2015年11月14日(土)
山中伸弥先生の講演を聞きました
 11月11日、『関西・経営と心の会』が主催する講演会が、中の島のリーガ・ロイヤルホテルで開催され、500人を超す超満員の状態でお話がありました。
 山中伸弥先生は、医学・生理学分野のノーベル賞受賞者で、現在は京都大学教授、iPS細胞研究所所長として日夜頑張っておられます。

 「iPS細胞がひらく新しい医学」というテーマでお話がありました。自分の生い立ちから話が始まり、なぜ医者を志したのかについて触れ、整形外科医になったが、手術が下手で、周囲から「じゃまなか」と言われていたというエピソードの披露があり、開場を笑わせました。神戸大学医学部を卒業し、大阪市立大学大学院研究科で博士過程を終了後、米国グラッドストーン研究所に3年間留学。帰国後、日本の医療現場でうまくそぐわずに落ち込んでいたところ、奈良先端科学技術大学大学院遺伝子教育研究センターの助教授として迎えられ、ここで優秀で有能な3名のサポートメンバー(助手)に恵まれ、iPS細胞を発見に至る。
 そして、ノーベル賞受賞、京都大学再生医科学研究所教授、iPS細胞研究所所長になる。

 米国留学中は、日夜を問わずES細胞の研究に没頭した。
担当の教授から、「伸弥、一生懸命やっていることは認めるが、なぜ君はそんなに頑張るのか?」と聞かれた。その問いに対して「成果を出して、有名になりたい、いい生活をしたい、いい仕事場に着きたい」と言うようなことを言った。すると先生が、「それも大切なことだが、もっと大切なことがある」と言われた。それは「VWだ!」と。
 
 VWは今、排ガス規制問題で世界を騒がせている。そのVWとは意味が違う。ここでまた会場から大笑いが出た。
 「VWとは、仕事をする上で大切なことは、Vision&hard Workだよ!」と言われた。何のためにそれをするのかというVisionを明確にして、取り組まなければ本当の成果につながらないと忠告を受けた。それをよく考えてみて、「なるほどそうか!、自分はES細胞を研究しているが、これをどういう目的で取り組んでいるのか?」を再度考え直してみた。
それから、仕事に対する態度も変わったような気がするというお話であった。

 Vision、今、NHK大河ドラマで、『花もゆ』をやっている。既にドラマでは死んだ吉田松陰が幕末に萩で唱えた『志す』と言う言葉が思い浮かんだ。
 江戸末期に、日本国は沢山の志士を集中的に輩出したおかげで、現在の豊かな日本ができた。その土台づくりは、幕末から明治維新にかけての若い志士たちのおかげだと思う。
 
 山中伸弥先生の研究で、既に見つかっていたネズミの受精卵からES細胞をつくることができていた。ES細胞は体のどの細胞にも変化できる万能細胞であることが分かっていた。しかし、ES細胞は、ネズミ(マウス)で成功できたこと、マウスの受精卵に限られるというものであった。
 これでは、人間の医療として使うことはできない状態であった。
 
 何とかして、受精卵ではなく体の皮膚などの普通の細胞で、万能細胞ができないかと世界中の研究者が取り組んでいた。その中で、山中伸弥先生のグループがついに成功した。
 当時、アップルのiPodが流行っていたので、iPSをわざと小文字で命名した。
 日本人は新発見した際に名前を付けるのが下手で、その内に外国人のグループが別の名前を付けて、それが国際的に有名になるようなことがよく生じていたので、命名には十分注意して慎重に考えたという話もあった。
 
 このiPS細胞を使うことで、今まで直らなかった病気や、けがで損傷した部位の再生などが可能になる。また、がん細胞と正常細胞の違いなどを見比べることもできる。
 
 直近では、網膜の黄斑変性症の女性に本人のiPS細胞を培養して、埋め込む手術を理化学研究所で実施し、よい結果を出している。
 また、パーキンソン病の患者に、脳の奥深くにある部位にiPS細胞を入れることで、体の動きを復活させることを期待している。この手術は脳の奥深くに入れなければならない難しい技術が要るが、近々実施される準備をしている。
 肝臓、膵臓などの臓器の再生にも挑戦が始まっている。

 先生が今、困っていることは、沢山の研究費のねん出だということであった。
国から数十億円の研究費をもらっているが、iPS細胞研究所には400名近くのスタッフが働いている。その内、京大の職員(国家公務員)は1割程度しかいない。
 残りの大部分は、1年、2年、3年、長くて5年間契約の契約研究者、または派遣スタッフとして雇っている。この優秀な契約研究者達がそれぞれの立場で頑張って研究を前進させている。この人たちの給料を賄うのが、山中伸弥先生の最大の仕事みたいになっている。
 先生はマラソンに出て注目を集めているが、一度出場すると、1500万円程度の礼金をもらえる。そういう賞金まで、スタッフの人件費に充てて何とかしのいでいる。
ところが、お金については既得権みたいな考え方が根強くて、もらう金を減らされるのには大きな抵抗がある。この既得権をどう乗り越えて、予算の再配分ができるかが日本の未来の発展を決定すると言っても過言ではない。

 先生から、この会場にお集まりの企業のTOPの皆さんに、少しでもご寄附をお願いしたいという切実なお話があった。米国では国家予算も日本より多いが、それ以上に各企業からの寄付(ドネーション)が非常に多額に上り、それで潤沢な資金の元で研究が進められているそうだ。

 そこで、安倍総理、政府予算の割り振りを少しだけ見直して頂ければ、数百億円なら捻出できる。現在ではiPS細胞研究所の年間国家予算は60億円程度しかない。これを一ケタ増やして、少なくとも200億円ぐらいにすれば、研究機材の更新や、機材の増設や、研究者の増員や、研究者の生活の安定に資することができ、その結果、研究が大きく前進できる。
そして、この分野で日本は世界のトップランナーとして走り続けることが大切だと思う。

 日本の過去の栄光、『Japan is No.1』と言われた製造業中心の時代は、とうに過ぎ去り、中国が世界の製造工場になった。これは時代の流れである。
 
 日本を新しく蘇らせるには今までと違ったiPS細胞などの先端医療や、先端技術分野に重点的に予算を振り向ける見直しをしなければならない時期だと思う。

 このままの状態では、一人あたりのGDPがどんどん下がり続ける。日本は大きな付加価値の商品や技術をどうして生み出すか、どの分野で付加価値を生み出すのかを考えて、そこに重点投資することが大切だ。今までどおり、万遍なく配るではじり貧になる。

 福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」は稼働が停止している。この停止の状態でも維持費に年間二百数十億円かかっている。関連の費用はさらに膨らんでいる。何の役にも立たない全くの無駄遣い。原子力規制員会の田中委員長が、日本原子力開発機構の管理ではだめだという結論を文科省に提出した。日本原子力開発機構に代わる引き受け手は存在しない。
 そういう分野に、いつまでも踏ん切りをつけられず予算の垂れ流しができる国力は無くなっているはず。

 iPS細胞研究所に年間少なくても200億円つければ、素晴らしい成果が出せる。少なくても開発が加速し、再生医療が大きく前進し、多くの病気に病む人たちを救える。
そういう視点で、そういうVisionを共有し、政治にものを申すことがこれから大切になると思う。
 
 先般の無駄遣い見直し会で、行政改革大臣:河野大臣が頑張っていたので、この話をメールで送った。まだ、返事がないが、見てもらって何かの動きを期待する。
 


 2015年9月17(木)
平和安全法案が成立か? その後の動向は?

 昨夜は遅くまで、安全委員会の部屋がテレビに映されていた。安倍総理と、中谷防衛大臣と岸田外務大臣が並んで座って待機していた。手持ち無沙汰なのか、岸田外務大臣は時々、スマホをしていた・・・。

 『憲法違反法案』と叫ばれているこの『平和安全法案』だが、文字通り日本を守る平和安全法案なら、大多数の国民はこぞって賛成すべきものだ。

 安倍首相が本当に、日本国の国家、国民の安全のために必要な法案だと考えているのなら、この反対の多さに対しては、伝え方がまずいのかもしれない。上手く説明ができていないとも言える。
 
 日本に危機が迫り、今直ちに法案を整備しなければ、国家の存立に危害を及ぼし、大変なことになるということであれば、誰も反対しないし、歓迎する。
安部総理から、そういう言葉で何回と国会答弁を聞いた。
 
 しかし、今、そういう状況でもない。
最近、東アジア地域は以前とは比べ物にならないような危機的状況に差し掛かっているという説明だ。その具体的な内容は、中国と北朝鮮の動向にある。
最近の議論で、中国と北朝鮮という国名が出されだした。

 この二カ国はそれに近いものがあるかもしれない。しかし、直ちに彼らが日本に攻めてくるということではない。中国は、尖閣諸島周辺海域での行動や、珊瑚礁埋立地に軍事施設や飛行場の建設など、今までない拡大路線を突っ走っている。これは事実だ。しかし、これが直接的驚異だとつながるのだろうか?
 悪いモノに対しては悪い、悪い行為だとはっきり表明し、世界の常識に訴えること。
そいうことを十分しないで、だから軍事力を強化して、相手に抑止力を与える事が一番だ! というストーリーで対処するなら、際限のない軍事力強化をしなければならなくなる。

 今から60年ほど前、小学生の頃、学校で有る新聞社の偉い人(確か論説委員の方だったか)が来られて、黒板にスラスラと世界地図を見事に書かれた。
 そして、今でも覚えているが、「いま世界の平和はなんで保たれているかわかりますか?」と言う質問をされた。小学生に対する質問である。

 その答えは、『Balance of terror 』だと言われた。
米・露が原子爆弾や、水素爆弾の実験を重ねて、互いに異常な軍事力を拡大し、その時既に地球を破滅させるに十分な量の原爆や水爆を両国で保有されていた時代だった。 世界平和は『恐怖の均衡』で保たれているのだということであった。
 この理屈で、『目には目を』という軍事力で対抗することはなんの益も生まない。
しかし、抑止力という力は時として有効かも知れない。
それは、互の軍事力を知り、戦争しても互いに大きな傷を負うことがわかるので、それなら無益な戦争はやめようということだ。
 もし、片方が相手国に勝る軍事力を保有しているとすれば、攻め込むのか?
それは、この21世紀の世界の良識が許さないと思う。
 20世紀初頭の世界が帝国主義思想が通じた時代なら、自国の領土拡大や経済力拡大を目指して、攻めるという構図もあった。日本も過去にそう言う時代があった。
しかし、今、そういう野蛮なことが国際的に許される時代ではない。

 お互い様であるが、中国も日本の技術や、経済交流なくしてはやって行けない。
 中国(蒙古)が鎌倉時代に日本に2回攻めてきたことがある。『元寇の役』である。
いずれも神風(台風)が吹き荒れて、ほとんどの軍艦が沈没し、日本は勝利した。
 
 そういう過去の歴史的な実話と現状は全く違う。
お互いに経済的には深く結びつき、人的交流も盛んに行われている現状で、尖閣諸島問題などで危機意識を植え付け、それに対処するために平和安全法と称して、集団的自衛権の行使を認めるという内容は行き過ぎ以上の何物でもない。
 
 アメリカが日米安全保障条約の同盟国として、日本に『軍事的なパワー(軍事力)を応分の負担をしろ』というストーリーは理解できないでもない。
 
 それはそれとして、日本は世界に比類ない日本国憲法で戦争放棄と平和主義を謳っている。この平和憲法が存在する以上、日米同盟安全保障の体制や、周囲の安全保障がどうあろうとも、立憲国家として憲法が日本国の根幹であらなければならない。

 『日本国憲法が国際的な常識からずれてきている』と言えるかもしれない。
その場合はまず憲法について、時間をかけてよく国民的な議論し、その上で結論を獲れば良い。その場合は十分議論を尽くした上で、国民投票や選挙で、憲法改正を争点にし、多数決で決めればいい。この段階を踏むことが求められる。

 今回のゴタゴタの要因は、一内閣である安倍内閣が突っ走っている事にある。
それは第二次安倍内閣が圧倒的多数の議席を得たことに対する自画自賛の結果だ。言い換えると、国民からあらゆる信頼を得たという思い上がりだ。
 自民党が、以前の民主党の失政? 未熟さ故のまずい政治に対し、経験豊かな人材を揃えた自民党に対し、大きな期待をかけて投票したことは事実だ。しかし、それといま話題の平和安全法案、特のその中の『集団的自衛権』について国民が認めたという論拠は全くない。安倍さんは、この点を大きく勘違いしている。
いや、分かっていながら、自分の主義主張を通したいために、そういうストーリで邁進しているのかも知れない。本人しかわからない点だ。
 
 それにしても平和の党だったはずの公明党までがこれに乗ってしまっていることだ。公明党は与党の甘い汁を吸ってしまって、本来の党の原点を忘れてしまったのではないか。その証拠に、母体の創価学会が公明党に違和感を表している。

 国会内の委員会や、国会外で集会を開いたり、憲法学者や識者や元内閣法制局長官などの講演や、記事や、国民のデモ行進を見ていると、国会が何のためにあるのかと思えるほど、考え方に大きな隔たりを感じる。
 
 自民党は、安倍さんのおかげ?で大勝ちしたので、安倍さんに頭が上がらなくなってしまったのだろうか。情けない話だ。
 いろんな意見を持った自民党議員が、今は安倍さんに逆らわず、黙っていたほうが得策と考えているのだろう。
有能な人が多い自民党議員が全員、安倍さんの考えと同じだとは到底考えられない。
 彼らは、常識や識見を充分持った人達だと思う。その自民党議員から誰も反論がないところに、日本の政治の今後に不安を感じる。
 
 昭和の時代、太平洋戦争に至った時の政治の流れに通じるものがあるのではないかとも感じる。これは日本人が個の確立が十分できていない事に起因すると思う。
 欧米諸国は、個人・個人の自我の確立は非常に強い。一人でも生活できる。
 日本人は聖徳太子の『和を以て、尊しとする』という和人の遺伝子が未だに受け継がれている。これは悪いことではない。
 欧米諸国が狩猟民族が多いのに対して、日本は古来から農耕民族であったので、みんなで渡れば怖くない的な発想が根強いということだ。

 そういう日本民族の特性を活かしながら、世界に通じる素晴らしい国を作ってゆかなければならない。
 欧米諸国と同等の価値観を持って事に処するという事が、グローバル化時代の日本の施策であってはならないと思う。

 以下、本日の朝日新聞の社説をご紹介する。                 
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 「違憲立法」採決へ―憲法を憲法でなくするのか  2015年9月17日(木)付
 強まる国民の反対の中、安全保障関連法案をめぐる与野党の攻防は最終局面を迎えた。与党はあくまでも週内に成立させる構えだ。

歴代内閣が「憲法を改正しなければできない」と明言してきた憲法解釈を覆し、安倍内閣が集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしたのは昨年7月。以来、憲法学者や元内閣法制局長官らの専門家がそのおかしさを繰り返し指摘してきた。

■裏道をたどった政権
その決定打が、違憲立法審査権を持つ最高裁の長官を務めた山口繁氏の次の言葉だ。「従来の憲法解釈が、9条の規範として骨肉と化している。集団的自衛権を行使したいのなら、9条を改正するのが筋であり、正攻法だ」もはや最高裁の判断を待つまでもない。集団的自衛権にかかわる立法は違憲だと考えざるを得ない。

 なぜ、集団的自衛権を行使できるようにしなければ、国民の生命や財産を守ることが
できないのか。
 この根本的な問いに、安倍首相は日本人が乗った米艦の防護や中東ホルムズ海峡の機雷掃海を持ち出したが、その説明は審議の過程で破綻(はたん)した。

それでも政権は法成立へとひた走った。これは、安倍内閣が憲法を尊重し擁護する義務を守らず、自民党や公明党などがそれを追認することを意味する。

法治国家の土台を揺るがす行為だと言わざるを得ない。

安倍政権がたどってきた道筋を振り返ってみよう。2012年末に政権復帰した安倍氏は、9条改正を視野に、まず憲法改正手続きを緩める96条改正を唱えた。ところが世論の理解が得られないとみると、9条の解釈変更へと転換する。有権者に改憲の是非を問う必要のない「裏道」である。

真っ先に使ったのが、違憲立法を防ぐ政府内の関門であり、集団的自衛権は行使できないとの一線を堅持してきた内閣法制局の長官を慣例を無視して交代させる禁じ手だ。
法制局の新たな体制のもと、政権は集団的自衛権の「限定容認」を打ち出した。根拠としたのは、59年の砂川事件最高裁判決と72年の政府見解だ。

■法の支配を傷つける
 だが、砂川裁判では日本の集団的自衛権は問われていない。72年見解は集団的自衛権の行使は許されないとの結論だ。「限定」であろうとなかろうと、集団的自衛権が行使できるとする政府の理屈は筋が通らない。
 その無理を図らずも裏付けたのが「法的安定性は関係ない」との首相補佐官の言葉だった。そのおかしさにあきれ、怒りの声が国会の外にも大きく広がったのは当然である。

安倍首相は「安全保障環境の変化」を理由に、日米同盟を強化して抑止力を高め、国民の安全を守ると繰り返してきた。こうした安全保障論にうなずく人もいるだろう。

一方、自衛隊を出動させるという大きな国家権力の行使にあたっては、政府は極めて
抑制的であるべきだ。どんなに安全保障環境が変わったとしても、憲法と一体となって長年定着してきた解釈を、一内閣が勝手に正反対の結論に変えていい理由には決してならない。

そんなことが許されるなら、社会的、経済的な環境の変化を理由に、表現の自由や
法の下の平等を政府が制限していいとなってもおかしくない。
軍事的な要請が憲法より優先されることになれば、憲法の規範性はなくなる。
つまり、憲法が憲法でなくなってしまう。

■立憲主義を問い直す
 これは、首相が好んで口にする「法の支配」からの逸脱である。自衛隊が海外での活動を広げることを歓迎する国もあるだろう。だが、長い目で見れば、日本政府への信頼をむしばむ。

 裁判所から違憲だと判断されるリスクを背負った政策をとることが、安全保障政策として得策だとも思えない。

首相は「夏までに成就させる」との米議会での約束をひとまず果たすことになりそうだ。
一方で、法制局長官の交代に始まるこの2年間を通じて明らかになったのは、たとえ国会議員の数のうえでは「一強」の政権でも、憲法の縛りを解こうとするには膨大なエネルギーを要するということだ。

憲法は、それだけ重い。
憲法学者や弁護士の有志が、法施行後に違憲訴訟を起こす準備をしている。裁判を通じて違憲性を訴え続け、「もう終わったこと」にはさせないのが目的だという。

憲法をないがしろにする安倍政権の姿勢によって、権力を憲法で縛る立憲主義の意義が国民に広まったのは、首相にとっては皮肉なことではないか。

改めて問い直したい。憲法とは何か、憲法と権力との関係はどうあるべきなのか。
法が成立しても、議論を終わりにすることはできない。


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 以上です。
今日は歴史的な日になるかもしれません。
それは、70年続いてきた日本の平和安全に対する考え方は大きく変わる日です。
これからの日本は、不安全な国になるかもしれません。


2015年8月15日(土)
終戦記念日を迎え、昨日の安部総理の談話

〈全文〉

 終戦70年を迎えるにあたり、先の大戦への道のり、戦後の歩み、20世紀という時代を、私たちは心静かに振り返り、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならないと考えます。

 100年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本にとって近代化の原動力となったことは間違いありません。
アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。
 日露戦争は、植民地支配のもとにあった多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。
 世界を巻き込んだ第一次世界大戦を経て、民族自決の動きが広がり、それまでの植民地化にブレーキがかかりました。この戦争は、1000万人もの戦死者を出す、悲惨な戦争でありました。人々は「平和」を強く願い国際連盟を創設し、不戦条約を生み出しました。戦争自体を違法化する、新たな国際社会の潮流が生まれました。

 当初は、日本も足並みを揃(そろ)えました。
しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が植民地経済を巻き込んだ経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。
 その中で日本は孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして、日本は世界の大勢を見失っていきました。

 満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。
 
 そして70年前、日本は、敗戦しました。
戦後70年にあたり、国内外に斃(たお)れたすべての人々の命の前に深く頭(こうべ)を垂れ、痛惜の念を表すとともに永劫(えいごう)の哀悼の誠を捧げます。先の大戦では、300万余の同胞の命が失われました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦陣に散った方々。終戦後、酷寒の、あるいは灼熱(しゃくねつ)の、遠い異郷の地にあって、飢えや病に苦しみ、亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、東京をはじめ各都市での爆撃、沖縄における地上戦などによって、たくさんの市井の人々が無残にも犠牲となりました。

 戦火を交えた国々でも、将来ある若者たちの命が数知れず失われました。
中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、戦闘のみならず、食糧難などにより、多くの無辜(むこ)の民が苦しみ、犠牲となりました。戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも忘れてはなりません。何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を我が国が与えた事実。

 歴史とは実に取り返しのつかない苛烈(かれつ)なものです。一人ひとりにそれぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった。この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、ただただ断腸の念を禁じ得ません。

 これほどまでの尊い犠牲の上に、現在の平和がある。
これが戦後日本の原点であります。
 
 二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。
 植民地支配から永遠に訣別(けつべつ)し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。
 
 先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国はそう誓いました。自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してまいりました。70年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは静かな誇りを抱きながら、この不動の方針をこれからも貫いてまいります。

 我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫(わ)びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。

 こうした歴代内閣の立場は、今後も揺るぎないものであります。ただ、私たちがいかなる努力を尽くそうとも、家族を失った方々の悲しみ、戦禍によって塗炭の苦しみを味わった人々の辛(つら)い記憶は、これからも決して癒えることはないでしょう。

 ですから、私たちは、心に留(とど)めなければなりません。戦後、600万人を超える引き揚げ者が、アジア太平洋の各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となった事実を。
中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子どもたちが、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができた事実を。米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり日本を訪れ互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。

戦争の苦痛を嘗(な)め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためにはどれほどの心の葛藤があり、いかほどの努力が必要であったか。
そのことに、私たちは思いを致さなければなりません。寛容の心によって、日本は、戦後、国際社会に復帰することができました。戦後70年のこの機にあたり、我が国は、和解のために力を尽くしてくださったすべての国々、すべての方々に、心からの感謝の気持ちを表したいと思います。

 日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。
 しかし、それでもなお、私たち日本人は世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。私たちの親、そのまた親の世代が、戦後の焼け野原、貧しさのどん底の中で、命をつなぐことができた。そして、現在の私たちの世代、さらに次の世代へと、未来をつないでいくことができる。それは、先人たちのたゆまぬ努力と共に、敵として熾烈(しれつ)に戦った米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、恩讐(おんしゅう)を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげであります。

 そのことを、私たちは、未来へと語り継いでいかなければならない。
歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。その大きな責任があります。

 私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国はいかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。

 私たちは、20世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去をこの胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。21世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため世界をリードしてまいります。

 私たちは、経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去をこの胸に刻み続けます。
だからこそ、我が国はいかなる国の恣意(しい)にも左右されない、自由で、公正で、開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界の更なる繁栄を牽引(けんいん)してまいります。繁栄こそ、平和の礎です。
暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、世界のあらゆる人々に、医療と教育、自立の機会を提供するため、一層、力を尽くしてまいります。

 私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去をこの胸に刻み続けます。
だからこそ、我が国は自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。

 終戦80年、90年、さらには100年に向けて、そのような日本を国民の皆様と共に創り上げていく。その決意であります。

 いろいろ話題になっていた安倍さんの70年談話が昨日、夕刻発表された。戦後、70年の節目に当たり、自分の考え方を表明したいということだと思う。
中国や韓国は4つのキーワードが入っているかどうかを確かめたいなど言っていたようだが、そういう一字一字の文言に拘っているようではうまくゆかないと思う。
国と国の外交は互の利益代表だから、衝突するのは当たり前のこと。その上で、グローバルな常識を持って互いに接し合うことが大切だと思う。
相手国の言いなりや、相手国の機嫌取りなどすることはもってのほかだ。
互いに主張しあうが、どこかで理解し合う、そういう成熟した関係で外交は行って欲しい。

上のオレンジ色に変えた文は、私が気になった点です。
一方で、今、参議院で集中審議している『平和安全法制』がある。議論を聞いていると、際どい戦場での自衛隊の対応が話し合われている。
集団的自衛権が成立すると、自衛隊は今までより安全になるというわけのわからぬことを言っているが、戦場に往かずとも、戦争に使う武器弾薬、兵糧を運ぶ役割をする自衛隊に敵国はどういう態度を取るかは自明だと思う。できれば兵糧を分捕りたいという場合もあるだろう。そうなればその場所は戦場に化する。
戦争に合法も違法もない。戦場には民主主義も、人権もない。ただ戦って勝たなければ殺されるだけ。そういう特殊な場において、国会で審議している内容は、あくまで平時(平和な状態)での理屈での解釈によっている。
 戦争は国家主権が決めれば、自衛隊の派遣に繋がり、戦場でない場所に送り出したといっても、そこはいつ戦場になるか全く分からない。

 上の談話は、平和主義国、日本を今後も今までどおり取り組んでゆきますというような意味に取れる。それは結構なことだが、それにしては、よく読み返すと、少し格好良過ぎませんか。 もっと真摯な、心からの反省の仕方や今後の取り組みの表現ができるはず。とりあえず4つの文言を盛り込んだので、中国と韓国はどう出るでしょう?


 2015年8月11日(火)
今日、川内原発が再稼働/臨界に到達?
福島原発事故に懲りない日本人は異常な人種?

 テレビや新聞によると、九州電力管内の川内原発が、世界一厳しい安全基準に合致しているということで、稼働がスタートした。スタートしたと言っても、発電を開始したわけではない。
 水(純水)を満たした原子炉にウラン燃料棒を挿入し、燃料棒の周りに中性子を吸収するホウ素(B)で出来た制御棒を入れて、核反応が起きないようにしている。原子炉を再稼働する場合は、この制御棒を引き上げると、燃料棒のウランから出る中性子線が隣の燃料棒のウラン原子に衝突する。この中性子の速度が適当な値の時に、衝突されたウラン原子が分裂し、二つの中性子を出す。最初は1個の中性子が2個になり、4個になり、16個になり、・・・とその数を増やす。中性子の数が一定の値に達して、連続的に核分裂が起きる状態になると、臨界状態になったという。
 この状態は、ウラン原子核分裂が激しく起き、その際の原子核の質量欠損による発熱で周囲の水を温め、高温の水と蒸気に変える。
 水の働きは、核分裂した熱を取り出すことと、もう一つの働きは、中性子の飛び出す速度を遅くする働きがある。水は減速材の働きもしている。もう一つは放射線を遮る遮蔽材としても働いている。
 
 臨界状態に達した原子炉から高温の水、蒸気を取り出してタービンを回せば、火力発電所と同様に電気を起こすことが出来る。火力発電所は石油(重油)や石炭や天然ガスを燃やすことで、燃焼熱を発生させボイラーで高温の水蒸気に変えて、タービンを回す。
 原発の場合は、火力発電所のように水は高温にはしない。火力発電所のボイラー内の水の温度は600度ぐらいまで高くなる。原発はせいぜい200度台で使う。
 川内原発の今の様子は、臨界状態に達したということだから、しばらくこの状態で原子炉の安全性を確認し、OKならいよいよ、タービンに水、蒸気を循環させ、大量の海水で蒸気を水に変えると、急激に体積が収縮するので、その際の猛烈なタービン内の気圧変化で、タービンの羽根にエネルギーを与え、タービンが回転する。
その際の蒸気の持つエネルギーのもとは、ウランの原子核分裂の質量欠損による膨大な発熱による。
 原発の再稼働反対している理由は、一度臨界状態に達した原子炉は事故で緊急に停止させる処置をしても、膨大なエネルギーを出しているウラン燃料の核反応は急に止まらないので、冷やし続ける必要がある。通常は24時間程度冷やしてその後も冷やし続ける操作がいる。火力発電所は止める際は燃料のバルブを閉めればいい。
 
 もし、何かの原因で、原子炉を緊急停止したとしても、冷やし続けることができなければ炉心がカラ焼き状態になり、燃料棒が溶けてメルトダウンする。
炉内の温度は2000度近くになり、あらゆるものはドロドロに溶けてしまう。
その際の発熱量が周囲のものが奪う熱量とバランスするまで溶け続ける。
 福島原発はまさにそういう状態になってしまった。そして何とか外部からの放水に水で炉心に水が入り、次第に燃料が冷やされて、安定した。
今でも、もし水が何らかの原因で漏れてなくなれば、また核分裂が始まり、温度が上昇する可能性もある。

 原子炉は何が起きても、緊急停止した際に十分水で冷やすことができなければ、福島の二の舞が起きる。だから、安全基準はそういうことを念入りに決めて対応している。
 冷やすためには、水を汲み上げて炉心に入れなければならないが、そのためには相当圧力をかけてやらないと水が注入できない。炉心は高温状態だから、高圧がまのように圧力が高くなっている。その内部の圧力以上の圧力をかけた水をパイプで注入する必要がある。そして水を循環させることである。
 炉心の水は高い放射能を含んでいるので、炉心の圧力を下げるために解放すると大量の放射能が空気中に放出される。
 今までは、放射能管理区域という基準で、ごくわずか放射能漏れにも気を使ってきた。その影響で、福島第一原発は炉心の圧力を下げる処置が遅れた。もし、もっと早く炉心の開放をしていたなら、空気中に放射線漏れは起きたが、現状のような爆発で大量の放射線漏れは防げたはずだ。
 そういう福島の事故の反省点は充分生かされて世界一の安全基準になっているということは、高度な技術レベルを有する日本であるからきちっと対応していると思う。

 しかし、それはあくまで想定した範囲内の対応である。想定外の事故や天災は日頃よく起きるのである。
 原発の規制委員会会長の田中さんも言っているが、『世界一厳しい安全基準を作ったので、これに合格した原発は充分安全性を保っていると言える。しかし、絶対安全かというとそれは言えない。』という本音を披露している。
 お役目だから、各地の原発の安全性を基準に合致しているかどうかチェックを急いでいるが、世界火山地図を見ると、日本は火山列島で、全国が火山に相当するような印が付いている。火山による地震、地震による火山の噴火とも言えるだろうが、日本は世界有数の地震国であり、火山国なのである。
いつも疑問に思うことは、世界一地震が多く火山も多い日本で、世界一厳しい基準に合格した原発は世界一安全と言えるのだろうか?
この関係を解き明かさない限り、安心できない。事が起きれば『想定外』のできごとで、片付けるのである。

 原発でもう一つ、解決できていない大問題がある。それは核のゴミの処理である。
原発を稼働させると、高レベルの放射性物質が生まれる。何千年も保管しなければならない厄介者だ。これを各国は棚上げして原発を動かし、さらに新しい原発を造ろうと躍起になっている。小泉元総理が実にうまく表現したが、『原発はトイレのないマンションに住むようなもの』と言っている。廃棄物処理を棚上げして、とにかく電力を起こそうという
虫のいい話だ。
 原子力発電は他の発電システムより安いという試算で、原発を造ってきた。しかしそのコストに廃棄物処理の費用は入っていない。もし、これを入れ、さらに事故の対応の準備コストを上乗せすれば、火力発電よりコストが上がるはずだ。

 しかし電力会社は、自分のところに既に完成し動かせる原発があり、更に動かすウラン燃料まで手元に既にある。揃っているのに、動かせないでいる。もどかしい状態になっていた。
 川内原発を皮切りに、全国の原発は再稼働に向けて堰を切ったように動き出すはず。

 隣国の動きが危うくなっているので、それに対応するため集団的自衛権の行使ができるよう安全法制を見直すことに躍起になっている。同様に原発も今後は躍起になって再稼働に邁進するだろう。

 どいつは福島の事故を見て、原発の廃棄を決めて動いている。日本は事故を起こして大きな被害を出しつつ、再稼働を進めようとしている。
 この物事を意思決定する思考の違いはどこにあるのだろうか?

 多分、政治家が企業ぐるみになっていることと、政治家が原発の怖さをきちんと勉強していないからだと思う。政治家が勉強していないとは言わない。政治家が原発の話を聞く相手が原発は安全でクリーンなエネルギーですよという科学者や関係者から教えられると、本当の姿を見失ってしまう。
 早く正しく判断し、意思決定ができる政治家と政党が日本の政治を執る時代になって欲しいものだ。
 

2015年8月7日(金)
何か変だなぁ!
この猛暑でも、電力に余裕があるのはなぜ?

2015年8月8日(土)一部追記

昨日、下記の文を掲載しましたが、8月8日の『朝日新聞』朝刊に同様な主旨で

記事が掲載されていました。 誰も考えることは同じだなあ!と感じました。
朝日新聞の内容を読んで、昨日、掲載した内容を少し見直して追記しました。
 

  この夏は猛暑が続いています。
 
 NHKのニュースを見ていると、台風や地震の際に出る特別警戒のブルー画面が、
『熱中症注意』として時々現れます。 それくらい、今年の夏は異常高温が続いているということですが、近年、夏の気温が35度を越えるのが当たり前になってきました。
 
 子供の頃、和歌山(有田の田舎)でも暑い日は30度を少し超えたぐらいで、真夏でも30度前後だったと記憶しています。今は、その頃より3度から5度ぐらいも気温が上がっているような気がします。

 我々は、物事や周囲の環境が徐々に変化すると、その変化を感じないという性癖があります。よく言われる『ゆで蛙』です。気づいた時はゆで上がっているということですが、この暑さは50年ほど前には考えられなかった状態だと思います。
 
 スイスアルプスの氷河が次第に溶けて、氷河の長さがドンドン短くなり、以前、現地に行った時は、『このままでは全部の氷河が溶けてなくなるかも知れない』という話でした。現地ガイドから『10年前はこの辺は氷河だったのですよ』という話を聞いて、その場所は今、石ころの道になっていました。温暖化は地球全体の問題です。
 
 NHKは、ニュースで『熱中症に注意』と呼びかけています。そして、『適切にエアコンを使いましょう』と言っています。
 
 今年の夏は、関西電力から『最大電力使用率が何%になる予想なので、節電に協力してください』という電気使用に対する警告を聞きません。インターネット上には、電力需要の時間的な推移が掲示されています。
関西電力のホームページは下記のとおり
  http://www.kepco.co.jp/corporate/energy/supply/denkiyoho/
 
 高校野球が始まり、しばらくは電力需要がピークになりますが、今日(8月7日)の電力需要率は90%を予想しています。まだ10%以上の余裕があるということです。
 最大電力使用率が90%を越すと『やや厳しい』、95%を越すと『厳しい』という表示になります。
 一昨年はピーク時で97%ぐらいまで迫ったと思います。流石に95%以上になりますと、どこかの発電所や変電所が故障した場合、電力系統がダウンすることになり、広域の大停電という事態になりかねません。

 電力系統は供給量に対して需要量がオーバーすると、電力設備を保護し、電力系統の安定・安定を保つため、オーバーした部分を自動的に切断するような仕組みになっています。
こういう状態になれば、広範囲の停電になる場合があります。
これをピークカットと呼んでいます。
 
 電気事業法では、電力需給を示す指標として、需要率という表現を使いますが、
  需要率=(最大需要電力÷設備容量)×100 [%]

 これに対して、新聞やテレビなど報道で使用されている用語は、電力使用率で、
 
 最大使用率=(最大需要電力÷最大供給電力)×100 [%]
という表現です。
需要率も、使用率も同じようなものですが、設備容量があっても、設備が故障していたり、メンテナンス中だったり、定期検査中だったりして、電気の供給ができない場合もありますので、必ずしも設備容量=供給量 ではありません。


          この4日間の電力需給関係
日付  最大供給電力
(最大発電時)
 最大需要電力
(使用ピーク時)
 使用率(%)
8/8 (予想)  2,877万KW  2,250万KW  78.0%
8/7  2,782万KW  2,530万KW  90.9%
 8/6  2,854万KW  2,467万KW  86.4%
 8/5  2,864万KW  2,551万KW  89.1%
  
 上表のとおり、この夏は昨年より暑いように感じますが、それでも電力余裕は大きく改善されています。

 原子力発電所は一箇所も稼働をしていないにもかかわらず、電力需要に対応できているのです。 なぜでしょう?
 
 
東電の福島第一原発事故以来、全国の原子力発電所は完全に停止しています。関西電力は国内の10電力会社中で、一番原発がたくさんあり、原発依存の状態でしたから、昨年まで『原発が停止しているので、電力供給が不足!』と原発停止の性にしていました。 ところが、今年はそういう話を聞いたことがありません。
 
 その理由はいくつかあると思います。
 @電気の使用側の対応
   電気を消費する需要家の節電意識の高まりや、省電力家電や、省電力機器が
   増えてきたこと。これは一般家庭や産業界も同様です。
   電力使用量が2010年震災前が1億7千万〜8千万KWだったが、震災後は
   1億5千万KWと、10数%少なくなっているのです。
   2000万KW減ると、原発は約20基分不要ということです。
   具体的には、
    
@照明のLED化が進んでいること。
      LEDは同じ明るさでも、電力消費が、電球の1/10、蛍光灯の1/3に下がる。
    Aクールビズなどで、オフィスの冷房設定温度を上げて節電していること。
    B一般家庭では、冷蔵庫、エアコン、その他、家電商品の省エネ製品が普及してきたこと。

   電力の総需要が今までのように、ドンドン伸びる状況ではなくなって来ました。
    震災前(2010年)に比べて、10数%電力使用が減っているのです。

 A電気の供給側の対応
   @停止中の火力発電所を稼働させていること
    関西電力管内の効率の悪い古い火力発電所(重油燃料)も補修しながら稼働させている。
     例えば、和歌山県内の御坊火力発電所、海南火力発電所など火力発電所を稼働させている。
    A大企業は高効率の自家発電設備を建設し、自前電気を使うようになってきたこと。
     余った分を電力会社に売っています。

   
B太陽光発電が大きく寄与していること
     再生可能エネルギー買取制度(FIT)により、メガソーラ発電所や家庭の屋根に設置した太陽光発電
     により、2010年には280万KWであったが、2014年は2700万KWに達しています。約10倍になります。
     これは、原発が1基で60万KW〜120万KWなので平均100万KWとして、原発27基分に相当します。
     しかも、太陽光発電は電気を大量消費する昼間に一番発電量が増えるので、使用のピークにうまく
     発電ができます。このように少なく見積もっても、原発10数基に相当します。

などが挙げられます。

 これらの対応で、原子力発電所を稼働させなくても、需要ピーク時の電力余裕が
10%以上もあるということです。
 一昨年は余裕率が3%しかないという言い方で、電力供給の危機を煽り、原発の再稼働を促したような気がしましたが、今年は少し様子が変わってきました。
 
 しかし、原発の再稼働は、各電力会社の念願です。
巨額の投資をした原子力発電設備があり、そこには燃料ウランが保管されている状態で停止しているのですから、電力会社からすれば宝の持ち腐れです。
一刻も早く再稼働させたいというのが本音です。そのことは理解できます。

それをあまり諸に言い出せない事情が生まれてきました。

その理由は2つです。
 一つは、原発の安全性に対する不信感が高まって来たことによる周辺住民の再稼働反対運動。再稼働には近隣住民の合意が必要です。
 もう一つは、電力の自由化の動きです。


 まず、原発の再稼働に向け、自民党政府が後押しし、原子力規制委員会が『世界一厳しい安全基準を作り、その厳しい基準により検査するから、検査に合格した原発は世界一安全だ!だから再稼働してよろしい』という論理で進めています。
しかし、厳しい基準をなかなかクリアできないので、検査合格が遅れています。

 この検査に合格した九州電力の川内原発が8月中旬に再稼働すると言われていますが、これをきっかけに、次々と検査合格、再稼働が始まるかも知れません。

世界一厳しい基準をクリアできれば、原発は安全と言えるのでしょうか?

 地震や火山噴火の自然現象は、人類の現在の知能や高度な科学・知識を持ってしても、完全な予知ができないでいます。
 さらに今、参議院で『集団的自衛、平和安全法』を審議していますが、安倍総理は日本の周辺事態の状況変化による危機・リスクが高まっているので、『日本国家・国民を守るための法案』ということで国会を押しまくっています。
 もし、相手国(敵国)が日本を攻撃する場合、都市部を狙うより、原発にミサイルの照準を合わせることが一番大打撃を与える有効な対象になります。
それに対する対応ができているのかです。 
 
 地球規模の自然現象を正確に予知できないのと次元が違う話ですが、人為的な攻撃の危険性はどうしようもありません。完全防衛は不可能でしょう。
 ミサイル攻撃に対しては、ミサイルで対応するということですが、打ち損じもあるはずです。ミサイルが原発に集中投下されれば、原発は耐えられないでしょう。そして制御不能になり、放射能が撒き散らされるのです。
 
 原発が安全かどうかを判断する根拠は、自然災害の発生率を1000年に一度とか、何万年前に断層がズレたとかいう科学的根拠を元にある確率で計算して、更に安全率を掛けて安全基準を作り、それにより検査をして安全かどうか判断します。

 その安全基準以上の自然現象が発生すれば、それは『想定外のできごと』として処理せざるを得ないのです。
 あらゆるモノ(商品、設備、機械、全て)の設計・製造はそういう確率と安全率の元にやって来ました。原発以外のものは、その方法で納得ができます。
 例えば、飛行機は揚力と重力のバランスが崩れると、必ず墜落します。何重の安全対策を施し万全を期しても、墜落事故は必ず起きます。しかし、落ちても被害は限定的です。
 原発は何かの原因で事故が起きると、その被害は人間の尊厳を無能にし、広範囲に渡り、しかも長時間にわたります。人間の力では手がつけられなくなります。
これが原子力の世界のできごとです。
 
 そういう原発の抱える危険性を知りながら、何とかしたいと躍起になっています。
そして良識ある周辺住民の不安は高まる一方です。

 もう一つの要因は電力事業法改正による電力の自由化があります。
 今まで、電気事業法で日本は9電力会社+沖縄の10電力会社による地域独占制を取ってきましたので、住んでいる場所によりどの電力会社と契約するかは自ずと決められていた。電気は規制事業だったわけです。
 今回の電気事業法の改正で、電気の売買は自由化され、どの電力会社からでも買えるようになります。そうなると、電力会社は安くて安定した電気を供給しなければ、需要者は他の電力会社に契約変更することになります。だから、『原発の再稼働しなければ電力不足だ!』という単純な脅し?は通じなくなるわけです。

 さて、電気を関西電力から他の電力会社に契約変更する場合、『電気をどうして受けるのか?』という疑問があります。
 ガソリンなら別のガソリンスタンドに行けばいいのですが、電気やガスは電線やガス管が必要です。例えば、今までの関西電力と違う電力会社と契約する場合、『受電の電線を貼り直すのか?』という疑問がありますが、電線は今までどおりで、送電線や配電線は変わりません。
 他の電力会社は発電設備を建設して、その電力を関西電力の送電網につないでいるのです。そこでどれだけの電力を送ったのかデータを把握します。
 需要場所(各家庭や工場など)の電力計は新しく契約した電力会社のメータに付け替えることになります。そしてその使用料を新しく契約した電力会社に支払うというやり方です。

 話がずれましたが、今年の夏の電力余裕は十分あるということです。
無理な我慢をしないで、暑い時は適切にエアコンを使い、熱中症にならないように互いに注意しましょう。
   


2015年7月29日(水)
『平和安全法案』の国会審議を見て

 「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法案が7月16日に衆議院を通過しました。 衆議院の法案審査委員会の様子をテレビ中継や、インターネット中継やニコニコ動画中継を見ていると 、議論が噛み合わず、野党の突っ込みに対して、安倍さん一流の『・・・でございまして』『・・しっかり・・・』『ご議論を頂き・・・』など、言葉の変な丁寧用語の多用や、『一般論を申仕上げると・・・』『特定に事に対して申し上げられない・・』とかいう表現で、のらりくらりと質問を交わして、何を言い合っているのか、よく分からなかった。そして、7月16日に強行採決を行った。

 衆議院は与党が圧倒的な数を確保しているので、いくらでも強行採決はできる。
 しかし、何かおかしく感じるのは、公明党は元々、社会党系のような勢力だったはずが、今は自民党に擦り寄り、与党として甘い汁を吸っている。今回の衆議院での採決も法案に賛成した。
 
 平和安全法案は、冒頭に掲げたとおり、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法案」という表現になっている。
 これは平時においての綺麗事の表現である。いざ、戦時になると、殺し合いの戦場で、いま国会で審議している戦場では自衛隊の活動はできないという、そのような線引きがどうしてできるのかである。

 誰が考えても、戦場では殺し合いの場だから、日本の自衛隊はこういう規則で参加しているから日本の自衛隊には攻撃を加えないというような理屈は全く当たらない。
 それを、平時の理論で、だから自衛隊は今回の法案が通れば、以前より安全になるというような馬鹿げた話が堂々と国会でなされている。
 
 日本の周辺の状況が最近急速に変わってきている。中国は軍備拡張して、どんどん尖閣諸島や周辺海域に進出している。北朝鮮の行動の見逃せない。弾道弾ミサイルを発射して東京を火の海にしてやるなどと言っている。
 だから、個別的自衛権(自衛隊だけで日本を守る)では対応ができないので、集団的自衛権を行使できるように法律改正、法案を作るという今回の行動に出た。
 ことは緊急を要するので、安倍さんは早く法案を国会で承認し通過させたいと言っている。しかし、下の6月18日に書いたように、憲法との齟齬や憲法違反だという声が学識者や憲法学者や、元内閣審議官、法制局長官まで、この内容は憲法違反だと言い出す始末になった。安倍さんは内心、大きく揺れていることと思う。
 他国からの脅威があれば、それを取り除くための外交や、自衛隊の戦力を強化すればいい。そういう対応をしつつ、もっと時間をかけて、国民の合意形成を図り、まず
法律の基本である憲法改正を行えばいい。その上でいま議論している平和安全法案を堂々と国会に再提出するということであれば、問題はない。
 ただし、そういう国民的議論をすれば、平和になれた日本国民は戦争に参加することも生じる法案には誰も賛成しないだろう。
 だから、今回のように無理やり、憲法の解釈を捻じ曲げてでも、平和?安全法案という奇妙な名前の法案として、通しかったのだろう。
 安倍さんとしては、少し読み間違えた!!

 そして、参議院での審議が昨日から始まっている。
参議院では、衆議院と少しニュアンスが違い、憲法違反や、法案の不整合さや集団的自衛権の問題点など、相当深く掘り下げた理論になっている。
 今回は参議院の存在を少し見直した。


2015年6月18日(木)
戦争と平和

 平和安全保障法案が国会で物議をかもしている。集団的自衛権が憲法違反かどうか?
など、議論が沸騰し、話を聞いても分かりにくい。
 『何がわかりにくいのか?』というと、解釈の仕方が実にいろいろあるからだ。

 憲法は分かりやすい日本語で書かれている。いつも問題になるのは、憲法第9条である。
その条文は、以下の2つである。
  • 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  • 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
となっている。我々の小学、中学時代には日本国憲法は世界に冠たる平和憲法だと教えられてきた。

 2項目の陸海空軍その他の戦力は、これを保持しないと規定しているが自衛隊は存在する。自衛隊は戦力ではないのか? 自衛のための戦力がなければ国は守れない。だから都合よく憲法を解釈して、国防のためには自衛隊をもち、自衛隊は戦力ではないとしてきた。ここに基本的な憲法解釈のいい加減さがある。さらに、憲法は明確に交戦権は認めないと書いている。

 自衛隊は日本が他国から攻められた場合に、国及び国民を守るために戦う組織である。決して他国に出向いて戦うためではない、ということだ。

 この誰もが納得できる解釈を、今変えようとしているから、何かおかしく感じるのだ!

 憲法は一見、明確に『戦争放棄と戦力を持たない』ことを規定しているように見えるが、読み込み方によれば、いかようにも解釈できると言えそうだ。だから、そこをついて、安倍政権は訳のわからない『平和安全保障法案』を提出し、衆議院を通うそうとしている。

 しかし、話を聞いていると、聴けば聴くほど何か違和感を感じる。先日、憲法学者が、この平和安全保障法案は憲法違反だと斬じた。
 国民が生命の危機を受けるような事態には、集団的自衛権という分かりにくい言葉で表現された考え方のもとに、自衛隊を出動できるということになるらしい。
 それは、日本が他国から直接責められた場合なら、分かるが、そうでない同盟国が攻められた際にも、同盟国の一員として、直接戦闘地域以外の場所なら出向いてゆくという事だ。

 直接戦闘地域であろうと、後方支援であろうと、敵からすれば日本も戦争相手国という位置づけになるのは当然のはず。自分たちと直接、ドンパチやっている国はもちろんだが、その国に兵器や物資を輸送し、戦力補給をしている日本をそのまま見過ごすことはない。
 自分がその立場なら誰でも理解できること。それを直接戦闘地域意外だから安全だという理屈は、戦争という違法な行為を平時と同様に考えているに過ぎない。

 だから、集団的自衛権や自衛隊の出動の基準を改訂したいのなら、憲法を変えることから始めないと整合性が合わなくなる。
 憲法では、戦わないと言っておきながら、平気で戦争行為に参加するということでは、憲法の意義や役割がないがしろにされる。これが一番恐ろしいことにつながる。

 日本は立憲君主国だから、憲法があらゆる国の行動の原点になければならない。憲法学者が違憲だと言っているものを、『それは学問的な考え方でしょう!』と切り捨てる安倍政権は何を目論んでいるのか怖くなります。自民党の全員はそういう考え方ではないはず!

 もう一つ、非常に大切なことがあります。
 それは、ヴェトナム戦争から始まった戦争は、全てゲリラ戦だということです。
日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦(太平洋戦争)等は、国と国が互いに国威をかけて戦った戦争です。真っ向から、旗を掲げて清々堂々と戦う戦争でした。
だから、真っ向からの真剣勝負という感じの戦争でした。大きな犠牲が伴うのは戦争の常ですが、そこには潔しというものがありました。
 兵士は平服を着用し、一般民間人とは違う服装で、身分を示していました。

 昨今のゲリラ戦はバラバラの局地戦であり、住民と兵士の見分けが付かず、住民が突如、兵士に変わったり、道端の乗用車が爆発したりする何でもありの戦争です。
 
 こういう戦争に参加すると、いくら装備を高度化し、設備をしっかり保全して臨んでも、相手が誰かわからないので、不意打ちでやられることになります。まともに戦って死ぬという状況ではないのです。
 
 アメリカなどは新兵器開発に巨額の国防費を投じてきましたが、それはまっとうな戦争を前提にしています。ゲリラ戦ではそういう高度な新兵器が効果的に使えません。
相手を殺すための兵器は、相手が明確になっていないと攻撃できないのです。
 一般の平民(国民)と、ゲリラ兵士は同一? 見分けができないのです。
しかし、その中に紛れ込んで、潜んでいる兵士が突然攻撃してくるのです。不意打ちです。
これで、たくさんの米兵がヴェトナム戦争でなくなりました。これは悲劇です。
そういう戦争が現在行われている戦争です。

 IS(イスラミックステイト)、イラン、イラク、中東、エジプト、シリア、ウクライナ、パキスタンなど広範囲で政情が不安定です。ほとんどがイスラム教国です。

 そういう現在の混沌とした不安定状態の中に、集団的自衛権のもとに、襟を正した自衛隊が、相手が打ってくるまで打たないとか、自衛のための出兵だとか、いくら言っても、相手は何でもありの集団です。ゲリラなのです。
 一度、この中に足を踏み入れれば、日本も相手の標的になるでしょう。

 集団的自衛権、平和安全など言葉では綺麗ですが、実態はドロドロの汚い世界です。


2015年5月22日(金)
人間の二つの脳とは?

 私たちは、何かを目標に日々生きている。 特に『そういう確かな目標は持っていない』という人が多いと思うが、そういう人でも、『何かが欲しい』とか、『何かをしたい』とか、『どういうふうにありたい』とか、「どういうふうになりたい』とかいう漠然とした欲望は誰でも持っている。

 もっと身近な言い方をすれば、『タバコを吸いたい』、『スリムな体型にしたい』とか、『お腹を凹ましたい』とか、『ある資格を取りたい』とか、『ゴルフがもっと上手くなりたい』とか、『車が欲しい』とか、『結婚したい』とか、『美味しいものをたらふく食べたい』とか、いろんな欲望がある。
これはあって当たり前のこと。
 
 しかし、一方で、その欲望に反することが脳の中で反応している。自制とも言えるもの。
私たちの脳は一つしかないが、私たちの心は二つある。
言い換えると私たちの心の中には、二つの自己が存在する。
 
 一方の自己は、考えの衝動のまま行動して、目先の欲望を満たそうとする。もう一方の自己は、自己の衝動を抑えて、欲望を先延ばし、長期的な目標に従って行動する。

 『美味しいクッキーが食べたい、食べたくてたまらない』、という欲望と、『痩せたい』という欲望がせめぎあう。そして自分の心の中で対立する。

 この長期的な目標を達成するためには、衝動的な欲望をねじ伏せるしかない。
しかし、この衝動的な欲望の誘惑に負けてしまうことが多い。これは特に悪いわけではない。
「最も大切なのは何か!」ということだ。

 自分を高めてゆきたいという思いは誰でも描くものだ。
例えば、会社員なら、主任になりたい、課長になりたい、部長になりたいという想いを持って当然だ。
しかし、一方でその思いを阻害する衝動的欲望が頭を出す。
 遊びたい、自由な時間が欲しい、楽したい、といろんなことが挙げられる。

 そこで、『克己』という言葉があるのをご存知だろうか?
己に勝つという意味だが、これは見事に二つの自分に対して、あるべき将来像に向かって進むには、それを阻害する自分に勝つことだということを表している。

 『己に勝つことは、戦場で幾万もの敵に勝つのに勝る』という言葉がほど、己に勝つことは難しいという事。

 そこで、『克己』は衝動的欲望をねじ伏せるしかないということになる。どうすれば己に勝てるのか?
面白い解答を見つけた。

 それは、自分の衝動的欲望に対して、滑稽な、おかしなあだ名をつけるとよいらしい。
つい頑張ってやらないと勉強が進まない時に、遊びたい、手を抜きたいという弱い自分が現れたときは『なまけもの』が現れたな! とか、お菓子を食べたいと我慢できないときは、『クッキーモンスター』が現れたな!と自分に言い聞かせて、モンスターバスターをする! 自分の弱さをはっと気づく、
これを繰り返しをする内に、次第に衝動的行動に向かわせる弱い自分を強くしてくれるらしい。

 「らしい」といったのは、私もこれから実践してみようと思っているから・・・。

 松下電器の創業者、松下幸之助氏がよく言われた「素直な心になりましょう」という言葉がある。
これも裏返して云えば、素直な心になれないから、常にそれを座右の銘にして自分に言い聞かせたのだと思う。

 私たち、人間が持っている二つの自分、この一方を取り除くことはできない。
もし、それができたとしたら、何が起きるのか?
 衝動的な自分は原始的な脳に刻まれた人間の動物的な遺伝子から生まれているらしい。だからこの衝動的な欲望を完全になくすると大変なことになる。

 これは医学的に証明されている。例えば、脳の損傷により、原始的な本能をつかさどる部分がなくなると、物事に対する恐れ、欲望、健康、幸福の感覚や自制心がなくなる。
 少し、変な話だが、欲望は限りなく大きくなり、セックスに対しても、誰彼なしに求めるようになるらしい。親や兄弟に対しても。

 この二つの脳は人間だけが持つ。他の動物は衝動的な脳しか持たない。
人間以外の動物は、自分の姿を認識でき、自分の危険は感じる。だから襲われると逃げたり、攻撃する。しかし、人間以外の動物は自分の心の中を見る、または知ることができない。
我々は、自分が何かの行動をしながら、これでいいのか、他にいい方法はないか、常に自問自答を繰り返しながら行動できる。

 タバコは健康に良くないことは分かっている。しかし、吸いたい。
『タバコモンスター』を思い出し、禁煙スタートできますか?


2015年5月13日(水)
何か違和感を感じませんか?
  近頃、新聞やテレビを見て感じることは? アベノミクスという言葉があまり聞こえなくなったこと。
第一、安倍さん自身があまり言わないようになっているように感じる。
そして、『景気は回復帰調にある』と言われていますが、確かに、ある数字や統計的には良くなっているのは事実ですが、生活の実感として以前と変わらない。むしろ、悪化しているようでもある。
 一部の大企業だけが円安の恩恵を受けて、最高益を更新など華々しい情報が伝わっています。
ちょっと、アベノミクスに期待した状況と、ずれているのではないでしょうか?
 
 以前のように、『景気は山谷が繰り返される』という循環型の考え方は通じないような気がします。それは、世界中が一つの大きな枠組みの中に入ってしまったことが大きな要因でしょう。自分の国だけで、経済成長を果たそうとしても、それはグローバル経済の大きなうねりに左右されて翻弄されます。日本は日本国内の景気対策ではもうどうしようもなくなっていると思います。
 
 アベノミクスは、異次元とまで表現した超金融緩和により、思い切った円安を誘導し、輸出を活性化し、輸出を伸ばそうとする狙いが大きいと思いますが、思ったように輸出が伸びません。
 それは工場が海外に移転してしまっているから、現在の1ドル120円前後の円安になっても、国内の製造業が以前のように国内で生産するものがなく、それゆえ雇用が大きく改善しなくて、経済活動が活況を呈することがないからです。

 その典型例が自動車産業です。昔は、国内生産が大部分で、国内で製造した車を輸出しましたので、円安になると、輸出が大きく伸びました。これにより、下請け会社も恩恵を被ることができました。しかし、現在はこの円安でも、国内の生産量は国内の販売量に見合う分しか製造しない工場の体制ですから、円安のチャンスが到来しても、国内の製造業が思ったほど活気づくことが望めません。
 円安になると、海外生産した製品の現地価格は同じでも、ドルを円に替えて持ち込む時は、為替差益で日本に持ち帰る円が増えます。
 例えば、1万ドルの車をアメリカで生産販売したとします。その車の利益が1割で、1千ドルだったとします。これを円換算で、1ドルが80円と120円とでは、 利益が同じ1代を販売した時に、8万円になるか、12万円になるかです。現地価格は同じでも、円に換える際に、円安ではたくさんの円を持ち帰ることができます。それだけ儲けが増えるということです。

 トヨタやホンダや日産自動車は、車の需要地の近くに海外生産を増やして来ました。円安でドル建ての販売をしているため、上記のように為替差益分は利益として大きく積み上がります。

 トヨタ自動車は何と営業利益が過去最高の2兆7000億円を上回りました。この内、1兆4000億円が差益分だということです。ですから収益の実力は、その差額分、すなわち1兆3000億円となります。
1円の円安で、400億円儲かる勘定になるそうです。
これは、グローバル企業の話です。

 国内に50万社とも、60万社とも言われる国内の中小企業には特に恩恵がありません。むしろ、円安で原材料の仕入れ価格が値上がりし、支払いが増える傾向になります。
 こういうふうに見てくると、アベノミクスの効果は当初期待したような甘いものではないようです。期待したアベノミクスという麻薬の効果が何かおかしくなっているような気がします。そういうことが要因かどうか分かりませんが、最近、あまり『アベノミクス』と騒ぎ立てることがなくなったようです。

 今、注目されていることは、憲法改正と、それに先立つ安保体制の問題です。
日米安保体制について、安倍首相がオバマ大統領と会談し、更にアメリカ上院、下院議会において日本人で初めて演説したことが報じられました。安倍さんはそういう行動は今までにない総理だと思いますが、どうも日本の自衛隊の活動範囲を拡大し、積極的防衛とか、意味がわからない、またはどう判断して良いのか理解しがたい表現で、ドンドン世界に積極的に出かけて行きたいという思惑が見えます。今までは自衛隊が海外に出かける際には、いろんな縛りが強くて、十分な活動ができなかったという反省のもとに、そういう海外での紛争地域でも、後方支援ができるという事を法制化して、従来の法律を改正し、もっと他国並みの軍隊活動ができる国にしたいようです。
それは、自衛隊という範疇を超えた軍隊です。
自衛隊という言葉には、守るという意味合いが強いはずです。集団安全保障とか専守防衛とかよく意味がわからない言葉を使って、それに意味づけして、ドンドン自衛隊の際限ない海外派遣ができるようになるというわけです。
公明党との連立内閣で与党協議し、合意されたというニュースを見ました。

世界は常に変化し、動いていますので、日本もそれに対応してゆかなければなりません。しかし、今やっていることは余りにも節操がなく、急ぎすぎではないでしょうか?
物事には、急いでやらなければならないことと、十分時間をかけて国民の合意を形成してから取り組むことがあります。第二次世界大戦や太平洋戦争の教訓とは一体何だったのでしょう。

人は『喉元過ぎれば、熱さを忘れる』と言う諺がありますが、戦後70年という年月が過ぎ、戦争体験世代が次第に亡くなる時期を迎え、戦争の悲惨さを忘れかけているような気がします。
戦争をよそ事のように、軽々しく扱ってはならないと思います。
しかし、他国が攻めてくるとなると、その火の粉は防がなければなりません。そういうミニマム条件を設定して取り組むことが大切でしょう。
しかし、今はそのラインを既に大きく超えてしまっているように思います。

 日本の憲法は、第9条の『戦争の放棄』を謳っていますが、このような崇高な憲法を掲げた国は世界にありません。この憲法を未来永劫、誇り守り続けるのか、現状の動きのように憲法を改正し、有事には戦争もできる国に変えてゆくのか? 今、瀬戸際に迫ってきたような気がします。

 どういう場合に、自衛隊を出すのか、その論議をいろいろとしたようですが、その内容が非常に分かりにくくなっています。誰が正しく判断できるのかです。複雑怪奇な法律や条文を作って、どちらにも解釈できるような内容に仕上げて、政府の都合によってどちらにも判断できるというものだと思います。これは大変危険なことです。

昨日の朝日新聞 夕刊の素粒子に書かれている文を紹介します。
 切れ目が欲しい と題して
 平和と戦争との、
 自衛隊と米軍との、
 乱立する「事態」の、
 憲法9条の内と外との、
 戦闘地域と後方支援との、
 平和と積極的平和主義との、
 10本一括の安保法政改正案の、
 普天間返還と新基地建設との、
 アベノミクスと富国強兵との、
 日本の存立と中東の掃海との、
 米国と思惑と日本の追従との、
 首相の願望と国民の希望との、
 一休みし、頭を整理するための、

 今、安倍政権は、自衛隊の強化と海外派遣をしやすくすることに熱を上げている。一方で福島原発事故は、完全にアンダーコンロトールにあると言い切った。そして、原発の再稼働に大変熱心に取り組んできた。それは電力の安定供給という大義名分のもとに進められている。一方で、福島原発事故の後、再生エネルギーへの転換という大きな命題は次第にしぼみつつある。それは風力や太陽光発電は不安定だからという理由による。確かに風力は風が止めば発電しない。太陽光発電は曇や雨や、夜は全く発電しない。だから風力や太陽光発電はダメだという考え方は技術の進歩を阻害する。そうではなくて、太陽光の、風力発電の不安定さをどうして克服するか?この命題に対する解を出すことに、科学の大きな進歩が生まれる。その解は巨大な容量の電池かも知れない。

 ドイツは福島原発事故を見て、すぐに原発ゼロに踏み切った。
当事国の日本はこともあろうにまたまた原発再稼働に突き進んでいる。
政府の言い分が振るっている。『日本は世界で一番厳しい安全基準を作り、それに則り厳しい審査して合格した原発については稼働させる』と言っている。

 自衛他の海外派兵や、積極的安全保障や、積極的平和主義、など何がなんだか分からない言葉を作って並べて、自衛隊を軍隊化して、世界の平和に貢献しようとする。
それには大変熱心な政府だが、原発再稼働については、学者や原子力委員会に任せて、それも政府見解と同じくするようなメンバーでやっている。

原発の安全性は、厳しい規制基準で以前よりはハード的に、物理的には安全性は上がったことは間違いない。しかし、システム不良や、機器の不良や景気の不良等ハードの不良が原因で深刻な事態(シビアアクシデント)に陥った場合にどう対応するかが描けていない。

小生が一番心配するのは、原発がテロに狙われた場合どうするかである。今後、世界の原発はテロの絶好の対象物になると断言する。
自然界の地震や火山は猛威を振るう。それはそれで大変な驚異だ。
しかし、自然界は人知である程度の予測ができる。予測を超えれば、『想定外のこと』という言い訳になる。しかし、人為的なテロ行為は、予測がつかない。
日本海側には原発の群れが並んでいる。そこを狙って、潜水艦からミサイルを発射されて、原発の心臓部や制御室等が攻撃され、破壊されても原発はシビアアクシデントに陥ることなく安全に停止できるだろうか?

自宅の防火はしっかりやったから、自分が火を出したりしなければ大丈夫だ。
もしとなりが火事になっても防火壁がしっかりしているから、類焼はない。
これだけやったから、大丈夫だと言っているようなもの。
隣に、少しおかしな人が住んでいて、火をつけられたらどうか?
ガソリンや灯油を巻かれて、火をつけられても、絶対大丈夫か?
家は燃えても、立て直せば済むが、原発は福島で経験し続けているように、何十年も収まらない。
収束しないのである。

 今、日本各地の火山活動が活発化している。阿蘇、霧島、御嶽山、箱根、蔵王など全国の火山やそれに連なるところで地殻変動や火山性地震が頻発している。
 
 また、世界でマグニチュード9以上の巨大地震が起きた地域は5年以内に火山が噴火している。
東日本大震災はマグニチュードが9.2という値であり、世界の巨大地震とその後の火山噴火のデータからすれば、日本のどこかの火山が大噴火しても全くおかしくはない状態にある。
 そういう日本で、まだ、懲りないで原発を再稼働させようという神経が理解できない。
人間の能力や知恵は自然界の力の前では微弱なもの。この怖れをもつ謙虚さがいると思う。

 人間は17、18世紀以降、急激な科学の発展を行ってきた。
分子の世界、原子の世界、更に原子核、電子など量子力学や電磁気学という途方もない微小空間や微粒子を頭で考え、実験で確かめ、理論を構築し、それを下に人間の生活向上に尽くしてきた。
 しかし、原子の世界、特に核の分裂という現象に行き着いた時、その途方もない巨大なエネルギーを発見した。それが余りにも巨大すぎたため、まず考えたのは武器に使用することだった。武器は一気にエネルギーを放出すればするほど、殺傷力が高く、優力な武器となる。これが原子爆弾である。それを更に進めたのが、原爆を起爆剤に使った水爆だった。言い方を変えるなら、原子核分裂による原爆と、原子核融合による水爆だ。
 そして、原子力の平和利用として、生まれたのが救世主と言われた原子力発電であった。しかし、原子核を分裂させるということは、自然界にない新しい恐ろしい放射性物資を生み出す。そしてそれの廃棄物処理や保管が全く進まない状態で、人間は良いとこ取りだけしているのである。
 地震国、日本のどこにも、何百年、何千年という誰も保証できない保管場所と、保管倉庫を造る同意は得られない。要はトイレのないマンションに住まっているのである。そのことには全く触れずに、言わずに、原発のコストは一番安い(約10円)という言い方をする。このコストに廃棄物保管費用を加えれば幾らになるのだろうか? そしてその保管場所は今尚全く決まらない状態だ。
これは世界中も同様な状況にある。

憲法改正、自衛隊の活動の法制の変更など、大変積極的に進めようとしている一方で、原発の再稼働に対しては、とおり一変の『世界一厳しい安全基準に則って審査するので大丈夫』という非常に危ない状態で進めている。

こういうことに、違和感を感じませんか?


2015年4月25日(土)
犬山城にドライブしました
  昨日、久しぶりに、愛車フィットハイブリッドで、往復350kmほど走って来ました。
ルートは、往路は第二京阪、京滋バイパス、名神高速から小牧ICまで高速道路を走り、そこから一般道路を走り、走行時間は2時間30分ぐらい。

 犬山城の天守閣の観光を済ませて、城下町を散策し、昼食をとり、近くの有楽苑内の国宝、如庵など苑内を散策しました。日本の観光地の入場料は高いので、いつも入るかどうか、入り口で躊躇しますが、今回は高い入園料を払って観光しました。

 帰路はコースを変えて、名古屋第三環状道路、東名阪自動車道で四日市、鈴鹿を通り、国道25号線、(名阪自動車道)で帰ってきました。
往復の燃費は、メータ表示値で、28km/Lになりました。
 高速道路は80kmから100km/hで走りました。特に渋滞はなく快適に走れました。
 満タンにし実燃費を出そうと思ったが、スタンドに立ち寄らずに帰宅しました。

 今回は今まで最高の燃費が出ました。
これは、気温が上がってきたことと、この車も全走行距離が6000Km程になり、エンジンやメカのなじみが良くなり、摩擦が減り、燃費が良くなったものと思う。
それにしても最近の車の燃費の良さには感心する。

 この新型フィットハイブリッドは、購入してから5回リコールがあり、世間で大分叩かれ、ホンダは痛い目にあった。小生は全くリコールは気にしていない。
ただ、自分が載っていて、いつもの車と少し振る舞いが違うなという違和感が2、3点あり、それをディーラに話をしました。その内容が、リコールの対象のひとつになって、改善されて良くなったので、ホンダには貢献できたと思っている。この新型フィットハイブリッドは大変良いと思う。
加速やブレーキングやハンドリングや静かさ等は素晴らしく良く出来ている。とにかく乗って疲れないのがいい。

 一昨日(23日)、ホンダジェットが羽田空港に飛来した。7人乗りの小型ジェットで、値段は5億4千万円だそうだ。こういう小型機はアメリカやヨーロッパのトップビジネスマンたちが自家用として使用し、各地を飛び回っている。
 
 目を引くのは、主翼の上にジェットエンジンを積むという奇想天外の発想が奏功し、室内が広く、高速飛行ができ、燃費が良いという思わぬ一石三鳥の効果を引き出している。
全く今までにない形で、さすがホンダが作った飛行機は違うという印象を持つ。
形は下の写真のとおり。日本に初飛行してきた機体は赤に塗装されていた。
  

 話は自動車に戻るが、最近、自動車メーカの開発競争は激烈になっている。
まず、トヨタは世界初の燃料電池車「ミライ」を発売した。

これは水素を燃料とするので、走っても全く排気ガスは出ない。トヨタはゼロエミッションと謳っている。燃料の水素が空気中の酸素と結合して水ができる。その際に電気が発生する仕組み。しかし、「水素ガスをどうして造るのか?」である。
 今は、天然ガスやLNGを分解して水素を作るが、その際に排気物として炭酸ガスが出るので、トヨタが謳っているゼロエミッションとは言えない。これは実はまやかしだ!。
 
 さらに、現状では水素ガススタンドが殆どないので、スタンドができないとガスの充填ができない。すなわち車を動かせない。今のところ、水素スタンドの整備、拡張待ちという状況だ。
 水素ガススタンドは設備投資に数億円が必要となるらしく、各所にできるには相当時間がかかるだろう。そうなるとせっかく世界に先駆けて開発し商品化した「ミライ」が売れないので、トヨタは先般、燃料電池に関する特許を無償公開し、各メーカが自由に使えるようにした。早くたくさんのメーカが次々と燃料電池車を発売して、水素ガススタンドが普及することを狙った措置だ。
 その点、ハイブリッド車はプリウスが代名詞になるほど市場を席巻した。続いて出したアクアもバカ売れしている。
 
 ホンダは軽のスポーツS660の発売で、話題が沸騰している。これの開発責任者が26歳の若造ということで、一層目を引いている。
 ホンダは新型フィットハイブリッドのリコールがひと段落して以降、矢継ぎ早に新車の投入を行い、ヴェゼル、グレース、ジェイド、・・・と続く。
 そしてつい最近発売した旗艦のハイエンド車、レジェンドは3モータハイブリッドの新システムを積んでいる。アコードは2モータ方式で、その他の車は1モータハイブリッドシステムで、車のクラスに応じて3つの異なるハイブリッドシステムを開発して搭載している。

 これに対し、違った生き方で元気なのはマツダだ。マツダはハイブリッドはトヨタから買い入れてお茶を濁している。
 マツダの本命は、スカイアクティブという命名した新エンジンとトランスミッションシステム、低燃費・高効率エンジンの開発に余念がない。マツダによると、エンジン自体の高効率化はまだまだできるという。現状で40%を越すところまで来ている。これはガソリンが持っている「熱エネルギーの何割が機械出力に変わるか」という効率の問題だ。100%に近いほど、効率がいい。
 マツダは奇想天外の発想で取り組み、ガソリンエンジンは高圧縮比で高効率化を図り、ジーゼルエンジンは逆に世界一低圧縮比(今までのジーゼルエンジンは1/20〜1/25ぐらいの圧縮比をマツダは1/14と低圧縮比で実現)で、ジーゼルエンジンの欠点とされていた騒音、振動、排気ガスの問題を解決した。ジーゼルエンジンは元々、高効率でトルクが大きく、優れた特徴を有している。欠点が解消されれば素晴らしいエンジンになる。マツダは大きく理想に近づけた。

 日産はリーフEVを販売しているが、満充電で走れる距離がまだ200Kmぐらいで短く、昨日のようなドライブに出かけると、どこかのサービスエリアか、駐車場で充電しながら走らなければならないので、まだまだ実用的とは言えない。せめて500km走れることと、充電時間が15分程度で満充電できるようになれば、EVは本命に近づくかもしれない。

そういう車の技術の進化のトレンドを見ていると面白い。
 今日は久しぶりに、愛車の新型フィットハイブリッドで出かけて遊んできました。



2015年3月6日(金)
原発はなぜ危険なのか?
安全な原発はないのか?
 東日本大震災による大津波で、福島第一原発が冷却不能に陥り、大爆発事故を起こした。 幸い、ウラン燃料はメルトダウンしたものの炉心そのものの爆発はなんとか避けられた。
 もし、炉心が爆発、または冷却がもう少し遅れていたら、圧力隔壁と言われる分厚いコンクリート容器をウラン燃料が2000度近くになりコンクリートを溶かして外部に流出していたところだった。今もなお、このコンクリート隔壁とウラン燃料の様子がどうなっているのかも分かっていない。

 世界の原子力発電所事故で有名なものは、アメリカ、スリーマイル島の原発事故、ソ連時代のチェルノブイリ原発の爆発事故だ。スリーマイル島も燃料棒がメルトダウンしたが、炉心の中で留まった。
 
 チェルノブイリは原子炉そのものが爆発したので、原発から広大な土地に放射性物質が飛散してしまった。もし、これが日本で起きていたら、国土が狭い日本では大変なことだった。
チェルノブイリ原発は日本の原発と仕組みが違い、水で冷やすタイプではない。

 日本の原発は全て水冷式で、沸騰水型と加圧水型の2種類がある。
水は放射線(中性子線)を遮る働きがあるので、『絶対安全だ』と言われていた。しかし、それは正常に冷やせる状態のときの話である。

 もし、チェルノブイリと同様に炉心爆発が起きていたら、東北地方全域はもちろん、、東京を含め関東地方まで放射能汚染が進み、現状と全く違った状況になっていた。放射能汚染は桁違いに大きくなり、日本の半分が住めなくなっていたかもしれない。紙一重で、幸運としか言いようがないが、その巨大で広大な被害から逃れられた。
 
 『喉元すぎれば熱さを忘れる』とか『人の噂も75日』とかいう諺がある。
しかし、原発事故は、通常の事故と違い、今までの人の感覚を遥かに超える何世代にも渡る被害をもたらす。
 この点が原発事故の恐ろしさと厄介さである。

 さて、我々は電気を消費することで、文化的で快適な生活を送ることができるようになった。
電気がなくなると、生活ができないほど身近に便利に使っている。

 そこで、原発は電気エネルギーのベースロード電源という位置づけで、相変わらず再稼働に向けて突き進んでいる。日本が地震国でなければこれも炭酸ガスを排出しないクリーンエネルギーとして位置づけることも仕方ないと思う。ただし、トイレのないマンションに住み続けると小泉元総理が言われた状況に変わりはない。

 問題は日本が世界中で一番多発する地震国であるという事実だ。世界地図に地震の回数や巨大地震を赤い色でマーキングすれば、日本は真っ赤っかの状態だ。
世界中には過去に地震がないという地域がたくさんある。
 世界一の地震国でありながらが原発を造り稼働させる。その際に世界一厳しい安全基準で管理するから大丈夫だという論理だ。
 世界一の厳しい安全基準なら、世界一の地震国で安全かという疑問だ。

 もう一つ、『原子力』には全く違う二つの方式がある。
一つは、現在、利用しているウラン燃料を使う方法。これはウラン原子の原子核分裂を起こさせて、その際に生じる『質量欠損』という現象による巨大な発熱を取り出して蒸気を発生させタービンを回し発電する方法である。
 ウラン燃料はウラニウムという元素であるが、ウランには235と238という2種類がある。大変重い元素である。言い方を変えると、大変原子核が大きいと言える。

 全部の原子の中で、一番小さな元素は水素であり、次にヘリウム、リチュウム、ベリリウム・・・・・と次第に重い元素になる。軽い小さな元素は安定しているが、大きな元素であるウラン原子は中性子(アルファ線)が原子核に当たると原子核が分裂し、二つの全く別の原子に別れる。この時に元の一つのウラン原子の重さが、二つの原子に分かれた際に、極くわずか軽くなる。このことを『質量欠損』と呼ぶ。このごくわずか軽くなる分が巨大なエネルギーを発生する。
      発生エネルギー(発熱量)=(質量欠損分の重さ)×(光速の2乘)
もう少し詳しく書きますと、
      発熱量(キロジュール)=質量欠損[kg]×(3×10の8乘)の2乗

 ここで、重要なのは、光速の2乗というとてつもない大きな数字だ!
 光速は、3×10の8乗[m/秒]という巨大な数字であることだ。
その2乗だから、9×10の16乘となる。気が遠くなるような巨大な数字である。

 この巨大な発熱を利用したのが現在の原発だ。
だから、ウラン燃料を一度炉心に挿入すれば、1年間そのままで100万キロワットというような巨大な電気を発電することができる。
 
 ここで重要なことは、ウランはウラン鉱山から掘り出すが、ウラン鉱石はウラン含有量が低く、重量の0.数%である。これを生成し濃縮して2-3%の低濃縮ウランを造り、燃料棒とする。
     原子爆弾はウランを80%以上の高濃縮ウランに精製し、爆薬で圧縮することで一瞬に原子核崩壊を行う。

 ウランは天然ウランでも僅かに放射線を出し、自然界で原子核が崩壊している。
それはごくわずかなので爆発的な発熱にならない。このようにウランはもともと核分裂している原子だということだ!。これをイマジナリー・オン(何もしない状態でも発熱し続けるという意味)という。言い換えると、ウランは常に冷やし続けないと、発熱し続ける物質だということだ。だから、冷やすことができなくなれば高温になり、原発は危険なのです。

 これに対して、原子力を利用するもうひとつの方法があります。原子核分裂と真逆の原子核融合という技術です。これはまだ技術開発途上であり、実用化の目処は立っていません。原子核分裂が現在の原発に使われているのに対して、原子核融合は小さな原子を原子核融合させることで発生する熱を取り出す。
  水素原子(通常の水素ではなく、二重水素、三重水素と呼ばれる同位体)を核融合させて、ヘリウムを作るのですが、この原子核融合反応を起こすには外から膨大なエネルギーを与えなければなりません。しかし、この過程で、万一事故が起きても、外部から加えるエネルギーを止めると、核融合反応は止まります。
 元々は水素原子ですから、漏れ出ても大きな被害になりません。ですから、原子核融合はイマジナリー・オフと言えます。
この核融合は非常に高温状態を保ってやらないと反応が進みません。それと反応を持続させることが難しく制御も非常に難しいので、現在ではまだ研究段階です。しかし、人知は不可能を可能にしてきましたので、近い将来、核融合原子炉が実現されると思います。

 早く、核融合技術が実用化すれば、危険な原発を稼働させる必要がなくなります。
核融合は水素を使うので、地球上に無限に存在します。
この核融合に成功すれば、安全な人類は無限のエネルギーを得ることが出来るのです。

 話が少し難しくなったので、今日はこの辺で終わります。

 世界一の地震国・火山国の日本が、世界一厳しい安全基準・保安基準を作り、その厳しい基準で原発を管理するから、再稼働しても大丈夫だ!という論理は成り立つと思いますか?
 
どうして、保証ができるのでしょう?

 地球上、どこでも同じ環境であれば、日本が世界一厳しい安全基準を作り、それに則り管理するから大丈夫と言えるかも知れません。
 しかし、日本は世界一、地震や火山が多い国なのです。地震を生涯知らない人は世界にたくさんいます。そういう国と日本は環境が全く違います。

 「砂上の楼閣」という言葉がありますが、まさに日本に原発を作ることは、砂上の楼閣を作るに等しい話です。砂上は逃れられない日本の宿命です。その上に造る原発をいかに頑丈なものにしても、基盤が崩れると楼閣も保てないでしょう。
 その時、楼閣なら崩れても、建て直せばいいのですが、原発は福島第一原発で苦労しているとおりです。これは不幸中の幸いだったのです。炉心溶融、炉心爆発が起きていたら、日本の国土の半分(東半分)が住めなくなっていたとも考えられます。もちろん、東京もダメになっていたでしょう。

 『喉元すぎれば熱さ忘れる!』ことはあってはならないのです。
そういう意味で、先日の福井地裁の再稼働差止め判決は当を得たものだと思います。


2015年3月3日(火)
プリウスの全数リコール発表 190万台

 トヨタ自動車はベストセラー プリウスの全数リコールを届け出ました。
 日本販売分が99,7000万台、海外販売数が90万台で、現行(三世代目)の車で、2009年3月23日から2014年2月5までの生産品全数ということです。 

 リコールの理由は、ハイブリッドシステムのバッテリー電圧(201.1ボルト)を650ボルトに昇圧する電子回路に使っているIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)という半導体部品が発熱のストレスで壊れるというものです。

このIGBTという部品は電車の速度制御や回生発電用回路の制御にも使われています。
省エネの切り札のような部品です。

 リコール内容は、制御プログラムを書き換えることで、負荷のかかり方を変えるということですが、既に熱でIGBTが劣化している場合は部品交換ということになるようです。
 
 この昇圧システムはパワーコントロールユニット内に収められていて、モータのドライブ用の高電圧・大電流の発生、制御を行っています。同時にエアコン駆動用12ボルト直流電圧も発生させています。

 トヨタのハイブリッドシステムは2個のモータを使い凝った構成になっています。一つは発電機、もう一つは駆動用モータです。両方とも永久磁石交流同期モータで、駆動用モータは最高出力が60kW(82馬力)、最大トルクは207N/m(21.1kgf・m)という強力なものです。
 このシステムがいかに大容量(大馬力)かを理解する為に、例を挙げて説明しますと、住宅用のエアコンはせいぜい2馬力から3馬力程度のものが大部分です。その20倍前後の容量を発揮するモータを積んでいます。

 近くの電柱に取り付けられているトランスを見ると、20とか30という数字が見えます。
これはkWを表示しています。プリウスの60KWというモータは電柱の30KWの変圧器を2台積んでいるのと同じです。ちなみに、電柱の30KWのトランスから各家庭に配電していますが、一戸当たり平均で約3KWという計算ですから、10軒分の電気を供給します。
 ですからプリウスに積んでいるモータは20軒分の電力を消費する、そういう大きなパワーのモータです。

 このモータを駆動する電気は、プリウスではニッケル水素電池から供給されますが、ニッケル水素電池は一個が約1.2ボルトですから、6個を直列接続したもの(7.2ボルト)を1ブロックとして、これを更に28個直列接続して201ボルトを得ています。
 この電圧をIGBTでスイッチングして昇圧し、650Vまで電圧を高め駆動モータにつなぎます。
 
 なぜ、こんな高い電圧にする必要があるのかを簡単に説明します。
モータに電流を流すると回転トルクを発生しますが、コイルに発生する力は、F=BILという公式で示されるように、力は電流 Iに比例します。ところがこの電流はモータが回転し始めるときに一番大きな電流が流れますが、モータは速く回ると、モータ内に電流を流さないように逆起電力が発生し、それ以上電流が流れなくなります。ある電流で一定になります。それ以上に電流を流そうとすると、モータに加える電圧を高めなければなりません。
 
 そこで、プリウスは第一世代、第二世代、そして現在の第三世代と世代を追うごとに、次第に高い電圧をかけ、モータの回転力を高めるように改良し、モータの馬力アップを図ってきました。
 
 その結果、昇圧回路に使っているIGBTという半導体素子には高電圧・大電流がかかり素子の発熱が大きくなり、今回のような事態になったものです。
 どういう運転状況の時にモータに何ボルトをかけるかは、制御プログラムでコントロールしますので、今回のリコールもこの制御プログラムを書き換えることで対策するようです。
 
 次の新型プリウスは、いよいよ、1リッターで40Kmも走るそうです。
省燃費競争は留まるところを知らないほど改善が進んでいます。

 何をどうすれば燃費が良くなるかは、不要なエネルギー(ムダ)をなくすることです。
いくつか例を上げてみますと、
 @車体を軽くする:
   高張力鋼板などを使い、鉄板を薄くして強度を保つ。
   樹脂を多用する。
 A発熱する部分を少なくする:IGBTは大電流が流れるので大きな熱を発生します。
   現在の半導体材料はSi(シリコン)ですが、これをSiC(炭化シリコン)に変えると、
   発熱量は1/3に減ります。その分、発熱が減りガソリンのムダがなくなります。
   SiCは、省エネで注目され、今盛んに研究されている材料です。
 B摩擦を小さくします:
   タイヤは接地面積(幅)を狭く、直径を大きくします。
   これからの車は、タイヤの幅が狭くなり、径が大きくなるでしょう。昔のカブト虫?
   その他、エンジンやメカ周りの摩擦を減らす工夫をします。
   空力学を活かして、走行中の風による負荷を減らします。

 そういう工夫を一つ一つ積み重ね、まだまだ燃費は改善できる余地があります。
多分、1リッターで50kmぐらいは走れるのではないでしょうか。これは勝手な想像ですが、多分、技術の進化で実現するでしょう。

 でも、いくら省エネといっても、車本来の運転の楽しさ、加速感、ハンドリングなどが
大きく犠牲になると、ドライビングの楽しみや、おもしろさがなくなりますね。


2015年2月25日(水)
今朝,ウグイスの初鳴きを聞きました

 立春が過ぎて、雨水が過ぎて、いよいよ春がそこまで来ました。我が家の庭の南高梅も
咲き始めました。
 今朝、6時50分のバスに乗るため家を出ると、下手くそでしたがウグイスが鳴いていました。 今年初めて聞きました。まだまだ、『ホーホケヨ』とは鳴けないようで、『ホー・ケキョ』というぎごちない感じに聞こえましたよ。
 しかし、ウグイスの鳴き声が聞こえると、もうすぐ春です。

ところが、南星台バス停から摂津の山並みが全く見えません。モヤっています。空は薄曇りでしたが、黄砂現象です。

 清少納言の枕草子の冒頭に、『春はあけぼの』 原文 春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だち たる雲の細くたなびきたる・・・・とありますが、春は夜明けの頃が一番風情が有ってよろしいということらしいのですが、そういうロマンチックな表現は今や、なんのことはありません。春霞なんて言っている場合ではありません。黄砂です。
 春は季節風が強く吹くので、黄砂が舞い上がって、日本まで飛んでくるというわけです。

 そこで、すぐ原発のことが気になるのですが、中国と韓国は東海岸線に沿って、沢山の原発を建設し稼働させています。
 以前にも書いたように、原発は大量の海水で蒸気を冷やすことで、タービン効率を上げようとしますので、どうしても海岸線に建設されます。日本もそうです。

 中国の奥地、チベットやモンゴル付近の黄砂が舞い上がって、日本まで届くのですから、中国の原発が万一、事故を起こした場合には、間違いなく放射能が舞い上がり、中国本土より被害を受けるのは日本かもしれません。恐ろしい話になります。

 その中国は、工業化の進展で、まだまだ電力不足ということですので、大量の電気エネルギーを供給するため原発建設を計画しているそうです。
『止めてくれ』とは言えないので、せめて、安全対策は万全を期して欲しいものです。

 上海にゆけば分かりますが、たくさんの高速道路の高架橋ができています。その柱を見れば、ぞっとしますよ。
 割り箸のような細い柱が数十メートルの高さに林立していて、その上に高速道路を建設しています。
 阪神淡路大震災では、新幹線や高速道路の橋桁が倒れました。日本のしっかりした高架橋さえ倒れたのです。中国の高速道路は見た目も本当にひ弱いものです。

 地震がないということで、許可され建設されたものだと思います。中国の高速道路や新幹線は地震が起きて壊れても、そこだけの被害ですから、局所に限られます。

 しかし、原発を高速道路と同じ考えで、地震が今までなかったから大丈夫というひ弱な建設がなされているとなれば話が違います。もし、地震が起きれば悲惨な状態に陥ること間違いなしです。日本はものすごい放射能で汚染されることになります。

 春は曙!春うらら! なんて悠長なことを言える間は結構ですが・・・。
 春霞をみながら、思いは原発に結びつきます。

2015年2月19日(木)
マッさんとリタの本物の写真

  『おしん』以来の大人気を博しているNHKの連続朝ドラ『マッサン』。いよいよ、物語も終盤に差し掛かっています。
 この話は、ドキュメンタリー風の小説で、実はニッカウィスキーを創業したマッさんこと竹鶴政孝さんと妻リタさんの物語です。

 先日、東京に行ったとき、地下鉄水天宮駅近くのロイヤルパークホテル内の飾り窓に、本物の写真が展示されていましたので、デジカメで撮ってきました。
  
 スコットランドにウィスキーづくりを学びに行ったマッサンがリタさんに出会い、二人は恋に陥り、リタさんがマッサンと伴に、はるばる日本に来て、生涯を日本で過ごした。当時は船で2ヶ月を要した時代。今は飛行機で12,3時間で行き来できるが、当時はイギリスから見た日本は極東(Far East)と呼んでいた。地球の果ての国というイメージだったと思う。そういう未開の国、日本にやってきたリタさんの愛の深さと、芯の強さを感じます。すごい人だなと。

 リタさんは、1896年(大正29年12月14日)、スコットランド、グラスゴー地方に生まれ、当時、国際結婚が珍しい時代に、周囲の反対を押し切り1920年に結婚
 夫のウィスキー作りの夢を叶えるために内助の功を発揮した。
 夫を『マッさん』と呼んでいた。1961年(昭和36年)1月14日、64歳で永眠。
 
 サントリーの山崎と、ニッカの余市は日本のウィスキーのふるさとになっている。
余市は『マッサン効果』で、ただいま、大賑わいのようです。

2015年2月14日(土)
いい音って何だろう?
(オーディオ談義B)

 先日、大阪梅田のグランフロント大阪のPanasonicセンター、地下1階にあるTechnicsの
ショールームで久しぶりに本格的な音を聞かせてもらった。既に書いたとおり。

 自分の耳の聞こえ(特性)が歳とともに衰えている事を自覚して、最近はあまりHi-Fiオーディオに興味を示さないように努力?していた。この世界は凝りだすと限りがない。中毒のようなもので、どこかで何かいいものがあると、すぐ聞きたくなったり、自分のものにしたくなる。 これでいい! これで満足!というわけにはゆかない。
 オーディオマニアとはそういうものだと思う。オーディオに限らずマニアとはそういう人種だ。傍から見ていて馬鹿なことに手を出す、カネを使うものだ!と言われるが本人は至って真剣だ。これがマニアである。
 オーディオマニアも、自分のもっているオーディオシステムに常に何か不満を抱えていて、どうにかしてさらに満足できる音にしたい、もっといい音にしたいと思い続けている人種だ!

 ある時期まで、自分もそういう仲間に入っていた。と言うよりそれが仕事でもあった。
ブラウン管テレビが完全に世の中から消え失せてしまった。ブラウン管テレビは15.75KHzの音がテレビの中から常に出ていたので、その音が聞こえる人は、高音が十分に聞き分けられるという目安になっていた。『キーン』という一種独特の音で、耳についた。これはブラウン管テレビの画面を走査する信号音で、垂直方向は60Hz、水平方向は水平同期信号という信号音が漏れて聞こえたものだ。
 
 最近の液晶テレビやプラズマテレビでは、この音は全く出ていないので、高音の耳の聞こえのチェックに使えなくなった。
 自分の耳の劣化で、15.75KHzは愚か現在では10KHzも充分聞こえていないような気がする。先日、人間ドックで『右の耳の高音の聞こえが落ちています』と言われたので、近くの耳鼻科で聴力検査を受けた。その結果は左右とも年齢相応に高音の聞こえが衰えているというグラフを見せられ説明を受けた。日常生活をする上では特に聞こえで問題はないが、そういう年齢になったかと自覚している。
 
 ところが、久しぶりに先に書いた梅田のTechnics試聴室で、今流行りのハイレゾオーディオを聞かせてもらい、『いい音が出ているな!』という感動を久しぶりに覚えた。

 それにしても、このシステムは50万円、500万円と法外?な値段である。とても小生には手が出ない。しかし、世の中には奇特な人がたくさんいる。金持ちもたくさんいる。オーディオマニアなら50万円や500万円は大したお金ではない。
 オーディオのためなら、家を建て直す、または試聴室を数千万円かけて改造したり、作り替えたりする人たちがいる。そういうひと握りの人たちが、オーディオを引っ張ってゆく。

 この辺がオーディオの面白さである。安く値付けすると、安っぽい音にしか聞こえない。
『500万円です』といえば、『そうか! やはりいい音が出ているな!』ということになる。
そう感じる人と、逆に『高いけど、あまり自分好みではないな!』という人もいる。
 音とはそういうものだ!

 音楽をより良い音で聴くということは、例えばオーケストラの演奏で、無音状態からピアニシモになり、フォルテシモの最大音量まで、全く歪なく再生できる装置が理想的だ!
 無音状態の時に、オーディオ装置からザーッというノイズや、ブーンという音が極わずかでも聞こえるようでは良いHI-Fi装置ということができない。
 
 無音の時はあくまでも無音でなければならない。
そのチェックの仕方は、何も入力信号を入れない状態(無信号の状態)で、アンプのボリュームをどんどん上げて、最大まで回し切り、スピーカから全く何も音が聞こえなければ、あなたの装置は素晴らしいと言える。ほとんどの装置(オーディオシステム)は、ボリュームを最大にすると、必ずスピーカからわずかでもザーとか、ブーンという音が出ている。中にはボリュームを絞りきっても、スピーカからサーっとかブーンという音が聞こえる場合がある。これではいい装置とは言えない。 これはオーディオシステム、特にアンプのチェックに有効だ!
 無信号状態では、あくまで無音であること! これが理想である。
 
 そして、最大音量のフォルテシモの信号が入ってきても、歪まずに余裕を持って再生できれば素晴らしい。ほとんどのシステムは最大音量時に歪む! 腰砕けになる。
 
 こういう面ではハイレゾオーディオは理想的な特性(素性)を有している。以前のLPレコードでは絶対出来なかった理想的な再生がいとも簡単に再現できるようになった。デジタル技術は不可能を可能にしてくれた。素晴らしいことだ!

 その特性は人間の耳の特性をはるかに超えている。20Hz〜90KHzまで完全に再現する。これはハイレゾのソース(音源)のことで、この素晴らしい特性を発揮するためには、アンプやスピーカの実力が問われる。しかし、理想的な音源が出現したことは大きな前進だ。

 ハイレゾの素晴らしい音を聞いても、あまりいいと感じないなら、あなたの耳の性だと言われかねない。
 システムは技術的には完璧に近づきつつある。。
しかし、本当にいい音かどうかは、まだまだ未知の領域がたくさんある。

 音を取る方では、例えばあるホールでオーケストラ演奏を収録する際、どういうマイクを使うか、マイクをどこに据え付けるか、ホールの音響特性で大きく収録された信号が変わる。
 マイクに入る音は、演奏する楽器から直接伝わる音(直接音)もあれば、ホールの壁や天井に反射して伝わって来る音(間接音)もある。音波は複雑に反射を繰り返して伝わって来る。そういう無数の音の合成波としてマイクは音を電気信号に変える。
 ということは、ホールの天井や壁で反射、吸収される特性や、マイクのもつ特性でオーケストラの演奏を聴いた時と全く同じだということではない。
 『生演奏』で聞いた時は素晴らしく聞こえるかもしれないし、逆に、生演奏より、ハイレゾやCDの方が良いと思う人がいるかもしれない。どちらがいいかは別として、両者は全く同じではないということ。

 このことは自宅や試聴室で音楽を聴く時、スピーカから出る音が直接耳に届く音と部屋の天井や壁に反射してから届く音が合成されて聞こえる。その関係がどうなっているかで、全く同じ音楽ソースを再生しても聞く場所や、部屋によって大きく変わる。

 だから、メーカや専門店の試聴室で聞いて良かったから気に入り、そのシステムを買い、それを自宅で聴くと、『あれ!こんなはずじゃなかった、あの時はもっとクリアないい音がしていたのに!』というようなことになる。 もちろん、この逆の場合もある。

 音とはそういうものだ!

 その点、テレビは、どこで見ようが綺麗なものは綺麗だし、汚いものは汚い。見る場所が変わっても、いつ見ても、評価はあまり変わらない。特別微妙な色や肌色の艶などの表現を除けば。
 故人いわく、『百聞は一見に如かず』とはこういうことかもしれない。
見ること、すなわち視覚は、聴覚より100倍能力が鋭いのである。一見すれば、絶対的な事実として認識される。しかし、音の世界は、ある時にはいいと思っても、それで満足できなくなる。メーカから大変評判がいい新製品が出た。よく売れている。そういうニュースが伝わると自分の持っているシステムに不安を感じる。そして新製品を聞きにゆく。なるほどいいと感じると、もう居ても立っても居られない。マニアとはそういうものだ。
だからオーディオという商品にはロマンが生まれる。ロマンとは空想の世界だ。

 メーカはいかにロマンを抱かせるか、ロマンを掻き立てるか、ロマンを売るか、が大きな意味を持つ。いくら理詰めでものづくりをしても、このロマンが分からない商品作りでは成功しない。
 ある意味で厄介な商品であり、またある意味では何とも言えないやりがいのある商品だ!

2015年2月10日(火)
オーディオはロマンの世界だ!
(オーディオ談義A)

 2月8日に、『Technics復活した?』の記事を書いた。
 Technicsブランドが消えた後、小生のように、Technics商品の開発に約30数年間も携わってきた者にとっては、大変寂しい思いがしていた。
 
 しかし、一方で、Technicsというブランドに思いを込めて働いてきた者にとっては、『いい加減なものづくり』で、Technicsブランド商品が世の中に再登場することには許しがたいという思いも強くあった。

 だから、『新しいTechnics商品はどういう仕上がりになっているのか?』 を自分の目と耳で確認したかった。Technics OBとして、こういうことを未だにこだわっているのは、それだけこのブランドを愛していたからだと思う。

 この度、梅田Panasonicセンター 地下一階のテクニクス試聴室で試聴の機会を得た。
 
 もともと、オーディオの世界は、生活必需品と全く違う感性の商品だ。
 音響評論家という特異な先生方がたくさん居て、各社の新製品を評価し、オーディオ雑誌にその記事を書いていた。今はその数が激減していると思う。当時の先生方も、今、ご高齢化し、耳の聞こえが不自由になっている年齢だ。
 
 当時は、新製品ができると、先生宅に伺い、試聴して頂き、いい評価をもらい、良い記事を雑誌に書いてもらうことが、宣伝として販売に寄与した。各社は競って、評論家先生廻りをした時代があった。Technicsは大阪の旧松下電器産業の商品なので、先生方が住んでいる東京近郊に足繁く通ったものだ。専任の担当窓口を東京に駐在させ対応した。
 
 音の良し悪しが、物理特性で評価できるのなら、開発者にとっては楽な仕事である。
しかし、どの商品(例えば自動車)もそうであるが、特にオーディオ商品は計測器で測った物理特性で表現できない何かがある。物理特性は基本になるが、それ以上に耳で聞いた感じで評価が変わる。 そこに底知れぬオーディオの談義がある。
 言い方を変えるなら、オーディオには深いロマンがあった。Hi-Fiオーディオはロマンの世界であった。
 
 A氏という音響評論家がよく仕上がっているという評価をしていただいても、B氏という評論家はちょっと中域に艶が乏しい、C氏という方は中域はきれいに表現されているが、高域の伸びに欠けるな!とか、輝きが乏しいとか、感覚的な言葉を使って言いたい放題?と言えば失礼になるが、そういう記事が書かれてきた。
 メーカはそれに反論することが馬鹿げている? と思いながらお付き合いしてきた。
 
 技術者や科学者は物理特性がよりどころで、まずは測定器を頼りに音作りをする。
 スピーカの開発は無響室という特殊な反響音を無くした部屋で、スピーカを鳴らし、20Hzから20KHzまでの信号を出して、スピーカの前に測定用マイクを置き、マイクの信号をグラフに記録する。音響技術者なら誰も知っているB&K(ブリューエル)というデンマーク製の測定器を使い、スピーカの特性を測定しては、スピーカキャビネット(箱)やスピーカ自体の振動板やダンパーという部品や、磁石や、低音用のウーハ、中音用のスコーカ、高音用のツイターというスピーカの特性を最大限生かすため各スピーカに信号を振り分けるネットワークというコイルとコンデンサーでできた回路定数を変えながら、再生周波数が平坦になるように改善を重ねた。

 再生周波数が20Hzから20KHzまで、完全に平坦な特性のものは作れない。いかにそれに近づけるかであるが、もしそれができたとして、試聴室で音楽を聞いてみて、いい音がするとは限らない。
 
 この辺が物理特性と実際の試聴では大きく違う音作りの難しさと言える。
しかし、少なくとも無響室でフラットな特性に近づけておかなければいい音には近づけない。言い方を変えると、いい音の必要条件が無響室の物理特性であり、十分条件は実際に試聴室で音楽を聞いてみて、いい音が出ることだ。この両方が満足できなければ、まだまだ未完成な状態と言う事になる。

 スピーカの開発者はそういう試験や測定や試聴を日々繰り返して商品を磨いてきた。
この開発の進め方は現在でも基本的には変わらないと思う。

 ところが、最近、大きく変わった部分は、音源であるソースの部分だ。
30年ほど前はLPレコード、さらに、その30年前はSPレコードの時代であった。今はCDの時代である。そのCDができてもう30年が経った。
 オーディオの音源(ソース)はどういうわけか、30年サイクルで、新しい音源に入れ替わってきた。その度に音源の特性が飛躍的に良くなってきた。
 どれだけよくなったかというと、音源が変わる毎に、約30倍から100倍程度改善している。

 SPはレコードをかけると分かるが、ザー・ザーという雑音(ノイズ)とともに音楽、歌声が聞こえてくる。信号音とノイズを比べると、信号音がノイズ(ザーザーという雑音)に対して数倍程度という代物だった。しかも録音されている音の周波数帯域は狭くて、せいぜい数kHz程度であった。
 
 それがLPレコードになって、信号とノイズの比(SN比という)が30倍程度になった。雑音が音楽の信号音に対して1/30以下になったのである。しかも、録音されている音の周波数は20Hzから20kHz以上に広がった。素晴らしい音で再生できるようになった。しかし、LPレコードは取り扱いを注意しないと、傷をつけたり、何回か演奏すると、レコードの溝に傷やゴミが貯まり、それがプツプツという雑音になったり、ひずみ音として聞こえる。
しかも30cmという大きい板である。また、低音を十分出すと、振動が回り込みハウリング(ボ・ボーという音)が出る。
 そういう欠点があったが、SPに比べると飛躍的な音質が得られた。

 それが更にCDに代わった。
CDとLPは全く別物で、CDはデジタル信号で記録している。
SPもLPも、アナログ信号で記録しているので、倍率の高い虫眼鏡で溝を見ると、音楽信号の波形がそのまま刻まれていることが分かる。
 マイクで拾った電気信号をそのままレコードの溝に刻み込んだものだった。
 
 CDはデジタル信号だから、12cmのディスクに凹凹の穴の集合として記録されている。その穴にレーザ光線を当て、反射光を検出し、その信号をデジタル-アナログ変換(DA変換)して元の音楽信号に戻す。
 マイクの信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換(AD変換)し、CDを作り、CDを演奏すると、DA変換して元のマイクで拾った信号、すなわち音楽信号に戻るのである。
 
 12cmのCDの板(ディスク)に刻まれている凹・凹の穴は、甲子園球場のグラウンドの1mmの砂粒に匹敵する大きさである。
 そういう無数の凹・凹の形状から素晴らしい音楽が再現できるようになった。これがデジタル技術の素晴らしい所以だ。
 
 その結果、CDではLPレコードと比較して100倍(ノイズが信号に対して百分の一)という特性が得られた。元の雑音と信号音の比では、1/3000以上の改善になる。
 ほとんど雑音は耳に聞こえなくなった。そして、録音・再生できる音の周波数は20Hzから2万Hzまで、人間の可聴周波数帯域は完全に再現できるようになった。

 これで完璧だと思っていた。
ところが最近、何かCDの音が硬いとか、ギスギスして聞こえるとか、温かみがないとか、いろんな意見が出てきた。
 そして今現在も、世界中ではLPレコードの愛用者がたくさんいることも事実である。特に海外、ヨーロッパではLPレコードの愛用者が約半分も居るという話である。何か、LPレコードに特別な愛着があるのだろう。

 完璧なCDに、何か課題が残るのか? ということでいろいろ模索してきたところ、『人間の耳は本来聞こえないはずの20KHz以上の周波数を、体や耳で感じている』という説が説かれるようになってきた。
 これはそういう人達が居るということで、全員がそうだということではないので注意して欲しい。

 そういう非常に高い理想を求める人たちがいてもおかしくないし、技術の進歩はそういう事から始まる。
 そして、今、『Technicsは復活した?』の記事にも書いたとおり、ハイレゾ・オーディオという超広帯域のソースが生まれてきた。ハイレゾとは、「ハイ・レゾリューション』の略で、『高解像度』という意味だ。
 ハイレゾ・オーディオは、再生周波数帯域は、20Hzから90KHzまで伸びている。また、SN比は実に数十万分の1になり、全くノイズは聞こえない。聞こえるのは音楽のみということになった。これはまさに理想の音楽ソースの出現である。
 
 ハイレゾ・オーディオを聞くには、インターネットのハイレゾ音源を提供しているサイトにアクセスし、契約して聴きたい曲をダウンロードする。料金は課金制で支払う。一曲数百円ということだ。誰でもダウンロードはできる。
 
 ここで、ハイレゾ・オーディオを聴くシステムを家に設置しても、CDよりどれだけいい音がするか保証の限りではない。
 元来、音は聞く環境(TPO;時間、場所、気分、体調など様々な要因)に因って大きく変わる。つまり、いい音かどうかは、いろんな環境や条件次第ということになる。
 ハイレゾ音源は、いい音であるという保証はある。しかしそれが聞いて自分がいい音と思うか、感動できるかどうかは別問題だということ。

 立派な試聴室を持っている人は、理想的な環境に近い人だと言える。しかし、昨今の住宅事情では試聴室を持つことは普通の人では無理だといえる。それなら手軽にハイレゾ・オーディオを楽しむにはどうすればいいかとメーカは考える。
そこで今、ヨドバシカメラなど量販店にゆけば、大量のヘッドフォンが売られている。よく見ると、ハイレゾ対応商品とか書いているタグがぶら下がっている。こういうヘッドフォンは安くても数万円、高いものは何十万円もするものがある。
 ちなみに15万円のヘッドフォンで視聴してみたが、2万円のモノに比べると、音域の広さを感じた。ソースはハイレゾ音源だ。手軽にハイレゾを楽しむ手段として売られているのだ。手軽と言っても、数万円から数十万円かかる。

 さて、本当のいい音を求めて、グランフロント大阪のTechnics試聴室に立ち寄った。
ここで聞いた音楽の印象は、今まで聞いたことがない素晴らしい音だったという印象を持った。
 これがハイレゾ音源か、これが新しいTechnicsの音かと感心した。
この印象は小生が感じたことで、ほかの人がどういう感じを受けたかどうかは分からない。
 Technicsに好意的な人で、商品の復活を待ち望んでいる人は多分素晴らしい音だと感激しただろう。しかし、以前からアンチテクニクスの人はそういう感じに受け取ったかどうかは分からない。 Technics試聴室
商品は、いろんな計測器を駆使し、最新の技術やハイテク材料を盛り込んで開発していると思う。物理特性は素晴らしいものだと思う。
しかし、聞いてみて、どういう印象を受けるかどうかは、その人の条件により異なる。

 音の世界とはそういうものだ! 右脳はその時、その時で感じ方が変わる。
 だから、Technicsが今後、大きく飛躍し、受け入れられるためには、物理特性一本槍ではなく、Technicsというブランド戦略が大切だ。
 Technicsと聞くだけで、素晴らしい音が聞ける商品だという印象を与える、(一種の先入観的なもの)ことに成功できれば、世界の一流品になれるだろう。
 商品は素晴らしいものだ!



2015年2月8日(日)
Technicsは復活した?
(オーディオ談義@)

 『まともなHi-Fiオーディオは、世界中から消え去った』と思っていたが、最近、各メーカが
復帰をかけて取り組み始めた。

 梅田ヨドバシカメラ3階のオーディオ売り場に行くと、以前のHI-Fiメーカが売り場(部屋)を構えて商品を販売をしている。次第に床面積が広くなって来た。しかし、以前のような活気はないが、オーディオ愛好者は相変わらず根強く存在していることも事実だ。
 
 Pioneer、Sansui、Kenwoodというオーディオ御三家が燦然と輝いていた昭和50年前後、家電メーカである松下電器は、Technicsブランドで大きな地位を築いていた。
 Technicsは国内はもちろん、特に海外、とりわけヨーロッパで大きなシェアを握っていた。
 
 CDの出現とともに、それらのHi-Fiオーディオメーカは、次第に市場から消えていった。
 今までのアナログオーディオ商品が消滅してしまったのだ。

 本来なら、CDという願ってもない音源が現れたのだから、Hi-Fiオーディオはますます大きく成長すると思われたが、これが大きな誤算であった。
 
 CDは一般家庭に入るデジタル機器として最初の商品であった。デジタル機器は腕時計もそうだが、5千円の時計と5万円の時計で、誤差がほとんど変わらない。月差15秒という性能はほとんど値段にかかわらず同じである。これがデジタル商品の特徴だ!
 
 CDもデジタル時計と同様、5千円のプレーヤでも、10万円のプレーヤでも再生音がほとんど変わらない。だから急速に低価格商品化し、Hi-Fiオーディオという分野は、コモディティ、すなわち日常商品に代わってしまった。
 そして、本当にいい音を求めるユーザは何を買えばいいのか、商品がないような状態になってしまっていた。しかし、海外の小さなオーディオメーカは細々と命を保ってやっていた。日本にもそういうメーカは数社生き残っている。

 CDは1982年に発売されたので、今から33年も昔になる。30年余り経って、HI-Fiオーディオが静かなブームを起こしている。とは言っても、以前のように、若者が熱狂して音楽に没頭する状態ではない。昭和の時代は沢山の歌手や、グループサウンズや、ベンチャーズ、ビートルズ、またクラシック音楽など溢れていた。
 今は見る影もない。これは経済の長期低迷にもよるのだろう! 『今は音楽に浮かれて過ごせる状況ではない』ということかもしれない。
 若者は左手にスマホを持ち、右手の指先を盛んに動かし、画面に注視している。いや若者だけでなく、結構年配の人も同様な光景をよく見る。電車内では70%以上の乗客がスマホを見ている。ほとんどの人はたわいもないゲームに興じている。
 動きの速い映像を目で追っかけて、視神経を刺激し、左脳を刺激する。
 刺激の強い映像(画像)に慣れた人は、音楽の右脳の世界とは異次元の領域かも知れない。本来のいい音、音楽を聞かせても、どういう反応をするだろうか?

 しかし、世の中は移り変わる。
 CDはLPレコードに比べて素晴らしい特徴を持っていた。それは再生できる周波数が人の可聴周波数(20Hzから20KHz)を完璧に再生できるものであった。 歪やノイズレベルはほとんどない。また音の強弱(ダイナミックレンジ)の再現性も素晴らしい。
 さらに重低音を再生してもハウリングしない。そういう素晴らしい特徴を持った画期的な商品であった。

 だから、各音響メーカはこのCDという素晴らしい商品を使い、もっと本来の音の追求をしっかりやり続けることが大切だった。それがデジタルの怖さで、コモディティ商品の方に舵を切ってしまった。だからHi-Fiオーディオは大きな市場が消え失せた。

 一部、小さな規模の音響メーカは細々と事業をつないで生き残ってきた。

 しかし、最近、“CDの音は硬い、ギスギスしている”というような意見が出されてきた。逆に、”LPレコードの音はまろやかで、温かい雰囲気がある”といわれてきた。物理特性から言えば、CDはLPレコードの比ではないすぐれものだ!。

 しかし、最近の風潮は、『人間の耳は可聴周波数帯域を再生できれば完璧だ』という考えから、『可聴周波数帯域外の超音波の領域の再生が音楽の雰囲気を醸し出す』という考え方をする人が多くなっている。この言い分は正しいかどうか分からない。
 
 しかし、バイオリンを弾くと、2万Hz以上の高音が楽器から出ていることは確かだ。バイオリンにかかわらず、各楽器は2万Hz以上の高音を出している。

 CDはこの2万Hz以上の音はフィルターで完全にカットして、CDの中には信号として入っていない。
LPレコードには、2万Hz以上の音楽信号は入っている。

 CDが発売された当時の技術的な経緯で、高域は2万Hzにすると決めた。それは2万Hz以上の音を録音、再生するにはCDより大きな情報量が入る入れ物、すなわちDVDやその他のより高度な技術が必要であった。CDは一番早く開発されたものだから、当時の技術レベルでは無理であった。

 それが、今、DVDができ、CDの6倍程度の情報量が同じ12cmのディスクに記録できるようになり、さらにブルーレイならDVDの5倍も入るものができた。
デジタル技術の進化の賜物である。音声信号から映像信号の記録に適する情報量になり、一般家庭にも入り込んだ。

 そういう機器ができて、ハイビジョン(地デジテレビ)の録画や、ビデオ撮りした画像をディスクに焼いて、互いに交換したり、保存できるようになった。

 この技術を音楽の録音、再生に使えば、CDがフォーマットで制限した2万Hzの高音域の信号にこだわらず、4万Hzでも8万Hzでも録音再生ができる。いわゆるスーパーオーディオが簡単に実現できる時代になった。
 
 最近、『ハイレゾ』という言葉が流行ってきたが、これがその意味である。
ハイレゾ音源は、インターネットからダウンロードしてハードディスクなどにコピーする。
これを再生し聴くことになる。いわばパソコンなどでデジタル信号をダウンロードしてから、それを再生する。

 このハイレゾオーディオに最近、オーディオ各社が商品化を始めている。

 ここに来て、Technicsも復活し、ハイレゾオーディオ機器を商品化して先般発表した。
商品は、今のところ2システムだけである。
 プレミアムシステムは50万円程度、
 リファレンスシステムは500万程度
ということで、いずれにしても超がつく高額商品である。
どういう商品かの詳しい情報は下記のホームページに掲載されているので見て欲しい。
  http://jp.technics.com/

 梅田グランフロント大阪 南館 パナソニックセンター 地下1階に試聴室があるので、ぜひこの素晴らしい音を聞いてみてほしい。
 小生は、プレミアムシステム(50万円)で十分な気がした。
こちらの方が各楽器の定位がしっかりしていたように思った。
 しかし、本当はリファレンスシステムの低域の伸びは素晴らしかった。やはりスピーカは箱が大きなものでないとゆったりした本当の低音は出ないな!という感想であった。

 視聴するには予約が必要とのことですので、URLから予約画面にアクセスして下さい。

2015年1月7日(水)
トヨタの決断

 新年おめでとうございます。

 今年は未年ということで、6回目の年男になります。
旧年中は皆様に、たくさんのアクセスを頂きまして、ありがとうございました。
本年もよろしくお願いします。
昨日の朝日新聞TOP記事で、トヨタがFCV(燃料電池車)に関する関連特許を全て
無償開放するという記事が掲載されていました。これは素晴らしいことだと思います。
トヨタ社長の思い切った決断だと思われます。

 トヨタとホンダだけがFCVでは先行していますが、他の自動車メーカは追随できていません。非常に多額の開発コストがかかる全く新しい技術分野です。
その虎の子の技術を無償で開放するということは英断以外の何ものではありません。

 大昔、松下幸之助氏がラジオの特許を無償で開放したという逸話があります。それによりたくさんの電気メーカがラジオの開発・製造に参加して、ラジオの販売が大いに伸びたということでした。これも当時としては大英断だったのです。
今回の開放の記事を読んで、それと同じような衝撃を受けました。

 トヨタの特許の無償開放は2020年までの有期限で、燃料電池本体の関連特許が1970件、制御システム関連特許が3350件など、全部で5680件に及ぶそうです。
 さらに、水素ガス製造関連と、ガススタンド関連で70件ほど有り、これは無期限で無償開放すると言われています。 
この衝撃的なニュースは今日からラスベガスコンベンションセンターで開催されるCES
(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)でも発表され、大ニュースになるでしょう。

 その開放期間内に、他の自動車メーカのFCVへの参入を促して、FCV市場を早く立ち上げ、成長拡大させようというもので、これはトヨタのFCV戦略そのものです。

 FCVはハイブリッド車と違い、ガソリンエンジンを積んでいません。ハイブリッド車は文字通り、ガソリンエンジンと電池の両方を使い、エンジンとモータのいいとこ取りをして車を走らせるというものです。EVは電池でモータのみを駆動力として車を走らせます。EVは現在、電池の実力が良くなったとは言え、車を長距離走らせるには、まだまだ容量不足です。もっとたくさん電池を積むか、電池一個あたりの容量を上げるかしなければ、本当の意味の実用車としては使いづらいです。
 たくさんの電池を積めば理屈では解決しますが、車に積める電池の置き場所や重量に限りがあります。またコストもバカになりません。
 電池の一個あたりの充電量を今の2倍、3倍にできれば、その分走行距離が伸びます、または同じ距離なら電池を半分、1/3にできますが、世界中でリチュウムイオン電池の容量をアップする研究開発が盛んに進められています。近い将来、もっと大容量の電池が安く造れる時代が必ず来ると思いますが、現状ではEVは一度充電して走れる距離は日産リーフで、228kmとなっています。実際の走行ではもっと短いでしょう。EVでもう一つの問題は充電に要する時間です。EVスタンドの高速充電設備では約30分ほどで空(完全放電)の状態から満充電できますが、家庭の200V(単相)電源からですと、8時間もかかるそうです。夜間に深夜電力契約して安い電気代で充電するという使用法になるでしょう。ということは現状のEVは近所を回る程度の使い方に適していますが、車で長距離ドライブというわけには不安がつきまといます。
 もうひとつの欠点は、冬の寒い時期の暖房や、夏の冷房を使うと、走行距離が大幅に短くなります。寒い思いや熱い思いをしながら、車に乗るということに耐えられないでしょう。
 その点、FCVはEVの問題を解決しています。
水素スタンドさえ、全国に配備できれば、一度、水素を満タンにすると、700Kmほど走れるそうですから、ガソリン車やハイブリッド車と変わりません。
 また、満タンにする時間は2分前後ということで、これもガソリンと同様です。問題はスタンドが未整備ですので、どこでもというわけには参りません。都会地から順次整備されるでしょう。
 水素スタンドを建設するのに何億円という金がかかるそうですから、水素スタンドを建設するにはFCVの台数が増えないとペイできません。
 FCVは水素スタンドがないと車が売れないということになります。卵が先か、鶏が先かというジレンマ状態です。
 それを早く解決するには、FCVに参画するメーカの数を増やして、FCVの販売台数を増やすことです。トヨタのFCV『ミライ』だけでは台数が限られますので、2020年までにFCVが実用的な自動車として認知される戦略を考えて、今回の特許の開放に至ったと思います。

 FCVが究極の車かどうかですが、EVにも大きなチャンスがあります。
 それは新しい電池の開発が進んで、電池の容量が今のリチュウムイオン電池の数倍の充電ができれば、むしろFCVよりEVがこれからの自動車の本命になりえます。
電池次第なのです。
 EVは自動車としては一番シンプルな構造で、ガソリンエンジンを積む車と違い、部品点数は1/10ぐらいになります。部品が少ないということは、壊れにくいことですし、価格も将来は劇的に安く造れる可能性があるということです。

 その将来はどうかといいますと、かなり実現の可能性が高いと言えます。
リチュウムイオン電池は、リチュウムという物質の中で最もイオン化されやすい(活性度の高い)原子ですから、リチュウムは基本的に非常に電池としての能力は優れています。但し、原子が持っている能力をまだ十分発揮させることができていません。それは余りにも反応が激しいので、金属リチュウムの状態では安全上使えません。そこでリチュウムの合金のような形で電池をつくっています。その材料の開発競争を各社で行っている段階です。
 日産リーフにはPanasonicの円筒形リチュウムイオン電池を直列にたくさんつないで使っています。現状では各社の電池の実力は似たり寄ったりの状態です。米国のベンチャ企業であるテスラもEVにPanasonicチリュウムイオン電池を大量に積んで500kmほど走れるそうです。

 いま、わたしが使っているホンダ、新型フィットはGSユアサバッテリーとホンダの合弁会社であるブルーエナジー社が製造したリチュウムイオン電池を搭載しています。
一時、話題になりましたボーイング787に航空機として初めて搭載した電池は、これもユアサ系のリチュウムイオン電池でした。これが煙を吐いて有名になりました。
安全対策を完璧?にやっても煙や爆発が起きる可能性もあります。

 リチュウムは希少金属で地球上の埋蔵資源量があまりありません。また取れる場所が中国や、南アメリカに限られていますので、量産しても値段が下がりにくいという課題がつきまといます。

 EVが一般に普及するための条件は二つです。
一つは一度満充電すると、走行可能距離が700kmぐらいあること
二つ目は、電池の値段が下がり、車自体は安くなること、車が200〜300万円ぐらいで買えること。
の二つの条件があります。

一つ目は電池性能の問題です。
二つ目は電池の材料をリチュウムと違う材料で、電池の性能を今のリチュムイオン電池よりも容量が大きいものができることです。

 今、少し見えてきている材料はリチュウムに変え、マグネシュウムを使う電池です。マグネシュウムは海水に豊富に含まれていますので、比較的安く、いくらでも取り出せます。しかもマグネシュウムは原子価(原子核を構成する一番外を回る電子の数)が2で、リチュウムの1に比べ電気量が倍になります。容量が倍になる可能性を持っています。このマグネシュウム電池が実用化されれば、EVがFCVに勝てる究極の未来カーとなるはずです。

 但し、その際は充電するための電気をどうして得るかという課題があります。
原子力発電は御免被りたいですから、風力発電や、太陽光発電や、地熱発電などですが、さらに新しいエネルギー源として、山の雑木を燃料に火力発電するとか、ミジンコ(緑ムシ)を池で大量に培養し油を採取するとか、いろんなアイデアがあるようです。

いずれにしても、これからの車社会は大きく様変わりしてゆくと思います。
新年早々に、トヨタが衝撃的な発表をしたというニュースについてでした。

   

 今年は、ホンダのビジネスジェット機(左上)が発売されます。多分4月頃でしょう。
4月に三菱重工業が開発中の国産ジェット旅客機MRJ(右上)も初飛行するそうです。

 何かワクワクしますよね。

2014年11月19日(水)
アベノミクスの第3の矢は何だったのか?

 昨日、夜7時過ぎに安倍総理が記者会見し、内閣解散、総選挙を発表しました。今、与党は300議席に達する巨大与党を形成している状態で、言い方を変えればこれ以上の安泰はない、何でもできる圧倒的な勢力を有している。
 
 その自民党が自ら解散を選択することは、常識では考えられないと思っていた。選挙して、今以上に議席を増やす必要がないし、今の議席で十二分である。
 それなのに『何故、年末の忙しい時期に、700億円もの国費(税金)を費やす総選挙を行うのか?』今回の解散は全く理解できない。
 このことはいろんなところで騒がれている。

 昨日、記者会見で安倍総理がどういう話をするか注目していたが、要は、消費税を10%に上げるのを一年半先延ばすことを決めたことに対して、国民の同意が得られるか?を問いたいということだ。この話に、違和感を感じる。
 
 もう一つ会見の中で、総理からこの総選挙のスローガンとして『代表なくして、課税なし』という話があった。全く何を言いたいのかさらに分からなくなった。安倍さんは頭が良すぎるのか、それとも、こちらの頭に理解力がないのか?

 もともと「代表なくして課税なし」はアメリカ独立戦争時のスローガンの1つ。
イギリス領だった18世紀当時、移民たちは税を課せられる一方で、自らの代表をイギリス議会に選出することができなかった。これに反発し、イギリスから独立しようとする運動の中で盛んに唱えられたのが「代表なくして課税なし」というスローガンだ。移民からすれば、「議会の代表を認めないのに課税だけするな」ということだ。 これならよく理解できる話だ!

 消費税を上げることに対し、国民の意見を聞くための選挙をするということなら理解できる。今回は逆で、税率をアップすることを先延ばすことに対して総選挙をしたいということである。
 
 国民は消費税を上げることには基本的に上げてもらいたくないという立場だ。
社会福祉の維持や子育て支援など、これから金のかかる懸案に対応するため、消費税を上げるということである。そういう目的税として8%を10%にするという話に、そういうことなら仕方ないなあ!という国民感情だと思う。

 今回の解散、総選挙はそういう意味合いではなく、『消費税を上げるのを先延ばしする』ことに対して国民の同意を得たいということ。先延ばしだから、国民の反対は特にない。政府が決めればいい話だ!

 それを700億円の大金(税金)を無駄遣いする総選挙を行うことに対し、何かほかの腹積もりや思惑があり、そのための総選挙だと言わざるを得ない。

 安倍総理の権力者としての地盤を更に固めたいという思惑か、政権の延命策か、アベノミクスの失敗隠しか、今後の様々な難しい課題に対し、自民党内の反対派を抑える為か、二人の大臣の不祥事隠しか、諸々の課題を今の内に摘み取っておき、新しい政権を再構築したい、自分の内閣支持率が何とか落ない今の間に選挙して、国民の信任を得たという実績を作りたいのだろう。

 アベノミクスについて、昨日の記者会見では、景気回復、雇用の改善、株価の上昇、企業利益の拡大、賃金の上昇などを上げて、その成果を強調した。
 確かに、話された項目は改善、または良化している。
 しかし、これらの項目は国民の極く一部の人に益をもたらすもので、逆に大多数の人は悪化しているのではないか?

 アベノミクスで超円高から円安へ誘導に成功したと言われた。確かに76円前後していた円高は、115円前後の円安になった。
 従来であれば、このレートなら輸出産業の代表だった電気や自動車などの日本が得意としてきた輸出産業は輸出高を大きく伸ばすはずだ。
 ところがこの円安にも関わらず、輸出が思ったほど大きく伸びていない。逆に輸入する原材料の価格は上がり、特に中小企業が使う源料材が大きく上昇している。中小企業は製品や部品を大企業に納入する。その価格は抑えられているので、中小企業は収支が悪化し、一層苦しい青息吐息の状態になっている。

 株価は大きく上昇したが、株の恩恵を受ける人はほんの一部の人で、大多数の人は関係がない。こう考えると、このまま政権を維持し続けると、アベノミクスの負の面が表面化し、大変まずいことになる。
 そうなる前に一度、アベノミクスのメッキが剥がれない前に、一度リセットしておこうということかもしれない。
 大企業は企業減税や円安で利益が過去最大という会社も出てきた。海外から持ち帰る事業収益が増え、輸出が増え、最高益を出しているところが沢山出てきた。しかし、これも全部ではなく、一部の大企業である。

 ところで、アベノミクスは3本の矢で成り立っていると言われている。
である。
 一本目の矢は大胆な金融政策。日銀がじゃぶじゃぶ紙幣を発行して、お金の価値を下げる政策を取るということ。そうすると円の価値が下がり、デフレからインフレの方向に振れる。デフレ脱却の方策だ。
 
 二つ目の矢は機動的な財政政策。大規模な公共投資(国土強靱化)を行う。
東日本大震災の被災地で行っている大規模な公共事業などは、ゼネコンにものすごい金を投じ、埋め立てや、かさ上げなど、東北の素晴らしい海岸線の景色が変わってしまうような工事を進めている。
 この二つ(2本の矢)は今までの不況対策でもやってきた政策と大きな違いはない。一本の矢は大胆な金融政策と書いているが、日銀の黒田総裁は異次元の金融緩和だと言っている。紙幣をじゃぶじゃぶどころでなく、垂れ流しかもしれない。その結果が、円安を誘導しているのである。
 当然、じゃぶじゃぶ発行したお金のつけは、将来の財政再建に負担をかける。

 これだけの大胆な政策を打っていても、景気が良くなったという実感がない。
お金は使った、事業もした、しかし、景気は思ったように回復しない。

 もうこれ以上、手の打ちようがないというのが実態ではないか?

 これは日本が既に成熟化した社会になったということだと思う。
若者はお腹を空かせば、食え食えといえばいくらでも食べられるし、体がますます剛健になる。日本はそういう年齢ではなくなったことを意味する。
 我々は今の体力年齢に応じた食事をし、年齢に応じたトレーニングして、筋肉質な健康な体質を作り上げることが大切で、そういう施策を取らなければならない。
 それには、今まで日本が発展途上でとってきた財政政策や、金融政策や、公共事業への投資と違うやり方をしないとダメなんだろう。

 それは三つ目の矢である成長戦力が一番重要である
しかし、これが一番難しいことだ。国や、政府や、官僚や、国会でいくら成長戦略はこうするということを決めても、今までのやり方ではもう通じない時代になっている。そのことに早く気づく必要がある。それに取り組むのは民間企業である。
国が主導で、『あれやれ、これやれ』といっても、民間は必ずしも動かない。
お金をつけて支援しても、お金は確実に出てゆくが成果につながらない。

第3の矢、成長戦略を成功させる具体策は何か?
 小生が着目する分野は、農業、観光業、エネルギー産業を上げたい。
 
 まず、農業は、日本の食材は世界一であることは海外旅行すれば分かる。日本の果物の美味しさ、味の良さ、見た目の綺麗さ、大きさなど、どれをとっても、世界一だ。それもダントツの一で、他に比べられる国はない。それほど日本の果物は素晴らしい。今まで輸出といえば、電気製品や自動車など工業製品ばかりが目立った。この構造を変えて、農産物の輸出に踏み切る必要がある。
 農産品の輸出を政府が音頭を取って進めているということを聞いたことがない。
 コメ農家の所得補償ばかり騒がれて、農家の一票を欲しがっている地方議員の姿が見え隠れする。
 政府がしゃしゃり出るのなら、こういう農産品の分野で自由に輸出ができる後押しをすればいい。
 これがなかなか難しい。農産物は全て生鮮食料品なので、収穫してすぐ出荷し、輸送して、海外の店頭に並べられるまで、早く配達できるシステムやインフラを構築することが必要になる。
 諸外国(日本もそうだが)は食料品にはいろんな規制が掛かっているので、それを政府同士でお互いが話し合い、国民(お客様)のためになることを自信を持って後押しし、課題の解決をすることが大切。
 ところが、各省庁の権益や縄張りで、規制がかかりなかなか動かない。
第3の矢を成功させるためには、各省庁の規制や縄張りや縦割り行政をなくすことに取り組まなければならない。
 野党、民主党はこのことに注目すれば、なかなかいい取り組みができるのだが、官僚の抵抗がすごい。それを乗り越えないと日本の将来はないと思う。

 工業の力もさらに強化する必要はある。今まで日本は工業国として製品を輸出してきた。量産品の輸出は中国はじめ発展途上国に任せばいい。日本は既に、たくさん海外に工場進出しているので、現地会社の工場で量産品は作ればいい。
 日本国内で作る製品や部品や材料は、付加価値の高いもの、海外工場では生産できないようなものに絞ることが大切だ。
 例えば、東レがボーイングから1兆円という巨大な額を受注した炭素繊維のようなもの。鋼鉄の10倍の強さでありながら、軽さは1/4というハイテク繊維。
飛行機の胴体などには打って付けの材料だ。

 次に観光産業を少なくとも5倍ぐらいに伸ばすこと。
2014年度は以前に比べて来日する観光客は大きく伸びた。既に1000万人を超えて、今年度は1300万人になると予想されている。大変結構なことだ。
伸びた理由は、東南アジアから来日しやすいようなビザの発給の緩和や、格安航空機LCCが普及したことや、羽田や関空の努力がある。
しかし、世界各国の観光客の人数を見ると、2013年度の集計を見ると、1位がフランスで8500万人、2位がアメリカで7000万人、3位がスペインで6070万人、4位が中国で5570万人、5位がイタリアで4800万人となっている。日本は1000万人だ。韓国ですら、1217万人で22位、日本は27位に甘んじている。
 日本が何故、出かける人が多いのに来日する人は少ないのか?
日本には素晴らしい観光名所がたくさんある。歴史的建物、温泉、海、山、日本の風景は箱庭のような景色である。決して他国に劣ることはない。今まで政府が観光に本気で取り組んでこなかったためだ。
 外国人を呼び寄せるためには、それなりの設備、インフラを用意する必要がある。最近大分良くなってきたが、まだまだ不十分だ。
 小生が一番、気になっている点は、日本の景色を台無しにしている電柱と電線だ。観光地でごくごく一部の地域は地下ケーブルにして、無電柱化を実現している。近隣では京都の東寺付近がそうなっている。非常にすっきりして周囲の景色が見えるし、何よりも写真を撮った際に電線が映らないので大変景観がよくなる。
 だから、観光事業改善・促進費として、公共投資を無電柱化に振り向ける案を提案する。これをやってくれれば、外国からたくさんの人がさらに増える。海外では無電柱化は当たり前になっている。田舎の農家が並んでいるような場所は、従来のままでも良いが、観光地や人が沢山集まる場所は至急、無電柱化にすべきだ。日本の電柱は電気の送配電線(高圧線と低圧線)が上下に張り巡らされている。さらに電話線や光ケーブルや同軸ケーブルがその下に貼られているので、本当に見苦しい。
しかし、人間は毎日同じ景色を見ていると何も感じない。海外の都市や観光地にゆけば、電線はないのですっきりした景観になっている。さらにこういう場所は看板や張り紙もなくしたい。
 日本はやたらと看板を立てる癖?がある。のぼり旗や張り紙やネオンサインや
普通の看板などで埋め尽くされた感じがする。今ある看板がどれだけ宣伝広告に役立っているのかと思うと、なくてもあまり売上に影響はないのではないかと思う。
 さて、3本目の矢の最後はエネルギー産業だ。
安倍さんは原発の再稼働を選挙の公約に入れるだろう。本当に日本で原発を動かすことが安全か?これは誰も保証しようがない問題だ。
 ただ言えることは、世界一厳しい安全基準を作り、それで検査して合格すればその原発は再稼働しても良い、政府のお墨付きがあるということ。
 この言い分は正しいようにも見えるが、実は絶対安全の保証は何もない。
世界一厳しい安全基準を作った。これは基準が厳しいという意味では全く問題はない。その通りだ。しかしだから、その厳しい原発は地震国、火山国日本で今後安全かと言えば、安全に配慮したと言えても、安全だと言い切れない。
 原発は絶対安全でなければ動かしてはダメなインフラだ。
飛行機は必ず落ちる。飛行速度で発生する揚力(浮力)と自重がバランスしているので、普段は落ちることはない。しかし、エンジンが止まれば必ず落ちる。しかし、それが嫌なら、飛行機に乗らなければいい。自分の選択ができ、自己責任で乗ったり、乗らなかったり選択できる。
 原発は稼働の選択は国民の総意が必要だ。
今度の総選挙で、もし安倍さんが勝てば、全国の原発は次第に再稼働し始める。
そこで発生する放射性廃棄物の処理場も決まっていないのにである。
 日本の安全なエネルギー政策を日本の優れた技術で開発し、それを世界に売ることを考えれば、新しい3本目の矢に育てることが出来る。

 こういうことをやり切るには、政治家と官僚と、官庁が握っている規制緩和を早くやり、官庁の縦割り組織を潰して、新しい時代の政府、官庁を造る必要がある。
それを民主党に期待したのだが、全くダメだった。
 自民党は規制体制の中に生きる党だから全く期待できない。
どこか、そういう着目点で、総選挙に訴える党を期待したい。



2014年11月12日(水)
日本の貿易収支はどうなっているの?

 先日、今年上半期(4月-9月)の貿易収支が発表になりました。
日本は貿易立国として、いままで発展してきました。江戸から明治維新の頃に掲げた『富国強兵・殖産興業』政策を軸に、殖産興業は貿易を増やすことで外貨の獲得を目指しました。
 
 しかし、当時は絹糸の紡績工場、続いて綿花の紡績工業が頑張って、群馬県の世界遺産になった富岡製糸工場に代表される『日本の絹』をいち早くアメリカに輸出し、大きな利益を上げました。その後、製鉄などの重工業に力を入れ、次第に強兵政策をとり、今なお、問題が続いている中国や東南アジアへの派兵に繋がりました。
 
 そして、太平洋戦争に負け、平和主義を掲げ平和産業の貿易を通じて世界第二の経済大国になりました。
 
 その後、中国の急速な発展により、アメリカ、中国、日本と、世界ランキングを一つ下げましたが、相変わらず日本は世界の経済大国である事実は変わりません。
 
 しかし、グローバル化が進み、世界経済が統合され、金融の自由化で世界の金融がネット上で決済され、瞬時に巨額のカネが世界中を駆け巡るという考えられないような仕組みに変わりました。

 モノの製造は『デジタルものづくり』という言葉が示すとおり、今までのものづくりの製造現場から大きく様変わりしました。
 その代表的な事例を一つご紹介します。
 物を作るためには『金型』が必要です。今から20年から30年ほど前は金型屋さんという専門業者がいました。まず商品や機械器具の設計者が設計し、それを設計図面に書き、設計図を金型屋に渡して、金型屋さんは金型を作る為の図面に書き直しました。これを金型図面と言いました。金型とは金属の塊から、商品の部品や樹脂成形品を作るもので、そのための金型を掘り出すという作業をしました。

 これらの作業は人間がやることですからミスがつきもので、設計ミスや、製図ミスや、金型図面ミスや、金型の作業ミス等、金型一つを取ってもいろんな工程でミスが生じることが常でした。いくら注意して取り組んでも、こういう人為的なミスはゼロにはなりませんでした。ミスを犯すたびに、修正する必要が生じ、その都度、相当な時間がかかりました。
 新しく造る金型が設計の思いどおりに出来上がり、それを使って成形品や板金部品ができるまで少なくても1月から1月半ほどかかりました。
 
 それが今、どうなっているかと申しますと、設計図を紙に書くのは皆無です。
コンピュータを使い設計を進めます。これをCADと呼んでいますが、コンピュータは設計上、間違いがあれば、「ここがおかしいですよ」と、ディスプレイ上に表示が出て、設計者に知らせてくれます。
 CADで設計した金型図はCAEと言われるプログラムを通すことで、出来上がりの部品が商品に組み立ててて壊れないか、正しく寸法があっているか、いろんな面からシュミレーションできます。
 金型を彫る前にミスや設計上の問題点が分かり、対処できるようになっています。
 成形品なら、樹脂を金型に流し込む際に溶かした樹脂の流れ方までシュミレーションできます。これを湯の流れと呼んでいますが、うまく部品や商品が出来上がるかどうかをチェックできるのです。商品の外観に使う部品なら、表面がきれいに仕上がるかどうかまで分かります。そういうものづくりができる時代になりました。
 金型を一度作ってみて、実際に使って部品や商品を作ってみて、評価して、さらに修正をかけるというやりかえ、修正の手間や時間がなくなりました。当然、その分、コストも下がります。
 しかも設計図(金型図)は全てデータ化されていますので、図面として紙にプリントしたものではなく、デジタル信号です。
 ですから、このデータはインターネットで日本から海外のどの国の工場にも、送信ボタン一つ押せば瞬時に送ることができます。そのデータを受信した海外の工場は、金型の切削機にデータをインプットすれば自動的に切削作業が始まり、金型完成まで自動でできるのです。
 そういう生産機械システムが海外工場に設置されていることが前提ですが、日本の企業は海外進出する際は、生産機械や工場で使う機械も同時に持ち出しています。
 そうなれば、人件費が高い日本国内で造る必要はなくなります。工場はどんどん海外にシフトします。これが現状の姿です。
  
 そうなれば、円ドルレートが変動しても、そう簡単に工場を海外から国内に移動させることはできなくなります。一度設備を移転しますと、元に戻すにはお金がかかりますし、製造ノウハウも移動する必要があり、そう簡単には参りません。
 
 今、『アベノミクス効果?』で、考えられないような円安になり、一時70円半ばだった円が今は115円前後まで下がりました。
円安が100円までゆくと、日本は儲かると言われてきました。今それが現実の姿になっていますが、言われていたように貿易収支が良くなりません。
 
 海外旅行は、日本に来る場合は大変嬉しい状態です。逆に出かける場合は大変お金がかかりますが、不思議なことに、日本から出かける海外旅行の値段が思ったより上がっていません。

 そういう環境の中で、先日の貿易収支は下記のとおりでした。
2014年度上期(4月〜9月)   
 項 目  金 額  増減額  
 輸出額  36兆1,668億円  1兆8,959億円増 5.5%増 
 輸入額  40兆5,641億円  2兆5,415億円増 6.7%増
 貿易収支  4兆3,974億円    6,456億円増  
 経常収支  2兆 239億円  1兆571億円減  

 上表のように貿易上の収支は、4兆円余りの赤字でした。
これは、火力発電用のLNGや石炭等の輸入の増加が主な要因とされています。
原発が稼働停止しているので、エネルギーコストがかかり、貿易収支は赤字ですよということです。だから「早く原発を再稼働させて、貿易収支の改善を図りたい」という狙いも見えます。
 しかし、1ドルが115円にも円安になると、本来なら日本からの輸出が大きく伸びなければ話がおかしくなります。輸入の原材料のコストは当然あがりますが、それを上回る輸出の伸びがなければなりませんが、2兆円弱しか伸びていないのです。
 その理由をよく分析する必要がありますね。
 これは、自動車産業や電機産業と言った今まで日本の輸出を支えてきた主幹産業が既に海外に工場を移した結果、日本国内で製造する量が減っているため円安で輸出しようにも国内で作れる量が少なくて、輸出に振り向ける商品がそう多くないことを意味しています。

 一方、経常収支を見ると、2兆円程度の黒字になっています。この経常収支とは、貿易収支に海外に進出した工場や店舗などからあがる利益やノウハウ料などの持ち帰り分を加えた総合収支です。
 日本は上のように輸出・輸入の決済だけを見れば赤字になっていますが、工場や店舗の海外進出や移転を進めた結果、海外事業所が親元に儲けを還元してくれているのです。
 そういう意味で、グローバル化が進んで、円ドルレートの上下の変動をうまく平準化してくれているのです。
 日本だけが一人勝ちし、一人儲けるという考え方は良くないと思います。日本は発展途上国に工場を作り、そこで現地の雇用を確保し、その国の経済成長を促し、発展途上国の経済に貢献しつつ、親元にも配当金を送りつけるところまで来ているということです。

 原発が稼働していないから、原油やLNGの輸入代金がかさみ、だからエネルギーコストが上がって産業界が苦しいというシナリオは間違いではありませんが、これでは貿易収支の赤字をだしにして原発の再稼働を早くしたいという思惑が見え見えです。
 そうではなく、厳しい道ですが、日本は原発事故を教訓にして、世界に先行する新しいエネルギーの創造、環境にやさしい地球を作ることに率先して取り組みますという目標を鮮明に打ち出すべきです。。次の時代の政策を打ち出すことが重要です。

 産業界は今を乗り切ることが大切ですから、どうしても直近の課題に対応しようとします。政治は次の新しい時代を見据えた取り組みをしたいものです。

 年内の解散、総選挙が騒がれ始めました。
なぜ、いま総選挙なのか、よく理解できませんが、自分の党が一番有利に戦えるタイミングを外さずに選挙することが、彼らには一番重要なことなんでしょうね。
 国民はどこに行ってしまっているのでしょう?
時には天下国家のため、国民のためとホラを吹く人たちですが・・・・。

2014年11月8日(土)
伊吹山の紅葉を見てきました。

 昨日、おかげさまで何十回目?かの誕生日を迎え、天気も良かったので、久しぶりに伊吹山の紅葉を見に行きました。
 
 数日前に、朝日新聞に伊吹山(標高1,377m)の紅葉の写真が掲載されていて、綺麗に紅葉していましたので、『見頃かな?』と思い、第二京阪⇒京滋バイパス⇒名神高速と乗り継ぎ、関ヶ原ICで降りて、一般道路を2kmばかり走ると、全長17kmの伊吹ドライブウェイに入ります。ここは春から秋までの間、開業していますが、伊吹山は雪が深くて冬場は閉鎖されます。
 伊吹山にはいつも車で出かけますが、この有料ドライブウェイは結構料金が高くて、3090円(往復)します。
 
 さて、入り口付近はまだ紅葉が始まっていませんでした。途中で待避場所がたくさん有り、番号を振っていますが、15番〜20番ぐらいまでの間が見頃でした。

 山頂の駐車場から見下ろすと、既に冬景色で樹木の葉はなく、坊主状態でした。
 この駐車場から山頂までのハイキングコースは今は歩く人も少なく、結構風がきつくて、気温は9℃でしたので、歩くのはやめて車の中で昼食をとり下り始めました。
 
 途中、何箇所かで車を止めて写真を撮りましたので、アップします。
その時、なんと本物の『キツネ』が現れました。車に近づいてきて、窓を開けても逃げません。よく人になついたキツネでびっくりしました。
 
 道端には『クマに注意』という看板もあり、伊吹山もこういう動物たちが現れるようになったようです。
 
 帰りは時間があったので、一般道路(8号線)を大津付近まで走り、京滋バイパスに乗って帰ってきました。
 
 紅葉の感想は??
 遠くに行った割には、『すごい紅葉だなぁ!』という感激する綺麗な紅葉ではなかったように思います。
 昨年秋、カナダのメイプル、楓(カエデ)の紅葉は真っ赤で色鮮やかな凄みのある紅葉でした。
 そういう景色の場所は全くなく、黄色と緑と、所々に少々赤い色のハゼの木?がある程度で、しかも、紅葉は枯葉のような茶色っぽい色合いで、綺麗に紅葉しているという感じではありませんでした。
 はっきり言って、あまりおすすめできないような印象でした。(私見です)。
これからどう綺麗に紅葉するか分かりませんが、昨日の段階ではそう言う景色を見てきました。

  山頂からの眺望
  途中の紅葉

  ススキと紅葉

  途中の広場

  観光バスとすれちがい
  マイカーと紅葉

   
      駆け寄るキツネ            車の横に来て食べ物をねだっている

2014年11月5日(水)
日の丸の翼がもう一つ飛び立とうとしています。

 YS-11が退役して久しいですが、 その後、ブラジルのエンブラエルや、カナダ製のボンバルディアというプロペラ機が国内ローカル空路を飛んでいます。
  在りし日の勇姿  YS-11 最近、飛行機には海外旅行するとき以外はほとんど乗らなくなりましたので、詳しいことは分かりませんが、プロペラ機は飛行高度が低いので、天候に左右されて、ふわふわと上下に揺れて気分が悪くなるようなことがあったのを覚えています。
 
 YS-11のエンジンはジェットエンジンでした。
ジェットエンジンには2種類あり、排気ガスでタービンを回し、その軸にプロペラを取り付けたのがターボプロップジェットエンジンと言われるもの。現在のプロペラ機はこの構造のエンジンを搭載しています。
 
 もう一つのジェットエンジンは高温・高圧燃焼ガスを後部に吹き出すことで推進力を得ています。ターボファンジェットエンジンと呼ばれています。ホンダの小型ビジネスジェット機もターボファンジェットエンジンを搭載しています。ターボファンジェット機は高速で飛べるという利点があります。
 
 ところで、国内航空製造事業を政府の肝いりでNEDOが後押しし、三菱重工業が主体になり、富士重工業、日本航空機開発協会などの協力で進められているのが、MRJ(三菱リージョナルジェット)と言われる中距離ジェット旅客機です。 座席数は70〜90席。

  スマートで新しい世代の形に見えるMRJ ハブ空港とローカル空港を結ぶ路線は、一日に何回となく離着陸を繰り返しますので、その度に機体に強い衝撃が加わり、構造的にその衝撃に耐えなければなりません。
 MRJは当初、機体を軽くするために炭素繊維素材を使う計画だったそうですが、最終的には実績があるアルミ合金に決まったようです。
 日本の航空機産業はアメリカのボーイング社の新鋭機B787の機体に炭素繊維の胴体を輸出していますので、技術力の問題は全くないと思います。
 ちなみに、ホンダのビジネスジェットは炭素繊維素材を胴体に使っています。
操縦席は新幹線のようなイメージ? MRJ
航空機は自動車と同様、いかに機体を軽く造るかが低燃費に直結します。それと、エンジンの改善です。MRJは高効率、省燃費化されたプラット&ホイットニー(カナダ)製のジェットエンジンを搭載するようです。

 当初の就航予定から開発が大きくずれ込んで、先日、完成機をお披露目したところで、初飛行は来年以降になります。その後、1年か2年かけて型式認定を取得し、納入開始されます。
 いずれにしても、ホンダ小型ビジネスジェット機に続いて、MRJももうすぐ離陸します。
 ホンダの方がひと足早く発売されます。

 なぜか、飛行機の写真や記事を見るとワクワクしますね。
もちろん、エアーポートで羽根を休める飛行機を見るのも大好きです。


2014年11月4日(火)
ホンダが自家用ジェット機の製造を始めました!

 ホンダの創業者、本田宗一郎氏が夢として語っていた『いつかは空に羽ばたきたい』という願いを来春、実現します。
左のようなウィング・エンブレムを、ホンダにはバイクで、ベンリー号やドリーム号というヒット商品がありましたが、そのガソリンタンクの両側に取り付けていたのを記憶しています。その時分から、本田宗一郎氏は大空に羽ばたく夢を持ち、その願いを込めていたのです。
ホンダ自家用ビジネスジェット機は商品として、アメリカ航空宇宙局の型式認証を取得次第、発売されます。順調に開発が進んでいます。
 既に何機か実機組立、テスト飛行などを終えて、製造ラインには販売用の実機が10機ほど組立に入っています。
 下記のURLにホームページがあります。
 http://www.honda.co.jp/jet
なんと、この話題のジェット機は、左の写真のような形で、今まで見たことがない主翼の上にジェットエンジンを取り付けています。




  
  
 今まで、航空機の設計で、主翼の上にエンジンを積むことはタブーとされてきました。
いろんな弊害が起き、業界の常識にはありませんでした。この種の小型ビジネスジェット機はエンジンを機体後部の両側に取り付けるのが常識でした。以前のジェット旅客機、ボーイング727のような格好のものがほとんどでした。そのタブーと言われた『ジェットエンジンを主翼の上に取り付ける』という発想をやり遂げました。これには当初、航空機の技術に詳しい人たちから嘲笑や、周囲の猛反対があったようですが、藤野道格プロジェクトリーダは綿密な計算をもとに、何度となく実験を積み重ねた結果、ある一点にエンジンを取り付けるベストポジション(これをスイートスポットと呼んでいます)を発見し、空気抵抗の低減や、これによる燃費の向上や、速度の増加など、今までにない数々の性能向上ができ、さらに強度が高い主翼にエンジンを取り付けることで、従来のように強度を持たせるため機体後部の補強部材が不要になり、客室((キャビン)が30%も広くなり、座席の間隔もゆったり取れました。また騒音や振動も小さく、乗り心地が大変良くなりました。 結果は良いこと尽くしになりました。
しかも、ホンダはジェットエンジンまで自社で開発し自社生産します。ジェットエンジンまで自社で開発・生産することは、航空機業界では考えられないことのようですが、ホンダはエンジンにもこだわり、この難行も見事にクリアしました。
  自社開発のジェットエンジン HF120
このジェットエンジンの燃費は従来の同型機に比べ30%から40%も省エネ、低騒音を実現しています。ホンダはこの自社開発、生産した省エネの高性能エンジンを積むことはもちろん、エンジンだけを他の航空機メーカにも供給して販売します。既に、セスナとの間で交渉がまとまっているそうです。
 パイロットは1〜2名、乗員は5〜6名、座席数は7〜8名、飛行距離は2185km、最高時速は778km/h、飛行(最高)高度は13106m、離陸距離は807m、着陸距離は694m、約450万ドル(4億5千万円)という値段で、既に100機ほど受注を受けています。
 発注者は発売日を首を長くして待っているそうです。

 小型自家用ジェット機は、一般の旅客機より高い高度を飛行するようです。一般の旅客機は1万mから精々1万2千mまでですが、この飛行機は1万3千mでも飛行ができます。

 車屋のホンダが飛行機を造るというとんでもないチャレンジに対し、ここに至るまでの道筋は並大抵ではなかったはずです。
 プロジェクトリーダの藤野さんは、東大工学部航空工学科卒業で、1986年、入社3年目で社員5名とアメリカ ミシシッピー州立大に派遣され、『最先端の航空制御技術を学んで来い!』という命を受けて送り出されたそうですが、現地ではガレージのような小屋で、材料にヤスリがけ作業をする毎日で、手作りの試作機を作る作業をしたそうです。
 そういう手作業の経験などが、本番の飛行機作りに大変役にたったと言われています。
 そこで航空機開発の神様?レオン・トルベ氏に出会い、これが大きなチャンスになったそうです。

 藤野さんは、現在、米ホンダエアークラフトカンパニーの社長で、従業員は1200名の陣容になっています。航空機や宇宙船の革新的設計開発に貢献した個人に贈られるケリー・ジョンソン賞を今年受賞し、ますます前途洋洋とした存在になっています。

 今まで世界で、航空機メーカが自動車を造ったという実績はありますが、自動車メーカが飛行機を造ったというのは、今回のホンダが初めてです。
航空機は、不安定な空中を安全に飛行するため、高度な設計技術をもとに、膨大な試験や、信頼性や飛行テストを繰り返して合格しなければなりません。
 そのために時間とコストがかかりますが、一自動車会社が創業者の想いを実現するため、無謀とも言えるジェット機の開発に取り組み、発売まで半年後に迫っています。

 アメリカのビジネスジェットの需要は大きく、これからのホンダジェットが楽しみです。

 多分、トヨタ自動車は歯ぎしりをしているでしょうね。


2014年11月3日(月)
エネルギーの地産地消は進むか?

 政府は地方創生の目玉政策をいろいろ模索し始めています。その内の一つで『エネルギーの地産地消を推進しよう』という話があります。バイオマスや地熱発電など地域の資源を活かし発電や熱の供給を行おうというものです。狙いは大変結構なことで同感です。
 これらを地方創生の核に位置づけて、自治体主導の電力会社を財政支援し、電力やガスの事業を活性化しようとしています。
 
 電気については、2016年4月、電力の自由化により、電力の小売が誰でもできることになります。現在は電気事業法で、全国(沖縄電力をいれると)10社の電力会社が地域独占事業を行っています。この地域独占の規制を外して、自由に電力が売り買いできるようにしようとするものです。
 大阪府に住んでいる人は、今までは関西電力からしか電気を買えなかったのですが、例えば、東京電力の方が安ければ、東電と契約して電気の供給を受けることができるようになります。
 ただし、電気は送電線や配電線につながっていないと使えません。この送配電線は各電力会社が管内に引っ張っていますので、その電線を通じて供給を受けるということになります。電線は今までどおりということです。
 
 その場合、今問題になっている九州電力のように、太陽光発電の買取制度で大量の申請が出され、送電線容量をオーバーして電力供給が不安定になるという理由で、今後太陽光発電の申請受付をしないというような会社も出てきました。
 今の状況は、太陽光発電トータルで、九州電力のピーク電力を賄えるというぐらいの申請が出されているそうです。
 
 自然エネルギーは基本的に不安定性を有しています。太陽光発電は、晴天の時と雨や曇りの時の発電量の差が大きく、また当然、日中しか発電しませんので、一日の内の発電量のピーク値が大きく変動する要素があります。
 一日で電力使用量の推移を見ると、日中が一番大きくなりますので、太陽光発電はある意味では合理的です。季節性を考えても、真夏のジリジリした日中の暑さでエアコンがフル運転するような状況では、太陽光発電は発電量が最大になります。これも合理的です。

 同様に風力発電も風が吹かなければ全く発電しません。自然エネルギーを利用する場合は発電した電気を一度何かの方法で蓄積して発電量を平準化する必要があります。
それには大型の電力用のリチウム電池や、揚水発電所のような装置や設備が要ります。

 どういうわけか、今、話題に上がっているエネルギーの地産地消には太陽光発電や風力発電という言葉があまり出てきません。先ほどのバイオマスや地熱発電が大きくクローズアップされています。地熱発電は温泉地の近くのお湯を汲み上げて、蒸気ではタービンを回す発電方式です。バイオマスは間伐材や倒木材を切り出して、林業の再生を兼ねた狙いで、木材を燃やして発電する小規模な火力発電所です。

 地方自治体が地域電力への出資金として地方債の発行を認め、その利息の半分を国が負担するという案が出ています。さらに「電力の専門家も派遣しますよ」ということになっているようです。
 電力消費地の近くで発電ができれば、送電線での電力ロスが少なくなり、発電した電力を有効に使えます。

 原子力発電所は安全だと言いながら、辺鄙な人里離れた海岸線で、しかも大都市から数百kmも離れた土地で発電し、超高圧送電線で送ってきます。いくら電圧を高めても、電線に抵抗がありますので、電流が熱になって失われます。その送電の電力ロスは5%程になります。原発が全く安全なものであれば、東京湾や羽田空港近くで発電すれば、非常にロスが少なくて理想的です。しかし、そうしないところに、いくら安全といっても、完璧な安全はないという裏返しの結果なのです。

 しかし、「太陽光発電の申請受付を中止した」という九電のように、電力会社は自社の電力供給の安定化を理由にどこまで地産地消の電力を受け付けるか、これからが注目すべきところです。

 やはり、一刻も早く日本の背骨になる超高圧送電線ネットワークを建設し、そこに各電力会社の送電線をつないで、北海道から九州まで巨大なネットワークを国か第三セクターかで構築することが必要でしょう。そうすれば、風は全国的に見ればどこかで吹いているでしょうし、日差しもばらつきがあるでしょうが、天気予報のとおり晴れの地域もあれば、曇の地域もあって、発電量が相当平準化されます。これに電力用の蓄電池をバックアップすれば、自然エネルギーの不安定性をカバーできます。

 もう一つ、自民党が言い出していることで、『配電線の地中化』です。先進国、特にアメリカやヨーロッパの都市では電柱が見当たりません。ほとんど家屋に配電しているのは地下ケーブルによって行っています。これを『配電線の地中化』と呼びます。
 初期の工事費用はかかりますが、都市の美観や、道路の交通安全の立場からも、電柱が立っていないのは非常に道路が広く使えます。電柱は必ず道路の曲がり角に建ちますので、車の運転には邪魔な存在です。
小生はこの『配電線の地中化』には大賛成です。一刻も早くやってほしい気持ちです。

 しかし、一気に地中化配線は工事費の負担面で無理でしょうから、まず都市部、さらに観光地の電柱をなくし、景観を整えることが大切です。
 日本には世界遺産や、有名な観光地がたくさんありますが、そういう場所を優先的に電線、電柱を取り払い、スッキリとした景観にすべきだと考えています。
 東京や大阪の都心部は一部、地下ケーブルになり、電柱がない場所がありますが、本当にすっきりとした景観になります。
 京都市の東寺の付近は電柱がなくて、大変気持ちがいい景観を呈しています。
電線や電柱がないということは、これから外国人観光客が増える中で、大変好印象を与えますし、写真を撮っても、電線が映らない写真は大変素晴らしいものです。
 
 いろんな公共投資のアイテムがあると思いますが、一番先に電柱の撤去、電線の地下ケーブル化に取り組んでほしいと思います。
 お役所も次第に動いていますが、平成23年度で15%、平成28年度で18%にしかなりません。これでは先進各国の中で置いてきぼりです。年に少なくとも3%ぐらいを達成すれば、10年で30%ですから、田舎を除けば都市部は何とか無電柱になりそうですが・・・・。
やる気があるかどうかだけですね。
ほかの経費を削っても、こういうインフラには金をかけて、外国人観光客を寄せ集めて稼ぐ!そういう施策を打ってほしいものですね。

 エネルギーの地産地消は、まだまだこれから電力会社とのせめぎあいで、難航すると思われます。まずは、日本の背骨の超高圧送電線ネットワークの建設が全ての解になると考えています。

(参考) 下のURLに国土交通省の無電柱化のHPがあります。
   http://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/chicyuka/

2014年10月21日(火)
「シスメックス」をご存知ですか?
10月27日 一部内容の修正、追加

シスメックス社ホームページ  http://www.sysmex.co.jp/
TOA社ホームページ    http://www.toa.co.jp/

 「 シスメックス」という会社がありますが、聞いたことがない人が多いと思います。
この会社は、人間ドックや健康診断の時に、採取した血液を分析し、標準値に対して自分の測定値を表にして、ドクターから説明を受けます。その血液や尿などの分析機器を造っている日本で一番、世界でも屈指の会社です。
 
 この会社は、「東亜特殊電機」という神戸にある会社の新規事業としてスタートした子会社でした。東亜特殊電機は「TOA」と社名変更して、学校や病院や工場や駅などの構内放送設備、最近はセキュリティカメラや映像システムに力を入れている会社で、業務用音響映像機器の製造、販売に一貫して取り組んでいる会社です。
 TOAの業容は、従業員が800名弱で、年間売上は424億円、営業利益は43億円で、1949年設立の会社です。
 
 その東亜特殊電機が、音響事業以外の柱として、『何か新規事業をやろう』ということで、アメリカに調査に行った際、血球分析という医療分析機器を知り、『これからは医療分野が伸びる』と見込み、まだ、各社が見向きもしなかったこの新規事業に取り組み、着実に拡大し、今や業容は、6,768名、年間売上1,845億円、営業利益328億円という超優良会社に成長し、親会社であるTOAを大きく超える会社に成長しました。

 「シスメックス」という社名は、マラソンの野口ミズキさんのスポンサーをやっていましたので、女子マラソンのテレビ観戦していると、野口さんのトレーニングシャツに[Sysmex]という胸札が付いていたのを覚えている方もお有りでしょう。
 
 昨日、IR活動として、株主様会社見学会が行われまして、小生は知り合いの株主の方の紹介で同伴させてもらいました。昨日は、最近完成したアイスクエアと呼ばれている最先端工場の生産現場を見せてもらいました。
 生産している機器は健康診断や、人間ドックで、病院で行う血液検査、尿検査の機器やそれに使用する試薬、ソフトウェアを開発し、製造・販売・サービスしている会社です。
 
 医療検査には、『生体検査』と検体検査』があります。
 生体検査とは、病院などで、レントゲンやCTやMRIや心電図や脳波測定や胃カメラ、大腸カメラ、超音波画像診断など、自分が病院に行き、そこで体の検査を受けるものです。
 生体検査は、X線や放射性同位元素を使って画像を撮るMRI、PETなど、危険を伴いますので、検査機器は非常に厳重な規格や審査を通過しなければ出荷できません。これは大掛かりな開発投資や製造技術を要しますので、東芝や、日立や、島津や、海外メーカーではGEやフィリップスなどが手がけています。

 これに対して、検体検査とは、血液や尿などを採取して、検査機器にかけて測定するものです。大病院は自前でこの血液分析器や尿検査機などを所有していますが、町医者などでは採血や採尿した検体を分析を専門にしている検査機関に送り、そこで検査して結果を報告してもらうような方法を取っています。
 シスメックス後者の検体検査機器を中心に取り組んでいる会社です。

 社名の由来は、SYStematical +MEdics +無限の可能性(X』の造語だそうです。
創業は1968年ということですから、創業46年になります。
 
 業容の拡大とともに、主に兵庫県内に工場や研究所やサービスサポート部門などを建設し、直近では加古川市にアイスクエアという名前の工場を建設し、ここを中心に製造力を今までの3倍にしようと取り組んでいます。
 
 アイスクエアの基本コンセプトは、『シスメックス スマート マニュファクチャリング システム』の進化を目指し、人と技術が融合する高品質な生産体制の確立だそうです。
具体的には、
 @メイドインジャパンのものづくりを追求し、高品質・低コストを両立する
 Aステークホルダーに対する安全・安心と感動の提供
 B先進の技術と人の融合

で、アイスクエアの意味するところは、
 [ i ] 機械;instrumentに加え、intelligence(知性)、innovation(革新性)、ICT(技術力)などを持つ知的な生産への想い
 [Square]工場建屋の形状(正方形)に加え、清潔・整然とした医療機器工場をイメージ

 アイスクエアは敷地30,794u(約9,000坪)に85m×85mの正方形の3階の建屋です。1階が倉庫エリア、2階が事務・厚生施設エリア、3階が生産エリアとなっています。

 この建物は、いろんな工夫が施されています。
 一つ目は、1階倉庫から海外に出荷する際はコンテナーに入れて、封印すれば神戸港や関空から通関なしで輸出ができるそうです。通関手続きに手間取ることがないと言われていました。
 二つ目は、建物全体が免震・耐震構造になっていて、1階の基礎が浮いた状態になっているそうです。
 三つ目は、生産部署で、広さは9,700u、床はフロートを採用し、床下にはLANケーブル類や、試薬や純水の配管が張り巡らされているそうです。生産している機器の重量に耐えるため床の耐荷重は500kg/uになっているそうです。

 この会社が大きく成長し、高収益を上げ続けているひみつは、検査機器と、検査に使う試薬を販売していることです。
 
 パソコンのプリンターは本体は安くても、インキが高くて、キヤノンやエプソンはインキで儲けるというビジネスモデルを構築しています
 
 シスメックス
売上の半分近くが試薬の販売になっているそうです。最近は機器のテクニカルサービス&サポートもビジネスになってきたと言われていました。
 
 パソコンのプリンターと違って、この医療検体検査機器は安いものでも数百万円、高いものは数千万円ということですから、いわば検査機器(ハード)と、機器で使う消耗品の試薬と、システムソフトと、テクニカルサポートサービスの4つの分野で儲けるというビジネスモデルで、営業利益率は20%近くになっています。

 今回はアイスクエアという最先端の加古川工場内を見せてもらいました。
製造現場は、昔?の家電メーカの製造ラインとは全く違うものでした。
直線の製造ラインはありません。
 台車の上に、金属部材から組み付けたシャーシ(機械の骨組み)に、ブロックごとに事前に準備した部品ブロックを取り付け、試薬が通る細いたくさんのパイプが女性作業者の手で、電気回路の配線のように綺麗に配管され、細いパイプが結束されて行きます。
 試薬は液体ですから、それを送るためのポンプや、弁や、計量のためのいろんな複雑な精密部品がぎっしり詰め込まれています。
 
 見ていると、一人が作業する工数が多くて、『慣れないと大変だろうな!』と思いました。現場での説明では、各工程をステップ毎に区切って、そのステップ毎に作業マニュアルが液晶ディスプレイで動画で表示され、それに従って作業すれば正しく作業ができるようになっているということでした。
 一人の作業が完了すると、別の人が次のステップの作業をするというやり方で、同様に作業内容が液晶ディスプレイで動画で表示される。こういうやり方で、次々と複雑な作業をこなして組み立てるようです。一種のデジタルものづくりラインです。
 
 作業工程は次々を送られますが、直線ラインのように流れ作業ではないので、一つの作業が終わった台車が数台並んで止まっているところもありました。

 また、作業の途中で必要な確認はパソコンを使いながら動作検査が行われ、生産が次工程に進みます。
 ラインの一角に『規格外品検査中』という名札が貼られた機器が2台並んでいました。
多分、何かの作業不良か部品不良で、チェックに引っかかったものだと思います。
 このように生産現場の品質管理は、ITを駆使し、パソコンによりステップ、ステップごとに動作チェックし、インテリデント化されたデジタル・セル生産方式です。

 どの分野の測定や検査であっても、測定値が正しくなければなりません。
『健康診断の結果の数値は正しい、信用がおける』ことが前提ですから、品質面や信頼性の高さが求められます。
 検査機器が正常に働いているかどうかは、標準試薬というものがあり、これを機械にかけて実測し、その結果がある範囲の数値に入っていることで、正常に測定出来ているかどうかを判定するということでした。

 この医療機器の最先端工場を見学させてもらい、今から数十年も昔、ラジオやステレオやビデオやテレビなどの家電商品の規格大量生産を支えてきた直線ラインに作業員がたくさん並び、一人が数箇所という単純な作業を行い、コンベアで流れ作業をするという量産工場の光景とは全く違う光景でした。
 工場内は大変静かで、ゆったりとしていて、見学中に呼び出しマイクの声も全くなく、作業が粛々と進められているという雰囲気でした。
作業者が自分のペースでやっているという感じです。
 
 かつて世界一を誇った日本の家電メーカは今、大苦戦し、リストラに次ぐリストラを繰り返し、なかなか先が見えない状況の一方で、シスメックス社はこんなにゆったりとしたものづくりをしながら、20%近い営業利益を上げている理由がよく分かりました。
 
 デジタル半導体をそのまま組み込んだような商品(典型はスマホや液晶テレビなど)を製造し、販売する事業は、もう日本ではいくら頑張っても儲からない事業になってしまっています。付加価値が取れない状況になってしまったのです。

 『特異で、誰もが参画しない分野で、その商品を構成する技術が高度な技術やノウハウで成り立っている製品で、他社がやろうとしても、簡単に追いつけない製品で、それを製造するためにデジタル技術を駆使し効率的にコストを下げて製造する』、そういうビジネスモデルを構築すれば、日本でも開発・生産・販売・サービスで儲けることができるという見本のような会社でした。

 PanasonicやSONYやシャープなどは、今までの事業や商品に執着して、例えばテレビ事業などその典型ですが、こういう分野は中国や韓国に勝てない環境になっていることに気づき、日本で次に何をやるのかを見つけ出さなければならない。
 そういう面で、Panasonicの新しい事業分野(BtoB、カーエレクトロニクス分野、ハウス、水素エネルギー分野等)へのシフトは、方向性としては正しいかもしれない。
しかし、まだ取り組む分野が漠然として、巨大な組織力を活かし、飯が食える分野まで育てられるかが見えていない気がする。
 会社の規模が大きいと、どうしても大きな市場に目が行き、そこに進出してシェアを取らないと大量の従業員がメシを食えないということで、大市場を狙う。
 この大きな市場は当然、皆が狙っているので互の食い合いになる。上手く稼げない結果に終わることが多い。

 その点、検体医療分析分野は精々、数千億円という規模で、今後、世界的に拡大しても1兆円前後であろう(これは勝手な解釈なので間違いかも知れない)。
間違いなく言えることは、民生向け商品のような巨大市場ではない。限られた特殊な市場である。だからこそ、そこに事業の旨みがあると言える。

 Panasonicは松下電器の綱領である『産業人たるの本文に徹し、社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与せんことを期す』という経営理念を今一度よく考える必要が有る。
 どうやら、韓国のサムスンやLG電子が松下電器の社是を実践しているような気もする。
 Panasonicはこの崇高な綱領を忘れて、ほかの道を模索しているかのような気もする。
 これは成熟した家電市場、グローバル化された家電市場を相手に企業が生き残り、発展することの難しさをつくづく感じる。
 しかし、アイスクエアを見学して『道は必ずある』とも感じた一日でした。


2014年10月13日(月)
台風13号が近づいています。
台風とは、風速はどういうふうに決めているのでしょう?

 台風19号がやってきます。
前回の18号は、予報円の南側を通ったため、交野は殆ど影響はありませんでした。
 
 19号は大きな勢力まで成長した台風です。一時は900ヘクトパスカルというあまり耳にしないほど気圧が下がった台風です。中心の目は、宇宙ステーションから見た映像では、丸く、くっきりと見えていました。
 『こんな強烈な台風がまともに来たら大変なことになる』と心配しましたが、北上するに従い衰弱し、975ヘクトパスカルという勢力になりました。中心付近の最大風速も弱まってきましたが、大阪付近を通過する頃はどうなっているでしょう?

 台風は熱帯低気圧が発達し、10分間の平均で、中心付近の最大風速が17m/秒以上になった時に台風と呼ぶことになっています。
 台風は赤道より北で、東経180度より西の領域で発生したもので、地球の自転(西から東向き)の影響で、赤道付近(低緯度)では西に進み、日本付近では偏西風の影響で東に進み進行速度が速くなる癖があります。

 台風が生まれるプロセスは、赤道付近は海水温が高いため大量に水蒸気が発生し、上昇して凝縮し雲粒になる際に放出される熱をエネルギーとして発達します。
 発生場所の海水温が高いほど、台風のエネルギーが大きくなり、大型の台風となります。
 
 台風が移動する際は、海面をかき混ぜるため海水温が下がり、地上では山谷の凸凹による摩擦で絶えずエネルギーを失います。
 エネルギーの供給がなければ2、3日で消滅します。 日本付近まで北上すると、上空の寒気で勢力が衰え、温帯低気圧または熱帯低気圧に変わります。
 
台風は風速の速さと、規模の大小により下記のように分類されます。
 風速により
 ・強い(毎秒33〜44m)、
 ・非常に強い(44〜54m)、
 ・猛烈な(54m以上)、

 規模により
 ・大型(500〜800km未満)、
 ・超大型または非常に大きい(800Km以上)。

 風は強くなったり弱まったり刻々と変化します。それを表現するために瞬間風速平均風速という表現をしますが、平均風速とは10分間の風速の平均で、最大風速は10分間の平均風速の最大瞬間最大風速は瞬間風速の最大値です。
 

 上の図はある日の午前2時から4時の風速をグラフにしたものです。赤の線は、1分間に吹いた風の変動幅を表しています。
 例えば、2時50分から3時00分までの10分間の風速の変化を見ると、一番風速が小さいときで2.4m/s、一番大きいときで25.7m/sの風が吹いています。この瞬間毎の風を「瞬間風速」と言います。また、この10分間の風速を平均すると13.8m/sになり、これを「平均風速」といいます。
 また、平均風速や瞬間風速の最大値を「最大風速」、「最大瞬間風速」といい、上の図で青い○印の部分の風速になります。

「最大風速」は10分間の平均風速の最大値、「最大瞬間風速」は瞬間風速の最大値です。

 天気予報で「風速○メートル」という場合、10分間の平均風速を指します。
 一般的に、瞬間風速は平均風速の1.5から2倍近い値になります。
 暴風警報が発表され、「25メートルの暴風の恐れがある」といった場合、瞬間風速では50メートル近い風が吹く可能性がありますので、注意が必要です。
一般に瞬間風速は平均風速の1.5倍〜2倍程度です。

 ちょっとややこしいのですが、「最大瞬間風速」という言い方をしますが、「瞬間最大風速」はありません。間違った言い方です。

 16時現在の予報では、四国を通過して、北東に進むようでこのままではまともに大阪にやってきそうです。
 被害がないように祈ります。

2014年10月9日(木)
青色LED発明者 3名のノーベル物理賞おめでとう!
(一部記事を修正しました)

 台風18号が無事に通り過ぎ、素晴らしい秋晴れになりました。
昨夜は皆既月食という天体ショーもありました。

 そういう中で、今年のノーベル物理学賞の発表があり、数年前からノーベル賞に一番近い人と騒がれ、期待されていた中村さんと、赤崎さん、天野さんの3人が受賞しました。
 最近、日本人の実力の高さが認められてきたようで、ノーベル賞の受賞が珍しくなくなってきました。

 我が家の照明器具は、普段よく使う居間、台所、玄関、洗面などは、全てLED電球と、LED直管型と丸型に取り替えました。
 LEDランプは消費電力が低いので、つけっぱなしにしても電気代が気になりませんが、逆にLEDに取り替えてから、使うときだけ点け、居ない時は消すオン・オフをこまめにするようになりました。これで電力使用量が1割(昨年同月比)下がりました。

 電球は点けたり、消したりを繰り返すのは特に問題はありません。しかし、蛍光灯はオン・オフを頻繁に繰り返す場合は寿命が短くなります。
 
 その理由は、蛍光灯は放電管の一種で、放電開始の際に、両端のヒラメントに電流を流し温め、電子を生じさせることで点灯します。両端の電極部分にあるヒラメントがボーと赤くなるでしょう。その後すぐに、グローランプがチカチカしてパッと点きます。この点くまでの瞬間にヒラメントが劣化するのです。もちろん点灯中もヒラメントの表面は放電電流で高温が維持されますので劣化します。しかし、点火する時の劣化が一番激しいのです。だから蛍光灯はあまり短時間でオン・オフする場所の照明には寿命の点で好ましくありません。

 その点、LEDは何回点滅させようが寿命の問題はありません。
コンピュータなどの動作を確認できるようにLEDがチカチカしていますね。もし、自宅にワイヤレスLANのブロードバンドルータを設置されている場合は、常時LEDがチカチカしていますが、壊れたことがないと思います。

 ランプの寿命は、電球の場合は切れるまでの平均時間ですが、蛍光灯は新品に取り替えた時の明るさの70%に暗くなる時間が寿命時間と決められています。大体6000時間から最近は1万時間です。それ以上に使えますが暗くなります。最後は点かなくなってしまいます。
 LEDも蛍光灯と同様に決められていますが、LEDは発光する仕組みが電球や蛍光灯と全く別ですから、寿命は普通に使って10年間ぐらいは使えます。(一般的に4万時間と表示しているものが多いと思います)

 最近、自動車のヘッドランプまでLEDが使われだしました。今までヘッドランプに使えるような明るいLEDがなかったのですが、最近、数W(ワット)程度のものが商品化され、十分な明るさが得られるようになりました。
 最近、乗り換えたホンダの新型フィットはヘッドランプがLEDランプになっています。
今までの車は、ハロゲンランプか、メタルハライド放電管(メタハラランプ)でした。
 メタハラランプはスイッチをオンすると、数百ボルトの高電圧をかけて、即点灯しますが、初めは少し暗く、数秒間すると通常の明るさになります。点灯直後は少し暗いという欠点がありました。ハロゲンランプは数年間で球切れになりましたが、メタハラランプは寿命が長くてバッテリーの電気をあまり食わないようになりました。
LEDヘッドランプはさらに超寿命で、省エネです。しかも、スイッチをONすると瞬間的にぱっと点きます。
 信号待ちや、トンネルを出入りするたびにオン・オフをこまめにしますが、寿命の心配もありません。しかし、まだLEDヘッドランプは高価なものです。
 その他、ブレーキランプやフラッシャランプや室内灯など全てLEDに変わり、ハイブリッドと合わせて省エネが徹底しています。

 話が逸れましたので、元に戻します。
 今回の3人のノーベル賞受賞者は、それぞれ開発上の分担が上手くかみ合い、初めて成功したような印象を受けました。科学技術はいろいろな分野、材料(素材)、加工などの先端技術の組み合わせで、今までにないものが創造されるのです。
 
 『青色LED』と聞けば、『徳島の日亜化学工業の中村さん』という名前が浮かびました。
中村さんが一から発明したとばかり思っていましたが、中村さんは赤崎さんと天野さんの窒化ガリウムという半導体素子の改良をもとに、青色LEDの発光効率を上げて、明るい青色光を発するLEDを開発し、量産性に繋げ、商品として販売できる役割を果たしたようです。

 LEDは半導体ですから、一般のダイオードと同様に半導体素子の表面にP型とN型の二つの不純物を拡散(表面に薄く膜を張るような作業)させて、P型電極にプラス、N型電極にマイナスの電気を加えると、PからNに向かい電流が流れます。その際にPNの接合面で発光します。

 電子(ナイナス)と正孔(プラス)が接合面で衝突する際に光と熱が出るのですが、普通の電球のように、高温の物体(ヒラメント、材料はタングステン)による熱輻射される光ではありませんので、損失が極端に少ないのです。電球はヒラメントが2000度前後に熱せられ、太陽が光を出すのと同じ理屈で光が出ます。電球を素手で触るとやけどするほど熱いですね。

 蛍光灯は放電管ですから、LEDや電球の発光原理とは別です。
蛍光灯は管内に水銀を一滴入れています。その水銀蒸気が放電により紫外線を発します。その紫外線が管壁内側に塗布した蛍光塗料に当たり、蛍光塗料が光り、可視光線が出るということになります。ですから、塗布する蛍光材料を変えることで、昼光色、白色、電灯色といろいろな色の光が得られます。
最近、蛍光灯も以前に比べて大変明るく、人の顔色なども綺麗に見えるようになりました。
これは以前のブラウン管式のカラーテレビに使っていた3原色(RGB;赤、緑、青)の光を出す蛍光塗料を使いだしたことにより、発光効率が格段に良くなったためです。

一般に、『光を出す仕組み』としては次のようなものがあります。
 @高温の物体の表面から放射される熱放射; 電球、太陽もそうです。
 A水銀蒸気の放電による紫外線を可視光線(光)に変える; 蛍光灯
 B半導体を使い電子と正孔のぶつかる際の発光を用いる; LED
 C電界をかけて光らす; エレクトロルミネッセンス(EL)
 D生体発光現象;蛍など
などがあります。

 この内、LEDは正孔と電子のぶつかり消滅する際に光が出るという性質を使っていますので、大変効率がよく、且つ、半導体内で電子と正孔の移動だけですから、劣化することがなく、非常に寿命が長いという長所があります。
 
 ですから、LEDの特徴は『省エネ』であることです。加えて『寿命が長い』ことです。
 電球はつけっぱなしにすれば、ヒラメントが細くなり、必ず切れます。蛍光灯も同様です。
 両端が黒くなると、チカチカし出ます。
その点、LEDの寿命は他のものより数倍寿命が長いのです。

 LEDにはR・G・B(赤色、緑色、青色)の光の3原色を出すものがあります。
 一番最初に発明されたのは赤色でした。赤色は40年ほど前に商品化されました。
その後、緑色が発明されました。赤と緑色を混合しますと黄色になります。黄色LEDも出来ました。
 一番難しかったのは今回のノーベル賞になった青色LEDです。
なぜ青色がなかなかできなかったのかと言いますと、青い光は波長が短く、それに合う材料がなかなかできなかったのです。その素材開発を進めたのが赤崎先生と天野先生です。
基台はサファイアが一番良いようです。その上に窒化ガリウムという半導体を生成しますが、シリコンやゲルマのような半導体と違い、純粋な結晶で、分子配列が整列した状態のものがなかなかできなかったようです。その表面にP型とN型の不純物を生成し、電極を着けると完成です。この作業が上手く進まなくて、ご苦労されました。その辺になると難しくてよくわかりません。

 青色ができたので、赤色、緑色の3原色のLEDが手に入るようになり、可視光線のすべてのカラーの表現が可能になりました。

 ちなみに、白色を得るのに、LEDでは二つの方法があります。
一つは、R・G・B(赤・緑・青)の3原色のLEDを並べて、同時に点灯し、光を合成(混合)すれば白色になります。この方法は、光の色合いを自由に変化させることができます。
 部屋の雰囲気に合わせて、色合いを自由に変えることができます。

 最近の白色LEDは青色を出すLEDの表面に黄色の蛍光塗料を塗布し、蛍光塗料に青色の光が当たることで、白色に光が変換されます。この方法は安価ですので多く用いられています。白色LEDの素子の表面を見ると黄色い蛍光塗料が塗っていますので分かりますよ。


 さて、中村さんが以前、何かの賞を受けた際のスピーチが新聞に載っていました。
 『人間、やけくそになって物事に深くのめり込まないと、常識を打ち破るブレークスルーというものは生まれない』と言われています。

 これと同様な言葉があります。
世界一の半導体メーカであるインテルの元社長、アンドリュー・S・グローブは、『開発者はパラノイアたれ』と言いました。『パラノイア』とは『偏執狂』という意味です。
 偏執狂とは、『脇目も振らず、その道に没頭できる人』という意味です。
 ふたりの言葉に、共通点があるようですね。

3人の先生方の受賞、おめでとうございます。


2014年9月15日(月)
バイオマス発電って、ご存知ですか?

  朝はめっきり涼しくなり、少し肌寒さを感じるほどになりました。今年の秋は、どうやら早く来そうです。

 我が家の野菜畑には、ダイコン、白カブ、赤カブ、キャベツ、ハクサイ、インゲン豆、秋キュウリ、サツマイモ、ナス、ほうれん草、にんにく、わけぎ、下仁田ネギ、ネギ、イチゴ、玉ねぎなどの野菜が種を蒔き、芽が出たものから、秋ナスのような夏の野菜の名残のものまで、たくさん育っています。
 
 例年は、秋の彼岸の頃、種蒔きをするのですが、今年は気温が下がりましたので、少し早い目に種まきをしました。
 今頃は、夜、蛾(が)が芽を出した葉っぱ(新芽)に卵を産み付けます。そうすると、1週間ほどで1mmぐらいの小さな幼虫が芽の成長点(軸の中心)を食べます。ここを食べられると植物は上手く育ちません。しかし、蛾の立場からすると、この成長点が一番美味しく、一番栄養価の高い部分になっているのでしょう。自然界の生存競争はすごいものです。
 今年はしっかり防虫布(網)を被せて、蛾の飛来を防いでいます。

 さて、どうしても気にかかることは、やはり原発や電力供給のことです。
 この歳になって、先週の日曜日に、『電験3種』と言われる電気主任技術者3級の国家試験を受けてきました。この資格は、電力供給の仕事をするのに必要な資格です。電気事業者と言われる電力会社や、電気の消費者のための配線など強電と言われる分野の資格です。
 
 今更、何のために?ということですが、資格保有が身の為になるわけではありませんが、頭の体操、リフレッシュには大いに刺激を与えると勝手に思って少し勉強しています。
 脳みは加齢と共にどうしようもなく衰えを感じています。まず物覚えが悪くなり、記憶力の低下が激しいです。記憶するのに時間が掛かり、繰り返し、くり返しやって、やっと何割かが記憶されると言う始末です。SDメモリーカードのように、一度記録すれば消去しない限り、いつまでも記録されるのが羨ましい限りです。これが生身とデジタル機器の大きな違いです。
 それと、レスポンスの衰えです。試験問題を読んでも、なかなか頭に入らず、時間がかかります。ですから試験では、いつも時間が不足になります。少しハンディーをつけて頂ければ、有難いのに、と思いながらチャレンジしています。
 
 そういう加齢現象と戦って、挑戦し続けています。
 というのは、試験は4科目で、基礎(電磁気学)、電力、機械、法規です。これをすべて合格しなければなりません。科目合格という制度があり、科目ごとに、合格点以上ならその科目は合格と見なされます。ただし、有効期限は合格した年をいれて3年間です。この3年間にすべて4科目合格できれば資格が付与されます。
 今年で5年目になり、今まで4科目全て合格しましたが、残念ながら3年間で上手く科目合格が組み合わされなくて、以前、合格した科目が失効してしまい、再度、その科目も含めて、受験しなければなりません。この繰り返しをしている状態で、一昨年は法規だけ残していましたが、これに失敗し、昨年は基礎と法規の2科目を受けて、法規はやっと合格しましたが、基礎は失敗しました。そして今年は?
 基礎と、電力と機械の3科目を受けなければならない状態になり、3科目に再挑戦しました。
1科目が1時間半(90分)ですから、3科目なら、4時間半です。70歳超の身には堪えます。
 結果は10月末に出ます。今は、ひとまずゆっくり、ボケーとしています。
 
 さて、いつもの話になりますが、東日本大震災後の福島原子力発電所が冷温停止に失敗し、その後、水素爆発が起きた一連の大事故から早くも、3年目になります。未だに、原子炉を冷やし続ける作業が続いていますが、『人の噂も75日』と昔の人は言いましたが、原発事故の話は、今後何十年、何百年と語り続けられると思います。
 
 なんとか最後の一線で最悪事態を免れた福島原発事故を、政治や行政に携わっている人たちがどれだけ原子力の怖さを正しく理解しているのか?疑問を持っています。更に、彼らは既に怖さを忘れかけているようにも感じます。これでいいのでしょうか?

 多分、民主党は政権時代に事故が起きたので、肝を潰したと思いますが、自民党や公明党は責任がない時代の事故だったため、今あまり切実に感じていないのではないかと思います。 あの直後の原子炉の状態がドンドン悪化する中で、有効な手立てが効かなかったことを今、よく思い出して、原子力の怖さと、科学技術の限界をよく考える時だと思います。

 技術はあくまで想定した(設計)基準値内で安全と言える話であって、自然の力は想定を遥かに超えることがたまたま起こります。それを想定外だからと言えるのは、原子力以外の設備やインフラについてです。
 原子力関連のインフラは想定外のことが起きても対処できなくては大事故につながります。想定レベルを高くすればするほど安全基準は上がりますが、膨大なコストがかかり、商業ベースでは成り立たなくなります。
 いま、原子力安全委員会や規制委員会が各地の原子炉の再稼働に向けて、検査を行っています。審査レベルや審査基準は以前に比べて相当高くしています。
 しかし、日本の国土は、活断層や、地球規模のプレートや、火山や、津波等どれをとっても世界中で最悪の土地なのです。
 世界には地震を知らないで一生を終える土地がたくさんあります。逆に毎日地震があるのは日本です。そういう特異性と言える土地柄の日本で原発を再稼働させること事態に大きな問題があるといつも考えています。再稼働は何があっても反対です。

 あの爆発事故で、東京電力幹部や原子力委員会の委員や、当時の政府関係者は、事故当時、『炉心が破壊すれば、東日本一帯は人が住めない土地になる』と本気に考えたはずです。 原子力委員会の委員長だった班目委員長もそういう見解を表しておられます。
 幸いにも、鋼鉄製(厚さ30cm以上もある)の炉心は、底の部分が1700度以上になる高温のウランによって溶け、燃料が流れ出し、その外側を覆う厚さ数mのコンクリート製の容器(圧力容器)内でドロドロに溶けていたはずです。中身は誰も見ることはできません。
 なんとかあと、数十cmを残し、温度を下げることが出来たので、踏み留まったという話です。これは、海水注入が奏功し、ウランの温度を下げることができたからです。

 もし、海水の注入がもう少し遅れていれば、圧力容器のコンクリートも溶かして、『チャイナシンドローム』と言われる事態になったはずです。そうなれば、ドロドロのウラン燃料は囲いのない状態になり、地中深くどんどん浸透し、膨大な放射能を長期間にわたり発散する事態に陥ったと考えられます。地下水がどうなっているのか分かりませんので、どのように汚染が広がるか、見当もつかない状態になっていたでしょう。地上では、少なくても半径、数十kmは住めないという状態になったはずです。場合によっては、東京もダメになったかもしれません。

 ソ連時代のチェルノブイリ原発事故がよく比較に挙げられますが、原発の構造が違います。 チェルノブイリ型原子炉は『黒鉛炉』と呼びます。日本は加圧水型と沸騰水型の2種類の原子炉があり、両方を合わせて『軽水炉』と呼んでいます。

 日本の『軽水炉』は、炉心の鋼鉄製の容器内に水を入れ、その中に燃料棒を入れる構造になっています。その水はウランの核分裂で発生する膨大な熱を水の沸騰するエネルギーに置き換えて、高温(数百度)の水蒸気にして、蒸気タービンを回し、発電機を回すという構造です。
 この軽水(普通の水のことです)にはもう一つ役割があります。燃料のウラン235は常時、中性子という放射線が出し続けています。この放射線の飛び出す速度が速いと、自分のウラン235に吸収されず核分裂は起きません。ある速度の中性子(熱中性子と呼んでいます)になると、ウラン原子核は中性子をよく吸収し、核分裂が始まるのです。
 水は中性子を吸収したり、速度を遅くする働きがあります。ですから、水は『減速材』とも呼んでいます。水は核分裂を連続して発生させるためと、核分裂で生じる熱エネルギーを外部に取り出す二つの働きがあるのです。

 チェルノブイリの黒鉛型原発は、水を使わずに炭素(黒鉛)を減速材に使用しています。旧、ソ連が開発した原発に採用されている方式です。燃料棒から核分裂の熱を取り出す物質は窒素や炭酸ガスのような気体を使っていますので、原子炉の構造は全く異なります。ですから、事故の起き方も日本の福島の事故とは全く違った状態でした。

 要は、原子力は人間の制御下にあれば、何とか安全に使えるエネルギー源と言えます。
『何とか使える』という意味は、燃えかす(高レベル放射性廃棄物)の後始末、後片付けの仕方が未だに世界中でも決まっていません。小泉さんが『トイレのないマンションのようだ』と言いましたが、その通りです。
 
 原子力発電は、発電コストが安く、現在の電気エネルギーを安定に供給するためには必要、不可欠な手段だと言われています。高レベル放射性廃棄物処理費用がどの程度かかるか、コスト計算には十分反映しないで、原発の電気は安いと言っているのです。そういう建前で、自民党は原発再稼働を目論んでいます。
 
 しかし、一旦事故が起きると、福島原発の現場で起きているとおり、未だに冷やし続け、しかもその際に生じる高濃度汚染水が一日に200トンも溜まってゆきます。ドラム缶にすれば毎日、100本ずつ増え続けているのです。福島原発の写真を見ればわかるとおり、原発周辺にはタンクの群れが出来ています。あれが高濃度汚染水なのです。タンクが何かの原因で破壊されれば、汚染水が海に流れ出ます。

 このままではタンクの置き場所がなくなるので、地下水をせき止めて、汚染水の量を減らそうと、土地を凍らせるとか、上流で組み上げて地下水の流量を減らそうと、いろんな手立てがこうじられていますが、膨大なコストが掛かっていることを考えなければなりません。すべてのコストは東電の電気代にかさ上げされています。

 人はよく『喉元すぎれば、熱さ忘れる』といいます。
 事故が起きた時、福島原発で働いていた人は死を覚悟したと言われています。そういう危機状態から、少し落ち着いてきたと言えますが、まだ原発は完全に制御された状態になっていません。人間の力(知恵)と、原子力のせめぎあいが続いています。
 これに20年、30年とかかるようです。膨大な金をかけながら、たくさんの人が放射線を浴びながら働いているのです。

 何かが狂っていると思いませんか?
小泉さんと、細川さんが脱原発で共闘を始めました。大変結構なことだと思います。

 さて、一番多く電力を使う真夏も、原発ゼロで乗り切ることができました。関西電力は原発依存の発電量割合が多いので、原発が止まると、電力の安定供給が崩れると言われていましたが、もう夏は終わりです。節電や、省電力機器の普及や、企業の節電努力でなんとかクリアできました。データを見る限りでは、まだ相当余裕さえあったようです。今まで、関西電力はオール電化など電気をいかに大量に使わせるかを宣伝してきました。
今、テレビで節電のお願いをCMで流しています。
これは、電気エネルギーは値段だけではなく、大切な資源だという環境に変わりつつあることを示しています。無駄なエネルギーは使わないという子供たちに対する教育も徹底することが大切です。

 前置きが長くなりましたが、これからが本論です。
少し原発に代わる再生可能エネルギーについて調べてみました。
 自然エネルギーには、太陽光発電、風力発電、地熱発電、水力発電、揚水発電(水力発電の一種で、上下にダムを造り、昼間は上流のダムの水を流して発電し、夜電気が余っている時に、下流のダムの水をポンプで汲み上げて上流ダムに貯める方式です)、波浪発電(波の力で発電する)などがあります。

 この内、森林資源である木材の残材や間伐材を山から運んで、燃やして発電するやり方があります。一種の火力発電所ですが、発電する電力量は大型火力発電所の1/10から1/100ぐらいの規模のものです。
 外国産の安い木材輸入によって、日本の林業は勘定が合わなくなり、森林は荒れ放題になってしまいました。
 森林は伐採や除草や手を加えてやらないと、良質の木材が取れません。また、林業従事者の高齢化も加速しています。
 そこで、2012年に再生可能エネルギー固定買取制度(FIT)がスタートし、2014年にはFIT認定が156件になりました。これによる発電量は合計で156万KWとなっています。原子力発電所が約2基分に相当します。
 山奥からできるだけ運搬に金がかからない土地に、比較的小さな発電所をいくつも造るのが効果的だそうです。また、間伐材や廃材など手に入れられる量に見合う規模の発電所を各地に点々と造るという考え方です。これにより林業の従事者を増やし、活性化を図り、採算も確保するというものです。
 
 ただし、資金面の援助がないと、なかなか採算が合いませんので、FITが認定し、認定されれば電力買取料金を一般の電力料金より高くしてもらえる制度です。従来の電力料金に少しかさ上げすることで、自然エネルギーの発電量を増やしてゆこうという取り組みです。
 これは太陽光発電においても、全く同様の処置がとられています。

 まだまだいろんな課題が残せれているようです。いかに安く発電できるか?いかに安定して可動ができるか?が課題ですが、日本の森林が保全され、林業が活力化し、循環型発電システムが構築されれば素晴らしいことだと思います。

 そのためには、木材を効率よく燃やせるボイラーの開発や、比較的小型で高効率タービンの開発や、木材を森林から搬出する索道やロープウェイなど周辺技術を開発する課題があります。
 木を切ってしまって、禿山になってしまった!のでは全く意味がありません。森林を元気に維持しつつ、電力供給ができるなら、素晴らしいことです。


2014年9月5日(金)
Technicsが再登場、成功できるか?

 Panasonicは、ラスベガスのCEショーと並び、世界2大コンシューマーショー(家庭電化商品展示会)の一つであるドイツのベルリンで開催される通称、ベルリンショー(正式には IFA(イーファー))で、Technicsブランドを復活する」と正式にアナウンスしました。<新聞で既報>。

 高級オーディオは、世界的に見れば、結構根強い安定した需要があります。 今、全世界で約1000億円市場と言われています。

 技術進歩により、アナログ時代のHi-Fiという概念では比べものにならないデジタル技術を使った超高忠実度(超高解像度)のオーディオが身近になって来ました。
  (注)『ハイレゾ』とはハイレゾリューション(高解像度)の意味です。

 基礎になったのは、CD(コンパクトディスク)のデジタル技術で、1980年に開発されました。  余談ですが、DVDは画像を取り扱うと言うことで、情報量が一気に大きくなり、CDがデータ量700MBに比べて、4.7GBと、約7倍の容量があります。

 このCDをベースとして発展してきたデジタル技術は、音楽から映像に広がり、 極く身近で容易に誰でも使える商品になりました。
 映像のDVDで確立した技術は、さらにハイビジョン画像録再用として BD(ブルーディスク)になり、HD画像まで家庭で簡単に楽しめる時代です。

 そこで、音響に目を向けますと、CDは、サンプリング周波数が44.1KH ですので、再生周波数は20Hz〜20KHzまでとなります。
 量子化ビットと言われる規格も16ビットでした。

(注釈)サンプリング周波数というのは、アナログの連続した信号を細かく切り分ける際の周波  数で、サンプルする周波数という意味で、そういう名前が付いています。当然、サンプル数  は多い方が忠実にアナログの信号を表現できます。
  量子化ビットというものは、サンプリングしたデジタル信号の大きさを何段階かに分割して
  データ化するのですが、何段階に分けるのかを表示する規格です。
  これも、サンプリング周波数と同様にたくさんに分割すればするほど、下のアナログ信号の
  大小を忠実に再現することができます。
  デジタルオーディオや、デジタル映像では、この二つの指標(サンプリング周波数と、量子   化ビット数)が記録・再生または録音・再生する場合の忠実度を決める大きな要素です。
  もう一つの要素として、伝送速度があります。
  サンプリングし、量子化されたデジタル信号は非常に大量のデータ量になります。
  この大量のデータを記録(録音)や再生する場合に、インターネットや、CDやDVDやBDや
  その他の記録メディア(SDカード、テープ、USBなど)から双方の送ることが必要です。
  その信号の送受信速度が1秒間にどれだけ早く送れるかが課題になります。
  CDやDVDなど下記の通りの規格に定められています。
  最近、デジタル技術の進化で、この伝送速度も速くなり、ますます高性能化しています。

 CDが生まれた当時(1980年頃)の技術の限界で、12cmのディスク1枚に、 ベートーヴェン第9合唱(約46分)が納まるようスペックをまとめたと言われています。
 最近のデジタル時術の進化で、DVDBDのようにデータ量が増えても 容易に対応ができるようになりました。しかし、商品とするには、デファクトスタンダード化することが重要です。

映像の世界は、地上波デジタルの普及で一気に綺麗なハイビジョン映像が楽しめるようになりました。日本では、全てのテレビ放送がデジタル化し、世界で一番綺麗な映像が楽しめていると思います。更に、BDと呼ばれるハイビジョン映像を数倍きれいにした画像も楽しめます。
ただし、電波による放送は、放送するために必要な電波の幅を必要としますので、むやみに送ることができません。技術的には可能になっています。
 東京オリンピックでは、今のハイビジョン映像の4倍とか8倍の解像度をもった画像をテレビで中継しようという話が進んでいます。映像の世界がどんどん綺麗になってゆきますが、音の世界も技術的に進んできました。

 そこで、最近、出回ってきた音源として、CDの約3倍、約6倍のデータを 使うハイレゾリューション(ハイレゾ)音源が注目を浴びてきました。すでに、数社が高速インターネット回線で配信を始めています。 ネットからダウンロードできますが、もちろん、有料です。

 ハイレゾ音源1;サンプリング周波数 96KHz、量子化ビット数;24
 ハイレゾ音源2;サンプリング周波数 192Hz、量子化ビット数;24
の2種類があります。 今後、さらに増えるかもしれません。

 CDは、
    CD     ;サンプリング周波数44.1KHz、量子化ビット数;16
となっています。

 このような大量のデータを転送するには、高速の伝送系が必要で、 毎秒、ハイレゾ音源では、約4.6Mbps9.2Mbpsとなっています。ちなみに、CDは、約1.4Mbpsでした。

 このような大量のデータをネットを光ケーブルなどを通じて、ダウンロードできるという素晴らしい時代になりました。しかし、直接、ダウンロードしながら演奏ができるのではなく、一度メモリーに 入れてから再生(演奏)するという使い方になります。

 CDとハイレゾは何が違うか』と言いますと、
  @音楽のダイナミックレンジ(フォルテシモとピアニシモ、無音)を歪なく完璧に再生できる。   A無音の時のバックノイズが全くと言っていいほどない。
  B再生可能周波数範囲がどのくらい広い。
この3点です。

ハイレゾは、CDに比べて、
  @では100倍から1000倍
  Aでは、1/100以下
  Bでは、40KH-90KHzまで完全フラットに忠実に再生可能。
    人間の耳で聞こえる周波数範囲を遥かに超えている。

 もちろん、このような超高性能音源が手元にあっても、それを再生するアンプやスピーカなどが、性能的に見合うような対応できなければ、聞いても違いは分かりません。
更に、データ上では、耳の聴覚能力をはるかに上回るものですから、違いがどれだけ分かるかどうかは???です。

 でも、いい音(音楽)を聞くのは、満足感が非常に高まると思います。そういう意味では、メーカは『ハイレゾ』を新しい武器として、高級オーディオの 世界が再来を期す事を狙っています。

 実際、オーディオマニアが何処まで、追っかけてきてくれるかどうかは、やって 見ないと分かりませんね。

 データ上では、実に素晴らしいものです。
こういう究極?のオーディオシステムを家に備えられれば素晴らしいですね。
でも、いい音を聞くためには、まず部屋の改装から始めなければ、いくら再生システムが素晴らしくても、多分いい音にな聞こえないと思います。
音は空間で広がり、反射を繰り返し耳に入るものですから、部屋の壁や床や天井などの反射と吸収の特性が問題になります。そういう部分の方がいい音を聞くための大きな要素になります。ですからまず、音楽を綺麗に楽しめる部屋の工夫や改装をして、次に素晴らしいデジタル音源で、素晴らしいシステムで音楽を聴けば、臨場感あふれる音を楽しめると思います。

 本当のいい音楽を聴く、楽しむためにはお金が掛かりますね。 



2014年9月3日(水)
ピロリ菌退治は一発で成功。
中波ラジオ放送がFMで聞けるようになります。

  6月12日のこのページでピロリ菌の退治について書きましたが、8月中旬に医院に行き、ピロリ検査をしてもらいました。
 検査は簡単で、食事を抜いて空腹状態にして、特殊な紙袋に息を吹き込んで膨らませます。その後、白い錠剤を1錠飲んで、左のお腹を下にして10分間、ベッドで横になり、更に上向いて寝て15分間じっとしてから、起き上がって、先ほど膨らませたのと同じような紙袋に息を吹き込みます。この袋を検査機関に送って、1週間後に結果が出ます。

 幸いにも、1回の除菌処置で、検査結果がマイナスでした。無事退治ができました。
このピロリ菌退治は、薬(抗生物質)を1週間飲み続けますので、人によれば副作用として、下痢や軟便や腹痛が起きるそうですが、それも全くなしでした。
 ピロリ菌退治は、どういうわけか知りませんが、2回が限度ということでした。
 毎朝、自家製のカスピ海ヨーグルト(阪神のデパ地下で種菌を売っています)を食べているのが、良かったのかも知れません。
先生の話では、『一回で退治できてラッキーでしたね』と褒められ?ました。

 次の話題ですが、3月14日、このページで紹介しました中波ラジオ放送の補完放送として、FM放送が許可されるという記事を載せました。東京地区では、スカイツリーから来年春、4月頃?から電波が出るようです。TBSは90.5MHz、文化放送は91.6MHz、ニッポン放送は93.0MHzとなっています。
 この補完放送は、全国的に開局してゆきますが、周波数はアナログテレビが使用していたローチャンネル帯を使いますので、これからラジオを買う人は、FM放送が少なくても95MHzまで受信できるかどうか確かめて買うようにして下さい。従来のFM放送の周波数は76-90MHzとなっていますので、ラジオによってはその周波数帯しか受信できないものがあります。
要注意です。

 関西地域も、これから放送が始まると思います。
 
 ラジオ放送は、通常の中波の放送に加えて、FM放送、インターネットでの配信など、多様化します。NHKは既に、ラジルラジルでインターネット配信をしていますね。
http://www3.nhk.or.jp/netradio/

本日のよもやま話でした。

2014年9月2日(火)
『食べ放題]』や『飲み放題』を考える

 世の中が急速に変化や進化を遂げて進んでいます。この変化の速さは、今まで人類が経験したことがない速さです。あまりに速いスピードで変化しているので、なれっこになったようです。目には見えなくても、変化がドンドン進みます。
 一方で、あまり変化しない部分や分野もあります。変化しない分野に身を置いていると、5年、10年という長さで見ても、あまり何かが変わった!という実感が感じられないでしょう。

 私たちは変化を感じる、気づく、つかむことが大切です。ところが、忙しく働いていると、忙しさに紛れて、何も感じなくなります。その日、その日暮しになっています。その間にも、周囲や環境は大きく変わっているのです。
 
 変化や進化はいろんなものがあります。
 最近、度々ニュースになる異常気象の話ですが、地球温暖化の性かどうかは分かりませんが、一般にそう言われ出しています。この地球規模の温暖化によって、今まで経験しなかったような土砂降りの雨や、集中豪雨や竜巻が頻繁に起きています。

 土砂降りの雨は、熱帯や亜熱帯地方の雨の降り方で、シャワーといいます。以前、シンガポールに行った際に、急に空が暗くなり、バケツをひっくり返したような雨が降り、15分ほどで青空になりました。現地の人は慣れたもので、ぶず濡れで傘もささずに平気で歩いていました。

 日本の夏に降る雨は夕立という言い方で、夏の日中の強い日差しで気温が上昇し、入道雲が発生し、その下で雨が降るという現象でした。しかし、最近の集中豪雨は以前の夕立という言い方では通じないような一時間降雨量が100mmを越すというものすごい降り方です。
また、新しい言葉を耳にしました。バックビルディング現象というらしいのですが、広島の集中豪雨はそれが起きたようです。入道雲が次々と発生し、同じ場所に大量の雨を降らせる現象だそうです。そういう集中豪雨が、この夏に各地で起きました。

 気象庁が発表している天気予報も、随分変わってきました。気象観測システムが進んできましたので、赤道上空の静止気象衛星が宇宙から常に地表を睨んで、雲の動きを捉えることができます。
 また、今までのレーダーでは見分けられなかったXバンドという波長の短い電波を使い、雲や雨の降リ方、降っている地域を詳細に把握できるようになり、それを刻々とインターネットで配信しています。下記のURLにアクセスすれば、誰でも見られます。
  http://www.river.go.jp/xbandradar/

 先日の大雨の際に、このホームページで拡大図により、交野市付近を見ましたところ、雨が強く降っているときは、確かに地図上で色が変わっていました。こういう便利なものを使いこなせば、安全、安心につながります。

 子供の頃は夏の暑さも、30度を越すと猛暑という感覚でした。そういう時は、家の前に、打ち水をしてヒヤッとした空気を感じました。まだ、エアコンなどない時代です。
 今は、猛暑といえば35度以上で、体温を上回る38度、39度というような気温になることも珍しくなくなりました。

 暑さで、たくさんの人が亡くなる時代になりました。
今までは、『日射病』と言っていましたが、最近は『熱中症』と呼びます。熱中症を避けるために、『適度にエアコンを使いましょう』と言われます。最近のエアコンは省エネ技術の進歩で、多くの電気を食わなくなりました。
 しかし、エアコンは室内の熱を屋外に放出するエネルギーの移動を行う機械です。
エアコンは電気に頼ることになります。
 その電気はコンセントにつなげば通じるようになっていますが、実はその大元は、石油や石炭や天然ガスを燃やして発電した電気です。

 現在、日本の原子力発電所は東日本大震災の福島第一原発事故以来、全て運転を停止していますので、発電は化石燃料と言われるものを燃やして、発電する火力発電に頼っています。一部、水力発電や太陽光発電や風力発電などがありますが、現状は火力発電になっています。
 火力発電所は化石燃料を燃やしますから、炭酸ガスが大量に排出します。火力発電所には、高くそびえる大きな煙突から湯気のようなものが出ていますが、あれが排気ガスです。
 その排気ガスの大部分は炭酸ガス(二酸化炭素)で、これが地球温暖化の原因になっています。炭酸ガスは、地球表面から熱が宇宙空間に逃げるのを防ぐ布団のような働きがありますので、放射エネルギーが少なくなり、表面の熱が次第に蓄積するのです。 その結果、地球上の気温が上昇し、北極の永久凍土や、南極の氷が溶け出して、海水面が上昇し、気温が上がるという循環を繰り返すようになりました。
 
 その結果が今まで経験しなかったような異常気象が地球上至るところで起きています。もちろん、日本でも先に書いたような異常気象が頻繁に発生しだしたのです。

 私たちはお金を払えばなんでもできるという時代に生きています。昔の人は、便利な道具や機械がなかったので、我慢したり不便さの中で生きてきました。

 何かを得ることは、逆に何かを失う、または他の何かを生じるという『プラス面と、マイナス面の相殺が必ずある』ということを肝に銘じなければならないと思います。

その基本には、『地球の資源は有限だ』ということです。

 生活の中で、『おかげさまで』とか、『ありがたい』という言葉を身を持って感じ、行動することが大切ではないかと思います。
 『やりたい放題』、『・・・し放題』という時代に生きることが、自分たちを滅ぼす方向に進んでいることを感じなければなりません。

 最近、『食べ放題、飲み放題・・・』という店が増えました。
安いばかりでなく、料金が決まっているので、幹事さんは楽チンですが、食べ放題や飲み放題で、その結果、ブクブク太った人が増えたように思います。

 質素に生きる! そういう心がけが必要な時代になったのではないでしょうか。


2014年9月1日(月)
“September has come. ” 9月になれば・・・

  今年の夏もいろいろなことがありました。振り返ってみるとあまりいい夏ではなかった
ようにも思います。特に、最近の異常気象は目に余ることがあります。
それもある地域や、ある国に限定して起きるという今までと違ったパターンです。
 
 なんと言っても、先日の広島の集中豪雨による山崩れで、たくさんの犠牲者が出たことです。ほんの数Km離れた場所では小雨だったようで、ちょっと離れた場所では、小雨だったのが、山崩れした地域では土砂降りの雨ということです。
こういう現象は今までの記憶にはなかったように思います。
 
 外国に目を向けると、アメリカ西海岸の山火事は数百年来の干ばつの結果、火がついて消えないという話です。イギリスの豪雨も今までになかったような長期の大雨だったということです。地球規模で、異常気象が報告されています。
 
 最近の報道が、情報手段の発達で、今までになかったような画像を詳細に報道出来きるようになったこともあります。同じ災害でも、事細かく報道されれば、それだけ目を引きます。しかし、それだけではないようです。
 
 本当に地球規模の異常現象が多発しているという話です。
日本では、子供の頃に『竜巻』は言葉では聞きましたがどういうものか、またその被害は聞いたことがありませんでした。『竜巻』はアメリカで起きるものと思っていましたが、最近は日本の各地でも起きています。その規模はまだ小さいようですが、それでも屋根が吹き飛ばされた家並みをテレビでよく見ます。

 今日は9月1日、防災の日です。毎年、この頃に台風がやってくる時期ですが、既にいくつかの台風が上陸しました。これも最近の特徴で、海水温度の上昇と偏西風の偏りが原因のようです。
 
 さて、なかなか世の中の景気は良くならないようです。アベノミクスに期待してきたのですが、ご本人が言っておられるようにはゆかず、景気は芳しくないようです。
特に消費税を8%に上げて以来、なにか出ガネが気にかかります。
 
 おかげさまで、高齢者医療になり、負担が1割となってから、医療費は随分助かっています。その分、消費税のアップで相殺されているように感じます。自分の立場でそう言う感じですから、一般の多くの方は、物価の高騰が気にかかっていると思います。
 
 しかし、一面、これからの福祉にかかる費用がうなぎのぼりになることを考えますと、財源をどう確保するか、この問題も放っておくわけには参りません。大変難しい舵取りが必要です。
 そこで色々と議論されているのでしょうが、消費税を10%にすれば、さらに買い控えに走ることは必至だと思います。
 
 今、収入を殖やす策を色々と考えて、政策に反映しようとしています。
アベノミクスは『3本の矢』で、成功に導くという話でした。1本、2本の矢は既に打たれました。金融緩和、企業減税などで、企業の活力を取り戻し、結果として従業員の雇用や給料を確保して、ベースアップにつなげ、生活の向上、消費拡大という循環になるという構想でした。
 しかし、一方で、雇用促進法はその逆のような規制緩和で、雇用される労働者にとっては、今まで以上に安い賃金で働かなければならないような環境になることも考えられます。
 日本は企業税が高いので、外国に対して、競争力が不利なので、グローバル競争に勝てないのだという理屈で、企業減税を行いました。しかし、なかなか企業が元気にならないのです。
 今、円ドルレートは1ドルが100円前後で、大変落ち着いた状況です。以前の日本なら1ドル100円でしたら、輸出がドンドン伸びて、大変好景気になったはずです。
 それがこのレートでも全く元気が出てこないのです。むしろ1ドルが80円前後で、輸入代金が安かった頃の方が、貿易収支は良かったという皮肉な結果になっています。
 
 今、世界の景気が異常気象と同様に、おかしくなっています。
今までの経済政策は通じなくなっています。経済学者や経済評論家は、結果を見て、後付けの理論を振りかざして、さも自分の主張が正しい、正論のように言いますが、この窮状を救える人がいつ現れるかです。

 まず、日本の経済は今までと全く違った状況にあることを考えなければなりません。
それは、工場が日本から消えてしまったことです。100%なくなったとは言いませんが、例えば、家電の工場は、この大阪だけを見ても、近くにあった工場群は今、ショッピングセンターに変わったり、マンションになったりしています。
 モノづくりをして、付加価値を高めて国内外に売ったという経済の基盤を支える行為がないのです。賃金が安い外国に工場を移してしまいました。今もその流れは変わっていません。
 このことが、日本の活力や基礎体力をなくしている最大の要因です。
しかし、生活レベルを急に下げることができませんので、いろんな経費は今までとあまり変わらないという中で、生活をしなければなりません。そこに、今までと違った貧しさが生まれます。
 
 アベノミクスは『3本の矢』で成り立つのだという話でした。果たして、その3本目の矢とは何か? それは成長戦略だと言われます。この成長戦略が全く見えてこないのです。 
 なぜでしょう。世の中は既得権益でがんじがらめになっています。官僚の権益、役人の権益、官庁の縦割り権益、役所の縄張り争い、など全てが権益で動いています。
その既得権益を自ら進んで手放そうというような役人や組織はゼロです。全く居ないのが普通です。

 しかし、今、日本は、国内の工場がなくなっている中で、物を作ることで付加価値を産み、それで国力を蓄えてきたという基本構図が崩れています。
それを今までの既得権益を握っている人々が、今までどおりの考え方で、仕事をしても結果は出るはずがありません。

 例えば、産業は第一次産業の農林漁業、第二次産業の鉱工業、第三次産業のサービス業と分かれています。最近は、情報分野を第四次産業という人もいます。
 
 第二次産業は、上に書いたとおり、以前の姿とはかけ離れた姿にかわりました。製造会社がなくなったのではなく、製造拠点、工場が海外に行き、日本になくなったのです。 残っていても、主力の工場は日本にはありません。製造することで付加価値を産んで経済の基幹、根幹になるものがなくなったのです。
 
 第三次のサービス業は大変拡大して、たくさんの店やいろんな便利なサービスが受けられます。しかし、この業態は付加価値を生むという立場ではありません。
 お金は回ることがあっても、お金が増殖することはないのです。華やかに見えるサービス業がいくら賑やかになっても経済は長続きしません。
 
 それでは、日本はどうすればいいのでしょうか?
 
 残る第一次産業である農水業を復活させることです。
今、日本の農業は全く死に体になっています。自民党の農業政策は従来のままで、JA農協の仕組みの中で、旧態然としたままで、変えようとしません。一部の議員の中にはこのままでは日本の農業も潰れる、いや既に潰れているという人もいます。小生もそう思います。
 
 農業従事者の中に、ごく一部の才覚のある人はバリバリと元気に仕事をしています。
そういう人の意見を素直に聞けば、新しい農政は自ずと見えるはずです。
 現場現物主義という言葉がありますが、国会議員や地方議会議員が本気で、そういう元気な農民の声を聞いたことがあるのでしょうか。
 
 頭の中でこうあるべきだという勝手な姿を描いて、それを押し進める。これならまだましですが、自分の考えはこうだが、実際にやるとなると、農民や農協団体の反対で、とてもて手がつけられないということでしょう。

 議員は選挙という洗礼を受けますので、いくらいいことでも選挙民が反対することは自ら言い出せないのです。
 農民の中で元気にやっている人はほんの一握りです。そういう人は現在の農政を改革したいと言っています。農政の縛りをなくして、規制をなくして、自由にやらせて欲しいと言っています。しかし、大多数の農民や農協団体に所属している人は、今までのぶら下がり、、おんぶに抱っこの農政に全身をドップリ浸ってきました。そのぬるま湯から出ることをためらっているのです。
 誰だって、今まで自分に都合がいいと思っている政策や仕組みを変えることには不安があります。新しいことに対して期待があっても、踏み切れないのが普通です。

 しかし、日本の農業がじいちゃん、ばあちゃんしか居なくなった農地や田舎で、今までどおりの政策で通じるはずがありません。無理やり延命策で生き長らえさせているようなもので、前進や改善はありません。死に向かっているだけのような気がします。

 そうではなく、現状を見据え、新しい農政を打ち出さなければならい時です。
世界の農業を見ることから始めなければなりません。
 農業も日本一国の中で考えていては解決しないでしょう。
 工業がグローバルやボーダレスの流れの中で大きな波を被り、それに耐える生き方を選んできました。それが工場の海外移転でした。

 果たして、農業は生産場所を海外に移すということはありません。農業は農地と一体化したものです。
 日本で、このグローバル化した経済の中で、農業が生き延びて、生き生きと息を吹き返すのはどうするかを考えて、既得権益や既存の仕組みを打破して、新しい姿に生まれ変わらせることが必要なのです。これができれば、アベノミクスの第三の矢になりえます。

 農業従事者の中に、先に述べました超元気な人たちが何人もいます。
日本のコメ、日本の果物(くだもの)、日本の牛肉など、値段は超高いものですが、高くても美味しい、いいいものは海外でも売れます。
 何も世界中の皆さんに買ってもらえるような農産物を作れと言っているわけではありません。日本でしかできない、超美味しいものを、値段は高いですが、世界中の富裕なお金持ちに買ってもらう!そういう新しいビジネスモデル、仕組みを早く作ることです。
 
 海外旅行して、現地のスーパや果物屋に立ち寄ると、たくさんの果物が山積みされて売られています。品物は豊富にあります。しかも値段はすごく安いものばかりです。
形や味や色艶など、安いだけあって、とても日本で買う果物と比較できない品物ばかりです。リンゴはすっぱくて美味しいとは言えません。味もありません。

 そういうものしかないのです。それがリンゴだと思われているのです。本当に美味しい牛肉や、果物は日本にしかありません。
 そういう日本の素晴らしい農産物を、値段は高いが世界に紹介して、世界中のお金持ちにどんどん買ってもらうような輸出する仕組みの構築が早急に必要なのです。

 一部、試験的に取り組んでいますが、日本の工業製品、電化製品や車などに代表される製品を輸出した実績があるわけですから、今度は日本の果物や牛肉などを鮮度を保って、輸出するというインフラを早く作ることです。

 そして、今までの米作りの減反政策など、米作り農業の延命策をやめ、やりたい人が自由に農業に参入できる規制緩和をし、元気に農業をやりたい人に任せるように自由化すべきです。
これはアベノミクスの第三の矢の基本政策だと考えています。
とにかく早く、景気回復させて、生活の楽しさを取り戻したいものですね。

9月になれば・・・ 内閣の改造など政治もまた動きます。
早く気づいて欲しいですね。


2014年8月24日(日)
代々木ゼミナールが70%閉鎖の発表

  朝日新聞によれば、駿台予備校、河合塾と並んで、三大予備校の一つであった
代々木ゼミナールが、来春、全国17都道府県に展開している予備校29校の70%にあたる20校を閉鎖すると伝えている。

 代々木ゼミナールは1957年に創立し、年々実績を伸ばしてきたが、最近の少子化の影響や、受験生の志向の変化で、競合する他校との競争に敗れたらしい。

 90年代は200万人いた18歳の人口が、今は、約6割の118万人に激減した。予備校からすればお客様が減ったということになる。これが最大の要因だろう。
 
 しかし、ほかの予備校の閉鎖の話がないということは、代々木ゼミ独自の要因が考えられる。東大合格者数を見ると、駿台予備校は1257人、河合塾は1101人、これに対して代々木ゼミはわずか369人となっている。
 難関大学を目指す受験生の獲得、奪い合いの消耗戦が続いていると言われている。予備校の評価は難関大学へ何人、合格させたかの実績が、受験生の獲得競争に勝つ最大の基準になるが、それで他の予備校に大きく差をつけられたことが、命取りになったようだ。
 
 さらに、最近の高校生は自分の学力に相当する大学を受け、浪人をしたくないと言う風潮になっているようだ。何事も無理をせず、楽しくという考え方なのか分からないが、楽して大学に入る。
 
 大学の方もいろんな入試制度を用意して、推薦入学枠を増やしたり、AO入試をしたり、受験地を地方でも実施したり、工学部電気工学科を受験するための高校の履修科目に物理がなくても可というような、いい加減な大学まである。大学は受験生の減少傾向が続く中で、学生の獲得に躍起になっている。
 そういう時代の新しい流れの中で、予備校業界も大きく揺れ動いているようだ。

2014年7月18日(金)
ベテランと新人の差とは何か?

  『何を言いたいのか?』 おかしなタイトルになったが、職場などで、『あの人はベテランだ!』とか『あの人は新人だから・・』と言う言い方がある。

 もちろん、仕事のベテランは、いろんな経験を積んで、自分の担当分野の仕事に対しては、何でもうまくやりこなすことができる人のこと。
ベテランに頼めば安心ができる。
特に現場の仕事は、その人の力量がものを言うことが多い。
 
 新人は、まず仕事を覚えることから始める。
剣道では『守・破・離』と言うらしいが、まずは基本をしっかり修得し、それをマスターした後は、今まで学んだものを超えるような練習をして、さらにその上の技量を習得するというようなことだと思う。

 これは技能を売り物にする現場作業者にとって、非常に大切な言葉だと思う。
ベテラン(一流の職人)の上に、師匠や匠と言う人たちがいる。

 さて、Car Lifeのページに少し書いたが、自動車が大きく様変わりしてきた。
自動車と言う商品が今までと変わってきたのだ。

 車屋さんと言えば、メーカのディーラーがあり、街の修理屋さん、中古屋さんがある。今まで、メーカー系列に入っていない車屋さんも車社会になり、車がたくさん売れた時期は大変賑わっていた。今も、お店によっては、中古販売、修理、板金などメーカーのディーラが手掛けない仕事を請け負ったり、自社で販売したりとしっかり経営している店もある。
 
 本来、車はメカニズムの商品で、電気部品はライト類や発電機やバッテリーやラジオ、カーナビと言うようなものだった。
 それが、最近の車は公害対策や低燃費対策などで、電気・電子部品や回路がたくさん使われてきた。

 今までは、車のメカ部品の修理、交換、調整などが修理の対象であった。
たとえば、ブレーキ、エンジン回り、ハンドル回り、ベルト類、タイヤ回りなどである。これらの修理は、サービスマンの力量、腕前一つで、修理時間も大きく左右し、修理後の出来栄えや不具合なども大きく変わる。

 ところが、最近のハイブリッド車などは、修理やリコールといえば、そのメーカ独自のメーカから支給された小型コンピュータをつなぎ、接続コードを車のエンジンルーム内の接続端子に差し込んで、コンピュータを操作して、データを書き換える。
この間、何もすることがない。
 制御プログラムは膨大なデータなので、書換えに1時間以上もかかる。
プログラムのバージョンアップができれば、修理は終了である。

 さて、こういう時代になると、サービスマンのベテランと新人の仕事に差が出るのかどうかである。ベテランは高い給料をもらう。新人はそれなりの給料をもらう。
 高い給料は、新人ではできない高い技能や何かがないと意味がない。
ただ単に経験が豊富だけでは、高い給料はもらえない。

 もちろん、プログラムを書き換えるだけで、すべて車の修理ができるわけではないが、プログラムを書き換えるという作業にベテランも新人も全く差は出ない。
 同じことをやり続けて、技能を習得し、ベテランの領域に達する。
これは、機構回りやメカニズムなどに関することであり、プログラムを書き換えるという時代に入ってくると、わけが違ってくるということだ。

 そういう新しい仕事の流れを、自分の肌で感じて対処してゆかないと、気が付けば置いてきぼりを食うことになりそうだ。

また、お店も今まではメーカのディーラと対で勝負ができてきたかもしれないが、コンピュータでソフトを手直しして修理する時代になると、その専用のコンピュータが
手に入らなければ、手も足も出ないことになる。
板金や、コンピュータを使わない車なら修理ができるが…、そういう車はポンコツの
古い車になっている。
 時代の潮流は、遅いようで気が付けば大きく変化しているものだ。
 これが今までのアナログ時代と、これからのデジタル時代の違いともいえる。


2014年7月11日(金)
台風8号の被害が無く、なりよりでした。

 梅雨時期の台風と言うことで、珍しく、非常に大型と言うことで心配しました。
我が家はアマチュア無線のアンテナが建っているので、強い風が吹くと大変心配です。今回の台風は大型と言うことでしたが、北上とともに急速に勢力を弱めました。

 台風の強さは中心気圧が、何々へクトパスカル(以前は何ミリバール)と言う表現が使われます。今回の台風8号は一番発達した時は930ヘクトパスカル程度まで気圧が下がりました。中心気圧がどの程度かで、中心付近の風の強さが決まります。もう一つ、台風で大切な指標は、風速20mの暴風雨圏の広さです。
 これが台風のエネルギーの大小を表す指標です。
 暴風雨圏が中心から半径100kmという台風もあれば、半径400kmと言うような巨大なものまであります。

 これは、地震の大きさを表す『震度』と『マグニチュード』に匹敵するものです。
中心付近の気圧は風速、地震の震度、揺れの大きさに相当します。
暴風雨圏の広さは地震のマグにチュードに当たります。
 要は、中心付近(震源)の強さの大小と、その台風(地震)のエネルギーの大小があるということです。

 今回は、中心気圧が非常に低い台風だったので、大騒ぎになりましたが、梅雨時ですので、まだ真夏の暑さではなく、台風のエネルギーは、北上するに従い、急速に衰えたということです。

台風は、海水温が高いと上昇気流が激しくなり、中心気圧は低くなり、強い風が吹き荒れます。広い範囲の海水温がまだ十分高くなければ、暴風雨圏の広さはそんなに大きくないと言えます。今回の台風8号はそういう台風でした。

 秋口の210日、220日前後の頃は北半球の気温や海水温が一番高くなった頃ですから、台風が発生した場合は巨大化するということです。

 いずれにしても、テレビなどで大騒ぎしましたので、アンテナは下に降ろして風対策をしましたが、結果的には影響がなくて何よりでした。

 台風から離れた場所で、集中豪雨があり大きな被害が出ています。
梅雨前線を刺激して、大雨を降らせたようです。

 毎月一度、長野県の上田市近郊、青木村に行きますが、木曽川沿いに走る中央本線の線路や橋梁が南木曽付近で流され線路が浮き上がってしまいました。
 復旧には相当、期間がかかりそうですので、当分は東京経由で、長野新幹線に乗り、長野にゆくコースになりそうです。
被害にあわれた地域の皆様にはお見舞い申し上げます。

2014年7月4日(金)
まさに、UFOのようでした。

 7月1日、京セラドームの『楽天−オリックス』のチケットを頂き、初めて京セラドームに行きました。今まで、大阪環状線の電車からドームを眺めていましたが、今回初めてドームに入場させてもらいました。全員で14−5名。
 しかも、一般席ではなく、ビスタルームという特別席で、食事をし、ビールを飲みながら、最上階の8階から野球を楽しみました。

 ビスタルームは、20名ほど入れる広さで、大きなテーブルが2つとイス、さらに応接チェアが設置されています。ビールは樽生で、大変おいしいビールでした。食事はどちらかと言うとオードブルが中心でした。部屋には47インチのテレビがあり、グラウンドでプレイしている選手が映し出されていました。
 
 このテレビは一般の地デジ放送も見ることができるので、途中から阪神−ヤクルト戦にチャンネルを変えていました。

 グラウンドでは、楽天が先行しましたが、途中でオリックスにひっくり返されました。
部屋からドアーを開けると、ベランダのような観覧席に出ることができます。ドアーを開けた途端、応援団の太鼓やトランペットの音や、観客の一喜一憂の盛り上がりの声援の熱気が伝わってきました。

 阪神-ヤクルト戦は藤波が頑張って、この日はダブルスコアで大勝しましたので、皆、大変息が上がりました。

 日頃、野球はテレビで時々見る程度で、『阪神がまた負けたなぁ!』といういつもながらのパターンが多いのですが、この日は非日常空間で大変貴重な経験をさせてもらいました。
 
 UFOが降りたったような姿の京セラドーム
 
 広々とした京セラドーム球場
 
 ドームの屋根は、UFOのよう! 巨大な建物
 
 天井にぶら下がった巨大な場内放送スピーカー
 
 ビスタルームはこんな感じで、くつろぎながら楽しめます
 
 我々は8Fビスタルームに席を取りました。
こういう部屋がドームの周囲に並んでいます。
 



2014年6月12日(木)
ただ今、ピロリ菌退治中!

  毎年、年一度、人間ドックを受けている。
胃についてはレントゲン透視検査受けるが、今年も異常なしと言うことであった。
 一安心していたが最近、胃がもたれる感じがするので、近くの消化器専門医に行って胃カメラを飲んだ。
 胃カメラは20年ほど前に飲んだ際、喉を通る時、『ゲー』となり、下手な医者だったと思うが無理矢理にカメラを突っ込まれた痛みがあり、これがトラウマとなり、胃カメラと聞くとドキドキするようになった。できるだけ避けるようになった。
 それが最近はファイバーの進化で、口から入れるファイバーも細く柔らかくなり、その後、口から2回ほど飲んだ。でも毎回、依然のトラウマが思い出されて、最大限のいやな思いをしながら仕方なく受けてきた。
それが、最近、鼻から入れる胃カメラが開発された。
これは鼻の中(鼻腔)を薬でちょっと麻痺させれば、カメラが喉を難なく通過して食道に入る。殆ど何も感じずに、『ゲー』とならず、非常に楽になった。

 2年前にも、今回も、鼻から挿入して検査をしてもらった。この細いカメラでも高精細な画像が映る。ポリープなども切り取ることができる。
オリンパス製だが、世界シェアが70%もある日本が誇る医療機器である。
 
 初期の胃カメラは、アメリカで発明された細いガラスファイバーの束を使い、胃の画像を見ていた。これで胃の中が初めて直視できるようになった。
 その後、半導体素子が進化し、超小型のカメラでもきれいな画像が撮れるようになった。スマホがそのいい例。
 その小さな画像素子(CCD)を先端に着けた胃カメラが開発された。
 さらに画像はハイビジョン並みの超高画質が撮れるようになった。その結果、細くて柔らかい管になり、画質も高品質になった胃カメラや大胃腸カメラが実現した。
 長足の進歩である。

 2年前にピロリ菌検査をしてもらっていた。この結果は陽性(感染している)と言うことだった。今回の胃カメラの画像でも、胃壁に透明の幕が映っているので、こういう症状はピロリ菌がある証拠だと言われた。そこで、ピロリ菌退治治療をお願いした。

薬は『ランサップ400』(武田製薬製)、上の写真のもの。
 一日に2回、朝と夕、一週間連続して飲む。
タケプロンカプセル30:胃粘膜のプロトンポンプを阻害し、胃酸の分泌を抑制する。その状態にして、クラリス200とアモリンカプセル250の抗生物資で除菌する。人によっては、かゆみや発疹や、軟便や下痢症状の副作用があるらしい。
幸い、特に何の症状もなく飲み続けている。
70%ほどの人は除菌ができるが、まだ30%ぐらいの人は薬が効かないらしい。
効いたかどうかの検査は、血液検査、唾液検査、呼気検査などの方法がある。

 除菌に成功して、胃の調子が良くなることを期待している。


2014年6月6日(金)
電力の自由化の動き

  電力業界にも自由化の波が押し寄せてきている。
 
 電気事業は『電気事業法』と言う法律で規制され保護されてきた。電気事業法は、第一条(目的)に、『この法律は電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、および電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持、および運用を規制することによって、公共の安全を確保し、および環境の保全を図ることを目的とする』となっています。

 法律用語は難しいので、分かりにくい表現のように思いますが、要は二つの目的、すなわち『電気の使用者の利益保護』と、『電気事業の健全な発展』を目的として制定されたものです。
 その目的を達成するため、事業規制と保安規制があります。事業規制とは、勝手に電気を発電したり、送電したりしてはいけないという規制です。そこで電気事業は認可された事業者でしか事業ができないということになります。
 
 電気事業者とは電気を発電し、送電し、電気の使用場所に配電し、電気の販売を行う会社で、全国に9つの電力会社(沖縄を入れると10)があります。それ以外に、民間の会社で、自社工場内で使う電気を発電している会社、その余った電気を売っている会社、などがあります。
 
 もう少し具体的に述べますと、日本には9電力会社(北海道、東北、東京、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州電力)と沖縄電力が大きな規模の電力会社で、法律的には、これを『一般電気事業者』と呼んでいます。
 一般電気事業者以外の電力会社としては、卸電気事業者、特定電気事業者、特定規模電気事業者と言われる会社があります。

 今までは、ほとんどが一般電気事業者で発電され、送電され、配電されて使用者に届けられてきました。東日本大震災の後、福島第一原発事故で全国の全原子力発電所が総点検になり、また定期点検のため発電をストップしています。総電力の約30%超が原子力発電所で発電した電気でしたから全原発が停止するということは、その分を他の発電で賄う必要があります。

 水力発電所はダムなどの大規模な工事が必要で、山間部でダム建設に適した場所はすでに開発し尽くしています。そのため新しい水力発電所の建設はあまり期待できません。
 今は小水力発電と言うことで、谷川や溝などを流れる川の水を利用して発電するという小さな規模の発電所をたくさん作って発電するという考え方になっています。しかし、これでは到底、日本で消費する大量の電力を補うことはできません。

 そこで電気事業法の見直しで、今まで一般電気事業者(東電や関電など)に与えていた許認可と規制を大幅に見直し、電気事業の自由化の方向に向かっています。

 太陽光発電は家庭の屋根に設置する小規模のものから、工場跡地や埋め立て地や耕作放棄地などの広大な土地に設置する大規模発電所の建設が進んでいます。
 太陽光発電パネルやパワーコンディショナー(直流を交流に変換する機器)がまだまだ高価であり、なかなか採算が合わないため、政府が助成金を出して建設の促進を諮ってきました。最近は数万キロワットと言う大規模な太陽光発電所が各地に建設され出しました。これは一般家庭の電力消費量が平均3キロワット程度ですから、一般家庭の1万軒分ぐらいの電力を賄えます。

 大量の電力需要に対応するには、天然ガス(LNG)や石油や石炭を燃やす火力発電所が有利です。ただし、石油や石炭や天然ガスを燃やすことは二酸化炭素(炭酸ガス)を大量に発生させ、地球温暖化の元になっています。
 そこで最近は、液化天然ガス(LNG)を輸入し、ガスを燃やして高温ガスタービンを回し、それで一次発電を行い、ガスタービンから出てくる高温ガスをボイラーに導き、湯を沸かして高温蒸気で蒸気タービンを回し二次発電すると言うコンバインドサイクル発電が最も注目されています。一基で50万キロワットぐらいの発電が可能です。燃費効率は45〜55%ぐらいと大変効率が高いので二酸化炭素の排出を減らすことができます。

 いずれにしても、そういういろんな発電の仕方で、一カ所に集中して発電するのではなく、電気需要の大きい場所(都会地の近く)で発電するという方向で進んでいます。

 『原発は絶対安全だ!』と言う安全神話は東日本大震災の自然の力にもろい姿をさらけ出しました。原発の置かれている場所を見ればわかりますが、東京電力がわざわざ東北電力の管轄地域である福島に第一、第二原発を、また北陸電力の管轄地域である新潟県の柏崎刈羽原発を造ったことを見れば分かるとおり、わざわざ数百キロも離れた人があまり住まない辺地に造っています。これは裏返せば、原発は一度事故を起こすと大変周辺住民に危害を及ぼすということです。できるだけ被害の最小化を図るためには周辺の住民が少ないことが前提です。だからそういう地に集中しています。

 これでは送電する際に、送電線の電気抵抗分で電気が空中に放散します。送電する距離が長いほどたくさんの電気がロスします。
そういう意味では、自宅の屋根に太陽光発電パネルを設置するのが最も合理的です。

 そこで、原発の再稼働のための安全性が問題視される中で、再稼働の敷居が高いので、9つの電力会社が独占してきた電力事業の規制を緩和し、誰でも電力事業に参加できるようになりました。これが電力事業の自由化です。
 ただし、送電線の建設は大変な投資が必要であり、安全性や信頼性の面で従来の電力会社が持っている送電線を使うことになっています。

 ソフトバンクの孫社長が大規模太陽光発電所の建設に乗り出すというニュースも流れました。ガス会社がLNGを使ったコンバインドサイクル発電所を造るというニュースもあります。その他、鉄鋼会社(製鉄所)や製紙会社やいろんな会社が自社工場用の電気を賄うために発電所を建設し、余った電気を9つの電力会社に売る(売電)と言う動きが各地で見られます。

 そうなると9電力会社としては、今まで電力事業法で規制され、独占を認められてきたので、管轄の地域の電気使用者(たとえば、大坂に住んでいる人は関西電力と契約し電気の供給を受け、使用料を支払う)はその電力会社から電気を買わざるを得ませんでした。電力の自由化により、電気の使用者(各家庭を含め)は安い電力会社と契約して電気を使うことが可能になります。
電力会社は今までは安定したお客様が固定的に見込まれましたので、売り上げは安定して確保できました。電力の自由化により、お客様が他の電気事業社と契約して、逃げてゆく可能性が出てきました。

 そこで今朝の朝日新聞トップに『関電、社内4分社化検討』という見出しになりました。関電は自社の組織を分割し、4つの社内分社に分割するということです。
 原子力発電会社、火力発電会社、送配電会社、小売会社の4つです。
 問題は原子力発電会社です。今、原発は全数、運転を停止していますので、売り上げはゼロです。逆に安全性向上のための追加工事費が莫大にかかっています。何もしなくても原発は多額の維持費がかかります。電気事業を切り分けることで、社内のいろんな課題が見えてきます。
 送配電会社は他社から買った電気や、他社の電気を運ぶ高速道路や高速鉄道のような役割になります。今まではすべて自社が発電した電気でしたが、これからは送電線の建設費や、補修のための維持費などをもらいながら、自社の電気に加え、他社が発電した電気を送る業者に立場が変わります。
電気に色は着いていませんので、どれが自社で、どれが他社の電気かは分かりません。計測器で電流と電圧を測定して、数値で把握します。

 将来的には、日本に背骨になる大規模な送電線網が建設され整備され、その背骨から細い骨になる送電線が背骨とあばら骨のような形で整備されてゆくという方向で考えられています。
 最終的には、送電会社は国有化するか、9つの電力会社が出資した新しい会社に統合されるかどちらかになると思います。

 工業の発展は電気なくしては不可能です。
一円でも安く、環境に負荷をかけずに電気エネルギーをいかに生み出し、いかに安定
に供給できるかが課題です。
 その手段や方法はいろいろあるでしょうが、電力会社はその目的を実現するためにあったはずです。
電力会社は営利企業であると同時に、公共性を帯びた企業です。
いかに自由化されようが、電力の供給者としての使命をしっかりわきまえて取り組んでほしいものです。

2014年6月5日(木)
スタッフ細胞の存在の真偽は?

  朝日新聞の昨日の夕刊、今朝の朝刊を見ると、トップに小保方さんがSTAP細胞の研究論文を白紙に戻す同意をしたと伝えています。
 一方で、彼女の弁護士は、彼女が心理的に追い詰められ、仕方なく同意をした、同意させられたというようなことを言っています。

 このニュースは、小保方さんと言う若くて綺麗で、とても新鮮な感じの女性が世界的な大発見をしたという希少性によるものと思います。そういう野次馬的なバリューは置いておいて、『本当にSTAP細胞と言う万能に変化する細胞を造り得たのかどうか』と言う真実を知りたいところです。

 理研(理化学研究所)の発表は、このSTAP細胞のネイチャへの論文投稿を取り下げることばかりに終始しているように思います。メンツにこだわっている感じを受けます。

 最先端科学技術は非常に『稀有な状態』や『何かの間違い』で発見、発明されたという過去の事実がたくさんあります。たとえば、ペニシリンは、シャーレに培養した菌にアオカビがたまたま混入し、その周囲に培養していた菌が無くなっていたという事実から、アオカビに殺菌作用があるということで、それを元にペニシリンが発見されたと教えられました。
 また、半導体分野においても、江崎ダイオードという半導体素子があります。
これは江崎博士がシリコンに不純物を加えてある実験をしていた時に、予定していた不純物の量を一桁多く間違って加えた。そのため予定の実験はめちゃくちゃになった。 普通ならそのダイオードは実験の失敗で捨てるところを特性を調べると、今までにない特性を示した。そして江崎ダイオードと言う全く新しい特性を持つ半導体素子を発明し、ノーベル賞を獲得した。

 それ以外にもこういう実話はたくさんある。
世界中で日夜、沢山の科学者が新しい発見、発明を目指して実験を繰り返し、積み重ね、努力している。
 そういう思いで、STAP細胞の発見のニュースを見て、心は弾んだ。小保方さんは時代の寵児ともてはやされた。

 それが、実験の正当性を否定され、『データの改ざんやねつ造』という言葉で書き立てられる事態になった。本当に残念なことだ!
果たしてSTAP細胞は存在するのか? しないのか? その真実のみを知りたい!

 理研は日本の超優秀な科学者が集うエリート集団だ。多額の国家予算を使って運営している。その理研において、科学者の真実のよりどころであるデータを改ざん、ねつ造というようなことがあれば、これは非常に残念なことだ。

 小保方さんの先般の記者会見で、『STAP細胞はあります』と言い切っている。
それなら、一刻も早く、その存在を示して、濡れ衣を晴らすことをしなければならない。

 もし、STAP細胞の存在を再現、証明できないなら、小保方さんだけが責められるのではなく、周囲で彼女を今までサポートしてきたたくさんのスタッフも同罪になる。
 そこに何の意図があったかどうかは分からないが、こんな大きな発見を彼女一人でやれるはずがない。だから実験を助け、分析やデータ取りなどをサポートした人も真実が問われるべきだと思う。
 どういう訳か、小保方さんだけが悪者のようになっている気がする。

2014年5月25日(日)
朝日新聞デジタル版の『吉田調書』を読んで!

 東日本大震災による津波で、福島第一原子力発電所の炉心が冷却不能に陥り、非常に過酷なシビアアクシデントと言われる燃料棒が溶けて、いわゆるメルトダウンが発生し、炉心溶融という最悪事態に陥った。
 その刻々と迫りくる緊迫した事故の過程について、政府事故調査委員会や、その他の調査がまとめられ、福島第一原発の現場の長であった吉田所長から当時の現場の様子が聞き取りされ、『吉田調書』としてまとめられ、先日一部公開された。それを朝日新聞がまとめて、分かりやすく、音声なども交えて、第1章から第3章にまとめた。今は、第1章が公開されている。
 記事は朝日新聞デジタル版のページに掲載されている。
URLは下記のとおり。
   http://www.asahi.com/special/yoshida_report/?iref=comtop_rnavi_r1
 第2章は明日、26日に掲載される予定、第3章は近々となっている。
この記事を読むと、日本社会や日本人気質が垣間見るような気がする。
先日、韓国のチンドでフェリーの沈没事故があり、多数の修学旅行中の高校生が犠牲になった。痛ましい事故である。
しかし、このニュースを見てびっくりしたのは、船長以下船員が全員先に避難し、乗客をほったらかしにしたことである。こういうことが韓国で起こっている。

 福島原発事故はフェリーの沈没事故とは全く性格が異なるが、現場で働いている
者は、業務上、自分の身の危険を冒しても、責任を果たす義務があるはず。
そういう視点で、この『吉田調書』を読むと、刻々と炉心溶融に近づき、付近の放射線量が上がり、危機が迫る中で、自らの命を懸けて何とかして炉心を冷却しようと対応に奮闘した人達と、平生は偉そうな権威を振りかざしている役人(事故調など)や東電本社の人たちとの間に、人間として取るべき態度が分かれることを見て取れる。
昔はよく『決死隊』と言う言葉を聞いたことがある。そういう逼迫した場面でなくても
その言葉は使われた。しかし、本当に自分が死ぬかもしれないと言う場面に遭遇した時、そこに留まって、業務上の責任を果たせるか?
そういう人がどのくらい居るかである。
じっくり、この記事を読んで頂きたい。

さて、少し話を変えると、日本の自衛隊は、今まで戦争はしないという憲法のもとで、自衛隊員は外国の軍隊と違い有事に備え、自分の命は預けているが、その有事は起きないという前提であった。ある意味では『気楽な軍隊であった』
しかし、阿部政権は憲法解釈を変えようとしている。危険な紛争地域に派遣することができるようになりそうだ。そうなれば自衛隊?軍隊の隊員は命を落とすことも起きる。現に、アメリカはベトナム戦争、イランイラク戦争などで若い兵士が何千人も死んでいる。自衛隊員は仕事とはいえ、危険な戦場に出かけることが起きる。

 原発の再稼働が盛んに進められようとしているが、福島原発の事故に対する教訓が本当に生かされるような対策が打たれているのだろうか?
 発電機が水没したから、電源供給が止まり、ポンプが動かず炉心が冷やせなかった。だから緊急用ジーゼル発電機は高台に設置した。だから大丈夫!と言うのが
言い分だ。もちろん、防波堤もかさ上げしている。しかし、想定外のことが起きる。
その想定外の如何なることが起きても、絶対大丈夫なようにしなければならない。
そういうことができるのだろうか?
答えは不可能である。だから原発は日本では稼働または造ってはならない。
たとえば、近々富士山は噴火するとも言われている。新幹線で見る富士山は凛として素晴らしい景色だ。しかし、ひとたび大噴火すれば、新幹線や東名高速道路は普通になる。火山灰が降り注ぎ、近くの浜岡原発の海面に大量の灰が降る。海水に
火山灰が混じると、うまく冷却ができなくなる。
想定と想定外で、想定外のことが起きればお手上げだというのは、原子力発電では通用しない。
 火力発電所も高温、高圧の蒸気を冷やすことでタービンを回す。冷やす水は大量の海水である。火山灰で冷却器のパイプが詰まることも考えられる。これは大事故であり、発電所の機能はストップする。しかし、発電ができないだけで、それ以上の被害は出ない。
 やはり原発は、原子核の分裂と言う物質を作っている原子を壊すことでエネルギーを取り出しているので、燃焼と言う化学反応で熱エネルギーを得るのとは全く振る舞いが違う。
 明日の第2章も楽しみに読んでみたい。


2014年4月13日(日)
『電子ろうそく』 ダイソーで見つけた!

 
   
 オレンジ色のLEDがろうそくの揺らぎのように明滅する。  ほのかに光るLEDの光
  
商品名『LED不思議なキャンドル』
 ・息を吹きかけると、消える!点く!
 ・電池LR44ボタン電池3個(直列)内蔵
 ・連続使用目安時間:20-24時間
 ・(株)大創産業 中国製
 
  原価計算をしてみよう! 材料合計が100円以下、いくらで造れるか?
 店や販売ルートのマージンを載せれば、仕入れ価格は40〜50円か?
 材料費は一体いくらでできているのだろう?
 
 日本のモノづくりの感覚では?? 材料だけで100円以上するはず。
 ボタン電池(LR44)はテスト用になっているが、一応点灯する。
 電池代だけで100円になる。

 製品を分解すると、下記の部品になる。
 @包装箱:
 A製品を包むビニール袋
 B製品の成型品:ABS樹脂(台の部分)、ポリプロピレン(本体上部)
 Cオレンジ色LED
 Dプリント基板
 E制御用IC
 Fボタン電池(テスト用):3個 LR44
 Gスライドスイッチ
 Hマイク:息を吹きかければ消える、再度吹くと点灯する

2014年4月6日(日)
クルーズ船で大川の花見とディナーを楽しむ

 会社の招待で、帝国ホテル大阪のクルーズ船に乗船し、大川両岸の花見とディナーを楽しませてもらった。

 例年なら、すでに花が散っている時期かもしれないが、今年の桜は早くから咲いた割には、花が長持ちしてちょうどタイミング的には最高の時期だった。
 
 大川両岸にはたくさんのソメイヨシノが植えられていて、沢山の花見客でにぎわい、バーベキュウをやっているグループも沢山あった。
 当日は真冬の寒さになり、屋外では花見どころではなかったと思う。
 
 我々は帝国ホテルのクルーズ船で、船内は暖かく快適な眺めを楽しんだ。
 フルコース料理とおいしいワイン、日本酒など最高の花見をさせてもらった。その一部の写真をアップします。
 
 源八橋から大川の桜
 
 大川の両岸の桜、ベンチに座っている人は寒そう
 
 帝国ホテルのクルーズ船(約70人乗り)
 
 帝国ホテルのクルーズ船と桟橋
 
 夕暮れの桜ノ宮、大川夜景
 
 すっかり薄暗くなった帝国ホテルと大川

2014年4月5日(土)
『健康』基準が緩和されますが、大丈夫かな?

 4月5日の朝日新聞、朝刊によると人間ドック学会が血圧や肥満度などの
判定基準値を見直し、緩めるという記事が載っています。
 国内で人間ドックを受けた人の値を調査したところ、これまでの基準より高い人でも健康だったことが分かったからだそうです。新基準は6月に正式に決めて、来年4月から運用するとなっています。
 それによると随分、大胆に基準値が緩められているので、これで大丈夫か?今までの数値は何だったのかという疑問を抱くほど大幅な緩和になっています。参考まで、その基準値を列記します。

 見直しの流れは、最近、少し太り気味の人の方が達者だという世間的な風潮がある。そういう人は今までの基準では、基準値を超えることが多い。健康だのに検査で引っかかることは、基準がまずいのではないか?という見方である。メタボはどうなったのか?
もう一つは、健康で元気なのに、今までの基準値を超えているからという理由で医者が薬を大量に出す。薬漬けを少なくしたいという思惑もあるようだ。

自覚症状や、合併症がある場合は、今までどおりよく管理することが大切だと言われている。
昨日は、交野市内の小学校の入学式だった。
最近は、入学式に両親が同行するようで、父親も一緒に参加する人が多かった。時代も随分変わったものだ。
いや、もっとすごいのがある。
入学式には、ご両親と、両方のおじいちゃん、おばあちゃんも来ていただいて結構ですよ!という学校もあると聞いた。
一年生一人に両親、祖父母4名の最大7人が出席する入学式は賑やかだろう。それにしても日本は平和な国だと思う。
 現行の判定値 新しい基準値 
 収縮期血圧
mmHg
 130未満 88〜147 
 拡張期血圧
mmHg
 85未満 51〜94 
 肥満度(BMI)
 
 男女とも  男性  女性
 25未満  18.5〜27.7  16.8〜26.1
 肝機能
ALT〈GPI〉
 0〜30  10〜37  8〜25
 総コレステロール  
mg/dl
 140〜199    151〜254    30〜44歳
145〜238
 45〜64歳
163〜273
 65〜80歳
175〜280
 LDLコレステロール
mg/dl  
 60〜119    72〜178    30〜44歳
61〜152
 45〜64歳
73〜183
 65〜80歳
84〜190


2014年3月30日(日)
世界一になったトヨタ自動車の豊田章雄社長の談話


 日経新聞だったと思うが、トヨタ自動車の豊田章男社長の談話が載っていた。
社長に就任された時は、豊田家の御曹司という評判で、外面的にはひ弱い感じを受けたが、最近の豊田章男社長の旗振りが素晴らしい。ガンガン攻めまくっている。創業家でこのような社長が排出するところにトヨタ自動車の凄さが感じられる。
2010年にアメリカで『プリウス』問題が表面化し、公聴会に呼び出されて、対応する姿は気の毒な感じを受けた。その後の豊田章男社長の対応は攻めに変わったように思う。
度胸がついたのか、吹っ切れたのかわからないが、素晴らしい活動や施策を展開して、世界の自動車産業をけん引しているように感じる。
以下、一問一答をご紹介する。

トヨタの成長は続くか?
2014年3月期、リーマン・ショック前に記録した過去最高益を更新する見通し。14年には世界販売の1000万台も見据えている。それでも豊田章男社長は「まだスタートラインに立ったところだ」と強調する。その意味は何か。就任6年目の展望は?豊田社長に聞いた。

まだ、スタートラインに立ったところだ!
豊田章男社長は「二度と同じ失敗を繰り返さないのがDNA」と強調する
就任直前の09年3月期は赤字でしたが、業績が急回復しています。
「リーマン・ショックやリコール問題を経験し、トヨタの良いところや悪いところが見えやすくなった。やはり台数の急拡大はよくなかった。周囲からは褒められるが、その裏側では大変なことが起こっていたという実感が今はある。
急拡大のときは人が育ってない。成長のスピードが人材育成のスピードを上回っておかしくなった。年輪にたとえると、ある時期だけ急に伸ばしたことで、そこの幹が弱くなって折れ
やすくなった。だが部品の仕入れ先や販売店の協力もあってなんとか踏みとどまり、また新しい年輪を足していけるようになった」

「多くの試練が起こったことは、私を含めて従業員みんなの成長機会になったと思う。
トヨタという会社は一度分かったら、二度と同じ失敗を繰り返さないDNAがある会社だ。
歴史を後から振り返った時、『あの厳しい4年間があったから今のトヨタがあるんだ』と言われるように経験を生かしたい」

最高益更新が見えても「まだスタートライン」と言うのはなぜですか。
「これまでは軌道修正すべき課題が明確だったが、これから先は大変だ。従業員は浮かれていない。トヨタは(1937年の)創立以来の歴史の中でいろんなことを経験しながら今がある。今、どういう経験をすれば100周年を迎えられるか。今の成果は過去の努力の成果。
今の努力は次の世代で成果が出る。トヨタはそういうバトンタッチをやってきた会社だし、やり続ける会社だ。だから絶えず『スタートラインだ』と言い続ける」

14年には世界で初めて販売台数が1000万台の大台に乗ります。
「600万台に達するまでは基本的に日本で造って輸出するビジネスモデルだった。量を伸ばすことが成長につながった。それが今、1000万台まで来たときに量を伸ばすことだけが成長の『原単位』かというと、それではダメなんじゃないかと思う。今は大きな変化点だ。
新しい成長の原単位は何かを今、一生懸命考えているが、より価値を創造するとか、そういうことが大事になってくる」

国内生産、300万台にはこだわる「国内生産300万台」の方針は維持できますか。
「市場が縮小すれば計算上は成り立たないが、トヨタはそこにこだわっている。
自動車は地域に根を張る産業で為替変動ですぐ海外移転すればいいというものではない。雇用確保のために無理やり300万台を残すわけではない。
国内のものづくりの競争力を維持するために必要だから、トヨタも仕入れ先の部品会社も、ともに努力していこうと言っている」

「台数を追わない」と言うとトヨタは成長しないのかと疑問を持つ人も出てきます。
「成長はすなわち台数の伸びだと考える人もいる。それはわかりやすいが、世界販売が1000万台を超えるような会社が台数を追っているのでは、間違えるような気がする。トヨタはあくまで持続的な成長を目指す会社だ。業績が急上昇したり急降下したりするのはダメ。
1年1年、着実に年輪を刻むことが強い会社を作ることになる。あくまで台数は結果。
だから社長就任以来ずっと『もっといい車をつくろう』と言っている。『いい車って何だ』とみんなが考えることが大事。一人ひとりがもっと、いい車を目指す。ベストはなく、常にベター、ベター。それはトヨタの原点にある考え方だ」

次世代車への判断、正しかった
世界の新車市場を見渡すと、北米や中国が伸びていますが、けん引役だった新興国の成長は鈍化する見通しです。「すべての地域が順調な方がむしろ異常で、各地でいろんな問題が起こるのが当たり前だと思った方がいい。
社長就任からしばらくは、毎年『来年こそいい年に』『できれば来年は平穏無事な年に』と
言っていたが最近は考え方が変わってきた。
どこかで必ず問題が起きるという前提で、その課題にどう対応するのかという意識を常に共有することが大事だ。
それぞれの地域が日々のオペレーションをどう進めるかに集中していれば結果はおのずと出てくる」

エコカー分野ではハイブリッド車(HV)で先行してきたが、欧州勢が得意とする
クリーンディーゼル車などと競争が激しくなっています。「HVを発売した当初は他社もあまり注目していなかったが、最近はHVを投入するメーカーが増えてきた。トヨタの次世代環境車に対する判断は正しかったと思う。
当初はHV専用の『プリウス』だったが、今はカローラやクラウンなど既存の車にも設定している。HVが車の中身を変えるぐらいの存在になり、お客様が選べるバリエーションの一つになった。HVでトヨタは多くの経験がある。ノウハウから失敗事例まで、いろんな経験を積んでいる強みがある」
「これから先、どのエコカーが普及するのか、市場とお客様が決めることだから、まだよくわからない。だが、トヨタのHV技術は電気自動車(EV)にも燃料電池車(FCV)にも応用できる。トヨタはすべてを用意しているという意味で、他社と比べて一番リスクが小さいと思ってほしい」

昨年4月に大幅な組織改正を実施し、会社全体を先進国担当の「第1トヨタ」、
新興国担当の「第2トヨタ」などに分けました。
「トヨタが持続的に成長するための第一歩で、大きな変化だ。1000万台まで規模が大きくなったことに対応し、各地域の責任者を明確にした。
現実的なオペレーションは第1トヨタ、第2トヨタなどを担当する6人の副社長や、世界各地に配置した8人の地域本部長に任せる。評価を下すにはまだ早いが、物事を決めるスピードは速くなってきた。これからは副社長などの顔がもっと外から見えるようにしたい」

新組織の中で豊田社長の役割は中長期の将来を見据えること
短期的な今年1年をどうするかという現実のオペレーションはできるだけ現場に任せる。
だが、今だけをやってれば10年後も大丈夫かは分からない。そこに私の役割がある。
これまでは、そうしたことに時間を割くゆとりがなかった。業績が赤字だったり低迷したりしていると、やりたいことが何もできない。やっと未来に向けて投資ができる環境になってきた。この意味でもトヨタは今、スタートラインだ」
「今後の投資方針は、以前のような販売台数をとるための投資ではない。例えば、昨年から3年間、「新工場を建設しない」と言っているが、何も投資をしないのかというと、そうではない。従来と同じようなお金の使い方はしないというメッセージだ。
例えば、今までよりも少ない投資額で同じ台数がつくれるようなものだったらどんどん使いましょうと言ってる。縮小均衡しようなんて言ってない。あくまで目指すのは持続的に成長することだ」

6月に社長就任6年目に入ります。どのような企業を目指しますか。
「トヨタの持続的成長を応援してくれる投資家に受け入れられる銘柄にしたい。
配当などで価値が上がっていくことを認めてもらい、中長期で安定的に保有してもらえる銘柄だ。例えば、トヨタ車を買った人にも株主になって支えてもらい、高齢者にはトヨタ株の配当金が年金のようになる存在になりたい。メッセージの出し方も変えていく必要がある。
トヨタは何を考え、どの方向に向かおうとしているのか、経営トップはどういう判断をしているのか。そういうメッセ−ジを送り、投資家と直接的、間接的なキャッチボールをしていきたい」



2014年3月21日(金)
『ご・ていねい語』が政治家に流行中?

 今日は春分で休日、『暑さ寒さも彼岸まで』という言葉がありますが、なぜか真冬の寒さで、東北以北は低気圧が発達し、台風並みの風で吹雪になるという天気予報です。大阪でも日中の今の気温は8.6℃という真冬の寒さです。

 ウグイスが3月初めに啼きだし、大根や白菜の芯から花が咲き、春を感じていますが、どうもこの冬将軍はもうひと暴れしそうです。

 テレビで国会中継などを見ていますと、予算委員会や本会議で大変気になる日本語が政治家から発せられます。それが異常に気にかかるのです。
 小生はその言葉に『ご・ていねい語』と名付けました。
この言い方(表現)は「日本初だ!」と思いますので、商標登録しようかと思います。冗談ですが・・。
 昔はあまり聞かなかったのですが、1990年代の海部総理や橋本総理の頃から、総理や大臣や政治家が使いだした『ご議論して頂く』という言い方で、国会という議論を戦わせる場で『ご議論』という言葉に当時から違和感を感じていました。『議論して頂く』で十分だと思います。その上に『ご』をつける意味は何なのか? よく分かりません。今もなお、よく使っています。誰にはばかってそういう言い回しをし出したのか?です。堂々と議論すればいいじゃないですかと言いたい。
そう言えば、政治家独特の言い方があります。政治家がよく使う言葉で気になる言葉に『・・先生』という言葉があります。今でも口癖のように使う政治家が多くいますが、以前に比べて『・・先生』は減ったように感じます。『・・さん』が結構増えてきました。
 
 最近、よく耳にする言葉に『ご議論』もそうですが、『しっかり』と『ていねいに』があります。『・・に、しっかりと取り組んで参ります』、『・・、ていねいにご説明します』などが、常套句のように安倍総理の口から出ます。
何か空々しく聞こえませんか。今まで、しっかり取り組んでいなかったのか?
いままで、ていねいに説明しなかったのか?と問いたいです。
だから、皮肉って、小生は『ご・ていねい語』と名付けました。

 最近、政治家は言葉の遊び(あいまいな表現)が多すぎるように思います。
政治家は核心を突いた言葉で、簡潔に、明解に答弁すべきだが、それは期待しても無理なことが分かりました。
 国会の答弁書は、事前に質問内容に対し官僚たちが徹夜で書いたものを、大臣や総理が丸読みするだけであり、総理や大臣は代読者だった。
 そうであれば、政治家の言葉は官僚たちの言葉になる。官僚連中が『ご・ていねい語』を開発したのかもしれない。

 直球的な言葉(ストレートな表現)で分かりやすく答弁すると、問題が出た時に困るから、どちらにでも解釈ができるようなあいまいな、政治家独特の表現を使う。変化球言語である。左右に曲がる言葉もあれば、上下に変化する言葉もあり、非常に聞いていてすっきりとしないあいまいな回答が多い。

 たとえば『・・を検討します』という言葉は、政治家や官僚の言葉では『・・はやらない』という否定的な意味だそうです。それが少し、肯定的になれば『前向きに検討します』となるらしい。
 世間では『検討します』と言えば、「真剣にその問題に取り組み、課題を洗い出し前向きに対処する」という意味の言葉です。
 
 政治家や官僚言語は、平安時代のお公家さんの言葉に通じるのかもしれません。
 そういうややこしい、どちらにでも解釈できるような言葉を使わないという政党が早く出てきてほしいものです。『やるならやる、やらないのならやらない』とはっきりしてほしい。
 グローバル化した時代で、諸外国と付き合うには、日本的なよく言えば奥深さ、悪く言えば不明朗なあいまいな、結論をなかなか出さないというしきたりや慣習を打破し、白、黒を早くはっきりしないと競争に負ける。
 いずれ、物事は白黒をつけなければならない。それを棚上げして、結果が見えてきた頃に、いやこれは白だ(賛成だ)、これは黒だ(反対だ)というような態度では、民間の企業競争では全く勝算がない。政治の世界も同様だろう。

 そういうことを民主党に期待したのだが、見事に裏切られた。
民主党も『先生』を連発したし、『ご議論』も、『しっかり』も自民党と同様に使い続けた。これで民主党も改革はできないな!と感じた。今はもう存在感すらなくなりつつある。

 言葉は大切だと思う。
戦う政治家、すなわち世の中を改革してゆく使命を持った政治家は、明解で分かりやすい言葉で、都合が悪くなると、『いや、あの時の話はそういう意味でなく、こうだ』と言い訳けができないよう、自分を追い込んでゆく人がいい。
そういう政治家が早く出てきてほしい。

 新年度予算は早々に成立した。景気の腰折れを防ぐには早く成立することに越したことはない。大きな公共事業費を景気対策に組み込んで、再び全国至る所で工事が始まる。しかし、既に人手が全く足りなくなっているらしい。
 工事の仕事は機械化をしても、機械の操作が要るし、基本は手仕事なので、高齢化が進み、3Kと言われる工事現場で働く人は少なくなっている。
 工事費をいくら積み上げても、工事が進まなければ絵に描いた餅になりかねない。
 しかし、本当にデフレを脱却し、景気が良くなることを期待したい。
 そうでなければ、借金だけが積み上げられて、国の破たんにつながる。


2014年3月14日(金)
来年、中波(AM)ラジオ放送をFMで聞ける?

 総務省の電波審議会がFM放送の見直しを行い、今、中波のラジオ放送に、同じ番組で音質がいいFM放送を加えることを発表した。

 これまではFM放送によるAMラジオ放送の補完中継局として76.1MHz〜89.9MHzで、外国波混信対策、地理的・地域的難聴対策として認められていた。

 これを、アナログテレビのローチャンネルで使っていた周波数の空いた電波を利用して、94.9MHzまでの周波数を活用し、災害対策、難聴対策(都市型、外国波混信対策、地理的・地域的対策、災害対策)のためFM中継局の導入を決めた。周波数は、90.1MHz〜94.9MHz

簡単に言うと、早ければ来年中に、NHK第一、第二、民放のラジオ放送と同じ番組を高音質のFM放送が始まるということ。
大阪では、朝日放送、毎日放送、ラジオ大阪がFM電波も出すようです。
手持ちのFMラジオの受信周波数が76MHz〜99MHzのものなら、このFM放送を聞くことができるようになりそうです。

下の図は、総務省の電波審議会の資料から抜粋しました。



2014年3月7日(金)
PET画像診断はどこまで進んだのか?

 先日、年に一度の人間ドックを受けた。
定年後、2、3回近くの病院で健康診断を受けたが、一般の病人と同じように健康診断を受けるのはもう一つ気分がよくないので、この数年前から守口の『パナソニック健康管理センター』で、年明けに家内と二人で受けることを年中行事の一つとしている。
今年も正月明けに、人間ドックを受けた。結果は特に大きな問題がなかったが、一つ気にかかる点があった。

 人間ドックは基本コースと、追加項目をオプションで選択できるようになっている。その中で、腫瘍マーカーというオプションがあるので、それを毎年受けている。これは採血して、ガンが出す特殊なたんぱく質を検出することで腫瘍のマーカーになると言われている。
 腫瘍マーカーで有名になったのは前立腺ガンを発見できるPSA検査がある。内臓の腫瘍マーカー検査の結果、家内の数値が昨年に続いて今年も限界値より高く、心配になったので、PET(画像)診断検査を受けることにした。
 病院に行って、内科の先生の紹介をもらったが、ガンが確定しないと保険が適用されないと言われた。腫瘍マーカーの値が限界を超えていても、保険が効かないことが分かった。
 それなら、何のための腫瘍マーカーなのかと思ったが、検査結果が2年も高い値を示しているので、自費で受けることにした。

 PET検査は、検査前にラジオアイソトープ(放射性同位元素)を注射して、約1時間安静にして、全身に試薬が行き渡った状態で測定する。
ガンがあれば、ガンは細胞分裂が激しいので、糖質(エネルギー)をたくさん消費する。放射性同位元素はその糖質と一緒になっていて、ガンに集中するので、その分布を3次元画像にとればガンの検出ができるらしい。

 今まで、インターネットの情報では、PET画像診断はガン検出の最先端技術で、数mm程度の小さなガンまで検出できる理想的な検査方法だとされていた。
 しかしPETは機器が非常に高価で、一基、数億円もするらしく、そのため、診療費用がべらぼうに高い。保険適用しても3万円〜4万円するらしい。 普通はX線CTスキャンとセットになっていて、全身スキャンする。
自費では10万6千円であった。

 診療費が高いのは、PETの機械の償却費が大きいからだと思っていたが、それ以上に高いのは、放射性同位元素(アイソトープ)の薬剤が高いらしい。
 検査日時を指定され、その日時に受けなければ、その薬剤が有効性をなくするので、キャンセルが効かないことが分かった。キャンセルすれば、6万円ほどキャンセル料を取られるので注意がいる。
 放射性同位元素だから、時間とともに放射線を出して崩壊してゆく。だからこの薬品は取扱い区分が厳しく管理されている。
また、このPETを受けた後、妊婦さんや小児に近づかないよう注意された。約一日は体から弱いながら放射線が出るらしいことも教えられた。

 妻の検査は無事に済んで、その結果を聞きに再度病院に行った。
おかげさまで、診断結果は、まずガンの疑いはないということだったので、それは安心できたが、その先生の話では、『私はPETをあまり進めません。やはり検診は、直接、目で患部を見ることです』という話だった。
『胃は胃カメラで、腸は大腸カメラで、それ以外の内臓は超音波画像診断で』視れば、『まず大丈夫です』という話を聞いた。

 その先生の話では『PETは高い割には、世の中で言われているほど、検出能力の点で割に合わない』という話だった。これはPETを否定した話ではなく、健康診断という病気を発見するための行為としてはという意味。
 ガンになってしまった場合、転移や成長度合いを見るのには有効なので、その場合は保険が適用される。

 人間ドックや健康診断でPETを受ける人が結構いるが、最近、松下病院ではあまり進めていないということだった。
 民間の人間ドックを専門にしている医療機関はPETを大々的に宣伝している。これが究極の検診だと言わんばかりの表現を使っている。

 妻の検診結果、異状はまず見られないというお墨付きをもらったので、安心した。安心料が10万円が高いか、安いかは考え方次第だ!
 何事も一度は経験しておけば安心できる。



2014年2月14日(金)
近年にない大雪が降っています
今日は夜明け方から、雪が降り、今なお、降り続いています。
外気温は2.2℃で、外は思ったより寒さを感じませんが、積雪
は10cm程度になっています。外に出るには長靴を履かないと
大変です。大阪は近年、雪があまり降らなかったのですが、この
大雪は珍しく、これからも未だ止みそうにありません。 門かづき
の松が雪の重みに耐えるように、支柱をしました。そのままでは
枝が重みで折れそうです。本当に久しぶりの白銀の世界です。


手前は槇に積もった雪帽子


門かづきの松、枝が雪の重みで垂れています


道路から家の景色ですが、今も雪が降っています
2014/02/14 AM10:45現在


裏庭の花梨(カリン)と梅に積もった雪


家の前の公園


2014年2月8日(土)
スカイツリーに上りました

 2月2日に東京に行き、機会がありスカイツリーに上りました。
 アンテナの先端までは634m(ムサシ)あります。
日曜日で大変混み合っていましたが、特別ルートで スムーズに通過できました。

 まず、高さ350mの展望デッキへ大型展望シャトル(エレベータ)で上ります。
秒速10mの超高速エレベータですが、45秒ほどかかります。でもあっという間に着きます。
 さらに100m上にある展望回廊まで小型エレベータに乗り換えます。ここは地上高450mにあり、飛行機の窓からの眺めのような錯覚を覚えます。パノラマのような景色が広がりますので、すごい迫力です。

 やはり、地上から見上げるスカイツリーと、上って見下ろす景色とは全くイメージが違います。デジカメで撮ってきた写真を添付しますので、ご覧下さい。
 
 2日は暖かく春霞のような少しガスっぽい状態でしたので、写真は今一です。
スカイツリーの公式ホームページURLは下記のとおりです。ご覧ください。
  http://www.tokyo-skytree.jp/
  
   
 昼間のスカイツリー              夕方ライトアップされたツリー

  
 展望回廊の案内板               見下ろした景色

  
 展望回廊の案内板               見下ろした景色

  
  展望回廊の案内板              見下ろした隅田川
 
  
  展望回廊のガラスののぞき窓(床)     ガラス床から地上の景色

 
   大型展望シャトルに乗り込む(下り)

2014年2月6日(木)
盛者必衰は避けられないのか?

  IT機器の代名詞だったパソコンの販売が思わしくないらしい。原因はスマートフォンやタブレット端末(i-Padなど)の急速な普及で、パソコン需要を食っている。
 
 スマートフォンは韓国のサムスン電子一社にやられてしまった感じで、日本メーカは苦戦している。
 一時期、日本メーカ各社はパソコンで気を吐いていた。一時は富士通、NECがトップで、東芝、日立、シャープなどが後を追ったが、すでにデスクトップは過去のものになり、日本メーカ各社は撤退した。
 家庭用としては一部の人(ゲームマニアやパソコン好きな人など)以外に使われないようになりつつある。

 メールやインターネットや、パソコンでテレビを見るような使い方をする普通の人は、ノート型パソコンで十分ことが足りる。
 ノート型パソコンは最新型では非常に動作速度が速くなり全く問題なく使える。このノート型パソコンは用途によって2種類に分かれる。
 家の中で、テーブルや机の上で使うタイプと、持ち歩くモバイル用のタイプがある。前者のタイプは、レノボや、HPや、Dellや、エイサーや、アップルや、ASUSなどが大きなシェアを持っている。これに続いて富士通やNECなどがあるが、NECは最近、レノボに身売りした。レノボは中国の会社で、IBMからパソコン事業を買収し、一躍トップシェアに近づいている。

 一方、持ち歩き用モバイルノート型パソコンは、会社員などが業務用として使う物でPanasonicのレッツノートが大変人気がある。この分野は持ち運びするために、頑丈で、壊れにくくて、軽くて、電池動作時間が長いことが要求される。カバンにスポット入れて持ち歩いても壊れない強度が必要になる。相反する条件を満たさなければならないので、設計や製造上の難しさが要求される。軽くて強い金属であるマグネシュウムやチタン合金を使い、アルミより軽くて強度が大きい金属を成形して筐体に使用している。こういう特殊な仕様になると日本メーカは俄然、技術力を発揮する。その代り値段は高い。
 一般のノート型パソコンは性能と値段だけが勝負の世界。レッツノートは違う用途に活路を見出している。

 実は今朝の朝日新聞に、ソニーが『VAIO』ブランドのパソコン事業から事実上撤退を決めたという記事が載っていた。またか!という感じがする。
先般はNECがレノボに身売りした記事があったばかりだ。パソコン事業が赤字続きでは仕方がない。
 
 過去の盛者は必ず衰退するのか?
 そういう意味では、現在、世界のIT事業を席巻しているサムスンもここに来て、少々暗雲が垂れ込めてきたという記事もある。

 
 韓国最大の発行部数を誇る朝鮮日報が1月8日、「『サムスン電子なき韓国経済』に備えよ」と題する社説を掲載した。

 サムスン電子の2013年10〜12月営業利益が8兆3000億ウォン(約8100億円)と、
1年前より2割近く減少した。韓国経済に影響を及ぼす事態に備えるのは、韓国政府がやるべき仕事であると指摘している。

 「フィンランドでかつて輸出の25%、研究開発投資の35%、法人税収の23%を占めていたノキアは、アップルとサムスン電子の攻勢によって経営がほぼ破綻し、今ではマイクロソフト社の傘下に入ってしまった。
 ノキアの没落でフィンランドは国全体の成長に急ブレーキがかかり、失業率も大きく跳ね上がってしまった。

 スマホは近いうちに1万円にまで価格が下がるだろう。さらにその後は、5000円くらいにまでなる可能性が高い。
 基本機能だけを備え、追加機能はアプリで対応するという形の低価格スマホが、今後売り上げ台数の中心となる新興国や途上国では、主流になるはずだからだ。
 そうなった時、現在のサムスン電子は「5000円スマホ」に対応できるのか。おおいに疑問である。
 
 サムスン電子が低迷するだけなら、所詮は一企業の話で済む。問題は、韓国経済がサムスン電子に大きく依存してしまっていること。
 サムスン電子の売上高は2013年で230兆ウォン(約22兆円)以上、韓国経済(GDP)の2割を占めている。その意味では、サムスン電子が傾くと韓国経済に深刻な影響を及ぼす。
 一応、サムスン電子に次ぐ大きな会社としては、現代自動車、鉄鋼メーカーのポスコ、家電のLGなどが存在する。これらの会社はサムスン電子に比べると小粒。サムスン電子のサイズが別格に大きい。
 このまま、サムスン電子がコケた時に、韓国経済を支える会社が存在しないことになる。

 独裁型の経営者の判断が当たりに当たって、業績を伸ばしてきたという意味では、台湾の鴻海(ホンハイ)グループを率いる郭台銘(グオ・タイミン)氏と似ている。
 ただ、こうした経営手法は、カリスマ的な経営者が去った後の反動が大きい。経営がマイルドになって判断が遅れ、悪循環に陥ることが想定される。
 もしかしたら、いずれ「第二のサムスン電子」が出てくるかもしれないが、今のところはそうした兆候は見られない。サムスンにとっても、韓国にとっても、超巨大企業を率いるカリスマ経営者の才覚に頼り切ったツケを払う時が近づいているように思える。


 かの有名な『平家物語』の書き出しの名文、

  祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、
  沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす
  おごれる人も久しからず、ただ春の世の夢のごとし
  たけき者も遂には滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ

 企業は永遠に栄えることは難しい。企業は生き物である。生き物は寿命がある。
 松下電器の創業者、松下幸之助翁が願っていた会社は25年ごと、さらには50年ごとという節目に、会社がどう生き残るか、細胞の新陳代謝が行われるか、組織はまさに生物の細胞と同じこと。環境の変化に対応できるかどうかにかかっている。 


2014年2月5日(水)
『獺祭(だっさい)』をご存知ですか?

 日本酒は日本各地で造られていますが、銘酒と呼ばれる酒が沢山ある中で、最近、非常に人気が高くて幻の酒になっている山口県の酒です。

 最近、日本酒離れが激しく、消費量の減少により酒蔵の閉鎖や廃業が続き、旭酒造も一度はドン底に陥った。その旭酒造は見事に蘇った。

 成功要因は何か?
  @日本酒は味わって飲むもの、量から質に
  A純米大吟醸にこだわって、これしか生産しない
  B酒造りを杜氏から社員に、品質管理の徹底
  C冬季醸造から通年醸造に切り替え
  D海外への進出、特にフランスに注力、直営店開設

 山口の山奥の小さな酒造会社が一念発起して、上記のような酒造りのコンセプトを徹底して実行し、うまい酒にこだわってやってきたことが他社との差別化に成功した。
 ちょうど、日本人が成熟化して、量を求める時代から豊かな生活、質を求める時代になった流れにうまく合致したと言える。

 日本酒の低迷は、酒造りの伝統に胡坐をかいて、枠から抜け出せなかった。旭酒造は小さな、しかも岩国の酒蔵という逆境にあったことが、むしろ酒造りの改革に着手しやすかった。そのままでは潰れるという瀬戸際に立たされていたことも事実。
 徹底して『いい酒を造ろう』という精神が息づいている。

 『獺祭』は今や、一流ブランドを超えて、幻の酒になりつつあり、なかなか手に入らない。
平成15年に新工場が完成し稼働する。そうすれば生産量がぐんと増えるので、手に入るかも・・・・。期待したい。
 
下記のホームページもご参考に!!
 『獺祭』の紹介記事
  http://www.nippon.com/ja/features/c006
 旭酒造
  http://www.asahishuzo.ne.jp/index.php

 最近、感じることですが、『世の中は実に面白い!』ということ。
 世の中にはいろんな仕事があり、みんな一生懸働き、努力している。しかし、仕事によっては、社会の流れや、技術の陳腐化や、ニーズの変化や、円高などいろんな環境変化により事業が成り立たなくなることが多い。
 要は、今までやってきたやり方では環境の変化に対応できないので、事業が成り立たなくなる。だから潰れたり、撤退したりする。
 
 日本酒も酒飲みが日本酒離れして、そういう逆境下にある商品だと言われてきた。現に、このホームページを見ても、市場の縮小が顕著にグラフで示されている。そこで何も手を打てない酒造会社は潰れる運命にある。
 
 逆に旭酒造のように、日本酒造りという今までの事業を継続しながら、逆境の中でドンドン伸びることもできる。
 その差、違いは何なのか?
 要は、他人と同じことをやっていては、結果は皆と同じこと。
他人が潰れれば、自分も同じく潰れるということにしかならない。
 そこで、他人と、他社と違うことをやる。その違いが環境変化に対して適応する内容、取り組みでなければ意味がない。何でもかんでも他社と違うことをやれば生き残れる訳ではない。
 『獺祭』は、『おいしい、さらっとしたお酒が飲みたい!少々高くてもいい』、そういう隠れたニーズを見事に見抜いて対応した。

 日本酒には、醸造アルコールが入っている。
醸造アルコールは、サトウキビから糖分を絞った後の搾りかす(繊維質)を酵母でアルコール発酵させて造ったアルコールで、蒸留を繰り返し、純度を95%以上にした無色・無臭のエチルアルコールのこと。
 これを樽から搾った日本酒に適度に希釈して加えることで、酵母の香りを閉じ込めやすくなり、アルコール度数の調整が自由にでき、さらっとした飲み味になり、また増量もできる。
 搾った原酒に醸造アルコールを20%前後に薄めて加える。

 大吟醸酒吟醸酒という言い方は、コメの精米度合いの表現で、30-50%前後の精米度合いのものを吟醸、それ以上に精米してコメの中心部だけを使うのが大吟醸と呼ぶ。
 
 これに対し、旭酒造は、純米大吟醸しか造らない。純米酒という呼び方は、醸造アルコールを全く加えない、樽から搾ったままのお酒で、混じりけのない原酒のままの一番高級なお酒である。

 一般の大吟醸酒は、酒ビンのラベルを見れば分かるが、成分表に醸造アルコールが入っていることを表示している。

 値段が高いから、『獺祭』純米大吟醸酒だからよく売れたと言う訳ではない。
高い値段をつけるには、お客さんが納得するおいしさ、味わいがないと見向きもされない。
 『獺祭』が生まれるまで、その高い要求品質を保証するため大変な努力をされている。詳しい内容は、上のホームページをご覧ください。

 何事も逆境の中に、やり方によれば光明を見出すことができるという良い事例だと思う。
 こういう事例は、他にいくらでもある。
 要は、
 @必ず『何とかなる』という強い意志力
 A今までと違う行動を起こす
 Bこれで間違いないか?、チェックしながら修正する
 C全社員のベクトルを結集する
 D取り組みを絞り込む

など、ものづくりの原点があげられると思います。
 

2014年2月5日(水)
この数式の答えは?

9-3÷1/3+1=?
ある会社の入社試験に出した問題ですが、正解者は40%でした。
さて、あなたの答えは? 正解は1です。
9-3÷1/3+1の計算は、掛け算、割り算を先にすることは小学校で
習ったことだと思います。3÷1/3=9です。
9-3÷1/3+1=9-9+1=  となります。
この計算ができない人が増えているようです。あなたはできましたか?
(2月5日、朝日新聞朝刊より)


2014年2月4日(火)
『祝婚歌』をご存知ですか?

吉野 弘さんの作で、大変、奥の深い人の心を分かりやすく
表現した素晴らしい詩です。結婚式によく読まれるそうですが、
吉野さんの訃報のニュースで、初めてこの詩を知りました。
たくさんの場所で掲載され著作権の問題ないそうですので
紹介します。 本当にこういうふうにありたいものですね。

 
二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派過ぎないほうがいい

立派過ぎることは

長持ちしないことだと

気づいているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

二人のうち どちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても

非難できる資格が自分にあったかどうか

あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは、

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは、

相手を傷つけやすいものだと

気づいているほうがいい

立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無理な緊張には色目を使わず

ゆったりゆたかに

光を浴びているほうがいい

健康で風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと胸が熱くなる

そんな日があってもいい

そしてなぜ 胸が熱くなるのか

黙っていてもふたりには

わかるのであってほしい



2014年2月1日(土)
世界が驚いた! 大発見の小保方さんはどういう人?

一昨日の新聞やテレビを見て、驚いた。今までの生命のもとになる細胞分裂の概念を
打ち壊す世紀の大発明、いやこれは発見というべきなのだろうか?
とにかくイギリスのネイチャ誌が、『生命理論を愚弄するものだ!』と当初言っていたほど、とにかく画期的な発明だということ。
その発明者(発見者)は30歳のりけじょ(理系女子のことらしい)で、テレビで拝見するとごく普通の人に見える。エプロン姿で研究に取り組む姿はかわいらしい感じがする。その小保方さんはやはり普通の人ではないことが分かった。
彼女が中学2年生の時に書いたエッセイがある。それを読んで、この文書をかける人はすごい人だと思う。大人でもなかなか描けない文章だ!
それを紹介する。
 この文章は、1997年、「第43回青少年読書感想文千葉県コンクール」(毎日新聞社・全国学校図書館協議会主催)で教育長賞に選ばれ、全国コンクールでも入選したという作品です。

 「ちいさな王様が教えてくれた 大人になるということ」
    松戸市立第六中2年・小保方晴子

 私は大人になりたくない。日々感じていることがあるからだ。それは、自分がだんだん小さくなっているということ。もちろん体ではない。夢や心の世界がである。現実を知れば知るほど小さくなっていくのだ。私は、そんな現実から逃げたくて、受け入れられなくて、仕方がなかった。夢を捨ててまで大人になる意味ってなんだろう。そんな問いが頭の中をかすめていた。でも、私は答えを見つけた。小さな王様が教えてくれた。私はこの本をずっとずっと探していたような気がする。

 「僕」と私は、似ているなと思った。二人とも、押しつぶされそうな現実から、逃げることも、受け入れることもできずにいた。大人になるという事は、夢を捨て、現実を見つめる事だと思っていた。でも、王様は、こう言った。「おまえは、朝が来ると眠りに落ちて、自分がサラリーマンで一日中、仕事、仕事に追われている夢をみている。そして、夜ベッドに入るとおまえはようやく目を覚まし一晩中、自分の本当の姿に戻れるのだ。よっぽどいいじゃないか、そのほうが」と。私はこの時、夢があるから現実が見られるのだという事を教えられたような気がした。

 小さな王様は、人間の本当の姿なのだと思う。本当はみんな王様だったのだと思う。ただ、みんな大人という仮面をかぶり、社会に適応し、現実と戦っていくうちに、忘れてしまったのだと思う。

 いつか、小さな王様と「僕」がした、永遠の命の空想ごっこ。私は、永遠の命を持つことは、死よりも恐ろしい事だと思う。生きていることのすばらしさを忘れてしまうと思うからだ。それに、本当の永遠の命とは、自分の血が子供へ、またその子供へと受けつがれていくことだと思う。

 王様は、人は死んだら星になり、王様は星から生まれると言っていた。私は、王様は死んでいった人々の夢であり願いであるような気がした。人間は死んだら星になり、王様になり、死んでから永遠がはじまるみたいだった。こっちの永遠は、生き続ける永遠の命より、ずっとステキな事だと思う。

 「僕」は王様といっしょにいる時が、夢なのか現実なのかわからない。と言っていたけれど、きっと「僕」は、自分の中の現実の世界に小さな王様を取り入れることによって、つらい現実にゆさぶりをかけ、そこからの離脱を見い出しているのだと思う。

 「僕」は王様にあこがれているように見えた。つまり、自分の子供時代に、ということになるだろう。私も、自由奔放で夢を見続けられる王様をうらやましく思う。でも、私はそう思うことが少しくやしかった。なぜなら自分の子供時代を、今の自分よりよいと思うということは、今の自分を否定することになるのではないかと思ったからだ。まだ私は、大人ではない。なのに、今から、自分を否定していては、この先どうなっていってしまうのだろうと思って恐かった。でも、また一方では、「前向きな生き方」や「プラス思考」などというものは、存在しないようにも思えた。

 夢には、二面性があると思う。持ち続ける事も大切だが、捨てる事もそれと同じ位大切な事なのだと思う。どちらがいいのかは、わからない。また、私がこの先どちらの道に進むのかも。ただ、言えることは、みんなが夢ばかり追いかけていては、この世は成り立たなくなってしまうということだけなのだと思う。

 私は王様の世界より、人間の世界の方がスバラシイこともあると思った。なぜなら、人間には努力で積み重ねていくものがあるからだ。子供のころから培ってきたものは、なに物にも勝る財産だと思うからだ。王様の世界では生まれた時が大人だからそれができない。

 絵持ちの家に行ってから消えてしまった王様は、もう「僕」の前には現れないと思う。なぜなら、もう「僕」には王様の存在の必要がなくなったからだ。私と「僕」は答えを見つけた。「夢を捨ててまで大人になる意味」の答えを。それは、「大人になる為に、子供時代や夢がある」ということだ。最後の赤いグミベアーは、さようならのメッセージなのだと思う。

 これからは「僕」も私も前を向いて生きていけると思う。王様は、まだ答えの見つからない、王様がいなくて淋しがっている人の所へ行ったのだろう。

 私は本の表紙に名前を書いた。王様が教えてくれた事を大人になっても忘れないように。

 王様の存在が夢か現実かはわからないが、この本を読む前の私にとっては夢であった。しかし、少なくとも、今の私の心の中で生きている王様は現実だということは紛れもない事実である。

 世の中に、ちいさな王様と友達になる人が増えたら明るい未来がやってくる。そう思ってやまないのは私だけではないのであろう

 この文章を読んで、やはり彼女は尋常の中学2年生ではなく、しっかりした人生観を持ち、意志力の強さと聡明さを感じる。すごい人だと感動を覚えた。
皆さんは、いかが感じましたでしょうか?



2014年1月15日(水)
同志社大学の挑戦!

  久しぶりに、母校である同志社大学、今出川学舎を訪問した。
 今回は、昨年、完成した良心館の新しい教育施設の見学が目的でした。
今までの大学は「学び舎」ですので、大学の建物はすべて無機質な教室が並び、室内は長机とイスが並んだ空間というイメージでしたが、昨日、行ってみて、新しい大学の姿、学び方を見て、『世の中は変わったな!』という印象を受けた。

 私が大学生の頃、ちょうど日米安保闘争の真っ最中で、学内は緊張感に包まれていた。京大も、同志社も、立命館も一様に、学内は闘争の場で、キャンバスは大きな立て看板が立ち並び、これが大学の姿か?と異様な感じを受けたのを覚えている。時々、机やイスで建物の入り口にバリケードを築き、一般の真面目な?学生が教室に入れないような行為を強行した学生運動が普通であった。

 昨日、キャンバスを歩いてみて、びっくりしたのは卒業後45年にもなるが、赤レンガの建物は昔のままに美しく見えた。建物が年老いたという感じを全く受けなかった。キャンバスを歩く学生はまばらで、男女の二人組がチラホラ歩いたり、話し合っていたのが印象的だった。キャンバス内が学生で溢れかえっているのではないかと思って出かけたが、ひっそりしていて拍子抜けだった。
海外の大学のキャンバスを写真で見ているような錯覚に陥った。

 昔は、キャンバス内のメイン通りはたくさんの学生でごった返していたのだが・・・・。
同志社大学は今出川キャンバスが手狭になったということで、広大な田辺キャンバスに移転し、一時は今出川キャンバスは学生が激減したらしい。
 京都市内の下宿屋は立命館も龍谷大学も、同志社も移転して、学生が居なくなると心配したという話を聞いた。

 田辺キャンバスは、JR同志社駅から坂を上り、20分ほど歩かなければ正門まで着かない。しかも、JR学研都市線は本数が少なく、不便な土地にある。
 しかキャンバスは非常に広く、建物と建物の間隔がゆったり取られているので、広々感は十二分にあるが、移動が大変。こんな広さは要らないのでは?と思うほど広大な土地である。

 この田辺キャンバスは学生にあまり歓迎されなかったようで、同志社大学は今出川回帰を図った。田辺キャンバスは理工系を中心とした分野とし、今出川キャンバスは文系中心の学舎に方向付けし、集約したようだ。

 さて、昨日の目的は完成になった良心館という巨大な建屋の中を見学することで、その設備を元、Panasonicの同僚で後輩の森本君が館内のITおよびAV設備の管理運営担当者として勤めているので、彼に頼んで時間を割いてもらい、館内を案内してもらった。

 良心館は今出川キャンバスにあった運動場の跡地に建てた巨大な建物である。
地下鉄烏丸線今出川駅の先頭車両側で降りると、改札を出てすぐ、この建物に直接通じている。超便利である。地下1階には広い食堂があり、地上一階には、サロン的な空間があり、2階と3階に『ラーニング・コモンズ』という空間、施設がある。
 ここはこれからの大学の新しいあり方、考え方、学び方を提唱し、実践する場として造られたもので、日本で初めて本格的に運用されているらしい。そのため、全国の大学関係者が見学に来られるという話であった。

 パンフレットによれば、
 良心館のラーニング・コモンズは情報を知識に、知識を創造に変えてゆく『新しい学びの場』です。様々なヒト・モノ・コト・情報と出会い、それらを仲間とともに議論し展開してゆくことで、新しい学びの可能性を生み出してゆきます。
 アイデアだけでは盛り上がっておしまい。理屈が過ぎると話がつまらない。
 人はコミユニケーションを繰り返すうちに、アイデアは鍛えられ、理屈がちゃんと通ってゆく。良心館ラーニング・コモンズは、およそ2,550u(約770坪)に、「ひらめき」を「実現」に変えてゆくさまざまな装置を配置した自習空間です。自分の中に眠っている発想力、構想力、実現力をここで目覚めさせてみませんか!  
となっている。
森本さんの話では、開設当時は学生もこの場所をどう使えばいいのか、不思議な空間と捉えていたようで、単なるサロンや喫茶店の延長のように考える人もたくさんそうですが、最近、やっとこの場所の使い方、コンセプトが理解され、たくさんの学生が互いに会話したり、プレゼンしたり、パソコンに向かって資料つくりなどをしている。
学生の顔付を見ていると、楽しそうだが遊んでいるという感じではなく、何かを目指して取り組んでいるなという印象を持った。
 中には卒論をまとめている人、宿題をやっている人、ベンチャービジネスの企画書を書く人、中には外国人学生も沢山居て、話し込んでいた。
 
 小生のような歳の人間にはこの空間は落ち着かない。なぜかというと、他人の話し声が聞こえ、ディスプレイがたくさん並んでいるというより、ディスプレイに囲まれた雰囲気の中で、自分に集中することが難しい。彼らにはそれができるそうだ。
新成人は我々の人間とは違うな!という感覚を持った。
 
 ICカードの学生証を提示すれば、ノートパソコンは自由に借りられるし、据え置き型のデスクトップパソコンも何十台か並んでいて、自由に使える。
 ここで作った資料で、みんなを集めてプロジェクターを使いプレゼンテーションができる。その空間はまさに、いろんなイベント会場のプレゼンテーション会場を思わせる設備と雰囲気を持っている。
 こういうことに慣れた人材が企業に入り、業務上のプレゼンテーションをしっかりできれば大変結構なことである。
 作成した個人のデータは学内のサーバに入れて保管ができる。容量は各人で1GB分を与えているらしい。個人のUSBメモリに入れて持ち帰ることもできる。
 また、個人の下宿先や自宅のインターネットから大学のサーバにアクセスし、いろんなデータや情報を入手することもできる。すべてはICカードの学生証、IDとパスワードで管理されている。このラーニング・コモンズはまだ試行錯誤の域を出ないと思う。しかし、次第に何かをつかみかけてきたという話を森本君から伺った。
 同志社大学は、昨年、NHK大河ドラマ、『八重の桜』で、新島襄先生と新島八重さんの生きざまをリアルに描いて放送された。その由緒ある建物が今も現存している。
創立者の思いをいつまでも大切にし、時代の流れに沿った新しい教育を組み入れながら一層発展してほしいものだ。
 昨日の見学では、その可能性を大きく見出したような印象を受けた。

 キャンバスのメイン通りからクラーク記念館を見る
 烏丸通りの反対側にできた法科大学院
 
 ラーニング・コモンズ2階入り口から
 ラーニング・コモンズの一角
 ラーニング・コモンズの一角
3階のデスクトップPCに向かう学生


11月13日(水)
耐久高校の同窓会に出席しました

 和歌山県立耐久高校を卒業して52年、齢70歳(古希)を迎え、高校の同級会が開かれましたので、久しぶりにJR天王寺駅から阪和線で和歌山駅に行き、駅前の料亭で開かれた5組、6組の同窓会に出席しました。今回は26名が参加し、男13名、女子13名でした。
 
 今まで何回も同級会が開かれ、その都度参加をしてきましたが、今回は70歳という節目の年で、いつもの集まりと違った思いがありました。

 人生80年時代とか90年時代とか言われるようになりましたが、はやり70歳になると60歳の時と比べて、体力や記憶力の低下など、加齢による劣化を感じます。まず健康で日々を送らせてもらっていることに感謝して過ごしている昨今です。

       

 出席者の全員写真を撮り、その後宴会を始めました。女性群は若々しく、男性群は白髪あり、剥げありとこの年になると何でもアリになります。
 いつも郷里で熱心に声をかけてくれ、お世話をしてくれる方々が居てくれるので大阪に住んでいる小生は参加させて頂くだけ。この全員写真も今日、封書で届いたので、パソコンに取り込んで少し画像処理してみた。『あまりくっきり見えるとまずい?』という方もあると思うので適当な見え方を考えたつもりです。ご勘弁を!!

 いつも感じることですが、街中でばったり顔を合わしても、50年間、一度も逢っていないと全く分からない。でも時々逢っていると、変化するイメージが連続して頭に残っているので、「少し歳を取ったかな?白髪が増えたかな、髪が薄くなったかな」という変化を感じながら、『こんにちわ!お久しぶり』のあいさつで互いを確認できる。

 同級会は小学、中学、高校、大学と違ったメンバーに逢えて大変楽しいもの。どの同級会も、気が置けない仲間たちに逢えるのでいつも楽しい。
 
 母校の『耐久高校』は創立150年になる日本でも屈指の歴史ある学校です。
 創立は嘉永5年(1852年)ですから、明治維新の16年前に創立されました。
 耐久高校のホームページは下記にありますので、詳しくは母校のHPをご覧ください。
  http://www.taikyu-h.wakayama-c.ed.jp/

それでは、スナップの何枚かの写真を添付します。みんな元気そのものです。大変結構ですね。
   
   
 
次回も全員会えることを約束して解散しました。


2013年3月16日(土)
正倉院の修理現場見学

 3月14日、清水建設が請負い、改修・修理を行っている正倉院の見学会に参加する機会がありました。
 今回の解体修理の目的は、 屋根が傷んで雨漏りの心配が起きたことと、地震に対する耐震化を施すことの二つだそうです。

 作業が安全に確実に行えるよう建屋の周囲を覆う重量鉄骨組みの建物ができ、正倉院が小さく見える作業場です。
 鉄骨の建屋を支える基礎コンクリートも立派なマンションが建つような頑丈な基礎を作っています。
 
 作業建屋は3階建てで、3階に登れば、正倉院の屋根の一番低い位置になるように建っています。屋根瓦は創建時のものから、1300年以上経って未だ使われているものから、歴代の修復で使われた年代物の瓦を展示していました。古い瓦は形が歪だったり、苔のようなものが表面に着いていたり、ひび割れがあったりしています。
 
 今回の見学会は一般募集もされましたが、長谷工様の伝手で参加させて頂きました。この一連の見学会が終了すれば、いよいよ屋根葺きに取り掛かるという話でした。
工事現場の写真をご覧ください。
 正倉院の姿(写真転載)、校倉造で有名
 
 入り口、工事用建屋で覆われ正倉院が全く見えない
この中にすっぽりと覆われて正倉院がある。
 校倉造の現場
 正倉院の内部、新しい木が随所に使われている。
 
 耐震化工事により震度7まで耐える(写真)。
 補強のための新しい木組み
 大正時代の大修理の様子(写真転載)
 大正時代の大修理の様子(写真転載)
 屋根の葺き替えのため、瓦がはがされた状態
地板はサワラを使っている。神社などで、瓦屋根にしない
サワラを直接、屋根に使っているところもある。
サワラは水に強い木材。一般の日本建築の屋根の野地板には、杉板を使うのが普通。
 軒先瓦の陳列、時代毎に模様が違う
 今回使用する瓦、精巧に仕上がっている。
 今回の瓦で葺いた状態を展示している。
新瓦は空葺き(野地板と瓦の間に土を置かず釘で留める)
 古い瓦は土を置いて留める。
瓦に穴がないので、従来工法の土留めを採用する。
 工事建屋から大仏殿を見る
 奈良公園の鹿と大仏殿

 正倉院について少しご紹介します。
内容は、一部転載させて頂きました。

正倉院の由来

 奈良・平安時代の中央・地方の官庁や大寺には,重要物品を納める倉庫が設けられていました。この倉庫が幾棟も集まっている一廓が正倉院と呼ばれたのです。
 しかし、あちこちに置かれた正倉は,歳月の経過とともにいつしか亡んでしまい、わずかに東大寺正倉院内の正倉一棟だけが往時のまま今日まで残ったのです。
これがすなわち、正倉院宝庫です。

 8世紀の中頃、奈良時代の天平勝宝八歳(756年)6月21日、聖武天皇の七七忌の忌日にあたり、光明皇后は天皇の御冥福を祈念して御遺愛品など六百数十点と薬物六十種を東大寺の本尊盧舎那仏(大仏)に奉献されました。

 皇后の奉献は前後五回におよびその品々は同寺の正倉(現在の正倉院宝庫)に収蔵して、永く保存されることとなりました。これが正倉院宝物の起りです。
 大仏開眼会をはじめ東大寺の重要な法会に用いられた仏具などの品々や、これより約200年後の平安時代中頃の天暦4年(950)に東大寺羂索院の倉庫から正倉に移された什器類などが加わり、光明皇后奉献の品々と併せて厳重に保管されることとなったのです。
正倉院宝物はこのようにいくつかの系統より成り立っています。

 正倉院宝庫は千有余年の間、朝廷の監督の下に東大寺によって管理されてきましたが、明治8年(1875)宝物の重要性にかんがみ内務省の管轄となり、次いで農商務省を経て宮内省に移り、引き続き宮内庁の所管するところとなったのです。 現在、古来の正倉のほかに、西宝庫(昭和37年竣工)・東宝庫(昭和28年竣工)があり、いま宝物はこの両宝庫に分納して保存されています。

宝庫について
 正倉はもとの東大寺の正倉で、奈良時代以来宝物を襲蔵してきた宝庫です。
檜造り、単層、寄棟本瓦葺きで、高床式に造られています。間口約33メートル、
奥行約9.4メートル、床下約2.7メートル、総高約14メートルの大きさをもち、床下には直径約60センチの丸柱が自然石の礎石の上にどっしりと立ち並んで、巨大な本屋を支えています。
 その豪壮な構えと端正な佇まいはまことに奈良時代第一の大寺である東大寺の正倉、わけても国家的宝物を安置する宝庫にふさわしいものです。

 倉は三倉に仕切られ、北(正面に向かって右)から順に北倉、中倉、南倉と呼ばれています。北倉と南倉は、大きな三角材(校木)を井桁に組み上げた『校倉造り』で、中倉は北倉の南壁と南倉の北壁を利用して南北の壁とし、東西両面は厚い板をはめて壁とした『板倉造り』です。
また、各倉とも東側の中央に入口があり、内部は二階造りとなっています。

この宝庫は奈良時代の創建以来、幾多の危機に見舞われています。
治承4年(1180)の平重衡の奈良焼き(南都焼打ち)や、永禄10年(1567)の三好、松永合戦の兵火による大仏殿炎上、建長6年(1254)の北倉への落雷などがその主なものですが幸運にも大事に至らず、ゆるぎない姿で今日に伝えられたのです。
しかし、その間には経年による朽損、雨漏りなども少なくはなく、建物の維持のため、大小いくつもの修理が行われています。
今見る外観のうちで、床下の柱に巻いた鉄の帯や、本屋を支える根太の鼻にかぶせた銅板は後世の修理時に加えられたものです。

 宝庫の建築年時については、そのことを直接記録した資料がないので明確ではありませんが、文献に見える記事から、おそくとも天平宝字3年(759)3月以前に出来上がっていたことは確実とされてきました。
 また宝庫が校倉と板倉とを一棟にまとめた特異な構造であるため、はたして創建の当初から現在のような形であったのか、あるいは中倉は後に継ぎ足されたものではなかったかということが専門家のあいだで議論されてきましたが、近年では使用されている建築材の科学的調査(年輪年代法)によって、宝物献納と相前後する時期に、最初から現在見るような姿で建築されたと
と見る説が有力となっています。

 この正倉は、平成9年(1997)に国宝(正倉周辺地域は史跡)に指定され、翌年には「古都奈良の文化財」の一部として世界遺産に登録されています。

 正倉院年表
 http://www.kunaicho.go.jp/event/shososeibi/nenpyo.html

 解体修理現場写真
 http://www.kunaicho.go.jp/event/shososeibi/shintyoku.html


2012年9月2日


 LED電球について

 最近、LED電球やLED照明器具の値段が下がってきた。
天井の電球や蛍光灯器具をLEDに取り替えて、省エネしようと考える人が増えているらしい。家電量販店、コーナンやビバなどのホームセンターには大量のLED電球やLED照明器具が並ぶようになった。

 我が家も、従来のダウンライトの電球型蛍光管や、サークライン(蛍光灯)などから、LED照明器具に取り換えつつある。 

 電球は真空にした管内にフィラメントとしてタングステンを使い、それに電流を流して2000度以上の高温にし光を発するものである。タングステンは3380度と非常に融点が高いので、電球のヒラメント(発光体)にはうって付けの材料であり、長い間使われてきた。電球も技術開発が進み、細い糸のタングステンをコイル状に巻いて、それをさらにコイル状に巻いたした2重コイル電球というのが東芝(当時のマツダ電球)として一世を封じたことがある。
電球は真空にすると、タングステンが熱で昇華して、やせ細って、ついに断線するので、中に不活性ガスのアルゴンを入れて商品化されている。

 蛍光灯は電球より電力消費は1/3〜1/4程度で、省エネ器具だったが、それでも蛍光管を取り換える際に管に触れると熱いほど熱を持っている。この熱が電気エネルギーロスを産んでいる。光にならないで熱として発散・消費されている。

 その点、LEDは殆ど発熱しないので、電気エネルギーが殆ど光に代わり、電力ロスが少ない。今までは電球に代わるほどの発光量のLEDができなかったので、手に入らなかった。特殊なものはあったが非常に高価であった。それが最近、LED一個で3Wや5W(ワット)位のものが安くできるようになった。

 LEDは単色の発光素子で、開発された順にあげると、赤、オレンジ、黄緑、緑、青、そして白色となっている。一般照明用は白色でないと使えない。

 LED自体で白光を直接出しているのではなく、一般のものは黄色のLEDの表面に特殊な蛍光塗料を塗って、光の波長を変換して白色の光に変えている。
この蛍光塗料の種類を変えることで、昼光色や電球色の光を出すことができる。

 もう一つの白色を出すやり方は、いわゆるR・G・B(赤、緑、青)の光の3原色のLEDを並べて、同時に発光させれば見た目には白色に見える。
これは液晶テレビやプラズマテレビの表面に目を近づけて、細かな粒粒を見ると
RGBが並んでいるのが見える。どの色が強いかで赤や緑や青や合成されて黄色やその他の色を自由に表現している。

 だから、少し高価な数万円の天井灯用LED照明器具(シーリングライト)はリモコンで器具内のRGBのLEDの発光の度合いを変えることで、電球色や昼光色や、赤っぽい色や、青っぽい色や緑色など自由に演出できるものがあります。

 団らんには電球色が癒される。また、仕事場や読書には昼光色が適している。仕事をする色、ムードを出す色など、生活のシーンにより自由自在に色を変えることができる。これは3原色のLEDができたことによる。

今まで、照明の明るさは、電球なら60W(ワット)とか、100Wというようにワット(電力使用量)で呼んでいた。蛍光灯も直管20W型とか、サークライン30Wなどと呼んでいた。LED電球でも消費電力4Wとか7Wとか表示はしているが、今までの電球と蛍光灯とは少し感じが変わってくる。先に述べたように、LEDは省エネの商品なので、電球100WがLEDなら15W前後、電球60WならLEDで9W前後、電球40WならLED4.5Wぐらい。その関係を下の表に示す。

下記の値は目安としてください。

光束 1520lm 910lm 485lm 170lm 
消費電力  電球  100W 60W  40W 20W 
 蛍光灯 27W 13W    
  LED 15W  9W  5W 2〜3W 

 光の明るさ?の表し方、単位について紹介します。
光の量を表す単位には、光束、光度、輝度、照度の4つの単位があります。
光源(光を出しているところ)は、点であったり、蛍光灯のように面であったりします。まず、光源から出る光の量を表す単位が光束で、ある単位はlm(ルーメン)です。
LED電球の箱に何ルーメンと表示していますね。
少し難しくなるのですが、光源を囲む球体を考えて、その球体の半径の2乗に等しい球体上の面積を通過する光の量を光度と呼びます。そして、光源から半径の2乗に等しい面をなす円錐形のなす角度を立体角と呼び、単位はsr(ステラジアン)と言います。1sr=a/r2乗 単位はcd(カンデラ)と呼びます。
さらに、光源の単位面積当たりの光度を輝度(単位はcd/u)と言います。

 以上は、光源を表す単位ですが、光源から出た光が壁や床に当たって面を照らします。その照らされる面の明るさが照度(単位はルックス)です。
1ルックスは1lm/uです。1uに1lmの光が到達して照らした場合の面の明るさです。同じ光束の光源でも、部屋が広く、距離が離れると照度が低くなります。
作業や読書や勉強をする場合は、照度がどのくらい必要かが重要で、光源の量は直接関係がありません。いかに読書の場合は本のページが明るいかです。

 LED電球やLED天井照明器具を買う場合は、lm(ルーメン)という表示がされています。これはそのLEDが発する全体の光の量を表しています。

 電球は輝いている部分(フィラメント)は小さいので、直接見ればまぶしいですが、、蛍光灯は結構大きな管全体で光を出しますから蛍光灯は見てもまぶしくありませんが、明るいのです。そういう発光体の特性と、光の量を表すために、光束や輝度や光度などを規定しています。

以上、余談でした。

少し難しくなりますが、もう少し理論的な説明は下記をクリックしてご覧ください。
shoumeiYougo_tan-i.pdf へのリンク


2012年9月1日
旧・海軍大学校の数学の入試問題と解


問題『3を3回使って、0〜10までの数字を作る数式を示しなさい』でした。
解答は次のようになります。
いくつできましたか?

 0 (3−3)×3=0 
 1 ( √3×√3)÷3=1
 2  (3+3)÷3=2
 3  3+3-3=3
 4  (3÷3)+3=4
 5  3!−(3÷3)=5
 6 ( 3×3)−3=6
 7  3!+(3÷3)=7
 8  (3!÷3)3乗=8
 9  3+3+3=9
 10  3.3×3≒10

ここで、3!は3の階乗で、3!とは、3×2×1=6です。
これができた人は、頭が柔らかく、かつ優秀な人です。
世が世なら、大日本帝国海軍大学校に入学できます。
 


2012年8月10日(金)
天神祭のギャル神輿

 8月7日、立秋が過ぎましたので、『残暑お見舞い申し上げます』

 猛暑日が続いていましたが、ほんの少し秋を感じるようになりました。
今日、この夏、初めて『ツクツクボウシ』が鳴いていました。初鳴きです。それも朝のちょっとした時間で、その後、太陽が照ると鳴き止み、代わりに『クマゼミ』の大合唱になりました。やはり未だ、熱い夏が続いています。

ちょっと、タイミングがずれましたが、7月23日、大阪天満宮の天神祭があり、そのギャル神輿(みこし)を撮ってきました。たくさんの応募者の中から選抜されたギャルたちだけあって、容姿端麗?で、すこぶる健康的なギャルが元気に神輿を先導したり、担いだり、黄色い声を張り上げ、大変盛り上がっていました。
天満の商店街を北から南に下がり、国道を越えて天満宮まで行き、その後、再び北上するというコースを練り歩きました。

大阪の夏の風物詩をお届けします。
   威勢のいい掛け声と共に
神輿がやってきました。
   先導役の男性も笛を吹き
道路を確保に懸命です。
   綺麗なギャル達です。
  神輿は結構重そうです。
太い丸太を担いでいます。
頼もしいギャルたち!
  茶髪の女性も様に
なっています。
   あっという間に
目の前を通過。
  商店街は人盛りで
溢れていました。


2011年10月13日(木)

ハウス工場の紹介

 長野県上田市の近郊に、小県郡青木村という村落がある。周囲は山に囲まれた大変静かな土地で、日本で一番、年間日射量が多いと言われている。
ここで写真のようなビニールハウス内で、年中、『サンチュ』の栽培をしている。

 室内は冬場は暖房し、夏は外気を換気扇で取り入れてしのいでいる。栽培棚には緑色のサンチュの葉っぱがきれいに並んでいる。水耕栽培なので、土は使わず、ハウスはほとんど完全密閉状態なので、無農薬に近い。


約600uの建屋


栽培棚に並んだ『サンチュ』
サンチュは、レタスのような葉っぱで、歯ごたえがあり焼肉によく合う。
一部、苗を植え付けたばかりの小さなものもある。


このハウスの様子は、ネットカメラで常時(昼間)モニターできます。
アクセスは下記のURLを入力して下さい。画面にパスワードとID
を聞く欄が表示されますので、両方に guest と入力して下さい。
画面の上下、左右の隅をマウスのポインタでクリックすると、カメラ
の角度を自由に移動することができます。全画面をクリックすると
画像が全画面表示に切り替わりますが、画質は粗くなります。
元の小画面に戻す場合は、キーボードの左上にある ESC キー
を押せば元に戻ります。
http://fecaiyu.luna.ddns.vc/

うまく開かないまたは、「ActiveXをインストールしてください」と言う
表示が出る場合はインストールすれば見ることができます。


2011年9月24日(土)
京阪電車 私市線のトーマス電車

今日も昨日に引き続き、日本晴れで、朝の気温は14度、ちょっと肌寒い。
日の出とともに気温はぐんぐん上がり、歩くのには最高のコンディション。
昨日は8000歩歩いてみて、足の調子は特に問題がないので、今日は
1万歩に挑戦しよう。キヤノンEOS7Dを肩にぶら下げて。


私市付近の棚田、豊かな田の恵み、稲穂が垂れている。


京阪電車、河内森(私市行き)を出たところ


子供に大人気のトーマス電車


私市の家並みに歩くと古民家にこんな看板がある


2011年8月16日(火)
高速増殖炉「もんじゅ」の再開は絶対反対

 今日も日中の気温は34度前後あり、この10日余りは大変な猛暑が続いている。昨日までクマゼミの大合唱ばかりが聞こえていたが、今日夕方、初めてツクツクボウシの鳴き声を聞いた。しかしまだ暑さの性か、鳴き声に元気がない。まだクマゼミの声の方が随分大きい。季節は着実に秋に向かっていることを感じた。
例年なら、8月10日前後にツクツクボウシが鳴き始めるが、今年は一週間余り季節が遅れているようだ。天気予報では今週末に前線が南下して一時、秋の空気に入れ替わるらしい。

 雨が降れば、そろそろ秋野菜の種まきの準備で、畑の耕し(天地返し)をしなければならない季節だ。この暑さでは農作業は無理かも。

いよいよ、菅さんがお辞めになるようだが、誰がなろうと、原発の推進だけは反対だ。絶対反対は高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開だ。
これは、原子炉事故が起きると手がつけられない。座して待つのみ?となる。ナトリュウムを冷却材に使う原子炉なんて、無茶だ。

下記のURLに「もんじゅ」は5重の安全策をとっているので安全だ!と説明している。確かに原子炉自体の事故に対しては安全かも知れない。原子炉の周囲の自然環境は何が、どの程度の規模でいつ起きるか分からない。福島原発はそれを『想定外の地震と津波』と言ってごまかしている。いくらごまかされても、原発事故が起きたことは事実であり、今もその収束のために今後何十年にもわたりいろいろな対応をしてゆかなければならない。自然環境の破壊だけでなく、人体の健康やすべての生物に負の遺産を負わせることになる。

軽水炉の原発ですら、絶対起こらない、起こるはずがないと言われてきた原子炉のメルトダウンが現に起きてしまった。
もんじゅ」でこういうことが起きると、冷やすことすらできない。膨大な放射性物質が撒き散らされて、北陸、関西、中部地方は人が住めない土地になりかねない。その時はまさに日本は沈没する。

下記のURLに高速増殖炉・もんじゅについて詳しく書かれています。
これはごく一部です。
もんじゅの運転再開は、絶対阻止しなければなりません。

http://www.jaea.go.jp/04/monju/
http://www.geocities.jp/tobosaku/kouza/fbr1.html
http://www.fepc.or.jp/present/cycle/kousoku/index.html
http://www.geocities.jp/tobosaku/kouza/fbr2.html 

2011年8月10日(水)
夏の電力不足は乗り切れるか?
原発は稼働なし!

 8日は立秋でした。暦の秋になり、本格的な猛暑がやってきた。
電力使用率(使用電力量/供給電力量)が軒並み90%前後になり、余裕がなくなっています。 でも当初、一番騒がれた東京電力に余裕があり、東北電力に送電していると言うことですから、世の中不思議です。

 今年から、野球のストライク・ボールの表示が逆になりました。これは国際表示に合わせたのですが、『**ストライク・**ボール』と言っていたのを、『**ボール・**ストライク』となっています。

 春の高校野球の実況を聞いていて違和感を感じました。それまでNHK BSテレビの大リーグ中継を見ていて、アメリカではボール、ストライクの順が逆のことは知っていました。ストライクとボールのどちらを先に言うかは、どうでも良いのですが、要は聞き慣れの問題です。 
 しかし、夏になりプロ野球を見、いま、元気にプレイしている夏の高校野球を見ていて全く違和感を感じなくなりました。人間と言うものは、聞き慣れるものです。

 野球のボール、ストライクはどちらを先に言おうが、どうでもいいことです。
でも何故、日本だけがストライクを先に言ったのか、少し、興味がありませんか?
多分、バッターよりもピッチャーに敬意を表したのかも知れません。

 このことは、どちらを先に言おうが、どちらかに決めればいいことです。
特に、こうなければならないという確たる要因はありません。決まれば、それに従えば済むことです。

 これと同じようなことが、車の右ハンドルと左ハンドルです。
イギリスと日本以外は、世界中殆ど左ハンドルです。日本はどういう経緯か、イギリスにならって右ハンドルになっています。

これは野球のように簡単に途中で切り替えることは出来ません。社会インフラにかかわることですから。

 同様に電気の周波数があります。これが大変なネックになっています。もし、全国が60HZか、50Hzに統一されていれば、猛暑にも比較的柔軟に対応できます。日本を貫く100万ボルト大電力送電線路を何本か施設して、それに各電力会社の発電所の電力を直接つなぐ、必要に応じて各地に変電所を設置して電圧を上げ、下げして使う。

 しかし、周波数が違うと、直につなぐことは出来ない。一度周波数変換し、どちらかの周波数に合わせることが必要になり、そのため周波数変換所が必要になる。

 長距離大電力送電は交流よりも直流で行った方がメリットがある。
そういう電力インフラを整備しながら、風力発電や、太陽光発電や、地熱発電を増やして、脱原発を進めるべきだ!と常々思っている。

 特に、高速増殖炉もんじゅは絶対反対だ!
 原子炉の冷却にナトリュウムを使う。ナトリュウムは金属であるが、水に触れると、水素を発生して水素爆発する。今回の福島原発でも水素爆発が起こった。
 福島原発は燃料棒が2000度近い高温になり、それが水に触れて水素が発生したもの。

 軽水炉原発は、水を冷却材と、中性子の減速材として使う。水で冷やす原子炉だ。この原子炉ですら、冷やせなかった福島原発で大きな事故が起きた。

 これが、ナトリュウムを冷却材に使う『もんじゅ』の場合はまったく事情が違う。
事故が起きた時に、ナトリュウムでしか冷却できない。原子炉内を循環する液体ナトリュウムは大量の放射性物質を含んでいる。高温の液体ナトリュウムを水で直接冷やせない。ナトリュウムは水をかけると水素を発生し、爆発するから。炉心の燃料棒も冷やせない。

 今回のような事故が、『もんじゅ』で起きたなら、全くお手上げだ! 炉心溶融、炉心爆発と続き、その際の放射性物質の飛散量は福島事故の比類ではない!  近畿地方、琵琶湖、周辺はすべて廃墟になるのではないか?
 『もんじゅ』の再起動、今後の開発は進めてはならない。絶対反対だ!!



2011年7月3日
田殿小学校の60年ぶりの同窓会

昨日、小学校の同級会があり、久しぶりに旧知と楽しい一日を過ごした。
和歌山県有田郡田殿村、村立田殿小学校、昭和31年卒業生が22名集まった。
前回は14年前だったので、まだ皆さん、現役で忙しい中での同級会であったが、
今回は67、8歳になり、全員?リタイヤし、時間もゆっくり取れ話が盛り上がった。
お世話になった川崎先生が大変お元気で出席され、一見して同級生と見間違う
ほど若々しいのにみんなうらやましがっていた。 
この歳になると、11人が既に他界している。

 和歌山県有田地方は、昭和28年7月18日に歴史的な集中豪雨があり、有田川が
氾濫し、各地で堤防が決壊し多数の人が流されて亡くなられた。
ちょうど、小学校4年生の時の出来事であった。上流から家が流されている状況を
今も、しっかり覚えている。その話を先生からお聞きし、当時の大災害の状況を
思い出し、同級生が一人亡くなったのは残念であった。

 今年3月11日の東日本大震災の津波の映像を繰り返し見ながら、当時の大水害を
思い出している。有田川の上流には、一晩で1600mmの豪雨が降り、バケツを
ひっくり返すような土砂降りだったと聞いている。

 田殿の田んぼが一面、湖のようになり、長い間、水浸し状態で、東日本大震災の
津波の有様とダブってしまう。水害や津波はすべての積み上げてきた家やその他の
社会インフラを破壊してしまう。それまでの田んぼの道は狭い曲がりくねった狭い道で、
車は通れなかった。大水害で、測量をし直し、区画整理し、四角の田んぼになり、
田園風景は一変し、大きく様変わりした。

みかんの値段がよくなってきた時だったので、稲作からみかんに殆ど全農家が作地
転換した。田殿田んぼは、今、立派なみかん畑が広がっている。

 東日本大震災に遭われた地域の方々は、大変なご苦労をされていると思いますが、
将来のその地、その地に合う姿を適切に描いて、今まで以上の道路や、街並みや、
生活の場を新しく造られる事を期待している。


2011年7月2日
香港・マカオのツアーに参加

久しぶりに、香港(ホンコン)、澳門(マカオ)のツアーに参加しました。
イギリス、ポルトガルから返還されて14年になり、体制が変わり大きく
変わったと聞いていましたので、返還後の香港がどう変わったのか、
自分の目で確かめに行きました。  香港は生まれて初めて、今から
52年前に、(会社に入って2年目の新入社員時代にチャンスを頂き)
初の海外旅行をした国であり、ボーイング707という胴体が細長い2席、
2席の大変狭いジェット機で、行きは4時間、帰りは3時間かかった
ことを覚えています。数時間の飛行で、日本とは全く別世界の国で、
当時から超高層ビルが林立し、最初の海外旅行は感激と驚きの連続で
大変印象深いものでした。その後、仕事ばかりで数回訪れました。

左は当時のPassportのVISA、 右は予防接種証明書
昔は海外渡航は大変だった。もちろん、360円/$の時代

英国から中国に返還された香港がどうなっているか、『旅行のページ』で
詳しく報告します。ただ今、準備中ですので、しばらくお待ち下さい。


2011年5月17日〔火〕
ウランが燃える?

今回は『何故、冷やし続けなければならないのか』 について書いてみます。

『ウランが燃える』と言われますが、「燃える」と言う現象は、従来の物が燃える、すなわち、燃料が空気中の酸素と結合して熱や炎を出して燃え、その結果、炭酸ガス(二酸化炭素)と水と炭(または灰)になるという現象とは、全く違う概念、現象を言います。共通していることは、『熱を出す』と言うことです。熱を出すから、燃えると言う表現を使っています。

『ウランが燃える』と言うことは、どういう現象なのかです。燃えるウランはウラン235というものです。ここで、原子の構造がどうなっているかについて説明します。高校の物理で習ったことがあるはずですが、原子の世界を見ると(実際は、余りに小さくて目で見える大きさあではありません)中心に原子核があり、その周りを電子が回っています。あたかも太陽とその周りを回る惑星(地球や火星や木星など)と同様です。宇宙の巨大な空間と、目で全く見えない原子の世界が同じような構造にになっていることに大変大きな興味を抱きますね。ただ違う点は、電子は同じ大きさ、同じ量のマイナスの電気を持っているということです。
さて、原子の中心にある原子核を覗いて見ましょう。 その中身は二つの種類の粒子があります。 一つは陽子と呼ばれるプラスの電気を持った粒子で、電気量は電子と同じ量です。
原子核のもう一つの粒子は中性子と呼ぶ粒子です。これは名前のとおり電気的には中性で電気を帯びていません。原子の種類によってこれらの数が異なります。ウランは天然(地球上)に存在する最も重い物質です。
一番軽い物質(原子)は水素です。次に軽いのはヘリウムとなります。

さて、ウラン原子はウラン235、ウラン238などがあります。この数字は何を意味するかです。ウランは原子番号が92です。原子番号は原子核の中の陽子の数を表しています。陽子の数が変われば、別の物質(原子)に変わります。それでは原子番号92のウランにウラン235とウラン238があるのは、何が違うかです。これは陽子と中性子の数を合計して、呼んでいる数字で質量数と言います。同じ原子番号でありながら、質量数が違うものを同位原子(アイソトープ)と言います。

原子炉燃料に有効なウランは、ウラン235です。ところがウラン鉱脈から採掘されるウランは殆どがウラン238で、ウラン235は0.3%から0.7%ぐらいしか含まれていませんので、これを精製し純度を3%から4%に高めすなわち濃縮して、原子炉燃料とします。

原子爆弾は、純度を97%と非常に高濃度に濃縮する必要がありますが、原子炉では数%の低濃縮ウランを使います。

ウラン燃料は、ジルコニュウムと言う金属の細い管(直径が1cm)の中に、直径8mm、長さ1cmぐらいの粒状に焼き固められた状態で、管に詰め込まれています。この管は長さが4mほどあり、燃料棒となります。

燃料棒を束にして、たくさん縦に並べた状態が原子炉の中心にあります。
これが炉心です。ウランは常に放射線を出しています。原子番号が大きなウランは、原子核が大きく、不安定な状態にあります。常に少しずつ放射線を出し続けています。

炉心では、ウラン自体が出した放射線(アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線などがあります)で、特に中性子線が他の原子核に当たるとウラン原子核が壊れて、小さな二つの原子に変わります。その結果、ヨウ素やセシウムやストロンチウムなどの物質に変わります。これを原子核分裂と読んでします。原子核分裂した結果、重いウラン原子は約半分ぐらいの原子量の原子になりますが、その際に極わずかな質量が無くなります。これを質量欠損と呼びますが、それは前回説明した原子核エネルギーとなります。

原子核分裂で生じたヨウ素やセシウムやストロンチュウムなどは不安定な状態の原子で、放射線を出し続け安定な状態になろうとします。その際にもわずかの質量欠損が起きて、崩壊熱を発生します。この熱は原子炉が稼動中の連鎖反応している臨界状態と言われる最大出力に比べ小さな値で、最大でも7%ぐらいです。時間の経過と共に発熱量は減りますが、もともと巨大な発熱量があったわけですから、減ったとしても非常に大きな値になります。

100万キロワットの原子力発電所では、運転を停止した後でも、7万キロワットぐらいの熱が出ます。一軒の家で消費する電力量は平均3キロワットと言われますから、原子炉が停止した直後で、2万軒以上の電力量をまだ発生していることになります。

その発生熱を水を循環して、冷やさなければ、燃料棒自体がドンドン発熱して高温になり、やがて1000度、2000度と上がり、最高温度は2800度にもなり、燃料棒が溶けて落下します。その前に燃料菅のジルコニュウムが溶けます。ジルコニュウムは水と反応すると、水素を発生します。この水素と空気中の酸素が反応して水素爆発するという経過をたどることが多いのです。

ですから、燃料棒は水で冷やし続けることが何より原発の安全運転に欠かせない作業となります。


2011年5月15日(日)
原子力の巨大なエネルギーと怖さ

前回から2ヶ月が経ったが、福島原は依然として収まらない。原子力エネルギーの巨大さと怖さをつくづく思い知らされている。現場で被曝を恐れながら、防護服を着て、気温や湿度が上がる中の作業をされる方々の安全を祈るばかりである。

既に、1,2,3号機とも、メルトダウンしていると言う見方が当たり前になってきた。1号機は認めた形になったが、2,3号機も同様な状況のようだ。私達日本人は他の国民と少し変わった遺伝子を有しているようで、すぐに納得し認めるところがある。メルトダウンは大変な事故だったはずが、今となっては特に何も感じなくなった。
しかし、放射性物質は相変わらず放出されているので、次第に動植物の体内に取り込まれ、蓄積してゆくと、大変危険になる。

(1)原子エネルギーがどれほど凄いものか
(2)なぜ、冷やし続けなければならないのか

について、2回に分けて書いてみることにする。

今回は、
(1)原子エネルギーがどれほど凄いものか
原子力発電所で発生する原子エネルギーとはどういうものなのでしょうか。
有名なアインシュタイン博士の「相対性理論」に基づいています。
簡単に説明しますと、『物質はその質量が減少すると、エネルギーを発生し、エネルギー発生量は減少した質量(質量欠損という)×光速の2乗になる』と言うものです。これを式で表すと、
  e=m×C

となります。
 光速;Cは、3×10 メートル/秒ですので、その2乗ですから、

発生エネルギー=(質量欠損した分の質量)×9×1016 〔J〕

(注)単位 〔J〕はジュールと呼ぶ仕事量の単位です。1〔J〕は1〔N〕(ニュートン)の力をその方向に1m動かす仕事量を言います。言い換えますと102グラムのりんごを1m持ち上げる時の仕事が1〔J〕です。
1秒間に1〔J〕の仕事をすれば、1W(ワット)になります。
1J/sec=1W


という気が遠くなるような、とてつもない大きさになります。

 少し難しいので、表現を変えますと、ウラン1グラムが核分裂した時に発生するエネルギーは、石油2000リッター(ドラム缶10本)に相当するエネルギー量となります。石炭なら約3トンに相当します。

 同じエネルギーを得るための燃料を重量で比較すると、ウランは石油の約200万分に1、石炭の約300万分の1でよいことになります。

 ここで誤解しないように注意したいことは、この1グラムのウラン燃料が燃えて(核分裂して)、すべてがなくなってしまう(0グラムになる)という意味ではありません。 1グラムのウラン原子の内のわずか約0.1%弱(約千分の一グラム)がウランから他の放射性原子に変わり、この核分裂の前後で質量が減少します。質量の減少分が「質量欠損」と言うことです。

 原子が0.001グラムの質量欠損が生じれば、石油ドラム缶10本(2000リッター)に相当するエネルギーを発生するということです。
 原子エネルギーは、ごくわずかな量で巨大なエネルギーが得られるという点で、現在のエネルギー大量消費時代にマッチしたエネルギー源だと言えます。

逆に、どんな地震や津波などの災害が起こったり、システムの異常事故が起こっても安全性が保たれなければ大変なエネルギーを出すことになり被害が拡大します。今回は制御棒が挿入されて、原発の運転は停止されましたが、その後の冷却システムが停電などの影響で作動しなかったためいろんなトラブルが次々と発生しました。

次回は、何故冷やし続けなければならないのか?
お楽しみに!