、「世界の警察官」機能を新設する必要がある。トランプ大統領は、アメリカファーストと言いながら、その役割を降りたので、新国連に、「世界の警察官」を新設して、ロシア、プーチンのようなならず者は取り締まれる機能を創る必要がある。
 ロシアは、日本の北方領土を終戦時のスキに乗じて攻め込み、自国領土にしてしまった。あわよくば、彼らは『北海道まで攻め込みたい』という思いがあったようだが、アメリカがそれを阻止したので、北海道は占領を免れた。

 ロシアがウクライナ戦争で敗れ弱体化すれば、その時は、日本の古来の領土(北方4島)を奪還できるチャンス。この戦争は単に両国の争いごとで済まされない大きな世界秩序の変節点になる。

 詳しくは、本書を読んでみて下さい。





2025年7月25日(金)
ウクライナ人のアイデンティティの確立
(機能しない国連を見直し、再構築が急務)

 ロシアがウクライナに侵攻して1248日が経過した。ロシアがウクライナと接する地域に一方的に侵攻した。この隣接地域にはロシア語を話す人々が沢山住んでいる。この人々がウクライナで虐げられているのを救う勝手な大義で侵攻した。ウクライナには従来、親ロシア的な人が多く、何かにつけてロシアが上にあることを認めてきた。ロシア文化や宗教や風習や言語などを受け入れてきた。ロシアがウクライナに侵攻するまでウクライナ人はロシアと親交が深かった。

 世界中の国境を接する国々は互いの文化や風習や言語を共有し生活していることがみられる。特にロシア領土に隣接する東側、南側の地方では、ロシア語を話すウクライナ人が多く住んでいた。だから、ウクライナはロシアが侵攻するまで、隣人の友人として親交を保ち脱ロシア化が進まなかった。

 しかし、プーチン大統領が一方的にウクライナを属国化しようと侵攻した。プーチン大統領の大義は、『ウクライナに住むロシア語を話す人々はロシアの同胞として救済しなければならない』という一方的な立場で、軍隊を侵攻させた。

 この侵攻により、ウクライナ人はようやく気付いた。ウクライナ人はロシア人と違う民族だと。
ウクライナは、ロシアに因む地名をウクライナ語に改名した。ウクライナはロシア文化人で有名な詩人のプーシキンなどロシアに関する歴史的な人物の記念碑や銅像を撤去した。

 「プーシキンが居るところにプーチンが来る」と言われるようになった。ロシアの文化人が慕われる地域にロシアは自分の土地だと決めつけ侵攻してくる。ウクライナはロシア語、ロシア文化に対する拒否反応が広まった。ロシアを連想させる社会風習も廃れている。

 国民生活に染みついているロシアの宗教的な伝統にも変化が起きている。キリスト教ロシア正教会の国だったウクライナ正教会ユリウス暦を使用してきた。ロシア革命ではグレゴリー暦に変更した後も、宗教行事はユリウス暦で、降誕祭(クリスマス)はグレゴリー暦では1月7日に当たっていた。

 今回のロシア侵攻により、2023年ウクライナ正教会はユリウス暦から修正ユリウス暦に変更し、ロシア正教会から離脱した。修正ユリウス暦の降誕祭はグレゴリー暦と重なり、12月25日に祝うことになった。
 裁判所は親露派と認定された政治団体を追放した。教育課程においてもロシア文化を学ぶ時間が大幅に減った。
 このような脱ロシア化は1991年に始めるべきだった。少なくとも2014年のクリミア強奪東部ドンバス地域侵攻の直後に行うべきだった。

 ウクライナは大国ロシアに通算300年間も支配されてきた。ロシアの常識、文化、社会風習などウクライナ国民に深く浸透し、そこからの脱却が至難の業だった。
 
 今回のロシアの侵攻により、ウクライナはやっとロシアからの精神的脱却に舵を切った
この戦争で、ウクライナのアイデンティティが確立できた。多くのウクライナ人はロシアやその文化がウクライナより優れていると見てきたが、侵攻が始まってそれも消えうせた。
ウクライナ人は明確なアイデンティティを持つ愛国心の強い近代的な民族になった。

 ウクライナは今、毅然と世界有数の軍事大国ロシアを相手にドローンや西側の武器・兵器を使い闘っている。しかし、兵力(人数)と、武力(火力)には大きな劣勢に立っている。侵攻以来、3年が過ぎ、いつ終戦になるか先が見えない。互いに戦闘を開始した闘いであれば、停戦を探り合いできるが、今回のようにロシアが一方的に侵攻してきた闘いは、ロシアが止めなければいつまでも闘いは続く。ウクライナが止めると、ロシアの一方的な勝利に終わり、プーチンの思う壺になる。これは避けなければならない。

 何か理由を付けて領土拡大を狙う闘いは、昔から絶え間なく続いてきた。高度な文明が発達した21世紀にもなお、帝国主義的な覇権主義による戦争が起きることにやりきれない感がある。

 人類は基本的な根っこは進化していないようだ。人は動物と根っこは同じだと考えさせられる。
強いものが勝つ世界は動物の世界だ。弱肉強食の世界に今なお生きている。

 世界を見れば、宗教による対立、宗派による対立、領土紛争など無益な戦争が今なお起きている。
互いの大義をかけた戦いは双方に責任がある
 しかし、今回のロシアによるウクライナ侵攻は、一方的に攻め込んだ闘いであり、侵攻されたウクライナは徹底した抗戦を続けざるを得ない。

 本来なら、国連軍が戦場に踏み込んで停戦させなければならない状況だ。国連は常任理事国が5か国で構成されている。ロシアは常任理事国でありながら戦争当事者だ。ここに大問題がある。
 国連は、基本的人権、人間の尊厳、男女平等、主権平等、国際平和、共同利益を謳っているが、世界大戦を経て、世界の紛争を解決し、平和を維持する立場でありながら、今回のロシアの侵攻には全く機能していない。
 常任理事国が戦争を始めることを考えていなかったのではないかと思える。
 『5か国の常任理事国の内、1国が反対すれば議決できない』という仕組みは、即刻改めるべきで、それが出来なければ国連は有形無実の存在になる。いや、もうそうなっている。

しかし、人類は課題解決に取組み、飽くなき努力を続けなければ、人類は動物になり下がるだろう。






2025年7月23日(水)
断トツ、世界最大の超巨大ダム 『ヤルンツァンポダム』建設着工 

 7月19日、世界最大規模の超巨大ダムとなる「ヤルンツァンポダムおよびメドック水力発電所」建設工事起工式が行なわれた。 工事開始;2029年~完成予定;2033年
何と、ダム工事費は1200兆元(1700億$)日本円では250兆円メドック水力発電所は1兆2000億元
この発電量は、英国の総電力需要を満たす。
中国がやることは、何かにつけ想像を絶するので、我われには理解しがたいところがある。

 このダムが、いかに巨大かを調べてみた。
現在、世界最大のダムは、長江流域の重慶近くに建設した三峡ダムである。三峡ダムは1993年に着工し、2009年に完成した重力式ダムで、発電電力は2250万KW100万KW級原発22基分に相当する。
もちろん世界最大の水力発電所である。堤防高さは185m、堤防の長さは2309mに達する巨大な壁だ。
年間の発電量は中国の総消費電力の約1/10を供給する。重慶市まで1万トンの船舶が航行できる。
この三峡ダムは完成後もダムのリスクについてネット上では話題沸騰しているが今のところ大丈夫のようだ。このダムを建設するため、周辺住民110万人が移住させられた。中国ならではの強引な進め方だ。

さて、今回起工式が執り行われたヤルンツァンポダムは、現在、世界NO.1の三峡ダムと比べると、三峡ダムの5倍の規模に相当する。世界に前例がない巨大なインフラの建設工事になる。最大水深は6000mで、平均水深は2268mになるようだ。ここで発電される電力は6000万KW~81000万KWに達し、年間発電量は3000億KWhとなる。これは三峡ダムの発電量の3倍に相当する。

ヤルンツァンポダムチベット高原に建設されるが、もう少し詳しい情報をまとめると以下のようになる。
ヤルンツァンポダムは、ヤルンツァンポ川に建設され、この川は世界で最も標高が高い西チベットのアンシ氷河に源を発し、チベット高原を西から東に流れ、下流域で地球上で最も大規模で深い峡谷、雅魯蔵布大峡谷、長さ1200 km、幅300 kmに達する南チベット峡谷を通る。この青蔵高原峡谷は標高4500 mから3000 mまで流れ下る。

 
 ヒマラヤ山脈の北側を流れるヤルンツァンポ川と、ヒマラヤ山脈の南側を流れるガンジス川が合流してガンジス川になり、インド洋ベンガル湾に注ぐ。

 
 
 
 広大な渓谷(グランドキャニオン)

 
 広大な自然豊かな渓谷の夏景色

ヤルンツァンポ川が形成する盆地は、南側はヒマラヤ山脈、北側はカン・リンポチェ(カイラス山)とニェンチェンタンラ山脈に囲まれており、チベットの中でも北のより標高が高い地域よりも穏やかな気候に恵まれており、チベット自治区の住民の大部分はこの盆地に居住している。

 この自然豊かな神聖なる土地に、超巨大なダムを建設し、広範囲に川を堰き止めダムを造ることで生態系を崩し、気候など自然環境、人々の文化、農業・漁業にどういう影響があるか、十分な調査を行ったのだろうか?  疑問が残る。

 黒四ダム黒部渓谷に造られたダムで、発電量は25万KW日本一)、堰堤高さは186m、堰堤長は492mである。黒四ダムに比べ三峡ダムは90倍、ヤルンツァンポダムは黒四ダムの280倍の規模になる。まさに異次元の規模で、見たことが無い人工物となる。

2023年度までの世界各国の発電量の伸び率を見ると、中国は断トツになっている。このダムが完成すれば、現状でもアメリカの倍の発電量を誇る中国は屈指の電力大国になる

中国の工業力の伸びを見て、危機を感じたトランプ大統領は「アメリカ 1st」を打ち出した。高い関税率を課すことで輸入制限し、自国の工業力の保護、再生を図ろうとしている。それには豊富で安い電力供給が必須条件になる。
 アメリカは、コロラド川ブラック峡谷を堰止めフーバーダムを第一次世界大戦後の不況対策(ニューディール政策)として1931年から1936年に建設した。ダムの堤さは221m、堤頂長は379mの重力式アーチダム。発電量は208万KWh。これは黒四ダムの8倍の規模になる。日本の全部のダムの発電量を上回る。
でも、三峡ダムと比べると約1/10だ。
 
フーバーダムはラスベガスから高速道路で40分ほど砂漠地帯を走ると行ける場所にあり、観光客も多い。
最近、自動車道のための渓谷に橋が架けられ大林組が工事を受注し、2010年に完成した。
ダムは観光化され、地下発電所に120mほどエレベータで下りると、巨大な水車が廻っているのを見ることができる。
 
 
アメリカには、ナイヤガラの滝にも大規模な水力発電所がある。世界には巨大ダムや水力発電所がある。日本は各地に水力発電所が点在しているが、規模的には小さい。

 中国が建設しようとしている今回のヤルンツァンポダム、メドック発電所はとてつもない規模で、こういう構想ができる国はやはり凄いと言わざるを得ない。まさに、自然への挑戦だと言える。

 中国は将来に向かい着々と手を打っているようだが、目先は巨額の不動産投資(マンション建設、高速鉄道建設など)のツケが廻って来て、多くの民間企業や国営企業が破綻、もしくは破綻寸前の状態が続いている。この経営危機を乗り越えれば再び高度成長が見えてくる。非常に難しいかじ取りの状況下にある。
 


   2023年度 発電量
   単位: TWh
中国 10,087
アメリカ合衆国 4,574
インド 2,016
ロシア 1,192
日本 1,012
ブラジル 751
カナダ 620
韓国 615
フランス 568
ドイツ 498
 (注) 1TW(1テラワット)とは、 1TW=1000GW=103GW=106MW=109KW=10億kW

 果たして、中国のこの一大プロジェクトは成功するだろうか?
・マンション建設や新幹線(鉄道)建設等の二の舞(過剰投資)にならないか?
・この巨大ダムは、世界の気候、住民の生活に悪影響を与えないか?
・周辺地域は巨大地震の巣がある地域なので、地震によりダム決壊等の事故が起きないか?
 起きれば被害は天文学的数字になる。中国;チベット自治区に留まらず、周辺国に大きな被害を与える。
・大河を堰き止めることで流水量の変化を来し、下流域に大きな被害をもたらす。

中国は三峡ダムの成功を基に、今回のダム建設を進めるようだが、今後の推移を注視して行きたい。
 





2025年7月5日(土)
これで分かった! トランプ大統領の関税政策の誤り

  トランプ大統領が就任後、彼はアメリカの諸政策を次々と変更し、世界との約束や協定を変える政策を次々と実行しつつある。その急激な変化に対し、世界が驚愕している。

 その中でも、特に世界の貿易に大きな影響を与える関税率の見直しがある。トランプ大統領は、『アメリカは今まで世界に搾取されてきた。貿易赤字を垂れ流してきた。これを改めて、輸出入の均衡を図る』という言い分で、各国に対しアメリカの輸入関税率を変更し、貿易収支をバランスさせるという。それによりアメリカの製造業を復活させると言っている。これにより『MAGA(Make America Great Again)と名付け、赤い野球帽子を被ってテレビに登場している。
  
 
 果たして、貿易収支のバランスをとるため輸入に高関税をかけることで、アメリカの製造業が復活ができるのだろうか?という疑問を抱いている。関税率を上げることで貿易赤字を解消するということだが、果たしてそんな安易な問題なのだろうか? 
 
 現状のアメリカを見ると、デジタルテクノロジーや、ITテクノロジー,AIなど最先端技術分野では世界を圧倒するゆるぎない地位にあり、GAFAM(Google,Apple,Facebook,Amazon,Micrsoft)NVIDIAなど先端テクノロジー業界において圧倒的に巨大な影響力を持つ大手企業が隆々と世界中で利用されるサービス、製品を提供し、オンライン検索、モバイルデバイス、ソーシャルメディア、電子商取引、クラウドサービス、AIなどの分野でリーダーシップを築いている。その他多くの先端技術分野で世界を圧倒しています。これらの分野で、圧倒的な巨額の収益を稼いでいます
 そういう中で、旧来の製造業、例えば鉄鋼、造船、自動車、機械加工などは次第に競争力を失い、世界のリーダから退場しつつあります。
 トランプ大統領は、この事実を見定めないで、『あらゆる製造業を数十年昔の良きアメリカに戻したい』という考えのようです。これには何か齟齬を感じます。

 その齟齬(違和感)が何か? バクっと理解していましたが、明確な要因は何か分からずにいました。
東洋経済誌に、野口悠紀雄先生の記事が掲載されていました。それを読んで、『ああ、そういうことか』と分かりましたので、紹介します。 以下記事の要約
『iPhoneの生産をアメリカに移すことで、貿易の赤字縮小ができる』という大誤解  トランプ大統領が間違えるのは無理もないこと。 
 国際貿易統計の“欠落”
に課題

 iPhoneに高関税かけても効果は限定的 ファブレス製造業の実態反映しない国際収支統計 トランプ・アメリカ大統領は、『iPhoneの生産をアメリカに移せ』と主張している。そうすればアメリカで雇用が生まれ、所得が生まれる。そしてアメリカの製造業が復活するという。

 実際には
iPhoneは中国などで組み立てられており、それをアメリカが輸入している。このため、アメリカの貿易赤字が膨らんでいる。こうした現状を変えるため、iPhoneの輸入に関税を課すと言っている。しかし、この考えは全く間違いだ。それだけでなく破壊的だ

 仮にそのようなことを行えば、アメリカの豊かさは大きく損なわれるだろう。iPhoneという製品の価値がどのような段階を経て生み出されるかを見ると、付加価値の生産は、Appleの本社での設計と台湾メーカーが担う半導体の受託製造で多くが生み出される。中国で行われている組立て工程をアメリカに移したところで、アメリカ内の付加価値生産は数%程度増えるだけだ。

 だが現在の国際収支統計は、いわゆる「ファブレス製造業」の設計や受託生産はアメリカの輸出には計上されない仕組みになっている。現在の先端的な経済活動の実態を反映しておらず、iPhoneの輸入に高率関税をかけてiPhoneの生産プロセスを破壊したとすれば、iPhoneの付加価値を生産する全活動が成立しなくなるかもしれない。これはアメリカに極めて大きな損失を与えるだろう。

 価値のほとんどはアメリカの設計段階で生まれる
 中国の製造で生まれる付加価値は4%未満にすぎない

 この問題を考えるために、付加価値の生産という観点から考えよう。
最初の段階はiPhoneの設計だ。特に重要なのはiPhoneの頭脳に当たるロジック半導体の設計だ。
この過程はアメリカにある
Appleの本社で行われる。これによって生産される価値をVAと書くことにしよう。次の過程は、ロジック半導体の製造だ。これはAppleの設計に基づいて台湾の半導体受託製造会社(ファウンドリー)であるTSMCが行うここで付け加えられる価値をVSと書くことにしよう。ロジック半導体の価値は、VAVSになる。
 さらに、さまざまな部品(例えばカメラやメモリなど)が、日本や韓国を含むさまざまな国で生産される。ここで付け加えられる付加価値をVJと書くことにしよう。
 次に登場するのが、台湾の受託製造企業ホンハイだ。同社は、以上で生産された半導体や部品を用いて、中国などにある組み立て工場で最終製品に組み立てるここで付け加えられる付加価値をVCと書くことにしよう。したがって、完成したiPhoneは、VAVSVJVC全体価値(VTを持つことになる。
 完成したiPhoneは、アメリカなどの各国に輸出される。全輸出中のアメリカの比重をαとすれば、アメリカはα×VTの価値のiPhoneを中国などから輸入していることになる。

各段階で付け加えられた付加価値は、VTの中でどの程度の比重を占めているのだろうか?  ある研究は次のように結論している。
1)中国からアメリカへのiPhoneの輸出のうち、実際に中国で生産された付加価値VCVT4%未満にすぎない。
2)アメリカが付け加えた設計段階の付加価値VAiPhone販売価格の30%以上を占めるが、これは貿易黒字として計上されていない

 他にもさまざまな実証分析が行われているが、多くの研究が、VAの比率が3割から4割であるのに対してVCの比率は数%にすぎないとしている。

 iPhoneの生産プロセスを破壊すれば付加価値を生産する全活動が成立しなくなる
 Appleがアメリカ国内で生産している価値が極めて巨大であることは時価総額を見ても明らかだ。Appleの時価総額は2.9兆ドル程度だ(20256月中旬)。これは、日本のプライム市場の時価総額合計(954兆円、1ドル=145円で6.6兆ドル)の約44%に相当する巨額なものだ。
 また、Appleが設計した半導体を生産している台湾のTSMCの時価総額もかなり大きい1.1兆ドル程度であり、日本のどの企業の時価総額より大きい(トヨタの2236億ドルの5.1倍)。これは、高性能半導体を製造する作業が極めて高度なものであることを反映している。

 これに対して、中国やインドなどで行われている最終組み立て工程は不可欠ではあるが、半導体の設計や製造に比べれば、それほど難度が高いものではない。
 普通の組立て工員でも、一定の訓練を経れば行えるだろう。そうであれば、この段階での付加価値がそれほど巨大なものにならないのも当然のことだ。だから、仮にiPhoneの最終組み立て工程を中国などからアメリカに移したとしても、それによってアメリカでの付加価値(労働者の賃金と企業利益など)は、iPhoneの価値の数%分しか増えないことになる。これはほとんど無視し得るものだろう。
それに対して、仮にiPhoneの輸入に高率関税をかけて、現在のiPhoneの生産プロセスを破壊したとすれば、iPhoneの付加価値を生産する全活動が成立しなくなるかもしれない。つまりAppleという企業が成り立たなくなるかもしれない。 これは計り知れない損失を期たす。

受託生産契約は国際収支に記録されず  新しい統計作成の試みはあるが

 以上は、明々白々のことであるにもかかわらずトランプ氏がiPhoneの国内生産にこだわる一つの理由はファブレス製造業の経営実態が国際収支統計には適切に表れていないこと

 国際収支統計に表れているのは、中国で生産されたiPhoneがアメリカに輸入されるという取引だ。それに対して、その他の取引はほとんど国際統計には表れない
 特に重要なのは
VAの部分だ。仮にこれに関する現実の取引が、Appleがその生産した無形資産をTSMCに販売するという形で行われるのであれば、アメリカから台湾に無形資産の譲渡が行われることとなり、国際収支のサービス取引に反映されるだろう。

 しかし実際には、AppleTSMCが受託生産契約を結ぶという形で行われている。このため、国際収支統計には記録が残らない。ホンハイが行っているのも受託契約に基づく取引であり同じような問題がある。
 結局のところ、以上の取引で国際収支統計に反映されるのは、中国などからアメリカなどにVTだけのiPhone製品の輸出が行われたということだけだ。したがって、アメリカの貿易収支の赤字が増大することになる
 このため、「iPhoneの海外生産は望ましくない」とトランプ氏が考えることになるのだ。

 結局のところ問題は、国際収支統計がiPhone生産という先端的な経済活動の実態を適切に捉えていないことだ。先端的な経済活動とは、繰り返せば、次のような特徴を持つものだ(こうした特徴を持つ製造業はファブレス製造業と呼ばれる)。

1.最終製品までのプロセスで、さまざまな国が関与する。
2.最終製品の価値の中で、設計の価値が高い。

 この問題はiPhoneに限ったものではない。例えば、NVIDIAなどが設計した半導体の製品も国際的な受託生産によって行われているので、同じ問題を持っている。

 アメリカの経常収支赤字が拡大していることがしばしば問題とされるが、その大きな原因は、ファブレス化の進展である可能性がある。そうであれば、経常収支赤字拡大は、アメリカ経済劣化の結果ではなく、高度化の結果だということになる。
 こうした状況を背景に、いくつかの国際機関で国際収支統計を実態に合わせたものにする努力が行われている。例えば、OECDWTOが、TiVATrade in Value Added)という統計を作っている。しかし、正確な統計のためにはさまざまな制度上の制約があり、なかなかうまく進んでいない。

トランプ氏のような誤解が生じるのも、ある意味ではやむを得ないと言えるかもしれない。

(一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)


 トランプ大統領の『アメリカ国内製造業を復活したい』という強い思いは理解できても、世界はお互いの貿易、協業で成り立っているという実態を無視し、『自分だけが良くくなりたい』という独善的な考えには組しがたい。

 高度な技術商品の製造は、優れた設計と優れた部品や材料、生産技術で成り立っている。アメリカでそのすべてを自前で満たすことは不可能だ。アメリカでiPhoneの製造を行う場合、先端半導体、先端部品、その他材料の調達が必要になり、国内で賄えないものは輸入することになる。
今回のような関税引き上げにより、互いの輸出入品に対し高い関税を掛けると、輸入部材のコストが上がり製造原価が上り、製品価格が高くなる。そうなればユーザが買い控え、販売が滞り、企業として成り立たなくなるかも知れない。
 特に、野口先生が言われるファブレス製造業の商品はそういう多くの企業が互いの連携で成り立っている。トランプはそのことをよく理解しなければ、アメリカが崩壊に向かうかもしれない。

 現在のアメリカは世界NO.1の経済大国を維持しているが、ITやデジタルに代表される分野で富の集中化が極端に進み世界的な大富豪が増えている。一方、一般国民は収入の伸び率が低いままで富の格差が開き過ぎていることは事実だろう。要は極端な二極分化が著しく進んでいる。問題は大多数の低中間層が旧来の製造業や農業に従事し、以前のように豊かな暮らしができなくなったという課題に直面している。
共和党党首として、そういう中間層を取り込みたい発想のもとに、MAGAを発信し続けている。

 直近のニュースでは「トランプ減税法案」が上下両院を通過し、大統領のサインを残すだけとなっているが、この法案も、両刃の剣の要素を含んでいる。減税は国民にとって喜ばしいことだが、一方で国家財源減収になり、社会福祉や医療費負担などが削られる。これは国民にとっては不安材料だ。

 何事につけ、あらゆる取り組みは、『光と影』が併存する。その両面をバランスよく舵取りするのが名政治家なのだろう。

 日本はアメリカの後を追いかけてきた。
身近なところでも、近辺に工場が無くなり、商業施設がやたらと増えている。一面結構なことだが、どこで付加価値を確保しているのか、時々不審に思うことがある。サービス業が発展して、生活は大変便利になったが、働くことで何か付加価値を上げなければ、経済は発展しなくなる。

 アメリカは、日本の先を走っているので、そういう状況の中でいろんな課題が生じているのだろう。





2025年2月25日(火)
冷凍庫が冷えない! 新品なのにどうして? そのわけは?

  我が家には2台の冷蔵庫があり、大型はキッチンに置いている。2台目は小型で物干し場(屋外)に置いて食料品収納庫代わりに使ってきた。この小型(140L)冷蔵庫が寿命が来て冷えなくなったので取り換えた。今回は、P社の一回り大きい170Lの2ドアー冷凍冷蔵庫にした。 下の写真参照
 これはどうやら、ワンルームマンション、単身者または夫婦2人(小家族)をターゲットにした商品のようだ。
動作音が静かで省エネを売り文句にしている。

 配達されたので、さっそく食品を入れて翌日、冷凍庫内の冷凍餃子に触れると、フニャフニャの状態になっている。これはダメだと思い、庫内に温度計を入れて見ると、0℃~-5℃位を上下していて冷凍庫内温度である-18℃~-20℃前後まで下がらないことが分かった。

 配達、設置時に、運送業者から「冷凍庫内が十分冷えるのに数時間から24時間程度かかります」と言われていたので、『未だ冷え切っていないのか』と思って待っていたが、一向に冷凍温度に下がらない。
 ちなみに、外気温度は5℃~7℃という寒い日が続いていた

 

 買う際に、店員から聞かされたことが気になった。「保証期間内の不具合はメーカサービスに電話かメールで連絡して下さい。店の方では対応しかねます」という話だった。
 昔と違って、販売と修理・サービスは分かれているので、店に修理を頼んでもメーカのサービスが対応するような仕組みになっている。

 そこで、P社の冷蔵庫サービス部門に電話連絡した。コールセンターが繋がりにくく、十数分、待たされた。やっとつながり、症状を話し、サービスマンを手配してもらい、サービスマンに現物を見てもらった。
 
 現場の確認、庫内の確認、冷凍庫のカバーを外して放熱板の冷え具合を確認したが、冷え方が鈍いようなので、制御基板(電子回路基板)を交換してもらった。異常を知らせるランプは点いていないので、これで大丈夫ということで元の状態に戻し、修理完了となった。修理確認後、タブレットに署名した。
 最近、『確認』は紙面でなく、タブレット端末に署名するようになっている。

 その後、相変わらず寒い日が続いていた冷凍庫内温度は以前と同様に-5℃前後より下がらない状態が続いたので、再度、メーカのサービスに電話した。前回同様にコールセンターが混んでいて、『只今、5人待ちです』という味気ない女性の合成音声のアナウンスが聞こえた。ここは辛抱強く待つしかないので、電話を切らずに待っていた。
 やっと、順番が回ってきた。その時は少々気が荒だっていたが、気を静めて、「一昨日、修理してもらったが直ってないので、再度、見てくれ」と伝えた。
 
 2回目のサービスマンは名刺を見ると技術員/ベテランの様だった。前回の修理状況を話すと置き場所、庫内などざっと見て、即、「商品の入れ替えをさせて頂きます」ということになった。翌日、配達できるという話だったので了解した。

 翌日9時に配達業者からケイタイに連絡があり、直ぐ伺うということだった。貨物車から1人で冷蔵庫を運搬するという。小型冷蔵庫だが、重量は38kgある。パッキンのままで、紐に手をかけて担いで運んだ。新品冷蔵庫に取替てもらったので、これで大丈夫だろうと思った。

 その後、通電して冷えるのを待っていた。外気温は相変わらず5℃~7℃位の冷え込みが続いていた
翌朝、冷凍庫内の温度計を見ると、あれ! 相変わらず-5℃になっている。なぜ??
 
 商品は新品に交換してもらったので、2台続けて不良は非常に考えにくい。何故だろう?
そこで、ネットで、『冷えない冷凍庫』などで検索してみた。同様の内容で手掛かりがないか?
 それらしき記事を見つけた。T社の冷蔵庫の取説に『外気温が低い屋外の使用時は十分冷えないことがあります。その場合は、室内に設置場所を変えて下さい』というような文面を見つけた。
 これだ! と気づいた。

 最近の冷蔵庫は、静音化と省エネのため、インバーターでモータの回転数制御をしている。これはエアコンも全く同じだ。コンピュータ(CPU)で外気温や庫内温度等を検知して、モータの回転数を制御し、コンプレサーの冷媒圧力を最適化する制御している。以前のサーミスタで庫内温度を検知し電源をON/OFFする方式から制御が進化している。これが原因らしいと分かった。

 冬場、外気温が特に低い状態では、コンプレッサーが強く働かないので冷えにくくなることがある。一応理解できるが、冷凍庫は冷凍温度を維持することが役割であり、外気温が低いから、冷蔵庫と同様な温度にしかならないのは、いかがなものか!と言いたい。
 
 メーカ各社の取説では、『室外に設置し、外気温が数℃以下の状態では冷凍温度が十分下がらないことがあります。その場合は冷蔵庫を室内に移動して設置して下さい』という意味のことを控えめに書いている。
 
 店頭で買う時に、『屋外(物干し場)に置く2ドアー冷蔵庫が欲しい』という話をして買う交渉を進めたので、まさか最近の冷蔵庫がそういうことになっているとは知らなかった。

 長年使い壊れたS社の2ドアー冷凍冷蔵庫はサーミスターで電源をON/OFFする簡単な制御方式だった。この冷蔵庫は夏冬に関わらず冷凍庫は十分冷えていた。これが常識だった。
 
 ちなみに夏場は物干しの屋根に日よけの網シートを張り、直射日光を遮蔽しています。冬場は冷えすぎるほど冷えないかと心配していたが、真逆の状態になった。

 今日はやっと春めいて来て、外気温が10℃を越えた。冷凍庫内温度が下がり、-15℃位になっている。

 商品を入れ替えてもらったが、結果論は前のモノも不良品ではなかった製造が中国製ということだったので先入観もあり、てっきり不良品だと疑ってしまった。
 
メーカに要望する。
 ①取説、販売ルート、セールスマンに、徹底してほしい
   外気温が5℃以下になる屋外では冷凍庫内温度(-18℃以下)にならないことが   ある。
 ②「屋外使用禁止」または「屋外使用時の注意事項」
 ③温度センサーの取付位置などを改善し、寒い場所でも使える冷凍庫を作る

 以上、初めての経験でした。
 冷えない冷蔵庫は夏場の問題だとばかり思っていましたが、見事に常識が破られました。





2025年2月13日(木)
『夫婦別姓』のもめごと?

 最近、大きな話題に上っている『夫婦別姓に賛成か、反対か』について、「あっ!そうだったのか!」という情報を得た。夫婦同姓で育った者にとっては、夫婦が別姓になるのは考えにくい。それは『夫婦は同姓が当たり前』だったことで、それに慣れてしまったことによる。

 他国では、夫婦別姓が当たり前なので、彼らから見れば、『日本は何をもめているのか?』不思議に思うだろう。何事も、慣れということで、それが当たり前になるそれが常識となる。逆にその当たり前から外れると、非常識となり落ち着かなくなる。夫婦同姓も夫婦別姓も、単なる思い込みに過ぎないことが分かった。
 
 2月13日、朝日新聞、朝刊の『天声人語』を読んで、“あっ!そうだったんか!”と気づかされた
以下、記事内容を参考にさせてもらうと、

 『明治事物起源』には、明治の初め、著者の父親が地域に住む人々に名字を付けてあげた。(当時の有識者だったのだろう。)沢山の人々に名字を付けてあげたので、もう案が浮かばない。そこで徳川家臣にあやかって、本多や井伊など拝借して名付けてあげた。その名字を付けてもらった人は「お咎めがないか?」と心配した。笑い話のようだ。同様なことが日本各地で起こった。

 きっかけは、明治政府による名字の義務化だった。
(それまでは、庶民は苗字がなかった)自今、必ず苗字を相謳うべし」というお触れ。150年前の今日、布告された。

 その後、「妻の苗字はどうするのか?」と地方から問い合わせがあった。政府の答えは「婦女、人に嫁するも、なお所生の氏を用うべき事」となった。女性は「結婚後も以前の姓を名乗るべし」、と公式に通知された。これは夫婦別姓ということ。夫婦別姓が改まったのは、その約20年後の明治民法からだ。

 夫婦同姓は約130年前に生まれた「創られた伝統」に過ぎない。にも拘らず、「選択的夫婦別姓の制度が実現すれば伝統的な家族観が損なわれる」と保守派が言うのはどうしてだろうか?
 自民党内では夫婦別姓に対する慎重派が多い。制度の導入は別姓を強制するものではない。様々な理由で別姓を求める夫婦がいる。その思いを受けとめるべきだろう。 結論を出す時だ!

 以上、天声人語の論調

 個人的には、夫婦同姓がよいと思ってきた。専業主婦が普通だった時代は余り問題はなかったと思う。
でも最近、女性が男性と同様に働き、大きな役割を果たしている。社会の大きな構造的変化が起きている。
 
 そういう変化の中で、結婚すると女性の姓が変わる夫婦同姓制度は、独身時代の職場などで女性の知名度がリセットされることになる。これは、女性にとっては不利、不当な扱いと言える。
 のびのびと活躍したい女性が増えてきた現在、男性と同様な立場で仕事ができる環境を作ることが大切だ。夫婦別姓はこうした社会の変化に対応した制度だと思う。そう考えれば納得がゆく。
 
 中には、結婚すれば同姓がいいという人は夫婦同姓を選べばいい。要は本人の選択に委ねることだ。
それが「選択的夫婦別姓」だと思う。

 一つ、議論を深める必要があるのは、「子供の姓」をどう扱うかだ。子供がどちらの姓を選ぶか、子供が大人になって自分で判断ができるようになった時(例えば18歳)、姓を再選択できるような余地を残す必要があるかどうか。この辺はよく考える必要がありそうだ。
 
 諸外国の事例
 

 物事には、ベストな解はなかなか存在しない。時代の変化に対応したベターな解を求めてゆくしかない。
 




2025年2月7日(金)
常識の逆転:『夜間電力料金が今や、割高に?

 東日本大震災による津波で、福島第一原発がメルトダウンした結果、全国の原子力発電所は一斉に稼働停止になり、安全点検が行われ、新安全基準に適合しなければ再稼働ができない状態になった。

 原発は絶対安全でなければ稼働させてはならない宿命がある。原発は発電所内の事故はもちろんのこと、発電所外で起きるいろんな事象(天災等)に対しても安全が保たなければならない。

 他の発電の仕組みとは全く異なりウラン原子の核分裂反応の熱を利用して、水を沸騰させ蒸気でタービンを回し、発電機を回す仕組みになっている。

 原子炉内は核分裂が連続して起きる臨界状態を維持するので巨大な熱と放射線を出す。これをうまく制御しながら稼働させなければならない。水力発電や火力発電や風力発電、太陽光発電などとは違った仕組みである。

 原子力発電は、一度、ウラン燃料棒を炉心に入れると1年間、燃料補給の必要はない。常に一定の電力を発電し続けることができる優れた特徴があるので、ベース電源となってきた。
 
 東日本大震災以前は、原子力発電所が国内に54か所あり、殆ど稼働していた(定期検査以外)ので、安定した電力供給が行われていた。当時は、「原発は安全だ!」という安全神話が生まれていた。
 
 電力系統は発電量と消費電力量が均衡した状態が一番安定している。そのどちらかが大きくなると電力系統は不安定に陥る。

消費電力(需要電力)は、一日の時間帯、また季節により大きく変化する
 ・は、一部の夜間仕事を除けば人の活動が停止するので、需要電力量は大きく下がる。
 ・夜明けから次第に消費電力量が増え、日中は最大になり、夕方から次第に減る傾向にある。
山型の電力消費の姿になる。

 日中の電力需要量を補うため火力発電が稼働し電力を補完する。水力発電も火力発電も同様に発電量の調節が容易なので、日中に発電量を増やし、電力調整を行ないながら電力需給バランスをとってきた。

 東日本大震災後、全国54か所の原発が停止し、その内、再稼働した原発は数か所しかない。その結果
全国の原子力発電量は全発電量の一割程度しかない状態が続いている。原発がベース電源としての役割を果たせていないのが現状だ。

 一方で、代替エネルギーとして自然エネルギーによる風力発電や太陽光発電が注目され、政府の補助金制度や、電力買取制度(FIT)が功を奏し、特に太陽光発電が急速に拡大してきた。その結果、注目すべきは日中の発電量が需要量を上回るようになってきた。(原発が殆ど停止しているにもかかわらず)
 
 特に、九州電力管内では、新築住宅の8割以上に太陽光パネルを設置しているので、日中は電気が余り、一部のパネルは発電しても送電線に接続しない電力カット問題が起きている。今までは考えられないような電力の需給関係になってきた。

 一方、夜間は太陽光発電は全く発電しないので、原子力発電か火力発電に頼ることになるが、原子力発電は殆ど止まっているので火力に頼ることになる。原油高騰の折から燃料代が高くなり発電コストを押し上げる。その結果、発電コストは、昼間が安く、夜間が高くなっている。
 このことは、従来の電気代の常識が逆転することになってきた

 従来は、ベース電源の原発のおかげで夜間の豊富な電気を活用するよう安く深夜電力料金を決めていた。夜間に給湯タンクの水を沸かして風呂等に使うことを推奨してきた。それが今や、夜間電気代が日中の電気代を上回る状況になり、深夜電力料金は上げる方向で動いている。
 
 既に深夜電力契約している人に対し、一気に新電力料金を課すわけにはゆかないので、徐々に料金改定を進めるようだ。

 電気は生ものなので、瞬時、瞬時の需給バランスをとらなければならない。そこで全国の電力需給を広域で平準化する策も考えられている。また、日中の余剰電力で給湯器の湯を沸かすことも考えられる。
さらに、大容量の電力バッテリーを送電網に組み入れたり、家庭用の電力バッテリーを設置して、コストが安い時間に充電し、戸々に電力コストを最安状態で使用するような取り組みも進んでいる。

 さらに、電力受給の平準化策として、各需要家(家庭など)のスマート電力計で、時々刻々と電力料金が変わるような新しいシステム、電力需要が最大発電量に近づけば電力料金が上がり、発電量が余った時は電力料金が下がる仕組みを導入することも計画されている。

 ■まとめ
 従来は『夜間は電気代が安く、日中は電気代が高い』という常識が、真逆になりつつあるという話。
 その原因は、
 ①原発の稼働停止が続いていること
 ②太陽光パネル発電が急速に拡大してきたこと(原発数十基分まで拡大してきた)
 ③家電商品の省エネ化や工場の電力消費が減ってきたこと




2025年1月16日(木)
あっという間に、小正月が過ぎました

 2025年の正月を迎え、このホームページの更新が遅れてしまいました。今日はもう小正月が過ぎ、正月気分もすっかりなくなりました。少し、振り返って、今年の正月の出来事を思い出して見たいと思います。

 元旦は早朝、近くの星田妙見宮にお参りしました。妙見山の裏手から登り、まず社務所で昨年の『お札』と『矢』を納めてから本殿(拝殿)にお参りします。星田妙見宮のご神体は大きな岩の塊です。
(下の写真の鳥居は、星田妙見宮の正面、帰りに撮ったものです)
 
 
 星田妙見宮の鳥居、お正月の門松、 屋台(いつものカステラ屋さん)

 
 参道にあるきれいに改装された社務所

 
 参道の天尊山(参道に石段を登る途中の休憩所)

 
 社務所 巫女さんが3人、お札や、矢や、お守り、おみくじを販売している

 
 星田妙見宮本殿、早朝なので参拝者は少なかった。

 
 星田妙見宮のご神体(岩)
 
 本殿(拝殿)左手に、『おもかる石』が置かれている。さらに左手には3つの小さな社が祀られている。
 今年一年の家内安全や健康などを祈ってきました。
 
 本殿の左に置かれた『おもかる石

 
 本殿の天井には、十二支を示す板が取りつけられている。

十二支とは、(ね)・(うし)・(とら)・卯(う)・(たつ)・(み)・(うま)・(ひつじ)・(さる)・酉(とり)・(いぬ)・(い)の12種

十二支の謂れ(ネット情報より)
 
十二支が動物に例えられて順番がついている由来とされる物語
十二支が動物で表される理由は、ある物語にあるといわれています。物語の内容について、細かい部分では諸説ありますが、一般的に知られているのは以下のようなものです。

 昔々、神様が動物たちに向けて「1月1日の朝に、神様のもとへ早くたどり着いた1番~12番目までの者を、一年交代でその年の大将にする」という旨のお触れを出しました。それを聞いた動物たちは皆、「我こそが1番になろう」と張り切ります。しかしネコは話を聞きそびれ、ネズミに聞いたところ「1月2日の朝」と言われます。さてウシは足が遅いので、誰よりも早く出発し、歩みを進めます。神様の家に着いたところ他に誰もおらず、自分が1番だと喜んでいたところ、ウシの背中にいたネズミがぴょんっと飛び出して1位を横取りしたため、ウシは2位となってしまいました。その後、トラ、ウサギ、タツ、ヘビ、ウマ、ヒツジと続きます。サルとイヌは最初は仲良く一緒に向かっていたのですが、途中でけんかになってしまいます。そこへトリが仲裁に入り、サル、トリ、イヌの順でゴールイン。そしてイノシシが12位でゴールし、十二支が決まったということです。
 なおネコがやって来たときには当然順番は決まった後だったので、それ以来ネコはネズミを恨み、追い回すようになったそうです。


 
 十二支と方位の関係 赤い矢印は拝殿の位置の方角を示している。
 
 お参りした後、石段を下り、再び社務所に戻って、新年の『お札』と『矢』を求めます。『お札』は『星田神社』と『荒神さん』の2枚です。『矢』は大・小があり例年どおり小さな方を買います。これが初詣の初日の慣わしになっています。
 元旦は穏やかな天気だったので、大勢の参拝者で賑わっていました。

 社務所前の広場から北摂方向の眺望
 
 ここは山腹なので、北摂方面がよく見渡せる位置にあります。第二京阪自動車道(高速道路)が東西に貫いていますが、高速道路は遮音壁で覆われチューブのようで、大きなヘビが横たわっている姿にも見えます。今年の干は、ヘビです。
 常時、沢山の自動車が走って要るので、この高速道は建設して大成功だったのではないかと思います。
  JR星田駅となりの巨大なマンション(シエリア星田) と、巨大な物流倉庫
 

 高速道路は交野市、星田地区の発展の原動力となっています。JR星田駅界隈は開発事業が進み、大きく発展しています。近くにインターチェンジができ、巨大物流倉庫が3棟建ち並び、物流拠点ができています。
 もう一つは、JR星田駅の直ぐ近くに関電不動産の巨大な高層マンション(シエリア星田)の建設が進んでいます。一棟は既に完成していますが、二棟目が工事中です。15階建で住居数は250軒余りと聞いています。 シエリア星田のホームページ  
    【公式】シエリアシティ星田駅前|関電不動産開発の新築分譲マンション

 以前、この周辺は田んぼが広がっていましたが、戸建住宅の建ち並び、駅に近く便利なので分譲がスムーズに進んでいるようです。さらに、商業施設として、スーパー(トップセンター、フレッシュバザール)、電気量販店(エディオン)、量販薬局(キリン堂)などが並び、以前の景色が大きく代わってきました。
 一方、星田駅南側は従来どおりで、狭く曲がりくねった旧道の両側に家が立ち並んでいます。JR線路を挟んで、新市街と旧市街がクッキリと別れてきました。

 星田駅北の開発が進んでいる一方、駅南側から約2km離れた山手に我が家があり、この付近でも新築住宅が立ち並び、にぎやかになってきました。地元の建設業者の野村工務店さんが一手に宅地造成と住宅建設を進めています。一昔前にはプレハブ住宅が目立った時もありましたが、最近は白い壁、小さな窓、ガルバリウム屋根が複雑に交差した洋風のカッコイイ木造住宅が多くなりました。我が家のような純和風木造は少なくなり、古い家だけになってしまいました。風景が大きく変化してきました。時の流れを感じます。

 お正月二日は、星田神社に初詣に行きました。家から歩いて片道15分程度のところにあります。こちらは、星田村中にあり、立派な社を構えた神社です。
 
 星田神社

 
 拝殿

 
 拝殿横の社務所、お札、矢、おみくじ、お守り等々が並んでいます。
 
 今年は本殿(拝殿)の左手、隣に建つ星田寺にもお参りしました。
 
 星田寺の山門

 
 星田寺の本堂、右手の伽藍は十一面観音堂
 山門に比べて、本堂の伽藍は小さく見えた。

 
 宗派は、真言宗三宅山

 
 『真言宗の教え』の石碑

この寺は、真言宗の寺です。
神社と同じ敷地に並んで建っているので、神仏混淆の元に建たれたのではないかと思います。
 ネットで調べると、

 しんぶつこんこう【神仏混淆】
 神道と仏教の二つの信仰を折衷し、融合・調和していること。 日本の神と仏教の仏菩薩は本来同体であるとする考えに基づき、両者を同じ場所にまつり、信仰すること 神仏習合ともいう。
奈良時代に始まり、中世の本地垂迹説神宮寺の流行を経て、明治の神仏分離政策により禁止された。
 
とある。同じ敷地(隣同士)なので、“珍しいな!”と以前から気になっていた。
 神社は人里離れた寂しい場所にあることが多い。そういう場所の方が「汚れていない」という感じがあった。ここ星田村は、神社も、お寺も、村中の人が住む場所にある。

 神仏混淆は神も仏も衆生を救うのことは同じだという表れでしょう。日本人の柔軟で融通無碍の考え方ですね。信仰や宗教の教理に対するこだわりをあまり意識しないという日本人独特の何でも取り込むという気質は、世界の人々には理解できないことだと思う。
 世界では、宗教の違い、宗派の違いで戦争が起き、殺し合いまでやっています。現在も続いています。

 さて、我が家の近くのガケ山の切り崩し工事は、正月休みが終わり、1月6日から工事が再開しました。
順調に工事は進んでいるようです。詳しくは、特設ページに掲載します。