2023年11月5日(日)
もうすぐ、蛍光灯(管)が買えなくなるわけは?

 家庭や工場や事務所の室内の照明は、蛍光灯が沢山使われている。それまで、長い間、電球が使われてきた。電球の歴史は大変長く、エジソンが初めて実用的な電球を発明したと言われている。エジソンが苦労したのは、電球の寿命であった。当時の電球は点けるとすぐに切れてしまった(約50時間程度)。いろんなフィラメントの材料を世界中から調達して研究したが、1879年、日本の竹(京都の石清水八幡宮の境内の真竹)の繊維が良いことが分かり、一気に寿命が1200時間に延びた。その後、さらに改良が進み、タングステンが数千度の高温に耐えることが分かり、フィラメントの材料に定着した。タングステンの融点は3300℃
 その後、電球寿命を延ばす研究が進み、真空にして、アルゴンガスなど不活性ガスを封入し、フィラメントの蒸発を押さえ、脆いタングステンの加工法も開発されコイルに巻き、さらにそれをコイル状に巻いた二重コイル電球となり、電球の技術開発は一段落した。

 電球は点灯すると、フィラメントの電気抵抗により発熱し、高温状態になり、発光するという単純な原理を使っている。高温になるのでガラス管に触れれば、やけどする危険がある。さらに、高温は周囲に光と同時に熱を放散するので、光源としては電力利用効率が低い。無駄な電気を食うことになる。

 そこで、電気抵抗を使う電球から、放電現象を利用して、消費電力を下げる蛍光灯が開発された。
蛍光灯でも、点灯時に管に触れると、少し熱く感じるが、電球のようにやけどはしない。
 蛍光灯は放電管の一種なので、点灯させるためには、点灯回路が必要になる。
 
 上図は、蛍光灯の点灯回路である。点灯動作する原理は、交流電源と書いた部分に、家庭用AC100Vをつなぎ、スイッチを入れると、まず、グロースタータ(一般にはグロー球)の接触していない電極間に電圧がかかる。グロー球内にはアルゴンガスを封入している。アルゴンの放電電圧は数十ボルト(60V程度)と低いので、青白い放電が開始される。この放電により、電極の温度が上がる。可動電極にはバイメタルという金属が使われていて、温度が上がると、曲がる性質がある。そのため、両電極がくっついて短絡する。
 短絡すると、蛍光ランプの電極(フィラメント)に電流が流れ、電極が熱せられる。フィラメントには温度が上がると、電子を放出する材料が塗られているので、大量の電子が両方の電極から放出される。この電極は交流で動作しているので、片方がプラス電位の時、反対側の電極はマイナス電位になっている。電子はマイナスの電荷をもっているので、プラス電極側に引き寄せられる。電流の向きが変われば、逆の電極側に電子が到達する。
 ここで、放電が始まるための工夫が一つ使われている。それが今回問題になっている水銀である。蛍光管内には、製造時に、1滴の水銀を封入している。
 水銀を封入しているわけは、管内は水銀から水銀蒸気で充満している。水銀蒸気により、両端の電極から放出された電子が水銀蒸気に当たると、アーク放電という放電現象が生じる。この水銀のアーク放電は通常、目に見えにくい光(紫外線)であり、直接、照明管には使えない。この紫外線が当たると、発光する蛍光塗料を管の内側に塗布している。このような現象を利用して、蛍光管が光を発する。蛍光灯には、昼光色昼白色電球色など色の見え方が違う(これを演色性という)種類の蛍光管が販売されている。これらは、管内に塗布している蛍光塗料の材料の調合の違いによるもの。
 蛍光管には、最近明るく見える3原色RGB蛍光管が販売されている。これは、カラーテレビにブラウン管を使っていた頃の名残で、光の3原色(R・G・B)赤・緑・青の光を発する蛍光塗料を調合して塗布していたので、発光効率が高く、モノによっては鮮やかに見える蛍光管だ。値段は普通の管より少し高い。
 
 さて、蛍光管のアーク放電が始まると、両方の電極間の電位(電圧)が急に下がるので、グロー球の電極にかかる電圧が下がり、グロー放電が停まる。グロー放電が停まれば、電極の温度が下がり、グロー管の可動電極は元の真っ直ぐな状態に戻り、両方の電極は開放状態に戻る。
 もう一つ、安定器という部品がある。これは電気部品としてはチョークコイルとも呼ばれる部品だ。
 トランスのように鉄心にコイルを巻いただけの単純な部品である。この安定器の役割は、蛍光管が点灯状態では、アーク放電の特徴である放電維持電圧が非常に低いので、安定器で電流を制限している。ここの安定器が無ければ、蛍光管には大きな電流が流れて破損してしまう。それを防ぐ働きをしている。
 もう一つの安定器の動作として、グロー管がチカチカ放電のON,OFFを繰り返すとき、コイルの誘導作用により高い電圧を瞬時に発生する特質を生かして、蛍光管の放電が成立するのを助ける作用もある。
 安定器には、常時電流が流れるので、幾分かの発熱が生じている。発熱がある部品は不要な電力を消耗する。そこで、最近の蛍光灯器具には、インバータ点灯回路という電子回路で省電力を図った器具が多く販売されるようになった。

 話を本題に戻そう!。
 蛍光管には、形状的には、直管(真っ直ぐな管)と、円形管(サークラインともいう)の二種類がある。
どちらも点灯原理は全く同じである。
管内に水銀を使っているので、「水俣条約」により、蛍光灯の製造販売を中止する動きが報道されている。

 11月5日朝日新聞・朝刊の記事
 水俣病の原因である水銀を包括的に規制する国際ルール「水俣条約」の締約国会議が3日までスイス・ジュネーブで開かれ、直管蛍光灯の製造と輸出入を2027年末で禁止することで合意した。環形蛍光灯などはすでに25年までと決まっており、家庭やオフイスで使われてきたすべての蛍光灯の製造が終わる見込みになった。

 常温で液体の水銀は、蛍光灯をはじめ、体温計電池などに広く使われたが、毒性も強く、水銀を原因物質とする水俣病の被害も起きた。健康被害や環境汚染を防ぐため、13年に熊本市で条約が採択され、17年に発効。現在147カ国地域が加盟している。会議に参加した米国のNGO「クラスプ」によると、禁上の年限について、一部の国は30年などの遅い時期を求めたが、すでに利用可能な代替品があることなどを考慮し、27年で合意したという。年限をめぐっては、欧州連合(EU)などが25年を求め、日本などは27年以降を主張していた。条約の対象は製造などで、在庫の販売や今あるものを引き続き使うことはできる。国内では直管は一部の企業が製造している。一方、蛍光灯からエネルギー効率の良いLEDへの転換が進むことで脱炭素の効果も期待できる。クラスプは、27年までにLEDに転換できれば、世界で50年までに累積2.7ギガトンの二酸化炭素削減が可能と試算している。


 LEDの発光効率が改善され、演色性もよくなり、価格も安くなり、寿命が長くなり、水銀汚染問題の解消、省電力による炭酸ガス削減効果など、良いこと尽くめの効果が期待できる。
 技術の進化は、果てしなく続く!





2023年11月1日(水)
年賀状の準備の時期が近づいてきました! 
プリンターインク代に困っていませんか?

プリンターメーカの回し者ではありません。素直なユーザの声です!

 パソコンが盛んに使われるようになり、加えて、スマホやデジカメで撮った写真をハガキやプリント用紙や、その他、いろんな用紙にインクジェットプリンターで行なうことが増えてきました。

最近まで、写真をいかにきれいに印刷するか、印刷品質の競争がセールスポイントになっていました。カラー印刷では、基本的に、インクはC・M・Y(青・赤、黄)の3色と、BK(黒)4色のインクを使っています。
C・M・Yカラーに中間色のインクを加え、6色のインクを使うプリンターが登場しました。そのおかげで、カラー印刷が大変きれいにできるようになりました。

 一方でインク代がバカにならず、あっという間にインクタンクが空になり、インクタンクの交換をたびたび行う必要がありました。純正インク代がなぜか高価なので、『メーカはプリンター(ハード)そのものは安く販売して、インク代(ソフト)で儲けている』という話まで巷では言われていました。

 プリントした時のきれいさや、カラーの色表現はプリンターヘッドのドットの細かさに依ります。最近は安い機種でも、ドット数が多くなりましたので、各社で大きな印刷品質の差がなくなりました。

 純正インク代は各社とも値段が高く、安い互換インクも販売されていますが、プリンターヘッドの目詰まり等、トラブルが生じた場合、補償期間内でも無償修理はありません。このヘッドが1万円以上と非常に高いので、互換インクの使用も躊躇しますが、割り切って使ったこともあります。

 詰め替えインクはタンクにインクを注入するという作業が要ります。うまくやらないと、インクが手に着くと洗剤で洗ってもなかなか落ちませんので、ゴム手袋をはめて、慎重に作業するという厄介なことでした。
 また、詰め替えインクを補充しても、インクの残量表示がされなかったり、何回もヘッドクリーニング動作が繰り返されたり、メーカがユーザに嫌がらせをしているような印象を受けました。
 この安い互換インクの件で、純正インクのタンクを流用して中身を補充して販売したり、インクタンクの形状を同一にして、安く販売していましたので、大手プリンターメーカは、訴訟を起こして、互換インクの販売中止を争ったりしました。

 最近、やっとユーザの声が届いたようで、満足できるプリンターが販売されるようになりました。
先陣を切ったのは、キヤノンだと思うのですが、間違っていたらごめんなさい!。

 『ギガタンク搭載』プリンターの一例です。 現在使用中のプリンター

 

 

 メーカは、大量の印刷をするユーザ向けという触れ込みですが、大きなインクタンクには今までの数倍以上のインクが入っていますので、インクを気にしないで、ドンドンカラーも白黒も印刷できます。

 しかも有り難いことに、この大量印刷タイプのプリンターの価格は高くありません。
キヤノンの宣伝をするつもりはありませんが、他のメーカ(エプソンなど)も同様な大型タンクを搭載した機種が販売されています。

 今使っているプリンターは、CANON G3360です。これは、3色カラーギガタンクとクロのギガタンク、計4個のギガタンクを搭載しています。CANONは、大型タンクをギガタンクと呼んでいます。
 プリンターヘッドは、4800×1200dpiですので、高精細印刷ができます。ただし、主観ですが、カラー印刷の場合は、以前の6色インクタイプと比べると、色の表現は明らかに落ちます。少しカラーの色の乗りも悪いようです。普通に見る範囲では、このレベルで十分だと、思います。

 その他の機能は、カラースキャナーWiFi接続ができます。

 値段は、30000円少々という価格ですので、これから、年賀状の印刷など、大量のカラー印刷する場合は非常に安くできます。
 
 プリンターメーカは、従来の多機能、高品質カラー印刷タイプの機種と、大量印刷向けのギガタンクを搭載した機種の両方を販売していますので、使用目的に合わせて買えばいいと思います。

 最近、コンビニでもSDカードを持参すれば、きれいなカラー写真がプリントできるようになりました。カメラ店や、他のプリン業者もたくさんありますので、大判の写真をプリントしたりもでき、便利になりました。



2023年10月19日(木)
ホンダジェットが「ライトカテゴリー」に進出!

 2023年10月17日Hondaニュース リリースによると、ホンダジェットは、現在、販売中のベリーライトジェットカテゴリーHonda EliteⅡ」に加えて、1ランク大型のライトジェットカテゴリーに進出すると発表した。この新型機は「HondaJet Echelon(エシュロン)」と命名され、 2026年の初テスト飛行、続いて2028年に製品化を目指すとされている。

 Hondaの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(Honda Aircraft Company 以下、HACI)は、10月17日から19日まで米国ネバダ州ラスベガスにて開催されている世界最大のビジネス航空機ショー、2023 ビジネス アビエーション コンベンション アンド エキシビション(2023 NBAA-BACE)に新型小型ビジネスジェット機の名称「HondaJet Echelon(ホンダジェット・エシュロン)」を発表しました。
 会場では、HondaJet Echelonのモックアップモデルと現在販売しているHondaJet EliteⅡを展示し、HACIとして初めて2モデルの製品ラインアップを紹介する機会となりました。また、HACIはHondaJet Echelonの2028年の型式証明取得に向けた計画として、2026年の初飛行を目指し、今後開発を進める。

HondaJet Echelon(飛行イメージ)

HondaJet Echelon(飛行イメージ)

 HondaJet Echelonは、あらゆる面で移動効率を高め、ライトジェット機より上位カテゴリーと同等レベルの飛行体験を提供します。Honda独自の技術である主翼上面エンジン配置自然層流翼型ノーズコンポジット胴体をさらに進化させることで、乗員・乗客合わせて最大11名が搭乗できます。また、競合のライトジェット機より20%、上位カテゴリーの中型ジェット機に対しては40%以上燃費を向上させることで、ライトジェット機として世界で初めてノンストップでのアメリカ大陸横断を可能とします。客室においては、長距離飛行にも適した広いキャビン空間優れた静粛性を実現し、快適で高効率な移動によるプレミアムなオーナーシップ体験を提供します。

 名前の由来:「Echelon」とは「梯形編隊飛行」を意味し、航空機では高効率な空力性能を実現する飛行パターンとして、燃費や二酸化炭素排出量削減などに効果があると言われており、HondaJetの特長を表しています。また、同時にフランス語で梯子の“段”の意味もあり、現在ではプレミアムカテゴリーを指す言葉として使われることから、HondaJetブランドの最上級モデルという意味を込めて命名されました。

EliteⅡとEchelonの比較表

項 目  EliteⅡ  Echelon
 カテゴリー  べリーライトジェット  ライトジェット
 最大離陸重量  10,000ポンド(4,540kg)未満  12,500ポンド(5,675kg)以上
 最大巡行速度  782km/h  834km/h
 最大運用高度  13,106m  14、326m
 運行距離  2,661km  4,862km
 機体全長  12.99m  17.62m
 機体翼幅  12.12m  17.29m
 機体全高  4.54m  4.84m
 室内全長  5.43m  7.74m
 室内全幅  1.52m  1.55m
 室内全高  1.47m  1.59m
 最大乗員数  1+7名 または 2+6名 1+10名 または 2+9名 

 この記事を読んで、三菱航空機 MRJが型式認定を取る見通しがつかず頓挫し、数千億円の開発費を無駄にして、ジェット旅客機の市場から撤退したという話を思い出した。クリックしてご覧ください。

 ホンダジェットは、型式認定をスムーズに取得するために、ホンダエアークラフトカンパニーを当初からアメリカに設立して開発を進めてきた。その結果、厳しい型式認定をうまくクリアし、Honda jet Elite2 はこのカテゴリーで断トツNO.1セールをキープしている。その勢いを生かして、次の一段大きいカテゴリーであるライトジェット分野に乗り出すことになった。
 資料を見て、最高飛行高度Elite2 が13,106mとなっていたが、Echelonは14,326mとなっている。大型ジェット旅客機が国際線を飛行する際は、11,000mから12,000mぐらいなので、それより2000mも高い高度を飛行することができることだ。高度が高くなれば、空気が薄くなり機体への空気抵抗が減り、燃費が少なくなる。一方で、気圧が低くなり、地上と飛行中の気圧差が大きく、機体は厳しく膨張・収縮を繰り返すことになる。そういう技術的な課題もクリアーしているようだ。
 最も、Hondajetは機体がカーボンファイバーの複合材で造られているので、軽くて強度が高いのだろう。

 MRJの旅客機製造からの撤退とHondajetの大成功を見ると、商売で成功するかどうかは、技術力だけではなく、うまく開発・生産体制を求められる環境下に設置することがいかに重要であるかが分かる事例だ。





2023年10月18日(水)

トヨタ工場のラインストップについて

  新聞によると、トヨタのいくつかの工場の製造ラインがストップしたようだ! 世界のトヨタの工場のラインが止まったという話だ! 一体何があったのだろう?

 実は、車に使う部品、今回はバネが間に合わなくなったからのようだ。車にはいろんなバネが使われているので、どのバネか分からないが、その原因はバネの仕入れ先の工場がトラブルで、必要なバネが入ってこなくなったという話だ!

 ここで、疑問を感じる人も多いはずだ。車には約4万点の部品が使われている。(余計なことだが、EVになれば1万点ぐらいになるらしい。)その内の一つがバネになる。いろんなバネが使われているので、バネだけで数百点以上になると思う。

 車を支える主力のバネ類
 

 新聞報道によると、
 バネの供給元である『中央発条』の工場で、爆発・火災が発生し一部のバネの生産が停止した。この影響を受け、2023年10月17日現在、トヨタ自動車の車両を組み立てる6つの工場が影響を受け、10本の生産ラインが稼働を止めている。
 バネの生産を停止しているのは、中央発条の藤岡工場の第4工場(愛知県豊田市)。
この内、材料であるバネ鋼に1次加工を施す中の「熱処理工程」で、10月16日12時15分頃に爆発・火災が起き、乾燥炉と建屋の一部が損傷しているという。
 これにより、自動車用バネの出荷が止まり、同年10月16日にトヨタ車体の吉原工場(同市)と富士松工場
(愛知県刈谷市)の2工場の3ラインが、2直(夕方以降)から稼働を停止した。
 翌17日からは同社のいなべ工場(三重県いなべ市)と、トヨタ自動車の高岡工場(豊田市)、堤工場(同)の全ライン、および1ラインを除く豊田自動織機の長草工場(愛知県大府市)のラインも1直から稼働を止めている。
 中央発条によれば、トヨタグループ以外にも自動車向けにバネ部品を供給しているが、他の自動車メーカへの影響は分からないという。ただし、中央発条は11工場を有しており、他の工場は稼働中。第4工場を経なくても、今回出荷が止まったバネ部品を造れるため、他の工場での代替生産も検討するという。
 トヨタ車のラインの再開時期については「本日(同年10月17日)午後に判断し、夕方頃に決まる」という。


 ここで、ふと気が付いたことがある。トヨタ自動車は、“Just in time”という『生産ラインに必要な分だけ部品をラインに供給し、余剰の部品在庫は持たない』という方針を貫いてきた。余剰の部品を持つこと、即ち部品在庫を持つことは、置き場所をとり、不要なコストがかかる。その在庫ロスコストを削減するため、綿密な計画をたてて、計画どおりに必要量だけ納品するよう部品のサプライヤー(協力会社)に要求してきた。そのことは究極の無駄を無くす生産管理手法として、自動車だけでなく、製造各社が見習ってきたことである。いわゆる「部品在庫ゼロ作戦だ

 今回は、その“Just in time”の取り組みが、アダになり、バネという部品不足で、車の製造ラインが止まるというハプニングにつながった。言い換えれば“Just in time”がアキレスけんになった。

 いつも思うことだが、「世の中はいいこと尽くめではない、いいことがあれば、必ずその反面も起きる」という二律相反の関係があるということの事例だと思う。
 いいことであっても、必ずその反面の出来事が起きる。その時に、大事に至らないように手当をすることが大切だということを知った。
 今回のトヨタの工場のラインストップがどれほどの被害につながるか分からないが、世界のトヨタなので、大きな損害にはならないと思う。しかし、この出来事で、納車を待っているユーザは、手元に予定どおり車が届かないはずだ。そういう事態が起きないように、メーカは2重・3重に対策を打っている。それでもこういうことが起きる。

 モノを造るということは、部品と作業で成り立っている。最近はそれらをコンピュータでコントロールしている。このコンピュータシステムが何かのトラブルで停止すれば、部品の調達や作業の進捗管理等のあらゆる管理が停止する。そういうトラブルは大トラブルに発展する可能性が大きい。
 高度で複雑な生産システムによることが大きい製造ラインでは、システム管理が非常に重要な要素になっている。
 今回のバネという部品の入手が停まったという事故は単純な要因であり、復帰が早くできるはずだ。
トヨタのいくつかの製造ラインストップのニュースを読んで、感じたことをまとめてみた。
 10月19日も引き続いて止まるようだ。





2024年8月4日(日) 追記
2023年10月14日(土)

人類700万年の進化

人類学の進歩が著しい。
 人類学は20世紀まで化石の収集による各部位の形状分析が主体であった。その化石は体全体が採集されることは極めてまれで、しかもバラバラの状態で発見されるのが普通であった。
 そういうわずかな化石を収集して、体全体像を復元することは、実物と一致しているかどうかも危ういことであった。しかし、多くの資料を基に復元することは、ある程度、信憑性が担保できる。それが従来の古代人類学であった。

20世紀に入って、DNA解析手法が進歩し、人ゲノムが完全に解析されるようになった。その結果、化石に極微量残っているDNAを抽出し、古代人遺伝子分析が可能になった。
 ミトコンドリアDNA分析法は、16,500個ATGC塩基配列を解析できた。その後2006年に開発された次世代シークエンサー法30億個のATGC塩基配列が読めるようになり、これにより、従来の100万倍の遺伝子データを取得できるようになった。

 化石に残っている極わずかなDNAの断片(4つのATGC塩基部分)からそれを抽出し、現在人のゲノム配列のどの部分に相当するか、またはどの部分が違い、どの部分が一致しているかをAIなどの大量情報解析システム技術を駆使することで、太古の化石からその人類の特徴が科学的に分析できるようになった。
これにより、70万年~100万年前の人類のDNAが読めるようになった。何万年、何十万年以前の年代測定は炭素年代測定法に依る。それ以前の時代の化石は見つかっていないので解析ができない。

 従来の化石による見た目での分析手法では分からなかった人類の移動、進化の姿が科学的根拠をもって知ることができるようになった。これは人類史上、非常に革新的な出来事である。


 

 猿人、原人、旧人、新人(ホモサピエンス)に至る人類の進化の様子も次第に解析できるようになった。
その結果、アフリカで人類が発生し、その後、約100万年前から、次第に世界各地に拡散して住むようになり、各地で古代文明を展開した。上図は人類の分岐図

 

 『猿人、原人、旧人は新人に至る間になぜ絶滅したのか?』という疑問に対し、以前の考古学(化石の分析による考古学)では説明がつかなかった。ゲノム分析ができるようになり、ネアンデルタール人やデニソワ人等の旧人は、新人と互いに交配(交雑)して、古い人類の遺伝子を受け継ぎながら適応力の優れたホモサピエンスが生まれ、現在に至ることが分かってきた。

 私たち日本人のルーツも分かってきた。それによると、3つの集団が元になっている。
 

 日本の文化も、旧石器時代から現在まで下図のように考えられる
 

 今まで、日本史で旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代、・・・・という流れで学んできたが、もともと日本本土に住んでいた人(と言っても、元、日本列島はアジア大陸と陸続きだった)、沖縄本島、付近の島に住んでいた人、北海道に住んでいた人の融合で、現在の日本人が成り立っているという。
 (注)上の4枚の図は、Youtubeより
 興味のある方は、下記の新書または youtubeをご覧ください。
  ・ 『人類の起源』 篠田謙一氏著  中央公論新書  定価1056円(税込み)
  ・ https://www.youtube.com/watch?v=bw2pLH7v8Rw


 話を戻して、人類が他の動物と別れて、特別な進化を遂げた理由は、次の『直立二足歩行』に要因があることが分かってきた。

 以下、NewsWeek の興味ある記事を一部紹介する、
ヒトの直立二足歩行の謎をAI分析で解明、 「骨格のプロポーション」が鍵
 脚と脊椎を地面に対して垂直に立てて歩く「直立二足歩行」は、生物のうちヒト(人類)だけが行える。
最も古い人類は、今から700万年から600万年前にアフリカに現れた「猿人(えんじん)」と言われている。
脳の容量や知能はチンパンジーと変わらなかったと推測されるが、骨格化石や足跡化石から『直立二足歩行』していたことが明確に分かるので、最初の人類として分類されている。
その後、猿人、原人、旧人、新人(ホモサピエンス)と進化してきた。

■では、人類を人類たらしめている『直立二足歩行』は、なぜ可能になったのか?

  ヒトの骨格はどのように他の動物と異なる進化をしたのか?
 米テキサス大オースティン校などの研究チームは、現代のヒト(現生人類)について、3万人分以上の骨格のX線写真をAIで分析し、同時に遺伝子解析も行った。その結果、ヒトの『直立二足歩行』を可能にした「骨格のプロポーション(骨の比率とバランス)を制御する遺伝子」を発見したと7月21日付の米科学学術総合誌「Science」で発表した。詳細は、後記を参照。

直立二足歩行のおかげで高い知能を獲得?
 ヒトの『直立二足歩行』の進化要因は未だによく分かっておらず、いろいろな仮説がある。よく知られているものだけを上げると、
 (1)食物を求めて広い範囲を動き回るには四足歩行よりも『直立二足歩行』の方がエネルギー効率は良く    疲れないからという「移動効率説」、
 (2)『直立二足歩行』の方が四足歩行よりも目の位置が高いため遠くの外敵を早く発見できて危険を回避   できたという「危機回避説」、
 (3)ヒトが類人猿から分岐する過程で半水棲だったからとする「アクア説」、
 (4)大脳が大きくなっていくうちに四足歩行ではバランスがとれなくなったと考える「バランス説
 (5)食料や道具の材料の木材や石などを1度にたくさん運べて都合がよかったからという「運搬説
 (6)ヒトは男が女に気に入ってもらうために、あるいは子育て中の女のために食べ物を運んだため
   「プレゼント仮説」「子育て仮説

『直立二足歩行』ができるようになったヒトは、頭を体の真上に置いて支えることが可能
体のわりに大きな頭部を持てるようになりました。その結果、体重に対して巨大な脳容積を獲得し、全動物の中で最も高い知能を得ることができた
また、腕(前脚)が歩行から解放されたことで、重い物を運んだり、複雑な作業ができたりするようになった。このことが、さらにヒトの知能を発達させたと考えられていまる。

直立二足歩行は良いことばかりではありません。
ヒトは腰痛になりやすく、重力の影響を受けやすいため他の動物ではほとんど見られない痔や胃下垂にも
罹患しやすい傾向がある。脊椎動物では心臓や腹部、喉などの急所は胴体の前面にあるため、四足歩行の動物であれば地面との間に隠されるのに、ヒトでは常に晒(さら)す。しかも、命に関わる急所である後頭部は地面から高い位置にあるため不安定で、後ろに転倒すると危険です。
さらに、四足歩行の草食動物は生まれたばかりで立ち上がり歩行も可能ですが、ヒトが直立二足歩行をできるようになるのは生後1年前後です。ヒトの子は自力で逃げられない無防備な時期が長いという特徴がある。
ちなみに他の動物は、二足歩行自体はそれほど珍しい歩き方ではありません。
ペンギンや一部の鳥類は常に二足歩行をします。ただし、ペンギンは脊椎と下腿骨(膝から足首までの骨)は地面に対して垂直に立てられますが、大腿骨は脊椎に対してほぼ直角で、常に膝を曲げた状態になっている。鳥類では二本の足で歩くものも多いですが、脊椎は地面と水平に近い角度です。常に直立で二足歩行することは、チンパンジーやゴリラなどの類人猿でもできません。

ヒトゲノムの145カ所が骨格形成に関与
今回の研究チームは、AIの機械学習を用いて、ヒトに特有な直立二足歩行を可能にした遺伝子を解明しようと試みた。
まず、英国バイオバンクの参加者3万人以上について、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)で撮影した全身骨格の画像をAIに学習させて、すべての長骨(大腿骨、脛骨などの縦方向が幅よりも長い骨)の長さ、腰や肩の幅、骨同士の距離などを数値化した。
次にそれぞれ骨格の特徴と参加者の遺伝子配列とを照らし合わせて、相互の関係を評価した。
その結果、ヒトゲノムの145カ所が骨格形成に関与していて、「骨格のプロポーション」をコントロールしていることが分かった。また、すべての骨格のプロポーションは、遺伝性が高い(約30~50%)こと四肢の比率は
体の幅や胴の長さの比率とは相関していないこと
も示されました。
 さらに、ヒトの腕と脚と腰の幅の比率が進化的に変化したことを示す遺伝子の証拠も見つかった。これは化石を使った形態学的な研究の結果と一致している。また、骨格のプロポーションに関する遺伝子は心血管や自己免疫、代謝などの他の形質とは対照的に、ヒトと類人猿の間では著しく異なっていた。 
 
 この研究は、ヒトが進化の過程で過去にたどったことのみを解明しただけではありません。
たとえば、身長に対してお尻の幅が広いほど変形性関節炎や腰痛になる可能性が高い、身長に対して大腿骨が長いほど膝にトラブルを抱えやすいなど、関節のトラブルに関係する遺伝子の変異や骨格の特徴も突き止められた。

 現在は「人生100年時代」とも言われる。関節炎は「高齢者の寝たきり」につながるなど、QOL(クオリティオブライフ)を大きく左右する。人類の700万年の進化と、個人の健康に関する知見が1つの研究で明らかにされるのが科学研究の興味深いところ。 


 生物、人類の歴史にも、外界の変化に適応し生き残るため、進化を遂げてきたが、『直立二足歩行』は人類が他の動物と一線を画して、著しい進化を遂げる要因になったと言われる。しかし『直立二足歩行』にも、長所と欠点(弱点)があることを学び、物事は良いこと尽くめはないことを改めて思い知った。
物事は、二律相反、トレードオフの関係で、表裏一体で成り立っている。





2023年10月14日(土) 改定・追記
ノーベル賞が全て発表されました。

 朝は20℃を割り込み、最近は15、6℃ まで下がり、半袖シャツでは寒くなり、1,2枚よけいに羽織る季節になってきました。この時期の恒例行事は何と言っても、『ノーベル賞』発表が話題になります。

 今年のノーベル賞各賞の受賞者は、
10月2日(月) 医学生物学賞;m-RNAワクチン開発;
・10月3日(火) 物理学賞;アト秒のパルス光発生装置;
・10月4日(水) 化学賞;量子ドットの発見と合成に関する業績

・10月5日(木) 文学賞;劇作家 ノールウェイ人 ヨン・フォセ
10月6日(金) 平和賞;イラン人活動家(女性) ;マネルケス・モハンマディ 
・10月9日(月) 経済学賞;男女の格差 ;ゴールディン(女性)

 これで、ノーベル6賞が全て決まります。

 今年のノーベル生理学・医学賞は、コロナワクチン開発に成功したハンガリア人のカタリン・カリコ博士と、ドリュー・ワイスマン博士(ともにアメリカ・ペンシルベニア大学)が選ばれました。コロナウイルスのパンデミックにより世界が震撼していた時に、救世主として登場したmRNAワクチンが注目され世界の多くの人命が救われました。また、このワクチンは感染予防にも大きな効果を発揮して、パンデミックを抑え込みコロナが終息するに至りました。

 この素晴らしい発見の裏には、大変な苦労が積み重ねられていることを報道で知りました。
カリコ博士はハンガリア人女性で、『RNAをメッセインジャーとして用いる』という今までのワクチン製造方法では考えられない全く新しいアイデアを成功させました。従来のインフルエンザワクチンなどは受精卵にウイルスを入れて増殖させて抽出するか、ウイルスを弱毒化して使う方法が一般的だったそうです。

 カリコ博士のmRNAワクチンは遺伝子合成で生成できるので、短時間に大量のワクチンが製造でき、その結果、世界の人々の命を救ったのです。

 しかし、mRNAをワクチンとして使用するという発想は、理論上は可能でも、人体の拒否反応が強くて使用ができないと言われていました。その従来の常識を覆した点が非常に大きく評価されています。
 
 そういえば、ペニシリンを発見したフレミング博士を思いだします。ペニシリンという抗生物質は、ウイルスが相手ではなく、細菌に対する話です。
 1928年、フレミング博士が、ブドウ球菌の培養実験をしていた時、たまたま、アオカビが混入して、その部分だけブドウ球菌が繁殖していないことに気づき、このことを確かめるために青カビの培養液をろ過したところ、抗菌物質の存在を突き止めることに成功したのです。
 実験は目的物のブドウ球菌だけを培養することにあるが、たまたまシャーレ内の寒天培養地に、アオカビが混入して生じた現象を見落とさなかったことです。
 純粋なモノに不純物が混入することを『コンターミネイション』と言います。目的物以外のものが混入することは実験や製造過程ではよく起きることです。

 今後、さらにRNAやDNAの遺伝子の組み換えで、いろんな薬品が開発されることが期待されています。
 
 話が逸れましたが、ノーベル物理学賞は、「アト秒のパルス発生のしくみ」です。
 単位を表す言葉にはいろんな名前がついています。

 単位には、
・大きい方に、キロ(千=1000=103)、メガ(百万=1000000=106)、ギガ(10億=100000000=109)、・・・
・小さい方に、ミリ(1/1000=10-3)、マイクロ(1/106=10-6)、ナノ(1/10億=1/109=10-9)、ピコ(10-12
 さらに、フェムト(10-15)、アト(10-18)と続く。

 今回のノーベル物理学賞は、アト秒というごく短時間、発光させる装置に関するものだ。

 電気(光)が伝わる速さ、または光の速さは、30万km/秒と言われる。地球を一秒間に7周半する速さだ。
これを、メートルで表示すると、30×10000×1000=30×104×103=3×108m/秒
だから、アト秒でスイッチして光をon-offする間に進む距離は、3×108×10-18=3×10-10
 言い方を変えれば、 3×10-10=0.3×10-90.3nm(0.3ナノメートル)

 電気(光)は、1秒間に30万Km進むが、1アト秒では、0.3nm進むということ。

 単位の説明図(朝日新聞より)
 

 この超短時間に光を照射すれば、電子の移動する状態が目で見えることになる。
地球を1秒間に7回半廻るほどの高速でも、測定時間を超短時間にすれば、一瞬を切り取ることができるということ。
 例えば、高速回転している軸に、点滅するストロボを照射すると、軸の回転が止まって見える。この時のストロボの点滅する数値を読むことで、軸の回転数が分かるのと同じ理屈である。
 
この方法で、半導体電子回路中で電子がどういう振る舞いをしているのかを知ることができるようになった。

 どうやら人類は、目で見る範囲の物事を対象にしていた時代から抜け出して、何光年という宇宙の果てしない空間に思いをはせ、また逆に分子や原子の領域まで手を伸ばしてきた。果てしない追及の歴史を刻んでいる。
 そういう実感を抱いていたが、10月6日朝日新聞 朝刊の天声人語に次のように書かれていた。

 仏教はときに、とてつもない時間のものさしを持ち出して教えを説く。40里四方の大きな石があつた。
そこへ100年に1度、天人がやってきて薄い衣でひとなですると去ってゆく。石が消えるまで、その摩擦を繰り返しても終わらぬ時間を「」(こう)と呼ぶ。仏の教えに従って悟りを開けば、未来「永劫(えいごう)」の安楽を得られる、という時の長さにため息が出る。あまりの長さに嫌気がさすと「億劫(おっくう)」になる。

短い方で知られる単位は「刹那」だろうか。
曹洞宗の開祖・道元は、トイレで用を足す前には指を3度鳴らせと「正法眼蔵」に書いている。弾指という。
一説によれば、音の出る瞬間をさらに65等分したのが一刹那だという。

見たこともない世界を捉えようとする人間の想像力には驚くばかりだ。だが、それを目に見えるようにした技術力には、さらに驚く。

 今年のノーベル物理学賞は、分子や原子の「アト秒」単位の変化を捉えることに貢献した3人に贈られることになった。100京分の1秒の世界のことだと言われても、縁なき衆生には理解しがたい。
 茫然としていたら、化学賞は「ナノメートル」単位の粒子をつくる道を開いた3人へ決まった。
ナノは10億分の一。こちらはやや耳になじみがある。どちらも、ガンの診断や次世代の太陽光電池などに役立つとされているが、あまり現世的の考えすぎるのもかえって夢がなかろう。どこまでも小さい世界。
どこまでも先の未来。追い求めることに人間の本性がある。

 最近の科学技術の発展にはただただ驚くばかりである。
ノーベル賞受賞の内容を読んでみても、理解しがたいことが多くなってきた。





2023年9月30日(土)
我われの自由とロシア人の自由 どちらが幸せか?

 昨夜は『中秋の名月&満月』だった。雲一つない夜空に東南から満月が顔を出した。久しぶりにカメラを構え写真を撮った。満月の明るさは昼間と変わらないようで、ISO感度や絞りやシャッターの合わせ方に戸惑った。何とかやってる内に何枚かの写真を撮った。直に眺めた月は大きく見えるが、カメラに納まった月は小さな輝いた丸でしかないので、相当な望遠レンズを使わないと満足する写真は撮れないことが分かった。
中秋の名月=満月は数年に一度らしく、次回は2030年になると言われている。その月が見えるかどうかは疑わしい歳を迎えている。

さて、ウクライナへのロシアの軍事侵攻は先が見えなくなってきた。当然、他国に侵略する方が悪いに決まっているが、当事者のロシアプーチンにすれば、彼なりの大義があるのだろう。残念であるが、プーチンの大義は、我われの大義と価値観が違うので、互いに折り合うことはできない。
ロシア人、プーチンのいだく大義は「ウクライナに住んでいるロシア人をネオナチから守る」ということであるが、ウクライナに住んでいるロシア人に直接、迫害を受けているか?と聞けば、今まで互いに隣同士で暮らしてきて、親しく付き合い、中には互いに姻戚関係を結んでいる家族も多い。
国境付近に住んでいる人々が平和に暮らしているところに、軍隊が侵攻して領土を奪うという有様はどういうことがあっても許されない。
なぜそういうことが起きるのか?いろんな意見があるが、東洋経済に佐藤優氏の記事が掲載されていたので紹介させて頂く。これを読めば、なるほど、ロシア人特有の思考が見えてくる。

以下、佐藤優さんのコラムの抜粋
 佐藤優氏は、戦争を止めるにはロシア人の内在論理を知ることが重要であり、それにはドストエフスキーの名著である『カラマーゾフの兄弟』を読むことが最適だと主張します。そこでは何が描かれ、何が語られているのでしょうか。『これならわかる「カラマーゾフの兄弟」』から抜粋

 ロシアはもともと「閉ざされた国」だった
 2021年はドストエフスキーの生誕200年。翌年224日にはウクライナ戦争が始まったこともあり、ロシア文学への関心が高まってきているように感じます。ドストエフスキー作品には現代を生きるうえでのヒントが凝縮されており、不安定な時代にこそ注目を浴びます。

それに加えて、いまドストエフスキーの長編小説『カラマーゾフの兄弟』を読むべき理由があります。ロシアとロシア人の内在的論理を知るためです。
 2022年224日のロシアによるウクライナ侵攻は歴史の転換点となる大事件だと言えます。ロシアはこれをウクライナに住むロシア系住民をネオナチ政権(ゼレンスキー政権のこと)から保護するための「特別軍事作戦」だと主張していますが、客観的に見て戦争です。ロシアの行為は、ウクライナの主権と領土の一体性を毀損する国際法に違反する行為だと言えるでしょう。
しかし、プーチン大統領らロシア指導部だけでなく、大多数のロシア人もこの戦争はアメリカなど西側連合によるロシア国家解体の陰謀を阻止するために必要だと考えています。このロシア人特有の奇妙な論理を理解するには、『カラマーゾフの兄弟』の登場人物の心情を追体験することが効果的です。
ロシアの特徴は、政治的、文化的、宗教的に完結した空間を形成しているところにあります。言い換えるなら、ロシアは「閉ざされた世界」なのです。
 帝政時代、ソ連時代を含めて閉ざされているのが常態だったこの帝国を変化させたのが、1985年にソ連共産党書記長に就いたゴルバチョフ。ゴルバチョフはペレストロイカ(立て直し)政策を進め、外部世界への扉を少しずつ開き始めたのです。ところが、「開かれた世界」と相性のよくないソ連は、199112月に崩壊(実態は自壊)しました。旧ソ連は15の主権国家に分裂し、ロシアはエリツィン大統領の指導下で外部世界への扉を全開にしたのです。
 その結果、政治、経済、社会のすべてに大混乱が生じました。現在のロシア人は、ソ連時代末期とエリツィン時代を「混乱の90年代」と否定的に評価しています。エリツィンの後継者として2000年に大統領に就任したプーチンは、扉を徐々に閉じ始めました。
 そして2022224日のロシアによるウクライナ侵攻で、扉はほぼ閉ざされてしまいました。今になって振り返ると、1985年から2022年までの37年間は、ロシア史において外部世界に扉が開かれていた例外的な時代だったのです。
「閉ざされた世界」に戻ってしまったロシア人の価値観や心情を知るには、ドストエフスキーの小説に新たな光を当てる必要があると私は考えています。

 プーチンは21世紀の大審問官
 率直に言って、『カラマーゾフの兄弟』にまともな人物はほとんど出てきません。しかし、一見奇怪に見える言動をする人にも、その人なりの論理があります。それをつかむことができれば、私たちにとって他者であるロシア人とその集合体としてのロシアを理解することができるのです。
『カラマーゾフの兄弟』で特に難解だと言われるのが「大審問官」の部分ですが、プーチンについても、21世紀の大審問官だととらえれば、その内在的論理は理解可能になります。大審問官は兄弟のひとりであるイワンが創作した物語中に現れます。大審問官とは、ローマ教皇を選ぶ権利を持つ高位聖職者たちのことで、枢機卿とも言えます。ローマ教皇は枢機卿の中から互選されますから、ローマ教皇になる資格のある超幹部だということです。物語では、16世紀スペインのセヴィリア、異端審問のさなかに「彼」が現れます(キリストとは明言されていません)。その正体はすぐ気づかれ、男は集まる群衆に奇跡を起こす。ところが老いた大審問官は彼を逮捕させ、火あぶりを宣告します。


 <原著からの引用>
『おまえはすべてを法王にゆだねた。すべてはいまや法王のもとにあるのだから、おまえはもうまったく来てくれなくていい、少なくとも、しかるべきときが来るまでわれわれの邪魔はするな』
『カラマーゾフの兄弟』(光文社古典新訳文庫・2巻より引用[以下同])
 ドストエフスキーはここで、「代行システム」について書いています。代行システムとは国家、政治家、官僚なりが民衆をすべて代行していくという考えで、この代行主義が民主主義の本質です。そして、これによって、人間が持つ根源的な自由が失われていると述べています。

 自由を欲しがる人間たちに自由を与えたが

<原著からの引用>

人間は単純で、生まれつき恥知らずときているから、その約束の意味がわからずに、かえって恐れおののくばかりだった。なぜなら人間にとって、人間社会にとって、自由ほど耐えがたいものはいまだかつて何もなかったからだ!
自由を欲しがる人間たちに自由を与えたが、人間は自由をうまく行使することができないじゃないかと言っています。自由ほど耐えがたいものはこれまでなかったと。

 <原著からの引用>
こうして、ついに自分から悟るのだ。自由と、地上に十分にゆきわたるパンは、両立しがたいものなのだということを。なぜなら、彼らはたとえ何があろうと、おたがい同士、分け合うということを知らないからだ!
また、食べ物がたくさんあったとしても、人間はたがいに分けあたえることができない。腐らせたとしても全部自分で囲ってしまうのが人間だ。だから強制的に分配しないといけない。自由のままにしておいたら、1人で全部囲ってしまう。こう言っています。

 資本主義社会では、資本が自己増殖してどんどん拡大していきます。資本主義は何らかの相当に強い力が働かないとその動きを止めません。強い力とは何かと言えば、国家権力ということになります。人間とはそういう存在だから、自由を追求するととんでもないことになる。それを力によって抑えつけないと、すべての人間にパンが行き渡る生活を保障できるようにはならない。そのために、人間から自由を取り上げなければならないというのが大審問官の主張です。これは、プーチンと現代ロシア人の関係にも通じるところがあるのではないでしょうか。

<原著からの引用>
ここでは、だれもが幸せになり、(中略)反乱を起こしたり、たがいを滅ぼしあったりする者もいない。そう、われわれは彼らに言い聞かせてやるのだ。われわれに自由を差しだし、われわれに屈服したときに、はじめて自由になれるのだと。
自分の自由を差し出して屈服したときに自由を得ると、逆説的に言っています。自由についていろいろ考えるのは大変だから、おまえを自由から外してあげよう。そうすることで自由になれるよと言っているのです。 つまり自由=隷従。人間は、イエス・キリストに従うことで真の自由を得るのだというキリスト教の基本的な考え方です。でも、隷従、服従こそ自由であるなら、それは独裁者の論を補強することにもなりえます。キリスト教になじみがない日本人にとって「大審問官」は難解だとよく言われますが、そんなことはありません。「大審問官」は、ドストエフスキーの仮説上の自由をめぐる討論です。
人間にとって自由とはどういうことか、はたして人間は自由に耐えうるのか。これが根源的な問題となっています。


これを読んで、ロシア人、プーチンの大義が少しは分かったような気になった。
ぜひ『カラマーゾフの兄弟』を読んでみたい!




2023年9月25日(月)
中国の本音は?   得意の嫌がらせか?

 『暑さ寒さも彼岸まで』とはよく言ったもので、24日に彼岸が過ぎて朝の気温はぐんと下がった。昨日は18
℃に下がり、下着を着るほど寒かった。日中は相変わらず30℃を超える暑さだが、湿度が低くなり過ごしやすくなってきた。『灯火親しむ候』とまで行かないが、最近、古代ギリシャ、古代ローマの歴史本を読み漁っている。 これについては、別の機会に感想などを書いてみたい。

 今回は、福島原発事故で発生する大量の汚染水ALPUSという多核種除去フィルターを透して、こし分けた水、通称『処理水』の海洋放出が始まり、さっそく中国、韓国が反発し、中国は日本からの漁貝類の輸入禁止を行なっている。監督官庁、元農水大臣が『処理水』を『汚染水』と言い違え、一時話題に上った。
 
 小生は、『汚染処理水』だと思う。日本政府や東電は、汚染”という言葉に神経を尖らせているので、汚染を省いて処理水と言っている。

 この処理水』は、ALPUSではトリチュウムが除去できないので処理水中に含まれる。ただ、トリチュウムは水素原子が3個並んで酸素と結合し水になっている。自然水の中にも、僅かのトリチュウム水が存在する。規定値より低い含有量であれば、特に健康上の問題は生じないと言われている。

 9月25日、朝日新聞朝刊に、『中国漁船が日本の東北地方の沖合いの公海で、サンマやサケ漁が盛んに行われている』と報じている。公海での漁業であれば、資源保護のための国際条約を守って漁獲することは問題ない。

 しかしである。中国漁船がここで取れた魚は、持ち帰り中国国内で売りに出している。一方、日本の漁船が同じ場所で採った魚は汚染されているので、輸入禁止処置を行っている。 これが中国だ!

 朝日新聞によると、分かりやすい説明図が示されている。
 

日本沖で操業、持ち帰れば「中国産」 
 福島第一原発の『処理水』放出が始まり、中国政府は中国への日本産水産物の全面禁輸を実施してから24日で1カ月となった。日本の北東、沖合の北太平洋ではこの間も、中国漁船が日本の漁船と同じ海域でサンマ漁などを続けている。
 日本漁船が日本の港で水揚げすれば「日本産」となり、中国は禁輸とするが、中国船が自国に持ち帰れば「中国産」として流通できる。

 船舶に搭載された「船舶自動識別装置(AIS)」の信号から洋上の位置や操業状況を特定できる「グローバル・フィッシング・ウォッチ(GFW)」で北太平洋上の中国船の活動を調べた。中国船が多数確認できたのは、北海道根室市から約1千キロ沖の公海。サンマやサバ、イワシなどの漁が行われる北緯40~50度、東経150~170度の海域だ。8月3日時点でこの海域に中国船は156隻。9月19日にも162隻が確認できた。

 処理水放出をはさんだこの間、1日当たり146~167隻と大きな変化はなかった。中国船の数は前年同期とほぼ同水準だという。この海域は、2000年以降は中国や台湾などの漁船が増えた。近年はサンマが日本の近海に近寄りにくくなり、日本の漁船も公海で操業している。


 ただ、中国や韓国の言い分もある程度理解できる。それは福島原発事故は、炉心溶融、いわゆる『メルトダウン』が起き、炉心のウラン燃料が溶けドロドロのむき出し状態になり、炉心の底を溶かして格納器の2mもある分厚いコンクリートも溶かしたが、水の注入で冷やされ、そこでウラン燃料が塊になり溶融は止まった。この状態で、ウランは核分裂により熱が発生し続けるので、事故が発生してから冷却水の注入が継続されている。その冷却水は原子炉格納器のひび割れ等から漏れ出しており、今もなお汚染水が増え続けて、福島第二原発の敷地に大量のタンクが設置されている。これ以上、タンクの設置場所がなくなり、ALPUSで処理した後の汚染水を『処理水』と称して管理し、国際原子力委員会の監視のもと、その安全性を確認して、この度、海洋投棄することになった
 
 この件について、2021年4月19日「ALPS処理水の海洋投棄は大丈夫か」に書いたので、リンクを張りますので、ここをクリックしてご覧ください。
ALPSで取り除けないのは、トリチウムだけではない。
ALPSは、トリチウム以外の62種類の放射性物質を告示濃度まで浄化できる能力があると言われているが、トリチウム以外にもヨウ素129、セシウム135、セシウム137など12の核種(放射性原子)は除去できない。

東京電力が2020年12月24日に公表した資料によると、処理水を2次処理してもトリチウム以外に12の核種を除去できないことがわかっている。2次処理後も残る核種(放射性物質)には、半減期が長いものも多く、ヨウ素129は約1570万年、セシウム135は約230万年、炭素14は約5700年。

「通常の原発でも海に流している」という報道も誤解を招く。
福島第一の汚染水をALPSで処理したALPS処理水と通常稼働中に出る原発排水は違う。ALPSでも処理できない核種のうち、11核種は通常の原発排水には含まれない核種です。


というようなわけで、最近、政府や東電は、『処理水』という言葉に統一して報道している。きちんと国際原子力安全基準に則り管理・処理されているので安全ですよ!という訳で、安心して下さい! となっている。
 確かに放射性物質の量は国際原子力基準を満たしているが、目に見えない原子の世界であるので、不安を煽るのだろう。

 一方で、中国や韓国等、外国の原発でも、放射性廃棄物は発生している。その処理は海洋投棄が主であり、一部、蒸発させて空中に放出することもある。
 その場合、トリチュウムの量については日本の福島原発の汚染処理水に比べ、ハイレベルであるとも言われている。他国に対しては、厳しいことを言いながら、自国の放出には触れないという振る舞いは、2重スタンダードになる
 
 同様に、『同じ漁場で日本漁船が取った魚は汚染されているが、中国漁船がとった魚は販売し食べてもいいですよ』という態度は、いやがらせが得意な中国や韓国のやり方だ!
 



2023年9月14日(木)
上水道と下水道の違いは?

 この夏は各地で集中豪雨が発生し、大きな被害が出ました。豪雨は世界各地でも発生しました。また、台風の発生時期やコースや規模も、以前の台風やハリケーンと違った様相を呈しました。これもすべて異常気象がなせる業ですが、速く手を打たないとさらに激しい異常気象が起き、今後ますます、自然の猛威を被ることになると思われます。

 中国では、沿岸付近を中心に台風と豪雨で大きな被害が出ています。よく話題になる三峡ダムは世界有数の巨大ダムで、その規模は黒四ダムの数百倍?になるようです。そこでの発電量は原発60個分の発電ができるという話です。発電量は5800万キロワットになり、100万キロワットの原発なら58個分に相当します。
 三峡ダムだけで、そういう巨大な電力を生み出す水力エネルギーが得られるという話です。
 中国の国土面積は950万Kmで日本の25倍以上の広さがあり、人口は日本の10倍近くあります。その広大な国土で発生する災害も巨大な被害になります。

 Youtubeなどの水害の状況を見ていると、泥水が家に入り込み、堆積しています。泥水は泥だけではなく、あらゆる汚物を含めて流れます。ですから、水害の後で、疫病が発生したり、ケガをした傷口から破傷風菌が入り感染することが多いのです。非常に不衛生な状況です。

 私たちは平常時は豊かな暮らしができるようになりました。蛇口を開けばきれいな水が出て、コップに入れて直接飲むことができます。風呂も、洗濯も、トイレも水洗で大変清潔になりました。普段は何も考えずに過ごしていますが、インフラが機能しなくなった時の不便さは、平生の暮らしができなくなって初めて思い知ることになります。

 そこで水について少し調べてみました
水には『上水道』と『下水道』があります。この違いは何となく分かりますが、それでは、中水道という水があることを知っていますか? 実は『中水道』もあるのです。
中水とは、飲用はできないけど、人体に悪影響がない水のことです。 わかりやすくいうと「飲めないけど、そこまで汚れてない水」のことです。中水道は 噴水や工業用水や水洗トイレなどで使われています。
 中水は水を再利用できる 、コストカットできる 、非常時に使える などです。

それぞれの水の違いについて
 上水道は人が飲める水を供給する水道のこと。一般家庭だと水道水、風呂の水、トイレの水で、家庭に供給される水は、すべて上水道です。
 人口5000人以上を対象:上水道   
 人口5000人未満:簡易水道;田舎に行くと、簡易水道が多いです。

上水道の水源
 ・湖、川、ダムの水などです。雨が降らなければダムに水が溜まりませんので、渇水状態になります。
  最近は集中豪雨が増える一方で、雨が降らない地方では渇水ダムが増えてきました
 ・地下水:深い地中を流れる水で、ポンプでくみ上げて使います。

水道局で奇麗な水に加工します。
 ・取水設備:湖、川、ダムから水を取り入れる
 ・沈砂池:砂や土を沈める
 ・導水ポンプ:浄水場に水を運ぶ
 ・薬品混和池:濁りを固める薬品を入れる
 ・フロック形成池:水をかきまぜて濁りを固める
 ・沈でん池:固まった濁りを沈める
 ・ろ過池:さらに細かいゴミをろ過する/特殊なフィルターを使う
 ・オゾン接触池や活性炭吸着池:臭いを分解・吸着する
 ・塩素を注入、殺菌
 ・配水池:きれいになった水を溜めておく
 ・送水ポンプ:給水場に水を運ぶ
 ・給水場:圧力をかけて水を送る

上水道に使われる管;代表的な上水道管
  ダクタイル鋳鉄管:強度があり衝撃や耐久性に優れる
  ポリエチレン管:取り付けや撤去が簡単(宅内の給水管に使われやすい)
  硬質塩化ビニル管:抵抗が少なく腐食に強い(宅内の給水管に多く使用)
  HIVP管:プラスチック樹脂でできている
  エルメックス管:耐熱と耐寒に優れる
  ステンレス鋼管:錆びにくい

上水道の水圧
  上水を各戸に運ぶには、ポンプで圧力をかけて送水する。
  配水管から給水管に分岐する箇所の圧力は0.15Mpa~0.74Mpaと定められています
   1Mpa=10kg/cm
  水の温度や管径にもよりますが、0.1Mpaで水を10mくらい上げられるイメージ。
  一般的な上水道の水圧は0.2~0.4Mpaくらいです。
  高層ビルなどで水圧が足りないときは、増圧ポンプを設置することもあります。

上水道と下水道の違いは?
  間の血管に例えると、上水道は「動脈」、下水道は「静脈」というイメージです

上水道  下水道
 意味  人が飲める水を供給する水道  家庭や工場から出た汚水を流す水道
 管轄  厚生労働省  国土交通省
 法律  水道法  下水道法、都道府県条例
 圧力  ポンプで圧力をかけて押し出す  勾配でをつけて自然に流す
 料金  上水道の使用量に応じて  下水道に流れた水の量
  ≒上水道の使用量

面白いのは、上水道は厚生省、下水道は国土交通省に管轄が分かれていること。
下水道は雨水や汚水などあらゆる水を流す水道であり、大量に流すため川の水のように勾配で流している。
大震災時に、復旧が早いのは上水道であり、下水道が壊れると、自然の流れが生じるように工事が必要になる。

上下水道や電気やガスや道路や電話(最近はネット回線)などは、インフラと呼ばれ、この事業に携わるためには、関係法令に準拠した工事業者でなければ事業(作業)ができません。生活に密着したこれらの事業は非常に重要です。
最近、インフラが設置してから50年以上が経過して、耐用年数が過ぎ、不具合や故障や事故が発生しています。行政は生活者の安全や安心を守ることに責任をもって取り組んでほしいものです。


  



2023年9月8日(金)
高齢者ドライバーの安全運転の秘訣
事故を防ぐため、運転する前に、足腰の屈伸運動をしましょう!

 自分が後期高齢者に仲間入りし、もうすぐ5年になる。昔はこの歳で車を運転することなど考えられなかったが、自分がそういう歳になって、今なお運転を楽しみにしている。
 昔は若気の至りで、高速道路をガンガン飛ばしたこともあったが、今は安全を心がけて、運転するようになった。これも歳の性だろう。高齢者ドライバーや女性ドライバーが増え、次第に車の事故が増えてきた。
車がこんなにたくさん走る時代になったので、事故が増えるのも致し方ない一面、事故分析をするといろんな課題が見えてくる。そのことに触れた記事があったのでご紹介する。

 新聞やテレビを見ると、よく高齢者運転事故が報道されている。その中で目立って多いのは、アクセルとブレーキの踏み間違い。思わぬ加速に驚いて、ますます強くアクセルを踏んで、店に突っ込んだというような事故が多い。また、小学生の通学の列に突っ込む事故、立体駐車場でバックで思わぬ加速して、壁を破って落下した事故など不慣れな事故もあるが、ほとんど高齢者事故ではパターンが決まった事故が目立つ
 下記のような注意事項・対策案が載った記事がありましたので、一部抜粋してご紹介する。
 出典;日刊SPA!
 高齢ドライバー「ペダル踏み間違い」事故の原因は、運転中の姿勢にあった
 ■運転事故の分析
高齢ドライバー「ペダル踏み間違い」事故の原因は、運転中の姿勢にあった!?
 警察庁の調査では、2022年に自動車やバイクで75歳以上の運転者が起こした死亡事故は前年比33件増の379件に上り、死亡事故全体に占める割合が過去最高の16.7%。
 
75歳以上の高齢運転者による死亡事故では人的要因は、操作不適による事故が28%と最も多く、 この内、ハンドル操作不適が13.7%となっている。
 ブレーキとアクセルによる踏み違い事故は、75歳未満が全体の0.5%に過ぎないのに対し、75歳以上の高齢運転者は全体の7.0%と高い割合
になっている。

 高齢ドライバーが安全運転を続けられる対策とは?

 高齢ドライバーは、5つの制限運転を心がける!   当たり前のことですが!!
  ① 体調がよくない時は、運転控える。
  ②  長時間の運転時は、休憩を取りながら
  ③  夕方や夜間の運転はできるだけ避ける
  ④  通学道路は細心の注意
  ⑤  風雨が強い場合は避ける

 ◆ペダルの踏み間違いは「座る位置」で改善できる!
   高齢者の事故件数NO.1はアクセルとブレーキのペダルの踏み間違いが多い。
   特に駐車場でバックする時に起こりやすい。

『運転免許認知機能検査模擬テスト2024年版』の誌面より

 高齢者を対象に行われた後退時のペダル踏みかえ動作の調査によると、右方向を向く際、高齢ドライバ ーは足先が右方向を向いてしまいがちになる。 アクセルペダルに近い場所を踏みやすくなる

 ◆踏み間違いを防ぐために、運転前に体操しよう!
運転は自分の体を理解したうえで、正しい姿勢で行うことが大切です。 脚が開いてしまうことを防止するグッズなども販売されている、
「でんでん太鼓体操」「足先チョンチョン体操」で身体能力を上げることも効果的です。

『運転免許認知機能検査模擬テスト2024年版』の誌面より

『運転免許認知機能検査模擬テスト2024年版』の誌面より© 日刊SPA!

『運転免許認知機能検査模擬テスト2024年版』の誌面より
 『運転免許認知機能検査模擬テスト2024年版』の誌面より© 日刊SPA!

 ドライブ体操で安全運転寿命を延ばせる!
運転の前にも準備運動により、血流がアップし体が動きやすくなる。
ドライブ前に体操するだけで、体のキレがよくなる。

 ・難しいことは別として、運転前に、足腰の屈伸運動をすることを心がけましょう。
 ・乗るなら、サポートカー(サポカー)に
   最近の安全運転支援機能は大変よくなっている。
   急発進防止機能はブレーキ・アクセル踏み間違いによる事故を軽減してくれる。
 高齢者が乗る車は限定事項として『サポカーに限る』を追加すればよい。